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この短編アニメのタイトルの「Skhizein」(スキゼン)とは、精神科医のオイゲン・ブロイラーが、日本語では統合失調症と言われる病名の“スキゾフレニア”(schizophrenia)という医学用語を作るにあたり、その元としたギリシャ語で、意味は“分裂”です。統合失調症では幻覚や妄想などにより、患者は日常生活に困難を来たすことになるそうです。…といった題名の言葉の意味をよく知ってから観れば、このシュールなアニメも理解しやすいかもしれませんが、仮りに邦題をつけるとするなら、「心ここにあらず」といったところでしょうか…。 → 







昨2008年10月に予告編を紹介した、フランス人のジェレミー・クラピン監督がカンヌ国際映画祭をはじめ、様々な映画祭から賞を贈られた傑作短編アニメ「スキゼン」の全編13分間です。以前の記事で、後日いずれ、ネットで公開してくれることを期待…と書いたのを、もしかして覚えてた人もいるかもしれませんが、その期待に応じて?!、全部丸ごと観られるので、あらためて紹介しておくことにしました。
ただし、字幕は英語だけで、全編フランス語のセリフなので、カンタンに内容を解説すると、この「スキゼン」の主人公はヘンリーという、どこにでもいる平凡な男性。しかし、そのヘンリーがある日、宇宙から飛来した150トンもの超巨大隕石に激突されたことで、未知の力によって、91cmズレてしまうことに…ッ!!
ズレる??の意味は、アニメでご覧のとおりで、ヘンリー自身が自分はそこにいると思う本来の場所には、実は彼の実体は存在しておらず、91cm離れた場所に、彼の行動の影響が現れるのでした…。
このアニメで不思議なのは、150トンもの超巨大隕石が激突したのに、ヘンリーが暮らす部屋のある建物は壊れるどころか、窓1枚すら割れません…。また、ヘンリー以外の誰も、そんな超巨大隕石墜落の事故を知りません…。
それでは果たして、ヘンリーをズレさせた謎の隕石の正体は何だったのか?!、それはもしかすると、愛する人の死や、信頼してた人からの裏切り、また、生命を失う代償を伴った大きな病気、失業…といった、ひとの心に深い痛手を与える“隕石”だったのかもしれません。そうした隕石に見舞われた時、人は心ここにあらずとなり、自分が周囲の現実から少し…、例えば、91cmほど?!浮いてしまったような気分になる…と、ジェレミー・クラピン監督は考えたのではないでしょうか。
そして、職場に適応できなくなり、息子に会いに訪ねてくるという母からのせっかく申し出も断って、“隕石”にとり憑かれたヘンリーは、その飛来の機会を待ちわびて、今度は自ら、その身を再び“隕石”にぶつけてみるのでしたが…。
映画の世界を深めて心に残る、一度聴いたら忘れられない音楽を作ったのは、ニコラス・マーチンという人。
日本における近年の自殺動機となる原因の第1位はずっと、うつ病です。
新年は、どこにも隕石の落ちないことを祈りましょう…。


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