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先にアップしたBEST10のランキングでご覧のように、「ホステル」シリーズのイーライ・ロス監督がプロデュースした悪魔祓いのモッキュメンタリー・ホラー映画「ラスト・エクソシズム」が、2週連続チャンピオンのスタローンから、ベルトを受け取り、初登場第1位に躍り出たことで、両方の映画を配給するライオンズゲートがメジャー・スタジオをおさえて、3週連続で全米映画興行を制覇しました…!!
ジュリア・ロバーツの「食べて、祈って、恋をして」が、「エクスペンダブルズ」に敗れたソニー・ピクチャーズは、期せずして、スタローンに負けじとくり出したような格好になった、野郎を集めたアンサンブル・キャストの男映画のアクション作品「テイカーズ」が首位を獲れなかったことで、ライオンズゲートに完敗したような感じですが、実際のところ、トップと第2位の差はわずか約30万ドルしかありません…。
それで、両方の映画の公開館数の違いに着目すると、「ラスト・エクソシズム」は2,874館で、「テイカーズ」は2,206館。つまり、スクリーンの数の有利で、「ラスト・エクソシズム」が頂点に立っているだけで、1館あたりの売り上げでは、9,519ドルを稼いでいる「テイカーズ」が、「ラスト・エクソシズム」のアベレージ=7,411ドルをしのいでいます。
よって、アメリカでは明日となる月曜日に、実際の現金が集計されると、第1位と第2位はひっくり返って、「テイカーズ」が逆転首位に立ち、ソニーが勝利の可能性がありますね…!!
と、まずはそれを踏まえておいたうえで、全体に目をやると、この週末の興行成績は、先週の前回(20日~22日)から約12%ダウンで、ついに上位12作品のトータルが、およそ4ヶ月ぶりに1億ドルを割ってしまい、前年同時期との比較でも、約2割の売り上げ減となっています。
なので、まぁ、結局は、そんなに振るわない週末だった…ということで、悪魔祓いと銀行強盗のどちらが第1位でも、何ら大して変わりはありません…!!


エッチな美女がスケベな野郎どもをビビらせるチャットルーレットのヴァイラル・マーケティングで話題を集めるなど、ライオンズゲートがプロモーションにアイディアを凝らした「ラスト・エクソシズム」が、全米2,874館の約3,500スクリーンで集めたオープニング成績は約2,130万ドルで、前述のように、ひとまず初登場第1位を飾ることができました…!!

悪趣味なモッキュメンタリーの自殺映画「ネセサリー・デス(A Necessary Death)」(2008年)で注目を集めた、ドイツ出身のダニエル・スタム監督がメガホンをとった本作は、これまで50回近い悪魔祓いの儀式を執り行ってきたが、そのいずれも実際は心の病いで、ひとつとして悪魔憑きなどではなかったコットン牧師が、ドキュメンタリー番組のカメラ・クルーを伴い、また、新たなエクソシストに臨んだところ、ついに…ッ!!といったプロットで、昨2009年に大ヒットした「パラノーマル・アクティビティ」や、ゾンビ映画「REC」(2007年)のような、いわゆる、“実際の映像モノ”の体裁をとり込んだ POV スタイルのホラー映画です。


ラスト・エクソシズム」 TV トレイラー




この「ラスト・エクソシズム」のオープニング成績=約2,130万ドルというのは、同じホラー映画として、前年同時期の2009年8月28日に公開された「ザ・ファイナル・デスティネーション4 3D」(国内成績6,647万ドル/全世界計1億8,616万ドル)のオープニング成績=約2,740万ドル(3,121館)と比べると、少々、物足りなく、また、似たタイプの映画として、悪魔祓いによる事故死の実話をもとに、ジェニファー・カーペンターが悪魔にとり憑かれたヒロインを演じた、スコット・デリクソン監督のリアルなオカルト映画「エミリー・ローズ」(2005年9月公開/国内成績7,507万ドル/全世界計1億4,421万ドル)のオープニング成績=約3,005万ドル(2,981館)からは、明らかに見劣りがしてしまいます。
しかしながら、「ザ・ファイナル・デスティネーション4 3D」の製作費が約4,000万ドルで、「エミリー・ローズ」の製作費が約1,900万ドルだったのに対し、この「ラスト・エクソシズム」の製作費は、「エミリー・ローズ」の10分の1以下のたったの約180万ドルです…!!、それで本作を配給するにあたり、ライオンズゲートは約100万ドルを権利金として支払っていますから、しめてトータルの元手を約300万ドルとしても、オープニング成績だけで、その数字の約7倍を軽々と売り上げてしまったことになります…!!

今夏の最大ヒット作として、ビリオンダラー・クラブ入りを果たした「トイ・ストーリー3」は、製作費に約2億ドルが使われていますから、全世界で約10億1,212万ドル以上を稼いで、映画史上第7位のメガヒットになっても、その費用対効果は約5倍となり、「ラスト・エクソシズム」の方がローリスクで、実に効率がよいことになります。
ただし、この映画は、初日(27日)の金曜日の売り上げが約940万ドルだったのに対し、翌土曜日(28日)は710万ドルで約25%減、さらに日曜日(29日)は480万ドルで、また約32%減と、日を追うごとに数字が下降しています。
それは要するに、ホラー映画のマニアしか映画館に動員できていないということで、同じ超低予算(約1万5,000ドル)のモッキュメンタリーのホラー映画として、社会現象に近いヒットを巻き起こした、前述の「パラノーマル・アクティビティ」のような数字(国内成績1億791万ドル/全世界計1億9,334万ドル)は望むべくありません。


なので、プロデューサーとして、ホラー映画をよく知るバット殺人鬼のドニー・ドノウィッツ軍曹は、ホラー映画が本来あるべき、ローリスクで一気にそこそこ稼いで、売り逃げる…!!というビジネスモデルの実践をキチンと果たしたと評価され、そのために自らの「ホステル」シリーズがハードR作品で、観客の幅が限られていたのに対し、この「ラスト・エクソシズム」では過激描写をおさえて、レイティングをPG-13にとどめ、実質的に視聴制限を取り払ったことも成功の要因にあげられそうです。また、そうした幅広い層が視聴可能な映画の性質は、今後のDVDレンタルや、テレビ放送といった二次・三次利用でも、有利に働くことは言うまでもありません。



と、そのように子どもで観られるんですよ…と言われれば、あぁ、「ラスト・エクソシズム」は、ゆるいホラー映画か…と見下ろされてしまいそうですが、本作は単純なショック描写で驚かすのではなく、主人公のコットン牧師と、悪魔にとり憑かれた娘のネル、そして、ネルの家族といったキャラクターの人物像を掘り下げたことで、元祖悪魔祓い映画「エクソシスト」(1973年)以来となる出色の出来栄え!!といった高評価のレビューも与えられ、映画の格付けサイト RottenTomatoes では、72%の支持率を今のところ、集めています。
よって、封切り時の総評としては、神を信じる者は、すなわち、悪魔を信じる者である…!!という、神を信じる人こそ反論できない、説得力のある恐ろしいテーマを描いた「ラスト・エクソシズム」は、映画の内容のクォリティと、ビジネス・ポテンシャルのバランスがうまくとれた、優れたホラー映画の商業作品と結論づけることができそうですね。
なお、キャラクターの人物像を掘り下げた…ということは、とりもなおさず、その役を演じた俳優に力量があった…という評価につながりますから、主人公のコットン牧師に扮したテレビ俳優のパトリック・ファビアンと、特殊メイクに頼らず、鬼気迫る悪魔憑きを素で演じてみせた無名の女優アシュレイ・ベルは、今後、様々な映画に起用されていくことになるのかもしれません。



ライオンズゲートの調べによれば、「ラスト・エクソシズム」の観客の約52%は女性で、男性をやや上回り、全体の約65%が25歳以下の若年層だったそうです。露骨に血生臭いだけの描写をひかえたことで、若い女性にも鑑賞しやすいホラー映画になった…と、市場のターゲットを理解することができそうですが、クライマックスの展開は、女性に歓迎されるとは言えません。
それでは「ラスト・エクソシズム」がどういったタッチの作品か?!、動画のクリップをまとめて、3本、ご覧下さい!!









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メイン・キャストのひとりであるアナキン・スカイウォーカーのヘイデン・クリステンセンが、つまんねぇ映画…と、口はばかることなく述べ、うんざりしているのだから、まずは、そんなにおもしろいと期待はできないアクション映画「テイカーズ」を、何度も公開日を変更して、たらい回しにした挙げ句、製作・配給のソニー・ピクチャーズがようやく全米2,206館の約2,600スクリーンで封切ったオープニング成績は約2,100万ドルで、冒頭のように僅差で初登場第2位となってしまいました…!!

監獄映画「ロックダウン」(2000年)のジョン・ラッセンホップ監督が、家族が病気に見舞われたこともあり、完成が遅れた本作は、プロの銀行強盗団と、その犯罪を阻止しようとする刑事の対決を、スタイリッシュに描いたもので、「ルーザーズ」や、「特攻野郎Aチーム」、また、今週第3位の「エクスペンダブルズ」のような、にわかに流行?!の多数の俳優がチームを組んだアンサンブル・キャストを売りにしています。

その出演者らを、ザッと紹介すると…、強盗団のリーダーは、テレビシリーズ「「THE WIRE/ザ・ワイヤー」で人気のイドリス・エルバ、前述のアナキン・スカイ“ジャンパー”に、「ワイルド・スピード」シリーズのポール・ウォーカー、「セント・アンナの奇跡」(2008年)のマイケル・イーリー、マイケル・イーリーの弟は歌手のクリス・ブラウン、懲役を終えて出所してくるなり、2,500万ドルもの大金を強奪する、一生に一度の大仕事を持ちかけ、波紋を起こす強盗団の元仲間は、ラッパーのT.I.、その犯行計画を阻止しようとするのは、「アーマード/武装地帯」(2009年)では、自分が強盗だったマット・ディロンと、「ホステル」シリーズのジェイ・ヘルナンデスのコンビです。
そして、マイケル・イーリーの恋人として、新生「スター・トレック」(2009年)のウフーラ=ゾーイ・サルダナまで登場していますが、ゾーイ・サルダナは「ルーザーズ」にも出ていましたね(笑)。


テイカーズ」 予告編




で、そのワーナー・ブラザースが製作したアンサンブル・キャストのアクション映画「ルーザーズ」(2010年4月公開/製作費2,500万ドル)のオープニング成績は約940万ドル(2,936館)で大失敗の記憶が新しく、また、似たタイプのB級タッチのアクション映画として、本作のキャストのマット・ディロンが出演した、前述の現金輸送車強奪映画「アーマード」(2009年12月公開/製作費2,000万ドル)のオープニング成績は約651万ドル(1,915館)で、これまた大失敗でしたから、この「テイカーズ」の製作費が約2,000万ドルと、それぞれの映画とそう変わらないことや、製作・配給のソニーが去年の夏に公開したアクション映画の「サブウェイ123」(2009年6月公開)の製作費が約1億ドルと大作だったのに、そのオープニング成績が約2,337万ドルだった実績を考慮すると、やたら、洋服のおしゃれにこだわる銀行強盗団の映画は、まずまず成功をおさめた…!!と言えるのかもしれません。



しかしながら、どうやら、男映画の巨匠マイケル・マン監督の傑作「ヒート」(1995年)のようなクールな映画を目指したらしいスタイリッシュな演出が、時に失笑を誘ってしまう…!!とも評されている本作の映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は、今のところ、28%で、腐敗映画の範ちゅうに入れられてしまっています。
それを踏まえて、「テイカーズ」のオープニング興行の観客の約52%が女性で、銀行強盗のアクション映画なのに、男性の数をいくぶんか上まわり、全体の約半分が25歳以下の若年層だった…という、ソニー・ピクチャーズの調べを知ると、ファッション・モデルのように着飾った強盗団を登場させたことで、女性にはウケたのかもしれませんが、その代償として、男臭さを欠いたことから、アクション映画ファンの男性からは少し敬遠されてしまったのが、初登場第2位に甘んじてしまった理由と考えることができるのかも…?!







映画の冒頭の銀行襲撃で、ヘリコプターを奪い逃走する場面…!!





マット・ディロンに追われるクリス・ブラウンの必死のパルクール…!!











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