ハリケーンで1,000館の映画館が上映を休止!!
2011年全米映画興行ワースト№1の嵐の週末に
「ザ・ヘルプ」が、連続首位でオスカーに前進!!
*各数字は、週末成績-(公開館数/平均売上げ)-トータル成績。題名の後の()は概算の製作費です。
第1位(1) 「ザ・ヘルプ」(2,500万ドル)
$14,333,000-(2,778館/$5,159)-$96,630,000
ニュース等の報道でご存知のように、アメリカ東海岸を襲ったハリケーン・アイリーンの影響により、全米映画興行の主要マーケットであるニューヨークを含む、被害の予想された各地域のおよそ1,000館もの映画館が上映を取り止め、休館するなどの対応を迫られたため、この週末は先週の前回(8月19日~21日)から約3割もの売り上げを落とした、全体で約7,000万ドル台の極めて低い水準の興行実績となり、NFLの頂上決戦スーパーボウルが行われた2月第1週(=全体で約7,340万ドル)と同等か、それを下回る可能性があることから、ハリウッドの映画産業にとっては、今年2011年で最も最低のワースト№1のウイークエンドだった…ということになりそうです。
そういう嵐の混乱により、前年同時期との比較で言えば、約25%の収入減という大きなダメージを被った週末の覇者として、先週に引き続き第1位をキープしたエマ・ストーン主演のディズニー・ドリームワークス作品「ザ・ヘルプ」は、主に支持を集めて、集客を稼いでいるのが中西部から南部といったハリケーンとは無縁な地域であることが幸を奏したわけですが、とにもかくにも、連続で全米の首位に立ったことにより、かねてより可能性が取り沙汰されているオスカーへの進出に向けて、また1歩、前進できたことになります。俗に “絶頂期には運も味方につく…” などといった言い方をされますが、現在のエマ・ストーンこそはまさに嵐を呼ぶ女!!といったところですね…!!
★第2位以下は続きを読むの後です…!!
第2位(初) 「コロンビアーナ」(4,000万ドル)
$10,300,000-(2,614館/$3,940)-$10,300,000
リュック・ベッソン監督が自らの代表作である殺し屋映画の傑作(1994年)の続編として企画した、幻の「マチルダ」をベースとする、ゾーイ・サルダナ主演のアクション映画「レオン2」をソニー・ピクチャーズが2,614館の約2,900スクリーンで封切ったオープニング成績は一見、低調のようですが、冒頭のようなハリケーンの事情を抱える中で、まずまずのスタートを切った…!!と、むしろ前向きに評価できる数字を記録しています。
本人の顔がスクリーンに映っていないため、あまり意識されることがないものの、映画史上最高額=27億8,227万ドルの未曾有の巨額興行成績を記録した主演女優であるゾーイ・サルダナの、その「アバター」(2009年)や、もう1本の代表作である「スター・トレック」(2009年)=約3億8,568万ドル(国内2億5,773万ドル)とでは、「レオン2」は映画の規模もジャンルも違うので、ちょっと比較にならないため、同様のアクション映画として、ゾーイ・サルダナが戦うヒロインを魅力的に演じられるポテンシャルを初めて示した「ザ・ルーザーズ」を例にとると…、
「ザ・ルーザーズ」(2010年4月23日公開/製作費2,500万ドル)
オープニング成績=940万ドル(2,936館) 国内/2,359万ドル+海外/578万ドル=2,937万ドル
…とのことで、今夏のコミックヒーロー映画の大ヒット作「キャプテン・アメリカ」のクリス・エヴァンスや、「ソー」のイドリス・エルバ、そして、「ウォッチメン」(2009年)のジェフリー・ディーン・モーガンらと共演するよりも、ゾーイ・サルダナがひとりで奮闘した方がよかった…といった結果になっています。
なので、ゾーイ・サルダナとしては、ハリケーンの影響がなければ、もう少し数字もアップしていたことでしょうから、単独主演作としては、まずまずの実績を残せたことになりますし、プロデューサーのリュック・ベッソンとしても、ジョン・トラボルタとジョナサン・リース=マイヤーズのコンビを主演に起用した前作「パリより愛をこめて」(2010年2月公開)のオープニング成績が約815万ドル(2,722館)だったので、それを切り札の「レオン2」で上まわれたことになります。
本作のメガトンをとった監督のオリヴィエ・メガホンとしては、やっぱり、リュック・ベッソンの指揮で作った前作の「トランスポーター3」の成績が以下のようなものでしたから…
「トランスポーター3」(2008年11月26日公開/製作費非公開)
オープニング成績=1,206万ドル(2,626館) 国内/3,171万ドル+海外/7,726万ドル=1億897万ドル
ジェイソン・ステイサムの方がクルマに乗っているだけに?!加速がよかったことになりますが、同映画はすでにシリーズとして人気が定着していたのに加え、ハリケーンがなかったとすれば、「コロンビアーナ」は同等のオープニング成績を売り上げられていたはず…?!と考えられるので、安定した手堅い結果を出したと評価できそうです。
「コロンビアーナ」の映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は、「レオン」=94%の続編と見なせば、かなり低調の36%ですが、レビューのとりまとめサイト metacritic では、辛うじて中間的な48ポイントの評価が下されています。しかし、metacritic はサンプル数が16件と少ないので、総じて言えば、 RottenTomatoes と metacritic の真ん中ぐらいが、この映画の位置づけと考えてよいのではないでしょうか。
実際のレビューでも、おおむね Dランクの評価となっている本作の大きな失敗点として共通に指摘されているのは、ゾーイ・サルダナ演じる主人公のカタレアが幼い少女の頃に、目の前で両親を惨殺され、その相手を憎み復讐者になる…というのは理解できるわけですが、その復讐者の悲しい胸のうちの心情を汲みとれば汲みとるほど、自分と同じような傷ついた立場の者を新たに作り出してしまうかもしれない、誰かの家族を奪う殺し屋という職業に、カタレアは就かないことになります…。
そうした主人公の人格に一貫性を欠く矛盾は、つまり、リュック・ベッソン製作の一連のベタなジェネリック・アクション映画と同じく、本作も、とにかく娯楽作としての見せ場のアクションをより多く作り出すための設定を仕込んだに過ぎない…ということなのかもしれませんが、それを持ってして「レオン2」と言われるのには納得できないファンの方がたくさん、いらっしゃるのでは…?!、よって、映画の権利をめぐる諸事情が原因とは言え、ナタリー・ポートマンは、この「コロンビアーナ」のオリジナルの「レオン2」=「マチルダ」に主演するようなことがなくてよかった…と言われてしまいそうですし、興行的には、まぁまぁの成果であったとしても、シアーシャ・ローナンちゃんが主演した「ハンナ」が高評価され、女殺し屋が主人公のアクション映画ながら、今年のBEST10に入るであろう可能性も踏まえると、ゾーイ・サルダナは無駄な映画に出た…と、キャリアとしては否定されてしまうかもしれません。
そこそこのオープニングヒットを鑑みれば、いずれ続編の「コロンビアーナ2」が企画されても、おかしくはありませんが、ゾーイ・サルダナはジェームズ・キャメロン監督との「アバター」シリーズや、J・J・エイブラムス監督との「スター・トレック」シリーズの方に精を出し、リュック・ベッソンとは、これ1本で関係を終わりにした方がよいのかもしれません。
ただし、下 ↓ の動画のような場面を観たシルベスター・スタローン隊長が、男女平等雇用だ!!、「エクスペンダブルズ3」にスカウトしたい…!!と言えば、それはやってほしい…!!とは思いますが…!!
アクション映画ながら、女性が主人公のせいか?!、「コロンビアーナ」の観客の男女比は女性の方がやや多く、半数を若干しのいだ約57%とのことで、全体の約65%が25歳以上のアダルト層だったそうです。
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第3位(初) 「ドント・ビー・アフレイド・オブ・ザ・ダーク」(2,500万ドル)
$8,689,000-(2,760館/$3,148)-$8,689,000
超オタクのギレルモ・デル・トロ監督が製作総指揮をつとめて、天才的な演技力を持つ子役のベイリー・マディソンちゃんを主演に抜擢した、リメイク・ホラー映画「ドント・ビー・アフレイド・オブ・ザ・ダーク」を、配給のフィルム・ディストリクトが、2,760館の約2,850スクリーンに地下室の魔物を撒き散らした結果は、ハリケーンの向かい風を食らったとは言え、1,000万ドルを切った、心もとない成績となってしまいました…。
ただし、ギレルモ・デル・トロ監督としては、やはり、プロデューサーとして、昨2010年の夏に封切ったモンスター・ホラーの「スプライス」(ヴィンチェンゾ・ナタリ監督)のオープニング成績が約738万ドル(2,450館)で、1館あたり約3,014ドルの売り上げでしたから、パッとしないオープニング成績とは言え、「ドント・ビー・アフレイド・オブ・ザ・ダーク」はアベレージで約3,148ドルを稼いでいるので、わずかながらでも実績を上向かせていることになりますし、「スプライス」の製作費が本作よりも少し高めの約3,000万ドルだったことを踏まえると、利益率もよくなっていることになります。
しかし、ホラー・ジャンルでは、「パラノーマル・アクティビティ」シリーズや、「インシディアス」(2011年4月公開/製作費150万ドル/オープニング成績1,327万ドル)を極端に安い製作費でプロデュースし、ガッポリと稼いで儲けるオーレン・ペリ監督のような人がいますから、それらと比較されると、分が悪いわけですけれども、ギレルモ・デル・トロ監督の手がける作品は、ジャンル系のホラー映画でも、アート・フィルムのように丁寧に作られ、いずれクラシック映画にもなり得ることを思うと、長い目で見れば、どちらがより良い仕事をしているのか?!は意見がわかれそうです。
「ドント・ビー・アフレイド・オブ・ザ・ダーク」の映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は、59%で、レビューのとりまとめサイト metacritic では56ポイントと、いずれも中間的な位置に置かれています。
こけおどしではなく、真に怖いものを描こうとした点を中心に論じて称賛するか、陳腐なところに目をつけて指摘するかで、出来不出来の評価が半ばしてしまったようですが、本職はコミック作家で、これがデビュー作のトロイ・ニクシー監督は今後が期待される逸材という点においては、多くの人が同意できているようです。
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第4位(2) 「ライズ・オブ・ザ・プラネット・オブ・ジ・エイプス」(9,300万ドル)
$8,650,000-(3,374館/$2,564)-$148,456,000
第5位(初) 「アワー・イディオット・ブラザー」(500万ドル)
$6,588,000-(2,555館/$2,578)-$6,588,000
「ロール・モデルズ」ではショーン・ウィリアム・スコット、「アイ・ラブ・ユー、マン」ではジェイソン・シーゲル、「ディナー・フォー・シュマックス」ではスティーヴ・カレルと、常に誰かとコンビを組んできたポール・ラッドが単独で主演した「アワー・イディオット・ブラザー」を、配給のワインスタイン・カンパニーが2,555館で封切った結果は…
「ディナー・フォー・シュマックス」(2010年7月公開/製作費6900万ドル)=2,352万ドル(2,911館)
「アイ・ラブ・ユー、マン」(2009年3月公開/製作費4000万ドル)=1,781万ドル(2,711館)
「ロール・モデルズ」(2008年11月公開/製作費2800万ドル)=1,916万ドル(2,792館)
…と、過去の作品のオープニング成績と比べると、やっぱり、誰かと組んだ方がよかったのでは…?!といった感じなので、ポール・ラッドの単独主演作の可能性はポテンシャルが低いことを示してしまったような格好です。
しかし、ミュージック・ビデオのディレクターのジェシー・ペレスがメガホンをとった本作の極端に安い製作費と、それに見合う程度のプロモーションしかされていないことを踏まえると、過去のメジャー作品と並べるわけにもいきませんし、この映画はこの程度の成績で仕方がないのかなといった風に思えます。
ポール・ラッド扮する、お人好しでマヌケな男兄弟に三姉妹が翻弄されるハメになるものの、最終的には問題を抱えているのは、実は自分たちの方だった…と姉妹が気づかされることになるドラメディの映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は、66%、レビューのとりまとめサイトの metacritic では61ポイントと、そこそこに好評価されており、まともな大人が観て、バカバカしいとは思わない程度にまとめられた良質のコメディ映画だと結論づけられています。
厄介な兄弟のポール・ラッドを抱える三姉妹は、エリザベス・バンクス(↑左)と、エミリー・モーティマー(↑右)、そして、(500)日のゾーイ・デシャネル(↓)です。ラシダ・ジョーンズが、ゾーイと同性愛の恋人を演じています!!
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第6位(3) 「スパイキッズ 4:オール・ザ・タイム・イン・ザ・ワールド」(2,700万ドル)
$5,727,000-(3,305館/$1,733)-$21,710,000
第7位(5) 「スマーフ」(1億1,000万ドル)
$4,800,000-(2,861館/$1,678)-$125,993,000
第8位(4) 「コナン・ザ・バーバリアン」(9,000万ドル)
$3,100,000-(3,015館/$1,028)-$16,576,000
第9位(6) 「フライト・ナイト」(3,000万ドル)
$3,029,000-(3,114館/$973)-$14,207,000
第10位(10) 「クレイジー、ステューピッド、ラブ」(4,500万ドル)
$2,905,000-(1,577館/$1,842)-$69,529,000
第11位(8) 「30ミニッツ・オア・レス」(2,800万ドル)
$2,600,000-(2,071館/$1,255)-$31,702,000
第12位(7) 「ファイナル・デスティネーション 5」(4,500万ドル)
$2,465,000-(2,085館/$1,182)-$37,825,000
《 POINT 》 一般にオープニング成績の約3倍前後が、その映画の最終的な興行成績になる可能性が高い。興行成績の概ね半分が
映画館の取り分となる。よって、オープニング成績から試算したトータルの売り上げを2分の1にして、製作費と比較すれば、その映画の興行的成功の度合いをおおまかに測ることができる。
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