************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************


封切られたばかりの最新映画を、映画館まで出かけずに、ご自宅のテレビでお楽しみいただけるようになります…!!


俗に“ビッグ6”と呼ばれるハリウッドのメジャースタジオ6社(ワーナー・ブラザース、パラマウント、ユニバーサル、20世紀FOX、ディズニー、ソニー)が中心となり構成されている映画業界団体のMPAA(アメリカ映画業協会…詳しくはココを参照)が、昨2009年秋から強く推し進めてきたロビー活動が成果をあげ、先週末の金曜日(5月7日)に、合衆国政府の連邦通信委員会(FCC)が映画スタジオ各社に対し、ケーブルテレビや衛星放送などを通じて、最新の映画を独自に配信してもかまわないという事業の承認を与えました。

映画はHDのデジタル・コンテンツとして、高画質・高音質で、自宅のテレビモニターに映し出され、視聴時にテレビなどに接続されている外部端子を自動的に検出し、その機能をストップするSOC(Selectable output control)システムによって、違法コピーなどによる海賊版作成から守られることになります。

これによりハリウッドの映画スタジオは、これまでのような配給ルートを通して、映画館で作品を上映するのではなく、各家庭に直接、映画を送り届けることができるようになり、映画館はいずれ不要となって、街から消え去ってしまう可能性が芽生えてしまいました…!!

MPAAのボブ・ピサーノ会長は、ついに映画が映画館から解放された、この画期的な承認について…、
“今回の決定は、消費者の観客のみなさんにとって、とても意味のある偉大な勝利です!!”
…と述べ、“観客のみなさんの増大する要望にお応えし…”、映画産業の仕組みを根本から変える新しいビジネスモデルの構築に取り組む意欲を語りました。
現状では、これからMPAAがどのような映画鑑賞の新しい形を提案してくれるのか?!、その具体的なビジョンはまだわかりませんが、今後、数年のうちに新作映画は、封切りと同時か?!、映画館で上映中のうちにも、自宅で観られるようになる見込みです。

この新作映画を、映画会社は家庭にダイレクトに配信していいですよ…という、連邦通信委員会の承認の本意は、ピサーノ会長(→)がご親切にも、わざわざ要望を汲み取ってくれたらしい、ぼくたちのような映画好きに向けられたものではなく、要するに、映画館の連中に気兼ねなく、そうしてもいいですよ…と言ってるのに他ならないことは、映画産業に従事していなくても、誰でも即座に察することができるでしょう。

そんな自分たちが映画産業から締め出されていくことになりかねない、映画スタジオだけが利益を独占する仕組み作りを目指した映画独自配信の要求を却下するよう、映画館側の興行団体も当然、反ロビー活動を行ったでしょうから、それにも関わらず、FCCがMPAAの求めを承認したというのは、映画館が国にも見捨てられたかのような敗北で、興行ビジネスの落日が窺がえてしまったような感じです。
また、前述のように、デジタル・コンテンツとして配信される映画を家庭で視聴するために、観客は消費者として新たにハードを買い換えたり、機器を揃えるなどの出費を要することになるでしょうから、そうしたテレビなどを販売する電気メーカーなどの後押しもあったのかもしれません。て言うか、ソニーなんかはそのまんま電気メーカーと映画スタジオの兼業ですよね…。

これまでずっと同じ釜の飯を食ってきた映画スタジオから見放されたような格好で、まさにその大きな器さながら、太古の恐竜のように、いずれやって来る厳しい経営難の氷河期の中で絶滅してしまいかねない映画館は気の毒で残念と言うしかありませんが、その一方で、ピサーノのオッサンが言うように、映画ファンのユーザー側には…、

例えば、ぼくの大好きな沖縄の八重山諸島のような映画館のない遠隔地の楽園に住んでいる人も、新作映画を都会の人と時間差なく同時期に楽しめる。
病気やケガで外出が困難、また、障害を抱えていて、人の多い映画館には行きづらい人も楽しめる。
介護や、育児で家から離れられなくても大丈夫。
仕事の時間が不規則で、映画館の上映時間に合わせられない…とか、もう考えなくていい。
上映中のマナーの悪い人にイライラして、煩わされることが、もうけしてない。
映画館まで出かける交通費や、ついついコンセッションでドリンクなどを買ってしまうといった出費が抑えられるので、その分、多く映画を観られる。
複数の人数で観られるので、大家族の人は映画代がかなり安くなるかも…?!


…といった、大きな利点がいくつも考えられそうです。
それに加えて、映画館で上映しても、採算が成立しない個性的なアートフィルムや、宣伝費とフィルムのプリント代のP&Aを工面できない独立系のプロダクションの意欲的な作品、第3世界の映画などにも、普及のチャンスが広がり、現在よりも多彩な映画が作られて、ドンドンと鑑賞される映画活性化につながる可能性も否定できません。

しかし、そんなことを言っても、映画館の大きなスクリーンや、上質の音響システムで、ドップリと映画の世界にひたる醍醐味と、自宅のテレビモニターなんて比較にならない…!!とばかりに、映画館に通い続けたい映画ファンの方は、きっとたくさんいてくれるはずでしょう。
けれど、映画のクオリティになど、こだわりを持たず、話題の映画をとりあえず観ればいいやとばかりに、路上で海賊版のDVDとか買ってしまったりする世間の人たちはどうなのか…?!、また、新作映画を自宅のホームシアターで楽しむ…という新しい鑑賞スタイルが習慣化してしまった近未来でも、まだ映画館に行きたいと思うか…?!、などを考えれば、地方の小さな映画館など、アッという間に消えてしまうのではないでしょうか…?!、DVDのレンタル店だって、同じ運命だと言えなくはありません。

もちろん、以上の懸念は、連邦通信委員会の決定を受けたアメリカの映画ファンだけが、今のところ、考えればいいのかもしれません。
でも、実質的には世界の映画産業を牛耳っているに等しいハリウッド、すなわち、MPAAの動きが遠からず、各国にまでは広がっていかない…と、誰も否定の断言はできないでしょう。
CIAリーダーのみなさんは、極端に言えば、アメリカの政府が映画館は過去の遺物だ、見捨てていいと判断したと言えなくもない、このニュースについて、どのように思われるでしょう…?!

ちなみに、下 ↓ は、MPAA の SOC(Selectable output control)を説明してくれている動画です。





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