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誠実なギレルモ・デル・トロ監督は苦しんでたし…、ぼくはもう、これでよかったと思います…。


トリロジー3本の興行成績を合わせると約29億8,714万ドル=約2,719億円という、目がくらむような巨額になってしまう、まさに大ヒット・シリーズの「ロード・オブ・ザ・リング」のプリクエールとして製作の準備が進められていた“21世紀最初の超巨大映画プロジェクト”「ホビット」の監督を、超オタクのギレルモ・デル・トロ監督が辞退したことを、当のギレルモ・デル・トロ監督本人と、「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の監督であり、「ホビット」の製作総指揮をつとめるピーター・ジャクソンが、「ロード・オブ・ザ・リング」のファン・サイト TheOneRing において、共同で発表しました…。

2007年の秋ごろから「ホビット」に関与し、2008年4月に正式に同映画の監督就任が公表されたギレルモ・デル・トロ監督の声明によれば…、
“「ホビット」の撮影開始日が一向に決まらない延期が連続の状況を考慮すると、ぼくは、ぼくの人生で最も難しい決断を迫られることになった…”
…とのことで、「ホビット」の権利を所有し、ニュー・ライン・シネマ=ワーナー・ブラザースと共同で出資・製作にあたるMGMが経営破たんしたことから、当初に予定されていた昨2009年初旬から撮影を行い、今年2010年と来年2011年に連続公開する予定が伸び伸びとなり、現在においても、実のところ、本格的な製作開始にGOサインが出ないことに業を煮やしてしまったようです…。

製作総指揮のピーター・ジャクソンは…、
“私たちはギレルモ・デル・トロ監督が「ホビット」から去ってしまうことに、とても胸を痛めています…”
…と述べ、最初に約束した拘束期間の3年のうち、2年が無為に過ぎ、これからようやく「ホビット」を作り始めるとなると、さらに4年ちかくもギレルモ・デル・トロ監督は中つ国に滞在しないといけないことになるので、いくら何でも合計で6年もの年月を、ギレルモ・デル・トロ監督はひとつのプロジェクトにだけ費やせない…と、リタイアを決心させてしまうことになった経緯の心中を代弁しています。
“ぼくはおよそ2年もの人生を、トールキンがつむぎ出した中つ国に匹敵する壮大な世界を創り出すことに費やしてきた…。だから、このとても素晴らしい映画から立ち去ることを、きっとひどく後悔することになると思う…。”
…と、ギレルモ・デル・トロ監督に辛い思いを味わわせてしまったのは、前述のように、事実上倒産状態のMGMの身売り先が決まらないことが、最大の原因と言って、差し支えなさそうです。

映画「ホビット」のプロジェクト自体は、ワーナー・ブラザースが主導権を持ち、進めていますが、2部作の映画の製作費が合わせて5億ドル近くの巨額にのぼる可能性があるプロジェクトに単独で全額出資するのはリスクが高すぎ、困難であるため、どうしてもパートナーとなる別の映画スタジオが必要となってしまいます。
しかし、その肝心のパートナーが破産してしまい、その身売り先も決まらないことで、にっちもさっちも行かなくなってしまったわけですが、仮りにMGMの身売り先が決まっても、買収した新たなオーナーが「ホビット」の製作費の出資にNOと言う可能性もありますし、最悪の場合、資産である「ホビット」の権利を他社に転売してしまうかもしれません…。そうなれば、これまでの努力はすべて水の泡です…。

そうした、いつ解決するとも言えない多数の不安定要素が取り除かれない限り、超大作の「ホビット」は前進できないので、ややこしい事態からスッパリと身を引いて、ギレルモ・デル・トロ監督が辞退したのは賢明で、他にも多数の魅力的なプロジェクトを抱える同監督には、むしろ、よかったと言えそうです。
「ロード・オブ・ザ・リング」ファンの方には、ピーター・ジャクソン監督以外で、同映画の世界をキチンと描けそうなギレルモ・デル・トロ監督がメガホンをとらないのは残念かもしれませんが、「ヘルボーイ」ファンの方は、これでお待ちかねの第3弾が予定より早く観られそうなので、よっしゃーッ!!といった感じですね…!!


ギレルモ・デル・トロ監督は、今しばらくは「ホビット」のプロジェクトに居残り、ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエンらと共に、同映画の脚本を完成させるそうですし、すでにクリーチャーのデザインも済ませるなど、製作準備をかなり終えているので、以後は「ホビット」のプロデューサーや、コンサルタントの立場になるのかもしれません。
その後は、「ヘルボーイ」シリーズを製作し、ギレルモ・デル・トロ監督に信頼を置いて、厚待遇の契約でもてなしてくれているのに、その契約を一時中断して、お待たせしていたユニバーサル映画に戻り、主に同社を拠点に、新作映画を製作・監督していくことになりそうです。

なお、ピーター・ジャクソン監督のマネージャー、ケン・カミンズ氏が、今回の件に関して、ワーナー/MGMが現在においても、「ホビット」第1部=2012年12月公開、第2部=2013年12月公開を予定しているため、他のプロジェクトでスケジュールが詰まっているピーター・ジャクソン監督が、ギレルモ・デル・トロ監督の抜けた穴を埋めて、自分で「ホビット」を監督する…といったようなことは実現不可能です…と、早々と発表し、「ホビット」には第3者の新しい監督が起用されることを示唆しています。
オンラインの映画メディアでは早くも、新しい監督が誰なのか?!といった憶測が、始まっていますが、最も懸念されるのは、先のような多数のリスクを軽減しようと、この監督交代を機に、ワーナー・ブラザースが「ホビット」の映画のスケールをダウンさせてしまうことで、もうテキトーにやってくれる便利なブレット・ラトナーにとか撮らせとけよ…ッ!!なんてことにだけはならないことを祈ります…。


CIAリーダーのみなさんは、ギレルモ・デル・トロ監督以外のどの監督が、「ロード・オブ・ザ・リング」の指輪を引き継ぐのにふさわしいと思われるでしょう…?!



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