************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************


皆さんご無沙汰しています!!、ワイルダーです。近年微妙な作品に出突っ張りで最新作の魔法使い役からはラジー賞の香りしか漂ってこないあのニックが遂にやってくれました!!






ハーヴェイ・カイテルの怪演を映画史に永久に刻み込んだ名作「バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト」を、あのヴェルナー・ヘルツォークがリメイク!?と聞いて、意外というより意味不明に感じた方も多いことと思います。安心して下さい。「バッド・ルーテナント」はオリジナルにも劣らない傑作であります。もうニコラスが凄いんです!!、汚職やギャンブルの袋小路にハマり、今にもキレ出しそうな悪徳刑事をキャリア最高クラスの熱演で魅せてくれます。

舞台はハリケーンカトリーナ直撃後のニューオーリンズで、ここで起きた一家惨殺事件の捜査を指揮するのがニコラス刑事。
ここ最近、背骨が曲がったような不格好な物腰が気になる(「ノウイング」の感動的なラストもその物腰で台無し!!)彼でしたが、今回は腰を負傷している設定で腰の感じが自然に見れるのが凄くイケてます。
もはやリメイクとは言えぬほど作風やストーリーが変更されていて、キリストも尼僧も出てきませんが、そこにはヘルツォークの神の如き広大な視野で描かれたアメリカという国そのものへの痛烈な皮肉があります。
冒頭、主人公のテレンスはハリケーンの影響で水没した留置場で溺死寸前の囚人を救助した為に腰を負傷してしまいます。この善行が彼を昇進させ警部補になる訳ですが、その腰の痛みから逃れる為、ドラッグに溺れてしまうきっかけにもなるのです。
ギャンブルで大敗した上に厄介な大物に命を狙われ、事件も全く進展せず、ドラッグでどんどん暴走して常に棺桶に片足を突っ込んでいるような状態が続くテレンス。そんなギリギリな状態が衝撃(笑撃?)な展開を見せ、一変する終盤には腹を抱えて爆笑できるはず。
コメディでもないシリアス寄りな映画ですが、ヘルツォークらしいシュールな笑いがてんこ盛りで、重くなり過ぎてないのもグッドです。特に実業家の息子や議員の母親といったセレブたちの扱いが皮肉に満ちていて、貧困層との対比が実に見事に描かれています。いたる所に蛇やイグアナなど爬虫類たちが意味深げに登場し、果てには死者の踊る魂までもが視覚化され、主人公のみがそれを目にできるのも面白い構成です。
人として僅かに残された善意が最後には面白い形で彼に帰ってくるラスト。
そこで見せる、ちょっとした笑みに胸を打たれない人はいないはず!!

ニコラスのファンで最近の体たらくに失望している方には無条件でオススメできる傑作です。フェラーラ版の激烈さはありませんが、ヘルツォークの魅力に溢れた映画になっているので、オリジナルファンにも是非観ていただきたい作品に仕上がっています。 by ワイルダー



ゲストブロガーはいつでも大募集中!!、連載だって何だってありです!!




【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!


Search in CIA