先週末の土曜日(3月26日)にお伝えした、ナタリー・ポートマンが第83回アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得したサイコ・バレエ映画「ブラック・スワン」(2010年)の中で、実は本人は肝心のバレエを踊っていない…！！という、代役をつとめたアメリカン・バレエ・シアターのソリスト サラ・レインさんの告発については、その翌日曜日に続報として、映画を製作し、公開した20世紀FOXの見解も報告しましたが、ついに映画を作った張本人の天才ダーレン･アロノフスキー監督が、“事実” を語る…！！と声明を発表したので、果たして、実際はどうなのか？！、監督の言い分を吟味してください！！




オスカー獲りに向けて、ナタリー・ポートマンが約1年半でバレエをマスターした…！！という天才女優の伝説を作り上げるため、プロデューサーのアリ・ハンデル氏から、ナタリー・ポートマンが自分でバレエを踊っていないことをマスコミに話すな…！！と脅迫された経緯を、前述のサラ・レインさんが激白し、「ブラック・スワン」スキャンダルの火付け役となったエンタテインメント・ウィークリーに対して、天才ダーレン・アロノフスキー監督が “事実” を物語る声明を発表したので、その全文を日本語訳しました。まずは同監督の言い分をご一読ください。

“現実をありのまま示したいと思う。編集者と一緒に映画のカット数を数えた。映画の中で、バレエのダンスのカットは全部で139カットある。そのうち、111カットが何ら加工の手をつけていないナタリー・ポートマン本人によるカットで、残りの28カットのダンスが代役として踊ったサラ・レインによるものだ。
もし、まともに算数ができるとするなら、全ダンス・カットの80％がナタリー・ポートマン本人だということになる。

では、カットの数ではなく、カットの長さの秒数についてはどうなのか？！、代役が踊ったダンス・カットはワイドショットで、ほとんどが1秒以上もない。2ヵ所ある長めの複雑なダンスシーンでは、VFXで顔を入れ替えるフェイス・リプレイスメントの技術を使った。
それにしても、我々が判断を下すとするならば、映画の中のダンスシーンの90％以上の時間は、ナタリー・ポートマン本人によって踊られているとジャッジすることができる。

さらに明白にしておきたいのは、ナタリーはトウシューズを履いて、つま先立ちでバレエを踊った。
映画の冒頭のプロローグの最後のカットは、およそ85秒あるが、その全部をナタリー・ポートマンが踊って、彼女はつま先立ちでシーンを終えている。このカットでは、デジタル加工の魔法は一切、使用していない。

私は、私の映画の俳優を弁護して、事をおさめるために、声明を出すことにした。ナタリーは長期間のハードな鍛錬の末、真に優れた肉体と感情のパフォーマンスを披露した。だから、私は、「ブラック・スワン」を観る人が、映画の中で踊っているのは、ナタリー・ポートマンじゃない…なんて思ってほしくない。つまり、そういうことである。”

…とのことで、当然の話として、映画を作った張本人の監督が、ナタリー・ポートマンは踊ってません、ウソつきました…なんて言うわけないので、声明の大筋はあらかじめ予測できていたと思いますが、その語り方については、具体的にカット数を提示する現実味で、サラ・レインさんの訴えを打ち消しにかかっているような格好となっていますね。
もちろん、天才ダーレン・アロノフスキー監督は、すべて正真正銘に事実を語っているかもしれないので、信憑性は否定できませんが、でも結局のところ、映像にデジタル加工を施したか、しなかったか…なんて、製作に携わった当事者じゃないとわからないので、誰が本当のことを言っているのか？！、最終的な白黒のつけようがない状況は、何も変わっていないように思います。

また、サラ・レインさんの“ナタリー・ポートマンは自分で踊っていない…”という主張が事実でないなら、その後に続く、マスコミに語るな…と脅迫のプレッシャーを与えられた事実も発生しないことになりますから、天才ダーレン・アロノフスキー監督は、それについては言及するまでもない…と考えたのかもしれませんが、この「ブラック・スワン」スキャンダルの真の問題は、専門的技術を要するバレエのシーンで、俳優の代わりに、代役のプロのダンサーが踊ること自体は、素人でもある程度、察することができるのですから、むしろ、公けに明白にしないといけないのは、そのことについて、マスコミに語るな…と、特定の個人を脅迫したとされる疑惑の方にあると思います。
なので、本来はナタリー・ポートマンと共に、スキャンダルの渦中にあるプロデューサーのアリ・ハンデル氏が出てきて、事実説明の身の潔白の証明につとめるべきではなかったでしょうか…？！

さらに、ツッコミを入れさせてもらうと、20世紀FOXは、サラ・レインさんの映画に対する貢献に賛辞をおくる…と見解を述べ、天才ダーレン・アロノフスキー監督も、上 ↑ の本人の声明によれば、10～20％は代役が踊った…と認めてるのですから、だったら、どうして、サラ・レインさんに対して、“ナタリー・ポートマンの踊りの代役”や、“バレエ・シーン・コンサルタント”のような肩書きではなく、“通行人”のような無名のエキストラのクレジットで甘んじさせているのか？！、その片手落ちに釈然としない感じが残ります…。


以上の天才ダーレン・アロノフスキー監督の声明をもとに判断して、サラ・レインさんがウソつきの目立ちたがり屋や、脚光を浴びるナタリー・ポートマンへの嫉妬に駆られたのではないとした場合、まず映画の中のバレエはナタリー・ポートマン本人が踊った…、そして、そのナタリー・ポートマンのバレエを映画で観て、サラ・レインさんは、自分のパフォーマンスだ…！！と見誤り、カン違いをして、告発したことになりますから、その経緯から導き出される考え方としては、まず第1に、ナタリー・ポートマンは、バレエの練習だけを22年間も続けて、プロのバレリーナのプリマになったサラ・レインさんと同等の技術レベルのダンスを踊ることができる…と理解するか、第2の考え方として、アメリカを代表する一流バレエ団のアメリカン・バレエ・シアターでソリストのサラ・レインさんは、映画女優と同等にしかバレエを踊れないヘタクソである…ということになります。
いずれにしろ、専門技術の領域で、素人には判断できないため、映画関係者側でなく、人材を提供し、映画に協力したアメリカン・バレエ・シアター側の意見もうかがってみたいものですね。


なお、蛇足でつけ加えておくと、天才ダーレン・アロノフスキー監督は天才ですから？！、「ターミネーター4/サルベーション」(2009年)の撮影中に、主演のクリスチャン・ベールが演技の邪魔をされたと言って、撮影監督のカメラマン シェーン・ハールバットにブチキレた暴言事件のスキャンダルで、自分は一切、同映画には関係なく、もちろん、その撮影現場にいたわけでもないのに、トラブルの話題に突然、割って入ってきて、クリスチャン・ベールはまちがっていない…！！と肩を持つ弁護の声明を発表していました…。

ナタリー・ポートマンは自分で踊ったのか？！、踊っていないのか？！、スキャンダルが話題になっている「ブラック・スワン」は、全米で明日3月29日から、139カットのバレエ・シーンをスロー再生したり、コマ送りしたり、一時停止したりして、ジックリと事の真偽を確かめられる DVD/Blu-ray がリリース！！、「ブラック・スワン」に関わっている人たちはみんな商売上手なんでしょうか…？！(笑)

★こうした映画のニュースや話題についての意見、また、自分が観た映画の感想などを伝えたい人は、フォーラムにトピックを立て、他の映画ファンの方との交流をはかってください。




【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと！！