2010年10月第2週の興行レポート - キャサリン・ハイグルとジョシュ・デュアメルが子育てに奮闘する「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」で、グレッグ・バーランティが映画進出に成功!!
by
Billy
2010年10月11日月曜日
グレッグ・バーランティはどこの誰やねん…?!と、また名前だけ言われてもピンとこない方も、グレッグ・バーランティは、テレビシリーズ「エバーウッド/遥かなるコロラド」の製作総指揮をつとめたクリエイターで、「ドーソンズ・クリーク」も彼がかかわってたドラマだし、「ブラザーズ&シスターズ」も、グレッグ・バーランティがプロデュースしているんですよ…!!と付け足せば、そうか…ッ!!、テレビ界ではスゴイ人なんだ!!というのは、すぐにおわかりいただけると思います。
そんなグレッグ・バーランティの才能に着目したワーナー・ブラザースが、コミックヒーロー映画「グリーン・ランタン」2011年6月17日全米公開)のプロジェクトを託し、グレッグ・バーランティは同映画の脚本を書き上げましたが、結局、メガホンはマーティン・キャンベル監督(「007/カジノ・ロワイヤル」2006年)に譲ってしまいました…。
そして、グレッグ・バーランティが本来、自分の得意とする“家族”をテーマに完成した「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」を、配給のワーナー・ブラザースが、コロンブス・デーの祝日をからめたロング・ウイークエンドに、家族やカップルで観られる作品として、全米3,150館の約3,600スクリーンで封切ったオープニング成績は約1,463万ドルで、公開2週めの話題作「ソーシャル・ネットワーク」に敗れはしたものの、下馬評ではトップに躍り出るはずだったディズニー映画の「セクレタリアト」を抜いて、見事に初登場第2位でデビューを飾ることができました…!!
デートの結果、お互いに相性が悪いと気づいたキャサリン・ハイグルとジョシュ・デュアメルの共通の友人夫婦が交通事故で亡くなり、遺された赤ん坊の女の子の後見人にふたりが指名されていたことから、不仲な男女がひとつ屋根の下で協力し、育児に励まなければならなくなる…!!という物語の本作が、週末の3日間で売り上げたオープニング成績の約1,463万ドルを、似たタイプの映画として、ケイト・ハドソンが姉の遺した子どもを世話しなければならなくなる「プリティ・ヘレン」と、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが姉の遺した子どもを世話しなければならなくなる「幸せのレシピ」とで比較してみると…、
「プリティ・ヘレン」(2004年5月公開/製作費5,000万ドル)
オープニング成績=1,098万ドル(2,717館)、国内/3,748万ドル+海外1,223万ドル=4,971万ドル
「幸せのレシピ」(2007年7月公開/製作費2,800万ドル)
オープニング成績=1,170万ドル(2,425館)、国内/4,310万ドル+海外4,949万ドル=9,260万ドル
…とのことで、単館のアベレージで比較しても、1館あたりで約4,646ドルを集めている「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」は、「幸せのレシピ」=4,826ドルには若干、劣るものの、「プリティ・ヘレン」=4,043ドルには差をつけて、過去の類似作品と遜色のない、まずまずの出足を切ったことになります。
キャストによる解説つきの予告編
ただし、別のアングルから、この映画を観て、相性の悪い男女が一緒に暮らすハメになるというプロットに着目し、キャメロン・ディアスとアシュトン・カッチャーが共演したロマンチック・コメディの「ベガスの恋に勝つルール」と比べてみると…、
「ベガスの恋に勝つルール」(2008年5月公開/製作費3,500万ドル)
オープニング成績=2,017万ドル(3,215館)、国内/8,027万ドル+海外1億3,909万ドル=2億1,937万ドル
…と、その差は歴然で、やはり、Facebook で友達が576万2,896人もいるアシュトン・カッチャーと、友達が12万4,340人のジョシュ・デュアメルでは、その動員力?!の違いが明らかに出てしまっています。
ジョシュ・デュアメルが、おしめの交換をキャサリン・ハイグルに押しつけようとする場面…!!
そのジョシュ・デュアメルにとって…、ロマンチック・コメディの「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」のオープニング成績を当然、ウィリアム・レノックス大尉としてレギュラー出演している大ヒット「トランスフォーマー」シリーズと比較するわけにはいきませんし、全米公開映画の前作となる「ビーザスといたずらラモーナ」(2010年7月公開)も、あくまでもセリーナ・ゴメスとジョーイ・キングちゃんの姉妹が主人公のアイドル作品だったので、さらに前作の同じラブコメ映画「ホゥエン・イン・ローマ(みんな私に恋をする)」(2010年1月公開/製作費非公開)にまで遡って比べてみると…、
ヴェロニカ・マーズとカップルのコンビを組んだ同映画のオープニング成績は約1,235万(2,456館)ドルだったので、主演女優としてクリステン・ベルよりもヒットの実績を持つキャサリン・ハイグルと組んだ「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」の方が成績がよかったかに見えますが、やはり、公開館数の違いを別にするため、1館あたりでの売りあげで比べると、5,029ドルを稼いでいた「ホゥエン・イン・ローマ」の方が、実はヒットしていたことになり、コンセッションの飲食物の売り上げを重視する映画館としては、「ホゥエン・イン・ローマ」の方が観客の数が多くて、よかったことになります。
しかしながら、「ホゥエン・イン・ローマ(みんな私に恋をする)」の最終的な興行成績は、先月9月末に公開されたクリステン・ベルの主演作「ユー・アゲイン」の時にも記したように、国内でも、まぁ、約3,268万ドルと大したことなかったのが、海外セールスでは、さらにわずか約1,035万ドルと、大変、心もとなかったわけで、そうした弱点を、「男と女の不都合な真実」(2009年)などの国際的なヒット作のあるキャサリン・ハイグルと組んだことで、「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」では補える期待が寄せられます。
で、一方のキャサリン・ハイグルの立場にしてみると…、
「男と女の不都合な真実」(2009年7月公開/製作費3,800万ドル)
オープニング成績=2,760万ドル(2,882館)、国内/8,891万ドル+海外1億1,638万ドル=2億529万ドル
「幸せになるための27のドレス」(2008年1月公開/製作費3,000万ドル)
オープニング成績=2,300万ドル(3,057館)、国内/7,680万ドル+海外8,345万ドル=1億6,025万ドル
「ノックトアップ」(2007年6月公開/製作費3,000万ドル)
オープニング成績=3,069万ドル(2,871館)、国内/1億4,876万ドル+海外7,030万ドル=2億1,907万ドル
…といった立派な成績を残した過去のヒット作と比較して、「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」がパッとしていないのは一目瞭然で、前述のネット上では友達がたくさんいるアシュトン・カッチャーと共演した前作のアクション・コメディのロマンチック作品「キラーズ」(2010年6月公開)と比べても、同失敗映画のオープニング成績は約1,583万ドル(2,859館)だったので、その残念な結果よりも、さらに数字を落としてしまったことになります。
また、ダメ映画の「キラーズ」ですら、1館あたりで約5,539ドルを売り上げていた実績からすると、やはり、「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」のアベレージ=約4,646ドルというのは、キャサリン・ハイグルの集客力が低下していることを如実に証明してしまっています。
キャサリン・ハイグルが、泣き出した赤ちゃんに、彼女は自分で心の平穏を得る術を学ばなければならない…!!とか、訳のわからないことを言って、赤ちゃんの気分を変えようと努力する場面…!!
ま、それでも、サマームービーとして製作費に無駄遣いとしか言えないバカみたいな大金の約7,500万ドルがつぎ込まれた「キラーズ」とは異なり、「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」は、そのおよそ半分に近い約3,800万ドルで無難に完成されていますから、以上のようにオープニング興行で各数字を落としているとは言え、「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」の結果は、本作の収支のみを考えるうえにおいては、そう悪くないことになります。
「キラーズ」 国内/4,705万ドル+海外4,500万ドル=9,205万ドル(思いっきり赤字!!)
よって、グレッグ・バーランティの本格的な映画進出は、けして目覚しいといえるほどの大ヒットではなかったわけですが、言わば、それぞれ坂道の途中の今ひとつの俳優らを使い、自分の才能を発揮して、そこそこの成果を示したことで、成功と呼ぶに価するのではないでしょうか。
ワーナー・ブラザースの調べによれば、「ライフ・アズ・ウイ・ノウ・イット」のこの週末の観客の約70%が女性で、やはり、全体の約7割が、キャサリン・ハイグル31歳と同世代と言えそうな25歳以上のアダルト層だったそうです。
本作の映画格付けサイト RottenTomatoes での評価の支持率は29%と腐っていますが、初公開の予告編を紹介した記事でも、お伝えしたように、この映画のテスト試写での反応は抜群で、一般の観客は、顔にウンコをつけたキャサリン・ハイグルを楽しんで観ています!!
つまり、先に示した類似作品との比較においても、よりコメディ・トーンの強い「ベガスの恋に勝つルール」の方がヒットしていたわけですから、本作もその線にそってプロモーションを進めて、キャサリン・ハイグルとジョシュ・デュアメルが奮闘して育てる赤ちゃんは交通遺児なのだから、この映画は本当はかわいそうな話なんだ…というのを、できるだけ、あらかじめ観客に意識させない方がいい…ということですね。
【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!
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