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全米映画興行の稼ぎ時として繁忙期になるはずのサマーシーズンが開幕した先月5月は、昨2009年の同月と比べて、チケットの売れ行きがおよそ2割も下落し、約11%もの収入ダウンという散々なスタートを切ってしまっただけに、今月6月は盛り返しを期待したいところですが、出鼻で新作4本が振るわず、またつまづいて、先週の前回=5月最終週から約16%のマイナス実績となったばかりか、前年同時期との比較では約25%ダウンで、4分の1も売上げが少ない…という、温度計の数字とは裏腹に映画館の冷え込みはきつくなってしまいました…。




まずは3週連続第1位で好調に見えるパラマウント/ドリームワークス・アニメの「シュレック4・エバーアフター」ですが、シリーズの前作「シュレック3」(2007年)の3週めの週末興行成績は、4,109館で約2,802万ドルを稼ぎ、1館あたりでは約6,819ドルを集めていたので、最新作の第4弾が3D映画として割増し料金を加味したした高い鑑賞代を設定し、なおかつ前作よりも多い4,386館のスクリーン数なのに、売上げは下がった約2,530万ドル=1館あたりで約5,768ドルとは、どういうこと…?!といった次第です…。
トータルの興行成績としても、「シュレック2」(2004年)が同時点で約3億1,452万ドル、「シュレック3」が約2億5,592万ドルでしたから、それらよりも製作費が高い「シュレック4」が、3週めで約1億8,304万ドルを稼ぐ大ヒットで2億ドル突破目前!!だなんて、ホントはそんなによろこんでもいられないんですよ…ということになってしまいますね…。


ユニバーサル映画が2,697館の3,200スクリーンで封切り、第2位で初登場した「ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク」は…、
ミラ・クニスが男性にとって理想の“最高の女性”を演じた、ジャド・アパトー製作の恋愛映画の名作「サラ・マーシャルを忘れたくて…」(2008年)で、ジェイソン・シーゲルのだらしない作曲家の主人公から、恋人のヴェロニカ・マーズを奪ってしまった脇役のラッセル・ブランドが演じた、いかにもロックスターらしい、エゴのかたまりのようなハレンチでサイテーのキャラクター、アルダス・スノーを主人公にしたスピンオフ映画!!

オリジナル映画に引き続き、ジェイソン・シーゲルが脚本を執筆し、ニコラス・ストーラー監督がメガホンをとった本作は、そのオリジナルの名作「サラ・マーシャルを忘れたくて…」の中では、アルダス・スノーを崇拝するホテルの従業員だったジョナ・ヒルが演じるレコード会社のインターンのアーロンが、低迷する会社を立て直すためのプランとして、失脚し、今や落ち目のアルダス・スノーに、ロサンゼルスでカムバック・コンサートをやらせよう…!!というアイディアを思いつき、それが採用されたのはいいものの、アーロンに与えられた猶予はたったの72時間…!!、果たして、そのわずか3日間のうちにアーロンは、ドラッグ中毒でSEXマニアの誰も手がつけられない、わがままなロックスターを無事にロンドンからLAに連れて来ることが出来るのか…?!
…というわけで、題名の「ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク」からすると、ギリシャに行くお話のようですが、“ザ・グリーク”とは、ロサンゼルスのグリフィス・パークにあるグリーク・シアターのことで、その野外劇場に“あの野郎=アルダス・スノーを引っ張ってこい…!!”という意味です。


そうしたプロットから、本作がハチャメチャなハレンチ騒動の連続で笑わせる珍道中のロードムービーであると容易に察することができますが、つまりは、そうした内容からして…、そーか、そーか、ユニバーサル映画は、ちょうど1年前の昨2009年6月5日に、ワーナー・ブラザースがラスベガスを舞台にした二日酔い男たちの珍道中のハレンチ・コメディ「ハングオーバー」を封切り、R指定のコメディ映画として史上最高額の興行成績=約2億7,732万ドルを稼ぎ出す大成功をおさめた二番煎じを狙いたいんですよね…?!というのもまた、容易に察していただくことができるかと思います。
その「ハングオーバー」の製作費は、「ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク」の製作費=約4,000万ドルよりも、さらに少し安い約3,500万ドルでしたが、オープニング成績は約4,497万ドルで、「ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク」のオープニング成績=1,742万ドルの軽く2.5倍を叩き出していました…!!
そうした最初の勢いの違いからして、「ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク」が“第2の「ハングオーバー」”になる気配は感じられませんが、キャサリン・ハイグルとアシュトン・カッチャーという大衆に人気のスターが共演した「キラーズ」をおさえたばかりか、1館あたりのアベレージの売上げで約6,460ドルを稼ぎ、3週連続第1位の「シュレック4」の平均売り上げ=約5,768ドルをしのいで、実質的にこの週末の№1ヒット作になっているのは立派!!と、ホメてあげていいでしょう…!!、内容の評価においても、映画の格付けサイト RottenTomatoes で75%の支持率を集め、フレッシュな“新鮮映画”に認定されているほか、レビューのとりまとめサイト metacritic でも64点の観て大丈夫の青信号のグリーンスコアをつけられています。


なお、ニコラス・ストーラー監督のオリジナル映画「サラ・マーシャルを忘れたくて…」は、「ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク」とほぼ同等の2,798館で封切られ、1館あたりで約6,335ドルを売り上げ、オープニング成績は約1,772万ドルで初登場第2位でしたから、スピンオフ映画のオープニング成績が約1,742万ドルというのは、まったく期待をハズしておらず、狙いどおりドンピシャ!!の数字をはじき出した企画の勝利の好例と言えそうです。


ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク予告編





ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク映画の冒頭のオープニング5分間



ユニバーサル映画の調べによれば、この「ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク」のオープニング興行の観客の約53%が男性で、約45%が30歳か、それ以上のアダルト層だったそうです。
ま、ドラッグあり、SEXありのR指定映画なので、観客の年齢が上がるのは仕方ありませんね。






twitter で、フォロワーを500万人以上、集めたことが、芸能人として成し遂げた最も大きな偉業のアシュトン・カッチャーを主演に起用し、「男の女の不都合な真実」(2009年)のロバート・ルケティック監督が、その前作に続けてヒロインを演じる人気のキャサリン・ハイグルとカップルのコンビを組ませたアクション映画のロマンチック・コメディ「キラーズ」なんかに、約7,500万ドル超の多額の製作費をつぎ込んだライオンズゲートが2,859館の約3,300スクリーンで封切ったオープニング成績は、最低ノルマの2,000万ドルに届かない約1,610万ドルの初登場第3位で、早くも興行では資金回収の見込みが薄い、ほぼ赤字が確定の大失敗となってしまいました…。

この「キラーズ」の内容は、キャサリン・ハイグルのジェニファーが旅先で出逢い、結婚したアシュトン・カッチャーのハンサムな夫のスペンサーは元スパイの殺し屋で…と、早い話がテレビシリーズの「バーン・ノーティス/元スパイの逆襲」が人気なので、それに似たところのあるブラピとアンジーの元祖ロマンチック・アクション・コメディ「Mr.&Mrs.スミス」(2005年)を下敷きに、トム・クルーズとキャメロン・ディアスの遅すぎる最共演作のアクション・ロマンチック・コメディ「ナイト・アンド・デイ」(今月25日全米公開)に似た映画を作って、先に封切ってしまえ…!!といった感じ…?!


スパイの夫の危機一髪を何とか救うフツーの妻のキャサリン・ハイグル…!!





スゴ腕のスパイなのに、また、フツーの妻に絶体絶命を救われる夫のアシュトン・カッチャー…!!





やっぱり、スパイの夫を救出する、もうフツーではない妻のキャサリン・ハイグル…!!




…と、このように似た場面を並べると、キャラクターの発展は確かにうかがえるものの、同じことのくり返しか…と、この「キラーズ」が大体、どういう作品なのか?!、何となく、察しがついてしまいますね…!!
そんな映画の格付けサイト RottenTomatoes で、たった14%の支持率の「キラーズ」を、映画ジャーナリストらに観せるプレス試写をライオンズゲートは行わず、レビューを書かせないようにしましたが、多くの映画ジャーナリストがそもそも、この映画を観るために、わざわざ時間を割く気はなかったようで、特に支障もなかったようです…!!(笑)


キャメロン・ディアス37歳よりは、キャサリン・ハイグル31歳の方が目を楽しませてくれそうなのですが、「キラーズ」がこれだけコケたということは、同時期に封切られる似た映画として、観客はトム・クルーズの方を待つことにしてくれたのかもしれません…?!、まぁ、アシュトン・カッチャーと、神の領域のトム・クルーズでは、映画スターとしての格は、ハナから比較にならないわけですが…!!

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製作・配給の20世紀FOXが3,213館の約3,700スクリーンの拡大公開で封切ったのに、上位ランキングの第5位までにも入れず、初登場第6位でオープニング成績がたったの約1,130万ドルかよ…?!と、完全に失敗の「マーマデューク」は、1954年から今日までの長きに渡って、新聞に連載されている、1924年生まれの漫画家ブラッド・アンダーソンによる同名の長寿マンガを映画化した、いわゆる“しゃべる動物映画”のファミリー・ムービー!!
飼い主のウィンスロー一家と、カンザスからカリフォルニアに引越してきた大型犬のグレート・デーンの主人公ではなく、主犬公マーマデュークと、相棒のバリニーズ種のネコのカルロスが巻き起こす騒動を描いたコメディ映画で、やはり、20世紀FOX映画の「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」(2008年)では人間の飼い主だったオーウェン・ウィルソンがマーマデュークの声を担当し、自分が世界一おバカな犬になってしまったところが、ひとつの売りとなっています。
“しゃべる動物映画”というカテゴリーで…(数字は国内の最終成績)、

      第1位アルビン/歌うシマリス3兄弟 2」(2009年12月公開) … 2億1,961万ドル
      第2位アルビン/歌うシマリス3兄弟」(2007年12月公開)… 2億1,732万ドル
      第3位ドクター・ドリトル」(1998年6月公開)… 1億4,415万ドル

見事にBEST3を独占し、この手の映画では向かうところ敵無しの20世紀FOXが、言わば、ディズニーのしゃべるイヌ映画の大ヒット作「ビバリーヒルズ・チワワ」(2008年10月公開)に挑んだような格好ですが、最も小型犬のチワワのオープニング成績は約2,930万ドルでしたらから、大型犬のくせに、その半分どころか、あわや3分の1にもなりかねなかった数字しか稼げなかった「マーマデューク」は、まったく期待ハズレのただのバカ犬…というお粗末な結果になってしまいました。
ま、大型犬よりも小型犬の方が、ちっちゃくてかわいい~!!と、子どもたちや女性にウケがよいという、マーケティングのプロでなくても、フツーに考えれば誰でもわかる基本的なことに気づけなかった20世紀FOXらしい、マヌケな失敗ですね…!!


ネコのカルロスの声を、人気コメディアンのジョージ・ロペス(↑左)が担当し、オーウェン・ウィルソン(↑右)と漫才コンビ?!を組んでいるほか、ボイス・キャストは…、ブラック・アイド・ピーズのファーギー、24時間の戦いから解放されたジャック・バウアー、人気のエマ・ストーン、そして、「キック・アス」のレッドミストAKAクリストファー・ミンツ=プラッセといった面々です。
人間さまのキャストの主人公として、マーマデュークの飼い主のフィルを演じているのは、ターセム・シン監督の「ザ・フォール(落下の王国)」(2006年)に主演したリー・ペイス。テレビシリーズ「プッシング・デイジー/恋するパイメーカー」のネッドですね…!!
フィルの妻のデビーは、「幸せになるための27のドレス」(2008年)で、キャサリン・ハイグルのヒロインの友人だったほか、ジェニファー・アニストンとアーロン・エックハートの恋愛映画「ラブ・ハプンズ」(2009年)でも、ヒロインの友人だったジュディ・グリア。
また、「ファーゴ」(1996年)や、「マグノリア」(1999年)の名優ウィリアム・H・メイシーが、リー・ペイスの上司として登場しています。


マーマデューク予告編



監督は、マーマデュークのオーウェン・ウィルソンが、ジャッキー・チェンとコンビを組んだコメディ西部劇「シャンハイ・ヌーン」(2000年)のトム・デイ。脚本は、ロビン・ウィリアムズの神父が結婚準備講座を行うコメディ「ライセンス・トゥ・ウェディング」(2007年)を執筆したコンビのティム・ラスムッセンと、ヴィンス・ディ・メッリオ。
本作の製作費は、犬が大型で、よくエサを食うので?!約5,000万ドルと、「ビバリーヒルズ・チワワ」=約2,000万ドル超の小型犬製作費の倍以上がかけられています。
犬が大きくなったぶん、注目や売上げも大きくなればよかったんですけどね…。
なお、この「マーマデューク」の映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は、たったの11%で、56件のレビューのうち、50件が、どうか、こんな映画をみんなが観ませんように…!!とお薦めしていません…!!


ちなみに、20世紀FOXの配給部門の副代表バート・リヴィングストン氏は、「マーマデューク」のひどいオープニング成績について、“我々の見込みどおりの確かな手応えのスタート…”と評価し、これから学校が夏休みになることで、“子どもたちは毎日が日曜日”となり、ドンドンと「マーマデューク」を観にくることになるだろう…とコメントしていますが、その子どもたちを映画館に連れて来る親は毎日が日曜日ではありません…!!


マーマデュークの華麗なサーフィンの妙技をご覧ください…!!





飼い主が留守なのをいいことに、親の目を盗んでパーティーを開くティーンエイジャーのように盛大な集まりを催すペットたちの乱痴気騒ぎ…!!




その他の新作解説は追って、更新します…!!




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