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illustration by Ara
この映画をアニメ化しようとしたピクサーのジョン・ラセター監督とは、まるで違うタッチで、スパイク・ジョーンズ監督の「かいじゅうたちのいるところ」を、かなり雰囲気のいいアニメ風にしてくれた、上 ↑ のオリジナルのイラストを一緒に送ってくれたアラさんのレビューを読んでください…!!





スパイク・ジョーンズ監督が有名絵本を映画化した「かいじゅうたちのいるところ」。どうやらVFX満載の楽しい楽しいアドベンチャーを期待した人の肩透かし度は大きかったらしい。でもそんな事はどうだっていい。これは子供だましのお子様映画ではない。いずれ大人になったとして、そのときもう一度観てほしい映画である。

原作の絵本は「行って、騒いで、帰ってきた」というだけのお話。それでも長く親しまれるにはきっと理由がある。
それと同じく、この映画にも絵本が内包する寛容さが見て取れる。それはぎゅうぎゅうに詰まって余裕の無い世界を押し付けてこないということ。まるで絵本であるかのようにスカスカで、行間を読むどころか間には楽しげな絵が挟まってくる。

絵本の映画化の割には生々しいシングルマザー家庭の現実が横たわる。
絵本ではいたずらが過ぎて母親に叱られただけの主人公だが、映画にはもっと強い感情が込められて、彼の行動や立場を理解できる。そして彼はその現実から逃げた先で、自らの中に潜む"かいじゅう"と向き合うことになる。
寂しさゆえの粗暴さ、誤解が生むすれ違い、もっとも大切なこと。映画はその様子を淡々と描いている。何をどうしたって問題からは逃れられない、決まって最後は自体を悪くしてしまう。もう自分だけではそんな状況を治めることが出来ないと知る。そのとき、彼は王様を止める決心をして、この島という自分の世界を離れる決心をする。彼の戻るべき場所とは…。


映画は余計な余韻は残さず終わる。それがまた心地いい。その後家族はどうなっていったか?島のかいじゅうたちはどうなったのか?そんなことはどうだっていい。
それは絵本と同じように、すべて観た人たちの心の中で描けばいい。
この映画、唯一の不満をあげるなら『WAKE UP』が本編では未使用だったこと。ただ、もしこの曲がエンディングでかかっていたとしたら、きっと僕は劇場を出にくい顔になっていたと思う。 by アラ




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