「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで映画史に残る大ヒットを記録したピーター・ジャクソン監督が、2005年公開の「キング・コング」以来の最新作となる、スピリチュアルなスリラー映画の感動作…?!という、ちょっとジャンルが込み入った「ラブリー・ボーン」の予告編を初公開しました…!!、と言っても、この予告編がリリースされたのは一昨日なので、本当はもっと早くに紹介しておかなければならなかったのですが、一見して魅きこまれる素晴らしい予告編だけに、じっくりとくり返し観て、それから紹介したい…と思い、少し遅れました…。
ピーター・ジャクソン監督の作品としては、初期のカルト映画「乙女の祈り」(1994年)以降、初めて少女が主人公として活躍します…ッ!!
アメリカでは明日となる金曜日(7日)に全米公開されるプリンセス・エイミー・アダムスとメリル・ストリープが共演のソニー・ピクチャーズのドラメディの女性映画「ジュリーとジュリア」の冒頭につけられる予定の「ラブリー・ボーン」の予告編です。
パラマウント/ドリームワークス製作の本作は、スチームパンクなジュヴナイル・ファンタジー「エンバー/失われた光の物語」(2008年)が10月23日にハピネットからDVDがリリースされるシアーシャ・ローナンちゃんを主演に迎え、アリス・シーボルドが2002年に発表したデビュー作の同名ベストセラーを映画化した注目作です。
そのアーティストハウスが出版するアリス・シーボルドの原作の邦訳本を紹介した「BOOK」データベースのあらすじによれば…、
ある冬の日、少女は殺された。けれど、少女は天国から愛する家族を見守りつづける。
「みんなのこと大好きだから、ずっとそばにいるから、だから…」
いつもと変わらぬ学校からの帰り道、家に帰れば大好きな家族が待っているはずだった。
けれど近道をするために通ったトウモロコシ畑で悲劇は起こった。近所に住む男に、14歳の少女スージーはレイプされ、殺されてしまったのだ。愛する娘の死に、家族は静かに崩壊していく。父親は犯人を追うことだけに人生を費やし、娘を守ることができなかった罪の意識から母親は家を出ていってしまう。妹と幼い弟は、姉の“影”を感じ、自分の存在に不安を募らせる。そのすべてをスージーは天国から見守り、けっして聞こえることのない声を愛する家族にかけつづけていた。
「わたしの死をひきずらないで。ただ忘れないでほしいだけなの…」
…とのことで、“家族の崩壊と再生、そして永遠に消えることのない愛を描き、全世界からかつてない熱狂で迎え入れられた、250万部突破の驚異のデビュー小説。”だそうです。
で、さて、予告編をご覧になれば、この予告編がつけられる「ジュリーとジュリア」でメリル・ストリープの夫を演じているスタンリー・トゥッチ(↓)がシアーシャ・ローナンちゃんの処女を奪ったうえでブチ殺した憎っくき変態の連続殺人鬼だということが、サッサと明かされていて戸惑ってしまうのですが、それは本作が、あくまでも“家族の崩壊と再生、そして永遠に消えることのない愛”を描く感動作であり、犯人探しのクライム・ミステリーのスリラー映画として単純に受け止めてもらっては困る…ということだからですね。なので、ネタバレは絶対に大キライのボクも、冒頭でいつものようにネタバレ注意の警告を記しませんでした。
そうした連続殺人鬼は出てくるわ、幽霊は出てくるわ…で、ジャンルが込み入った本作の予告編を観て、まずおもしろいと思ったのは、冒頭で父親のマーク・ウォールバーグと、スージーのシアーシャ・ローナンちゃんが一緒に作っていたボトルシップを、警察の捜査に口を出すなと言われたマーク・ウォールバーグが1分43秒めのところで感情にまかせ、叩き割ってしまっていますが、それに続けて、スージーがいると思われるこの世と天国の間のような場所で、巨大な実物大の船がはいったボトルシップが砕け散るカットが素早くインサートされているところです…。
また、以下の2つのカット(↓)は、マーク・ウォールバーグが灯したローソクの明かりが、シアーシャ・ローナンちゃんのスージーには自分を導く灯台の光に見える…ということなんでしょうか…?!
ボクは原作は読んでいないのですが、以上のような表現から推察されるのは、この映画の中では、スージーのいる世界と現世が微妙にリンクしているらしい…という設定で、それが霊となったスージーと、現世にいる家族が再び結びつき、事件の解決へとつながる展開に説得力を持たせていく…?!といったような予感がしました。小説ならまだしも、映画としては少し捉えどころがなく、表現のむずかしそうなストーリーを、ピーター・ジャクソン監督はそうしたパラレルワールド的な趣向で描こうとしているのかもしれません?!
と、それにしても、この映画を宣伝する人も、少し説明しづらいストーリーのジャンルづけや、紹介の仕方に少し頭を悩ませそうな感じがしますが、そうしたマーケティングの難しさの垣間見える本作を嫌ったパラマウント映画は、手っ取り早く出資金を回収するため、同社が権利をもつリンカーン大統領の伝記映画に、スピルバーグ監督=ドリームワークスが関与したければ、このドリームワークス主導で作られた「ラブリー・ボーン」を買い取れ…という交換条件を出し、リンカーン大統領の映画をどうしても作りたいスピルバーグ監督の足元を見たことは、今年2月に伝えた通りです…。しかし、実際に予告編を観ると、確かに内容は少しわかりづらいものの、独創的な映像世界や、俳優たちの熱のこもった演技など、力の入った本作は見応えあり気なのに加え、何よりもピーター・ジャクソン監督の新作…!!というだけで映画ファンの関心は充分、惹くことができそうに思えます。
娘を失った悲しみと悔しさを、自らの手で晴らそうと犯人を追う父ジャックは、M・ナイト・シャマラン監督のコメディ映画「ハプニング」(2008年)で猿芝居を披露した大根役者ではなく、「ディパーテッド」(2006年)でアカデミー賞最優秀助演男優賞にノミネートされた名優の方のマーク・ウォールバーグ、その妻アビゲイルを演じているのは、「ナイロビの蜂」(2005年)でオスカーの最優秀助演女優賞に輝いたレイチェル・ワイズ、おばあちゃんは、「デッドマン・ウォーキング」(1995年)でアカデミー賞最優秀主演女優賞のスーザン・サランドンと…、キーラ・ナイトレイの妹を演じた「つぐない」(2007年)で若干13歳でオスカーの最優秀助演女優賞候補に選ばれた天才少女シアーシャ・ローナンちゃんに負けないように、本作のキャストはオスカーに絡んだ実力派の顔ぶれが揃えられていますね…!!
そして、お姉ちゃんの仇を討つために、スタンリー・トゥッチが演じるキモい犯人に立ち向かっていく妹のリンジーを演じているのは、ジェーン・カンピオン監督の映画史上屈指の名作中の名作「ピアノ・レッスン」(1993年)に、わずか5歳で出演し、デビューを果たし後、主にテレビドラマで活躍して、最近は「炎神戦隊ゴーオンジャー」の海外版である「パワー・レンジャーズ:RPM」で、ゴーオンイエローとして蛮機族と闘っているローズ・マクアイヴァー(↑)です。イザとなればゴーオンジャーに変身できるので、スタンリー・トゥッチなんて怖くありません…ッ?!
…などと、くだらないオタクな冗談はさておき、複雑な本作の脚本を執筆したのは、ピーター・ジャクソン監督自身と、妻でクリエイティヴ・パートナーのフラン・ウォルシュ 、それにフィリッパ・ボウエンという、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの脚色を大成功させたトリオです。予告編だけでも本当にハラハラ、ドキドキさせられて、最後は感動のクライマックスが待っていそうな絶対に観たい「ラブリー・ボーン」は、年末の12月11日から全米公開です!!
★公式サイトによれば、日本では2010年1月29日封切りだそうです!!
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