「スタンド・バイ・ミー」(1986年)や、「ショーシャンクの空に」(1994年)といった感動作から、その本領を発揮したホラー映画の「キャリー」(1976年)、「ペット・セメタリー」(1989年)、そして、近年の「1408号室」(2007年)、「ミスト」(2007年)など、数々の傑作映画の原作者として知られるベストセラー作家のスティーヴン・キングが、コラムニストをつとめているエンタテインメント・ウィークリーで発表している、恒例の“キングが選んだ年間映画ベスト10”の2009年度版ですッ!!
スティーヴン・キングによれば、昨2009年に公開された映画は“全体として、≪B≫の評価を与えられる優れた映画の豊作年だった…ッ!!”とのことで、自分が観た映画を記録したノートを振り返れば、“9本もの作品に≪A≫の最高評価を与えていた…”そうです!!、で、もちろん、BEST10の第1位から第9位までが、その≪A≫の最高評価の作品で、第10位だけが惜しくも≪A-≫と半歩およばなかった作品とのことです。
ただし、そうした豊作年でも、中には全く期待はずれのひどい作品もあったわけで、スティーヴン・キングは、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの「タイタニック」の悲恋カップルが再共演を果たした、サム・メンデス監督の「レボリューショナリー・ロード」(2008年)を、そのひどい映画として具体的に題名をあげ、“重過ぎる…”と指摘しています。
それでは、フツーの映画評論家や、映画ジャーナリストらとは異なった視点から、ユニークな作品がランキングしているスティーヴン・キングの2009年映画ベスト10を、キング自身によるカンタンな寸評もまじえ、お楽しみいただきたいと思いますが…、自らが執筆する小説の内容とは大違いに温厚な紳士で、滅多なことでは他人の作品を否定などしないジェントルマンのスティーヴン・キングが、“出版して、売っていいレベルに達していない…”どころか、“この小説の作者は何か言語障害でも患っているのか?!”といった風にまで、見るに見かねて、辛らつに否定した「トワイライト」の映画化「ニュームーン」はもちろん入っていません…ッ!! →
第10位 「2012」
「タワーリング・インフェルノ」(1974年)や、「大地震」といった70年代の優れた大災害映画に先祖返りしたような作品。堅実な力量の俳優と、目玉が飛び出すようなビックリのSFX。つまらないわけがない!!
第9位 「ファンタスティック・ミスター・フォックス」
アニメーションによる1930年代喜劇映画風のスクリューボール・コメディ!!
ただし、アニメでも子どもよりかは大人向けの作品。
第8位 「サブウェイ123」
トニー・スコット監督の作品として、最も明快でサスペンスに満ちた娯楽作!!
名優ウォルター・マッソーの役柄を見事に引き継いだデンゼル・ワシントンも素晴らしかったが、何と言っても、悪役を全力で演じたジョン・トラボルタが最高!!
このふたりに比べれば、ジョニー・デップとクリスチャン・ベールの「パブリック・エネミーズ」はまるで迫力がなかった…。
第7位 「ロー・アバイディング・シチズン」
愛する妻と娘を失った男が怒りに燃え、法に代わって、自らの手で復讐を遂げようとする…なんて、まったく使い古されたプロットだが、この映画の脚本はそれを実にうまくキリリとまとめ、流血シーンへと導いた。
第6位 「ディストリクト9」
人種偏見へのしっぺ返しを、SFとして利口に語った寓話のモッキュメンタリー。
しかし、何より、SFXがストーリーを語るうえで有効な役割を果たしていることに感心した。「2012」をおいしいチーズとするなら、この「ディストリクト9」はまろやかなワインだね。
第5位 「朗読者」
いやいや、この映画が2008年の作品だってことぐらいわかってるんだけど、ぼくの映画ノートの1年は12月から始まって、12月で終わるんだ。それにこの胸が引きちぎられるように辛い、罪とそのつぐないについての映画を無視するわけにはいかないだろう。ケイト・ウィンスレットの演技は、ぼくが昨年に観た映画の中で誰よりも優れていた。(ケイト・ウィンスレットはご存知のように、本作の演技でアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞)
第4位 「ディスグレイス(恥辱)」
ジョン・マルコヴィッチが演じる南アフリカの大学教授デヴィッドは、自分の立場を利用して、教え子と肉体関係を持ったことから、その職を解かれてしまう。
デヴィッドは自分の行いについて、生徒に謝罪することもなく、街を離れ、娘がひとりで切り開いている農園へと赴く。しかし、そこで親娘は3人の土地の若者に襲撃され、娘は非情にも強姦されて、妊娠する。犯人を突き止め、制裁を加えようとする父のデヴィッドだったが、娘は地元との結びつきの和を重んじて、それを拒み、泣き寝入りすることを選ぶ。それでデヴィッドはようやく、教授である自分が教え子に何をしていたのかを覚る…。そんな悲しい物語が、センチメンタルにおちいることなく描かれる。(南アフリカの作家で、2003年にノーベル文学賞を受賞したJ・M・クッツェーが1999年に出版した、同名文学(ハヤカワepi文庫)の映画化。監督は主にオーストラリアのテレビで活躍している俳優のスティーヴ・ジェイコブス)
第3位 「ザ・ロード」
コーマック・マッカーシーのアポカリプス・ノベルが、一切の無駄をはぶいて、ありのままにスクリーンに再現されている。時に観ていられないほど胸に迫る作品で、ぼくが行った試写では、クライマックスで映写技師さんもすすり泣いていた!!、ヴィゴ・モーテンセンの献身的な父の演技はまさにオスカー級!!
第2位 「ラストハウス・オン・ザ・レフト/鮮血の美学」
過去10年間のデケイドにおいて、リメイク映画としては、まちがいなく最もブリリアントな作品。俳優たちの演技も最上級で、ストーリーも理にかなっている。
登場人物たちは真に恐ろしいモンスターで、もうこれ以上は観たくないから、続編はいらない。「羊たちの沈黙」に匹敵する大傑作だ!!
第1位 「ハートロッカー」
戦争映画において、爆発物処理班を主人公にするのは、最高の着眼点のうちのひとつだが、かつて、この映画ほどその詳細をゾッとするほど丹念に描き切った作品はなく、サスペンスに満ちているどころの形容では済まされない。監督のキャスリン・ビグローは暴力と危険にとり憑かれていく男たちの破滅的な衝動を研ぎ澄まして描いた。人はなぜ、戦場でかくも容易に殺戮者となっていくのか?!
その答えが知りたければ、「ハートロッカー」を観ろ!!
さて、スティーヴン・キングが選んだ2009年映画ベスト10は、みなさんのベスト10と比べて、いかがだったでしょう…?!、第1位が次回アカデミー賞最優秀作品賞有力候補として、多くの映画ジャーナリストが年間ベスト①にあげる「ハートロッカー」だったのを除けば、さすがにキングらしいこだわりが随所にうかがえるラインナップでした…ッ!!、ひとまず、以上の10本のうち、まだご覧になっていない作品は、今後の鑑賞予定のリストに入れておいては…?!
※キングが選んだ年間映画ベスト10の2008年度版はコチラです。
【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!
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