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興行レポートの前回となる先週末(12月3日~5日)は、11月末の感謝祭のホリディにお金を使った反動の節約として、消費が減退する影響を被り、映画館に閑古鳥が鳴いても、それは仕方のないこと…として許されました。しかし、その興行のひと休みが過ぎた、この週末からはいよいよ、クリスマスから年末年始にかけての話題作が順次、登場することになり、もはや、映画館にお客さんが来ないことについて、言い訳をすることはできません。
にもかかわらず、映画興行全体として、今年2010年で最低の売り上げを記録した先週の前回から、実績を1割以下しか押し戻すことができず、前年同時期との比較では約5%を売り下げてしまった原因として責任を問われることになりそうな、期待をハズしてしまったファンタジー・シリーズが、次の第4弾からはギャラの安いキャストに一新し、DVDスルー映画になったとしても、もはや、誰も驚かないでしょう…。なので、「ナルニア」シリーズのファンの方は、シリーズ最新作の3D映画「ナルニア国物語:第3章/アスラン王と魔法の島」が、大きなスクリーンでナルニア国を旅できる最後の機会なのかもしれない…と半ば覚悟し、けして観逃さないことを、ひとまず、お薦めしておきます…。






鳴り物入りでスタートした第1弾「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」の大成功を受けて、製作規模を拡大した第2弾の「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」が、あろうことか興行で赤字に陥ってしまったことから、シリーズの将来性に見切りをつけたミッキーマウスが夢と魔法の王国から粗大ゴミとして追放した「ナルニア国物語」を救済し、物語の続きを映画化してくれた20世紀FOXが、シリーズ最新作「ナルニア国物語:第3章/アスラン王と魔法の島」を全米3,555館の約5,500スクリーンで封切ったオープニング成績は約2,450万ドルでシリーズ最低となり、万人がディズニーのビジネス判断は正しかった…と言わざるを得ない結果となってしまいました!!

この「ナルニア国物語」シリーズの映画を実際に製作しているジュヴナイル映画のプロダクション、ウォルデン・メディアとは、過去にFOXウォルデンというパートナーシップを組んだ製作会社を共同で立ち上げるなど、大変に親密な間柄にある20世紀FOXは、そもそも「ナルニア国物語」シリーズを自社で製作したかったのに、ディズニーに奪われてしまった…!!という苦い経緯があることから、見方を変えれば、「ナルニア国物語」は本来あるべき、元の鞘におさまった…とも言えるシリーズ仕切り直しの第1弾となる「ナルニア国物語:第3章/アスラン王と魔法の島」のオープニング成績=約2,450万ドルを具体的に、過去のディズニー映画の前2作と比較してみると…、

「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」(2005年12月9日公開/製作費1億8,000ドル)
オープニング成績/6,555万ドル(3,616館) 国内/2億9,171万ドル+海外4億5,330万ドル=7億4,501万ドル

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」(2008年5月16日公開/製作費2億2,500ドル)
オープニング成績/5,503万ドル(3,929館) 国内/1億4,162万ドル+海外2億7,802万ドル=4億1,965万ドル

…といったことになり、直前の「カスピアン王子の角笛」との比較で、オープニング成績が半分以下にまで落ち込んでしまったことになります。それどころか、最新作は3D映画として、過去の2作よりも高い鑑賞料金を観客から徴収していることを踏まえると、その集客力の低下は半分どころではすまない…というのは、容易に察することができますね。





ディズニーが「ナルニア国物語」シリーズを失敗してしまった理由のひとつとしては、先の興行成績のように第1弾がとんでもない大成功だったことに自信を持ちすぎ、第2弾を、強力なライバル作品のひしめく夏場のサマームービー・ウォーズに参戦させてしまったことが指摘されていますが(2008年の覇者は「ダークナイト」なので気の毒!!)、それを踏まえて、20世紀FOXは最新作の「ナルニア国物語:第3章/アスラン王と魔法の島」の封切り日を、新生「ナルニア国物語」の第1弾ということもあり、シリーズの第1作めと同じ12月初めのまだライバル作品が少ないタイミングを狙って公開したのですが…、オープニング成績が約2,450万ドルというのは、残念ながら大成功の第1弾「ライオンと魔女」に追随するのではなく、やはり同じタイミングで封切られたファンタジー映画の大失敗作にして、ニュー・ライン・シネマ倒産の引き金をひいた「ライラの冒険/お金のめぐりを滞らせた赤字の火の車」の後を追う結果となっています。

「ライラの冒険/黄金の羅針盤」(2007年12月7日公開/製作費1億8,000ドル)
オープニング成績/2,578万ドル(3,528館) 国内/7,010万ドル+海外3億212万ドル=3億7,223万ドル

ただし、20世紀FOXも、一度死んでしまったシリーズの再生…という難しい課題には、それなりにリスクがともなうことを考慮し、「ナルニア国物語:第3章/アスラン王と魔法の島」の製作費をシリーズ中最低の約1億5,000万ドル前後に抑えているので、それを超大作だった「カスピアン王子の角笛」と再び比較すれば、実に約7,500万ドルも安いことになります。よって、本日、先に興行レポートをあげた「ザ・ツーリスト」と同じく、ナルニア国の運命も海外での興行に託されることになり、「ライラの冒険/ラストシーンは映画館ではなく、ゲームを買って観ろ!!とか、ふざけた終わり方を、誰も許すはずがない羅針盤」や、ディズニーに失敗とされた前作「カスピアン王子の角笛」程度の興行成績で、最新作はひとまず収支のバランスをとることが可能かもしれません。


しかしながら、「ハリポタ」シリーズや、「ロード・オブ・ザ・リング」トリロジーといったファンタジー映画の成功を受けて実現した、C.S.ルイスの同名原作を映画化する「ナルニア国物語」シリーズは、「ハリポタ」における“あの人”や、「ロード・オブ・ザ・リング」の冥王サウロンといった強力な敵の悪役の存在が確固とされていないため、物語の焦点を集中して、シリーズに一貫性を見い出すことが難しく、観客の興味を次へとつなぐ持続力がずっと疑問視されています。


よって、20世紀FOXが優秀なクリエイターを発掘して、シリーズの核となる要素を新たに与えることができない限り、原作小説の魅力はさておき、「ナルニア国物語」は映画シリーズとしての醍醐味=ビジネス価値は先細りしていくとしか思えません…。


なので、冒頭のように、次回作からは主に一定の「ナルニア」ファンにのみ向けた、物語の世界観にひたる雰囲気を楽しむだけに過ぎないDVDスルー・シリーズに格下げされたとしても、誰も驚かない…ということになります。





シリーズ最新作「ナルニア国物語:第3章/アスラン王と魔法の島」の物語は、ペベンシー4兄弟のうち、上のふたり=スーザンとピーターがアメリカにいる父のもとへと向かうことになり、イギリスに居残った下のふたり=ルーシーとエドマンドが、いけ好かないいとこのユースチスがいる親戚の家に預けられることになるのですが、最初の動画(↑)のようにして再び、ナルニア国への扉が開き、ルーシーとエドマンドは、ユースチスと共に冒険をすることに…!!といった発端から、カスピアン王子と再会し、ナルニア国を脅かす邪悪なミドリの霧の正体をつきとめて、その敵を倒すため、7つの伝説の剣を集める航海をすることになります…!!


と、そのように主人公のペベンシー4兄弟のうち、末のルーシー(ジョージー・ヘンリー)とエドマンド(スキャンダー・ケインズ)だけで、スーザン(アナ・ポップルウェル)とピーター(ウィリアム・モーズリー)がカメオ出演…というのも、映画の「ナルニア国物語」シリーズのファンの足を遠のかせる原因となってしまっているかもしれませんね。航海で辿る島の数を減らすなど、原作の物語を随所で映画用に変えるのであれば、ファンになじみあるキャストが惜しみなく活躍できる設定に変えたほうがよかったのでは…?!、ま、出演料の節約にちょうどよかったのかもしれませんが…!!

「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999年)のマイケル・アプテッド監督がメガホンをとった本作は、過去の2作品よりもファミリー映画志向に作られており、映画の格付けサイト RottenTomatoes では50%のちょうど中間の評価で、metacritic でも同様に、54ポイントの中間評価となっています。32件のレビューのうち、ホメているのは12件で、まぁ、こんなもんじゃない…という中間評価が19件、ダメ!!の否定は1件だけです。




それほど観応えのある作品ではないものの、この「ナルニア国物語」シリーズはハナから、大人が真剣に正面切って観るような作品でもありませんし、こうしたジュヴナイル・ファンタジー映画の好きな人や、ジョージ・ヘンリーちゃん、もしくはライオンの好きな人?!は、まぁ、楽しめるかな…といった程度の出来栄えだと理解してよさそうです。


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