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ご無沙汰してます、ワイルダーです。スコセッシがまた映画史に残る傑作を生み出してくれました!!




まず先に言ってしまうと、この映画に驚きのドンデン返しを期待してしまうと、かなりの肩透かしを食らいます。
伏線があからさま過ぎて、観客の予想の範囲内に収まってしまう終盤の展開にガッカリしてしまいました。
サスペンス・ミステリーとして観てしまうと、前半の過剰で思わせぶりな演出の数々のせいで、アッサリと物語の謎が見破れてしまい、騙される快感をほとんど味わえません。
騙されたい方は、レンタル屋さんで「アイデンティティー」(2003年)や、「サンタサングレ/聖なる血」(1989年)などのトンデモ系ドンデン返し映画で快感に浸れるので是非!!

その決定的な欠点がありながらも、「シャッターアイランド」を“傑作”と断言できるのは、今作がディカプリオ演じる主人公テディの体験する全ての出来事を、観客に完璧に追体験させる事に成功しているからです。

テディの感じる不安や疑心を高度なスタッフワークで表現しているのが、今作の大きな魅力です。
およそ日常には存在することのない光源を用いて、人物へのタッチを強くし、コントラストを非常に強くした照明が効果的で、この明暗をはっきり分けたライティングが島の異常性とテディの心情の不安定さを強調して、物語への導入を確かなものにしています。
画作りも非常におもしろく、人物のアップの切り返しが、ここぞという場面で挿入されるので、不自然な会話の中でも、ことさらにテディの心の揺れ動きが示されます。
ロバート・リチャードソン(写真左→)はシネスコサイズを使いこなせる最高の撮影監督のひとりで、今作も「イングロリアス・バスターズ」(2009年)同様に至福のスクリーン体験を提供してくれています。
音楽や編集は、往年のサスペンス映画を彷彿とさせるような仰々しさに全編満たされていて、オマージュの上品さに胸が熱くなりました。
サブリミナル効果を出すモンタージュ法は、シドニー・ルメットの「質屋」(1964年)のようで、スコセッシの引き出しの多さには脱帽するばかりです。
これらの手法の力で、最後に明かされる真相に対するテディのリアクションが、例え読めていたとしても、観客も同一のショックを感じることになり、物語に大きな説得力が生まれるのです。過去の回想を挿入するタイミングも完璧と言って良いでしょう。


今作の最大の魅力は、すべての謎が観客にもテディにも明かされた後の彼の“ある選択”にあります。
それこそが最も衝撃的で、悲劇的な印象深いシーンに仕上がっているのです。もう、すでに何となく展開がわかりかけている皆さんは、その切ない衝撃を楽しみにして、映画館に出かけると良いと思います。

 スコセッシとディカプリオのコンビにハズレなし!! 

…の法則は「シャッターアイランド」でも健在でした。夜な夜な、テディがうなされる悪夢の映像を観ていると、2人ともお互いの演出と演技を高めあっている良きパートナーだと、あらためて確信が持てました。進化していく彼らの今後の作品も非常に楽しみになる「シャッターアイランド」を、ぜひとも映画館でご覧ください。 by ワイルダー






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