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何てヤバい映画なんでしょうか…!!、これは今までにない全く新しいタイプの危なすぎる戦争映画です。








仲間のため、国のために戦地で命を散らす人間たちを悲劇的な視点で描くのが、近年の戦争映画の大きな特徴だったように思います。
皮肉たっぷりで湾岸戦争を描いた「ジャーヘッド」も結局は戦争中毒により狂わされた青年たちの悲劇を描いているわけで、同じ戦争映画でも「ハート・ロッカー」の描き方は一線を画していました。

「戦争は麻薬」

冒頭に表示されるこのテロップが、この映画の全てを表しています。
戦場の爆弾処理を娯楽性豊かに描き、解体に没頭する主人公ジェームズに、終始アドレナリンを出させながら観客を追体験させる事で、終盤までの彼の行動すべてが納得できるように構成されていて、脚本と演出のレベルの高さを思い知らされます。
爆弾との対峙は彼にとって自らの生死を賭けた最高のゲームでしかなく、愛国心も仲間意識もない、ただ単に刺激に酔いしれているだけというのが何とも恐ろしいのです。解体後に吸う彼の煙草の何とうまそうなこと!!


戦争の持つ残酷な面を徹底してリアルに描いた「プライベート・ライアン」や、「ブラックホーク・ダウン」とは対照的に、今作は人間の戦時下の緊張状態が生む興奮を甘美な汁として魅力的に描いています。
もちろん、それだけの側面に終わらず、多面的に戦争が描かれており、アメリカ軍基地でDVDを売る少年がイラク戦争の残酷さや混乱、虚しさをジェームズに与えたりもします。それでも、この映画は最後まで戦場の持つ半端ではない高揚感を忘れさせません。



主演のジェレミー・レナーが素晴らしく、ジェームズの前半までの嬉々として爆弾に飛びつく姿と、後半見せる不安定な心理状態を見事に演じわけていて、オスカー級の名演を魅せてくれます。
終盤で彼が自分の赤ん坊につぶやく台詞には、もう普通の日常には戻れない虚しさと戦争中毒になり果ててしまった恐ろしさが同時に表現されていて、背筋が凍るような思いでした…。
今まで誰も作れなかったこの新しい戦争映画を、女性のキャスリン・ビグローが成し遂げたのは映画史的に見ても、たいへん価値のあることで、世界中から賞賛されるのも大いに納得です。


   「戦争は楽しい。
   爆弾処理はスリリングで最高のゲームだ!!」


ジェームズのそんな声が聞こえて来そうな今作、皆さんはどう思われるでしょうか?、僕には「フルメタル・ジャケット」以来のまったく新しい形で描かれた反戦メッセージに思えました。
ドキュメンタリータッチなカメラワークと編集も光る戦争映画の新しき金字塔です。映画館で是非とも目撃して頂きたい名作であります!! by ワイルダー









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