「イングロリアス・バスターズ」が興行戦争に
タランティーノ史上最高のヒットで大勝利!!
↑ 映画館主のメラニー・ロランも大入り満員にひと安心で一服中…!!
*数字は、週末の興行成績-(公開館数)-トータル興行成績 の順です。
第1位(初) 第2位 第3位 第4位 第5位
第1位「イングロリアス・バスターズ」(11月20日公開)
$37,602,000-(3,165館)-$37,602,000
第2位「ディストリクト9」
$18,900,000-(3,050館)-$73,491,000
第3位「G.I.ジョー/ライズ・オブ・コブラ」(公開中)
$12,500,000-(3,953館)-$120,531,000
第4位「タイムトラベラーズ・ワイフ」(邦題「きみがぼくを見つけた日」10月公開)
$10,025,000-(2,988館)-$37,448,000
第5位「ジュリーとジュリア」
$9,000,000-(2,463館)-$59,288,000
第6位(初) 第7位 第8位 第9位 第10位(初)
第6位「ショーツ」(2010年公開予定)
$6,600,000-(3,105館)-$6,600,000
第7位「G-フォース」
$4,205,000-(2,561館)-$107,315,000
第8位「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(公開中)
$3,515,000-(1,936館)-$290,275,000
第9位「男と女の不都合な真実」(9月18日公開)
$2,850,000-(1,971館)-$82,887,000
第10位「ポスト・グラッド」
$2,800,000-(1,959館)-$2,800,000
★映画諜報部員ビリーとは本人関係の佐々木さんが健康不良につき、
解説は新作3本のみとさせてもらいます。
★まずはこの週末の興行概況ですが、いつもマニアにウケるだけで、大して当らないタランティーノ映画が、ブラッド・ピットというスターを主演に配したことで、タランティーノ信者以外の観客を動員する健闘を見せ、映画興行は全体で前年同時期より26%アップという大幅な実績向上を達成できましたが、タランティーノの相棒ロバート・ロドリゲス監督のガキ映画「ショーツ」がモロに期待をハズしてコケたあおりなどから、先週の前回(8月14日~16日)と比べると、約10%近く売り上げを落としてしまっています…。本来ならタランティーノとロバート・ロドリゲスで1、2、フィニッシュ!!と行きたかったところですが…、それにしても今年は8月の終りに差しかかっても、上位12本の売り上げを足した総額で1億ドル台をキープできていますから、映画興行は追い風順風満帆の好調ぶりと言ってよさそうです…!!
★世界初公開のプレミア上映を行なったカンヌ国際映画祭で、賛否半ばのレビューしか得られず、一時は失敗作の烙印まで押されていたクエンティン・タランティーノ監督のオリジナルの歴史に基づく戦争映画「イングロリアス・バスターズ」が、その後の再編集で評価を盛り返し、3,165館のおよそ4,400スクリーンで全米デビューを飾った結果、8月後半に封切られた映画としては史上最高額の新記録を更新する約3,760万ドルのオープニング成績を売り上げ、見事に初登場第1位に輝きましたッ!!
サンディエゴ・コミック・コンといったオタクな映画マニアが集うイベントよりも、格闘技のUFCとタイアップするプロモーションを選んだことが功を奏したわけでもないでしょうが、最近の第二次大戦もの映画として、邦題はやっぱり、「ヴァルキュリー」の方が観る気を起こさせたと思うトム・クルーズの「ワルキューレ」のオープニング成績=2,102万ドル(2,838館)や、国内で最終的に約2,864万ドしかル売り上げられなかったダニエル・クレイグの「ディファイアンス」などと違い、本作はしっかりとメインストリームに乗り上げるヒットを達成することができています。
ちなみに本作のプロモーションで、ブラッド・ピットが「ヴァルキュリー」をバカバカしい映画と発言し、元映画スターのトム・クルーズにケンカを売る意味にもとられ、問題になりましたが、プラピの代理人が慌てて、本人は実は同映画を観ていない…と、ブラピの発言を打ち消してしまいましたね。ブラピは本当に「ヴァルキュリー」を観ていないのに、バカ映画と言ったんでしょうか…?!
さて、タランティーノとしては、「キル・ビル Vol. 2」(2004年)で記録したオープニング成績=約2,510万ドルを大きく上回る自己ベストを、「地獄のバスターズ」(1976年)と「特攻大作戦」(1967年)を一緒くたにするリメイクの発想からスタートした本作で更新できたことになり、製作費に約6,700万ドルを費やしたのに、全世界で約2,542万ドルしか売り上げられなかった前作の大失敗作「グラインドハウス」の借りを返して、「パルプ・フィクション」(1994年/製作費800万ドル/1,494館/オープニング成績931万ドル/国内1億792万ドル/海外1億600万ドル)以来となる大台の1億ドル超えを目指すことができそうな気配です。
「グラインドハウス」の大失敗に加え、様々な問題から深刻な経営難に陥り、PA(フィルムのプリント代と宣伝費)の経費を工面することが出来ず、新作映画を作っても配給がままならない倒産一歩手前の危機回避を、タランティーノに託したワインスタイン・カンパニーは、ひとまず大バクチに勝った格好ですが、ただし、来週以降、アメリカでは新生活がスタートする9月に入り、映画館は客足が一気に引く恐れがあることから、今後の数字の上乗せには不安がなくもありません…。
が、それでもメジャーのユニバーサル映画に海外配給権を譲る代わりとして、「イングロリアス・バスターズ」の製作費=約7,000万ドルの半分を同社に折半してもらっていますから、ワインスタイン・カンパニーとしては、本作で黒字を上げられるのはまず間違いなさそうで、借金を早く取り立てたい出資者らに待ったをかけることができそうです。
その海外配給を受け持つことになったユニバーサル映画は、この週末に「イングロリアス・バスターズ」でイギリス・フランス・ドイツ・オーストラリアなどで興行ランキングで初登場第1位を獲得するヒットを達成し、トータルすれば世界の22の地域で約2,750万ドル以上を売り上げています。タランティーノはこの週末だけで6,500万ドル以上を稼いでいたわけですね…ッ!!
とまぁ、好調なスタートを切った「イングロリアス・バスターズ」について、ワインスタイン・カンパニーは、すでにクエンティン・タランティーノが口にしている続編のほか、前日譚のプリクエールも作る…みたいなことも言っていますが、本作の実現までに10年以上かかったことを踏まえると、そんないつものタランティーノの与太話?!を誰もまともには聞いていません…。
なお、ワインスタイン・カンパニーの調査によれば、「イングロリアス・バスターズ」の観客の約6割が男性で、25歳以上のアダルト層の観客が7割以上を占めているとのことで、そうした割合は前年同時期に公開された戦争コメディの「トロピック・サンダー」とも似通っていますが、ブラッド・ピット人気に加え、どうやら戦争映画を懐かしむ高年者を観客に取り込めているらしいことも、「イングロリアス・バスターズ」の成功の一因と言えるかもしれません。
下 ↓ の動画は、本作に出演しているイーライ・ロス監督が演出した映画中映画「民族の誇り」の予告編ですが、口コミを狙ったヴァイラル・マーケティングとは言え、ナチスのプロパガンダ映画を宣伝するのは常識に欠けている…と、ワインスタイン・カンパニーは非難を受けてしまいました…。
本作の詳細については、右のサイドバーのカテゴリから「イングロリアス・バスターズ」をお選びください。
↑ 本作をキッカケに美しいメラニー・ロランが国際女優になればいいですね!!
★盟友クエンティン・タランティーノ監督の大躍進の成功と裏腹に、ロバート・ロドリゲス監督のガキ映画シリーズの最新作「ショーツ」が、オープニング成績がたったの約660万ドルで初登場第6位という6並びのオーメンな結果となってしまいました…ッ!!
どんな願い事でも叶う七色に光る不思議な石を手に入れた子どもたちが巻き起こす騒動を描いた本作の成績がどれぐらい悲惨かと言うと…、ロバート・ロドリゲス監督の過去のガキ映画の興行データと比べてみれば、一目瞭然です…ッ!!
「スパイキッズ」(01年3月30日公開/製作費3,500万ドル)
国内 1億1,271万ドル+海外 3,521万ドル=1億4,793万ドル(黒字!!)
「スパイキッズ2/失われた夢の島」(02年8月7日公開/製作費3,800万ドル)
国内 8,584万ドル+海外 3,387万ドル=1億1,972万ドル(黒字!!)
「スパイキッズ 3-D/ゲームオーバー」(03年7月25日公開/製作費3,800万ドル)
国内 1億1,176万ドル+海外 8,525万ドル=1億9,701万ドル(大儲け!!)
「シャークボーイ&マグマガール 3-D」(05年6月10日公開/製作費5,000万ドル)
国内 3,917万ドル+海外 3,024万ドル=6,942万ドル(赤字!!)
以上のガキ映画4作品は、「スパイキッズ」がミラマックス製作で、残り3本がディメンション・フィルムズの作品ですから、つまりはすべてワインスタイン・カンパニーの映画でした。最後の「シャークボーイ&マグマガール」は失敗だったものの、シリーズをトータルすれば約1億6,100万ドルをつぎ込んで、5億3,408万ドルを売り上げたのですから、ワインスタイン・カンパニーは、ロバート・ロドリゲス監督のガキ映画路線でしっかりと儲けさせてもらったことになります。
にも拘わらず、経営難に陥ったワインスタイン・カンパニーから引き継ぐような格好で、新作の「ショーツ」を製作したワーナー・ブラザースですが、漁夫の利を得るどころか、残り物の福もなく、ただロバート・ロドリゲス監督のガキ映画シリーズにトドメを刺す終止符を打ってしまっただけのような感じです…。この「ショーツ」にワーナー・ブラザースがいくら費やしたのか?!、製作費は非公開なのでわかりませんが、いくらにしろ、大赤字になることはまず間違いないでしょう…。
ロバート・ロドリゲス監督とワーナー・ブラザース、それに本作に関わった人たちにとっては大変、残念で気の毒ですが、この沈没によりロバート・ロドリゲス監督のガキ映画は当分、おあずけとなってしまうでしょうから、同監督本来の持ち味である大人向けのバイオレンス映画をもっと作ってほしい…ッ!!と思っているファンは、ほくそ笑んでいるかもしれませんね…?!
《参照記事》
ロバート・ロドリゲス監督の意外におもしろそうなガキ映画「ショーツ」の新しい予告編とポスター!!(09.06.14)
ロバート・ロドリゲス監督最新作のガキ・ファンタジー映画「ショーツ」が予告編を初公開!!(09.04.09)
ロバート・ロドリゲス監督のガキ映画「ショーツ」が写真を初公開!!(08.12.14)
ロバート・ロドリゲス監督の最新作はガキ映画の「ショーツ」!!(08.05.31)
★同じジーンズをかわりばんこに履く間柄の親友のぶさいくなベティでさえ、おしゃれな出版社に就職できたのだから、かわいい私にデキない訳がないと甘く考えていた?!アレクシス・ブレデルの主人公の女子大生ライデンがものの見事に就職に失敗して、厳しい人生の現実に直面することになる青春コメディ「ポスト・グラッド」を、20世紀FOX傘下のフォックス・サーチライト・ピクチャーズが1,959館で封切ったところ、オープニング成績がわずか約280万ドルで、初登場第10位という厳しい現実にさらされてしまいました…。
本作の監督は、「シュレック」(2001年)や、「シャーク・テイル」(2004年)など、アニメ映画を大ヒットさせてきた女流のヴィッキー・ジェンソンですが、現実にカメラをまわす実写映画ではアニメのような成果はあげられませんでした…。
アレクシス・ブレデルのパパを演じたマイケル・キートンの存在感は評価されている本作ですが、映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は驚くなかれ、一ケタ台の9%です…。やっぱり、アレクシス・ブレデルがかわいいだけではダメだったようですね…。て言うか、フツーに考えて、アメリカでは新生活がスタートする9月に向けて、就職できない…仕方ないから実家に帰るべ…みたいな哀れな主人公が登場する映画を観たがる観客がそう大勢いるとは思わないので、1,959館という控えめな公開館数より、さらにもっと小規模な公開から本作はスタートした方が無難だったのかもしれません…。
ちなみに、かわいいアレクシス・ブレデルを出し抜いて、憧れの出版社に就職し、夢を奪ってしまうライバルのジェシカを演じているのは、「JUNO/ジュノ」(2007年)のジェイソン・ライトマン監督の妹…、という事はつまり、「ゴーストバスターズ」(1984年)のアイヴァン・ライトマン監督の娘、キャサリン・ライトマンです。デビュー作は7歳の時に出演したパパの映画「ツインズ」(1988年)でした…ッ!!
★今週末に全米公開される新作は、逃れられない死の運命の恐怖を描くホラー・シリーズの最新作「ザ・ファイナル・デスティネーション4 3D」(邦題「ファイナル・デッドサーキット」10月17日公開)と、ロブ・ゾンビ監督のリメイク・ホラーの続編「ハロウィンⅡ」が真っ向勝負のホラー対決に挑みます…ッ!!、上映館数は共に3,000館程度ですが…、3D割り増し料金を徴収できるワーナー・ブラザースの「ザ・ファイナル・デスティネーション」の方が有利な感じで、「ハロウィンⅡ」を公開するワインスタイン・カンパニー(ディメンション・フィルムズ)は、好調なスタートを切った自社の「イングロリアス・バスターズ」の足を、同映画とは観客層の似通ったホラー映画を封切ることにより、自分たちで引っ張ってしまいそうです…。その他に、アン・リー監督の新作「テイキング・ウッドストック」が週の半ばの水曜日(26日)から先行で限定公開され、週末にスクリーン数を拡大する予定です。
さて、8月最後の週末をシメてくれるのは姿を見せない死神か?!、それとも気の早いハロウィンか?!、次回のランキングもお楽しみに…ッ!!
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