この同日に公開された2本の新作映画は、共に“家族”がテーマで、“リメイク映画”である点も同じ…、でも、まったく違うんです…!! →
「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年)の名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が1999年に発表した「みんな元気」を、「ウィイクアップ!ネッド」(1998年)のカーク・ジョーンズ監督がメガホンではなく、魔法のステッキを握ってリメイクした、クリスマス・シーズンに向けた心暖まるファミリー映画…!!
オリジナル映画のマルチェロ・マストロヤンニの代わりに、ロバート・デ・ニーロが演じる主人公のフランクは、長年勤めた電話線の会社をようやく引退したというのに、妻に先立たれ、ひとりきりの老後を過ごしていた。そんなフランクにとって何よりの楽しみは、成長して立派な大人になった子どもたちの顔を見ることで、年末の子どもらの帰省に備え、高価なワインや、新しいバーベキュー・セット買い求めるなど、久しぶりの家族団らんを過ごすべく、いそいそと準備に励んでいたが、父の気持ちを知らない子どもらは、それぞれの事情も告げずに帰省をドタキャンしてしまう…。いったい、子どもらに何があったのか…?!、ひとりぼっちでホリデイを過ごしても仕方のないフランクは、彼の心臓の持病を懸念する医師が止めるのも聞かず、ならば、こっちから行ってやろう…ッ!!と、電車やバスを乗り継いで、子どもたちの家庭を訪ねる大陸横断の大旅行に出かけるのだったが、家庭を顧みずに働いてきたフランクは、それぞれに問題を抱えた子どもたちの素顔を知り、実は自分が子どもらをよく理解していなかったことに気づかされる…。果たして、フランクの心臓が脈打つうちに、親子は絆を確かめあうことができるのか?!
ゴッドファーザーの子どもたちを演じてるのは、SFカルト映画「ムーン」での演技がオスカー級だと絶賛され、次回アカデミー賞の最優秀主演男優賞にノミネートされるべきだと言われているサム・ロックウェルに、大失敗作の「ホワイトアウト」をキャリアからホワイトアウトしたいケイト・ベッキンセイル、そして、スポ根ガーリー・ムービー「ウィップ・イット!」では破壊女王のドリュー・バリモア監督です。
2,133館で上映されている本作の初日の成績は130万ドルなので、週末3日間のオープニング成績は、たぶん500万ドルにも届かないでしょう…。
多くを望まず、ホリディ・ムービーと割り切れば、そう悪くもない本作ですが、芸達者なキャストたちに見合う内容ではない…と厳しい評価も下されています。
みんな元気!とはいかなかったようですね…。(PG-13/1時間40分)
「エブリバディズ・ファイン」に続き、こちらも家族の絆をテーマにしたリメイク映画!!
大傑作の「マイ・レフトフット」(1989年)や、「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」(2002年)などで知られるアイルランドの名匠ジム・シェリダン監督が、デンマークの女流監督スサンネ・ビアが2004年に発表した「ある愛の風景」を、ピーター・パーカーに、パドメ・アミダラ、そして、プリンス・オブ・ペルシャという、ハリウッド映画らしいキャスティングでリメイクしました…!!
「スパイダーマン」シリーズの主人公ピーター・パーカーがすっかり板に着いてしまったトビー・マグワイアが演じるサムは、軍人の家系カーヒル家の長男として、父のハンクを跡を継いで海兵隊に入隊し、ナタリー・ポートマンの美しい妻グレイスとの間で、ふたりの娘をもうけるなど、まっとうな人生を送っていたが、ジェイク・ギレンホールが演じる弟のトミーは刑務所帰りで、地元のバーに入り浸るなど放蕩暮らしを続けていた…。そんな折り、アフガニスタンに派兵されたサムの乗ったヘリコプターが墜落し、行方不明となったサムの訃報が軍からグレイスに伝えられる…。夫の戦死で悲嘆に崩れる兄嫁グレイスを、トミーは慰め、助けの手を差し伸べるが、その義理の姉と弟の支えあいは、いつしか男女の愛に発展することに…。
そうして、共に人生を立て直しはじめたはずのトミーとグレイスの前に、タリバンに捕らえられながら、拷問に耐え抜いた夫のサムが突然、帰還する…!!
戦争体験のPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しむサムは、幼い頃から兄として、家族の中で厄介者の弟トミーを庇い続けてきたのだったが、まさか、その弟に妻を寝取られ、家庭を奪われそうだったことを知ると…。
とまぁ、お話はスサンネ・ビア監督のオリジナル映画とほとんど同じなのですが、ハリウッド映画になると、いかにも、お昼のメロドラマのようなプロットを、ありきたりなソープ・オペラと観て、低い評価を与える者もあれば、トビー・マグワイアのPTSDのトラウマ演技や、ナタリー・ポートマン、ジェイク・ギレンホールらの好演を引き出したジム・シェリダン監督の手腕を買って、佳作と観る向きもあるようです。が、いずれにせよ、兄弟や夫婦といった家族関係のテーマと、先日もオバマ大統領が増派を決めたアフガン・イラクの戦争問題が、ひとつの映画に入っているのは、あまり効果的ではなかった…というのが、総評なのかもしれません。
サムとトミーのブラザーズの父ハンクを演じているのは、「アメリカ、家族のいる風景」(2005年)のサム・シェパード。英語で新たにシナリオを執筆したのは、「君のためなら千回でも」(2007年)の脚本家デイヴィッド・ベニオフです。
かなり地味で、暗い話なので、それをごまかそうと、あたかもスリラー映画か?!、ホラー映画?!みたいに、配給のライオンズゲートが予告編を編集しちゃってるのがおかしいですね…!!、しかし、その甲斐もなく、2,088館で封切られた本作の初日成績は約360万ドルなので、オープニング成績は1,000万ドル足らずとなりそうです…。(R指定/1時間50分)
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