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レッド・ライディング-ヨークシャー・リッパー

商業主義からは一歩退いた立場で、インディペンデント映画や、アート・フィルムの普及につとめているケーブルテレビのIFC(インディペンデント・フィルム・チャンネル)が、来月2月5日から、ビデオ・オン・デマンドで全米に配信すると同時に、ニューヨークのIFCセンターで封切る「レッド・ライディング」トリロジーの予告編を全部まとめて、ご覧ください…ッ!!、連続殺人鬼ヨークシャー・リッパーAKAピーター・サトクリフをテーマにした“日本発”の原作の完全映像化です…ッ!!







“日本発”の原作と言っても、日本人の作家が書いたのではなく、東京在住のイングランド人の犯罪小説家デイヴィッド・ピースが、その作家デビューを飾ったヨークシャー4部作を、イギリスの公共テレビ局チャンネル4がミニ・シリーズとしてドラマ化したのが、この「レッド・ライディング」です。
昨2009年3月にイギリスで放送された全3回のドラマは、アメリカでは昨年秋のテリュライド映画祭で、3部作の映画として上映され、大変、高い評価を得て、ソニー・ピクチャーズが早速、リメイクに乗り出し、スティーヴン・ザイリアン脚本(「オール・ザ・キングスメン」が大赤字だった人…)、リドリー・スコット監督という組み合わせで、2012年公開を目指し、企画の開発が進められています。
マイケル・ウィンターボトム監督の実話を映画化ではなく、映画が実話化したベルリン映画祭グランプリの必見映画「イン・ディス・ワールド」(2002年)や、テリー・ギリアム版「アリス・イン・ワンダーランド」の「ローズ・イン・タイドランド」(2005年)などを執筆した脚本家として知られるトニー・グリゾーニが、デイヴィッド・ピースの傑作シリーズをシナリオ化した“赤ずきんちゃん”=「レッド・ライディング」は、どういう作品かというと…、忙しい方はひとまず、上 ↑ の総集編の予告編を観てもらえばよいのですが、週末で時間のある方は、すぐ下 ↓ のとんでもなくクールなポスターの後から、3部作それぞれ1本ずつの予告編と、原作とあわせた内容の紹介をご覧ください…!!


「レッド・ライディング」第1部「1974年」の原作である「1974/ジョーカー」の内容は、邦訳本を出版する早川書房の編集部の方の紹介では…、

舞台は英国ヨークシャー。10歳の少女が、背中に白鳥の羽が縫い付けられ、性器に薔薇が突き刺された惨殺体で発見されます。新聞記者エディーは、殺人犯を見つけ、スクープ記事を書く野心を抱きます。彼は過去に起きた少女連続失踪事件と今回の事件の関連を突き止め、徐々に殺人鬼に近づいていきます。悪夢が待っているとも知らずに…。
このディープなストーリーの主人公エディーですが、善人ではありません。母親との間はぎくしゃくとしており、取材費をかすめとる悪党ぶり、さらに同僚の女性記者を妊娠させ、調査中に知り合った女性を殺しかねないほどの暴力的な方法で抱くのです。しかしこの時代、彼を凌駕するほど警察・財界・政界は「悪徳の王国」と化していました。自らも堕ちなければ生きていけない、清く生きたくとも汚濁にまみれて生きるしかない…。


…とのことで、当時の時代色を出すために、16ミリ・フィルムで撮影された、この第1部「1974年」を監督したのは、アン・ハサウェイとジェームズ・マカヴォイが共演した「ジェイン・オースティン/秘められた恋」(2007年)のジュリアン・ジャロルド。主人公のエディーを演じているのは、おとついの金曜日(22日)に紹介した、スパイク・ジョーンズ監督最新作の短編映画「アイム・ヒア」で、ロボットのデスクトップ君だったアンドリュー・ガーフィールド(↑)です。少女連続失踪事件で、自分の娘を誘拐された不運な母親のポーラとして、「それでも恋するバルセロナ」(2008年)のヴィッキーことレベッカ・ホール(↓)が登場し、エディーと男女の関係に…。




そして、エディーが事件の真犯人ではないかと追う、地元ヨークシャーの実業家として、最新作の「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」が来月2月に日米で公開される、ホントにヨークシャー出身のショーン・ビーン(↑)が出演しています。

レッド・ライディング 1974年予告編




続く、「レッド・ライディング」第2部の「1980年」は、原作のヨークシャー4部作のうち、中編となる以下の2冊をまとめたようです。それぞれの原作を紹介した「BOOK」データベースの文章を引用すると…、

1977/リッパー
売春婦の喉を次々と抉り、英国を震撼させたヨークシャー・リッパー。刑事ボブは愛人の売春婦ジャニスをその魔手から護るべく、独自の捜査を開始。が、“女の皮膚を送る。残りは揚げて食べた”というリッパーからの手紙が届けられ、さらにジャニスが同僚の刑事に強姦されてしまう!!、狂気の淵に追い込まれながらも、ボブは殺人鬼逮捕に死力をつくすが…累々たる死体が飾る1977年、血塗られた暗黒年代記の第二幕が始まる…。

1980/ハンター
剥き出しの肌、砕かれた頭、57回刺された腹…。1980年、ヨークシャー・リッパーに殺された13人目の女性が発見され、エリート刑事ハンターは事件に関係するポルノ企業に潜入した。が、彼は奇怪な胎児の悪夢に囚われ、さらに流産した妻を殺すとの手紙をリッパーから受け取る。襲い来る恐怖と闘い、彼は犯人に迫るが…ッ!!

レッド・ライディング 1980年予告編



…とのことで、3部作の中で最も完成度が高いと評されている第2部「1980年」の監督は、綱渡りアーティストのフィリップ・プティが1974年に、ニューヨークの今は無きワールド・トレード・センターのツインタワーを1本のワイヤーで渡ってみせた偉業の過程を、犯罪映画風に紹介したドキュメンタリー「マン・オン・ワイヤー」(2008年)で、アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した才人ジェームズ・マーシュ!!
エリート刑事のハンターは、「ホット・ファズ」(2007年)では、田舎町サンドフォードの刑事だったパディ・コンシダイン(↓)です。ジェームズ・マーシュ監督は、通常の映画と同じ35ミリのフィルムで、この第2部を製作しました。





そして、ついにクライマックスとなる「レッド・ライディング」第3部ですが…、

レッド・ライディング 1983年予告編



原作の「1983/ゴースト」とは…、1983年、小学生の女子が失踪…。巨大な眼鏡の奥から真相を見とおす名刑事“フクロウ”ことモーリスが捜査にあたる。が、昔の明敏さは失われ、事件の手がかりは一向につかめない。やがてモーリスは事件を忘れようと、かつての恋人だった女性霊媒師との肉欲の思い出に浸り、精神を荒廃させてゆく。“可愛い少女は消えてしまい、切り裂き魔は飛び跳ねて、警官は拷問好き…”。葬られたはずの過去の悪夢が次々と甦り、隠されるべき英国の暗部がえぐり出される…!!

この第3部「1983年」を、デジタル・シネマカメラのレッド・ワンで作ることにしたのは、プリンセス・エイミー・アダムスに“メグ・ライアン”を演じさせたとして絶不評のロマンチック・コメディ「リープ・イヤー」が、今年2010年の新年早々から、お見事にコケてしまったアナンダ・タッカー。トリロジーを通して、重要な役柄のフクロウ刑事ことモーリスを演じているのは、「ブーリン家の姉妹」(2008年)のデビッド・モリシー(↓)です。


また、「フル・モンティ」(1997年)のマーク・アディ、「ハリポタ」のロンことルパート・グリントが主演したインディーズの青春映画「チェリーボム」(2009年)で、親友のルークを演じていたロバート・シーハン、そして、第1部「1974年」の主人公エディーのアンドリュー・ガーフィールドの出世作「BOY A」(2007年)で、少年Aの更正を助けるソーシャルワーカー役だったピーター・マラン(↓)も顔を見せています。



IFCセンターでは、この「レッド・ライディング」3部作を、昼1時からと夜7時からの1日に2回、計305分=5時間5分!!を一挙上映する予定のようですが、日本ではどういったスタイルで公開されることになるのでしょう…?!
単に海外ドラマのDVDとしてリリースされるのか?!、それとも、3本一気に観るのは大変なので、1本ずつの映画として、映画館で上映されるのか?!、ちなみにIFCセンターはキッチリと映画3本ぶんの鑑賞料金に相当する25ドル(2,250円)を、「レッド・ライディング」3部作のチケット代としています。日本で同じことをしたら、6,000円近く支払わないといけないことになっちゃいますね…!!、やっぱり、DVDレンタルで観るのがいいのかも…?!
いずれにしろ、猟奇犯罪もの好きの方には楽しみな、ヨークシャーの切り裂き魔の連続殺人事件の裏側を描いた「レッド・ライディング」3部作です…!!







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