************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************

カールじいさんが2週連続で首位を飛行!!

泥酔コメディ「ハングオーバー」がヒット!!


カールじいさんの空飛ぶ家-トップ

*数字は、週末の興行成績-(公開館数)-トータル興行成績 の順です。

 第1位    第2位(初)   第3位(初)  第4位    第5位
第1位-第5位

第1位カールじいさんの空飛ぶ家」(12月公開)
   $44,244,000-(3,818館)-$137,316,000
第2位ザ・ハングオーバー
   $43,275,000-(3,269館)-$43,275,000
第3位ランド・オブ・ザ・ロスト
   $19,524,000-(3,521館)-$19,524,000
第4位ナイトミュージアム2/バトル・オブ・ザ・スミソニアン」(8月13日公開)
   $14,650,000-(3,807館)-$127,341,000
第5位スター・トレック」(公開中)
   $8,400,000-(3,202館)-$222,802,000


 第6位    第7位    第8位     第9位(初)   第10位
第6位-第10位

第6位ターミネーター4/サルベーション」(今週末13日公開)
   $8,175,000-(3,304館)-$105,495,000
第7位ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル
   $7,342,000-(2,510館)-$28,534,000
第8位天使と悪魔」(公開中)
   $6,500,000-(2,925館)-$116,125,000
第9位マイ・ライフ・イン・ルーインズ
   $3,225,000-(1,164館)-$3,225,000
第10位ダンス・フリック
   $2,000,000-(1,707館)-$22,667,000

各映画の解説はこちらです!! → 




5月から始まったサマームービー・ウォーズの開幕映画「X-MEN/ウルヴァリン」が、ついにBEST10ランキングから脱落し、新たなセカンド・ステージを迎えた6月の第1週はコメディ映画ウイークとなりましたが、2本のメジャーな新作コメディは明暗を分ける形になってしまいした…。その詳細は後ほどとして、映画興行は先週の前回(5月29日~5月31日)との比較では、全体で約0.5%の収入減で、前年2008年同時期との比較ではマイナス6%の売上げダウンですが、まぁまぁ、横ばい…といった感じです。そのような横ばい市場で、順位もキッチリと横ばいの動きを果たし、今年に入って3本め(他は「ポール・ブラート」、「マディア・ゴース・トゥ・ジェイル」)となる2週連続の首位に居座って、動いてくれなかったのは…、

カールじいさんの空飛ぶ家-178歳のガンコじじいのカールでした!!
先週の封切り興行で約6,810万ドルの成績をおさめたディズニー・ピクサーのCGアニメ「カールじいさんの空飛ぶ家」は、52館が後追いで上映をスタートし、2週めの売上げマイナス率として60%ぐらい下落しても仕方のないところを、なんと!!、約35%以内に収めて、並のオープニング成績以上の4,424万ドルのクリーン・ヒットを、この週末も達成しました!!
この約35%というマイナス率は、昨2008年のディズニー・ピクサー・アニメ「WALL-E/ウォーリー」の2週めのマイナス率=約49%を大きく下回るもので、同社の過去の作品においては、「ファインディング・ニモ」(2003年5月30日公開/3,425館/製作費9,400万ドル)の2週めマイナス率=約34%に匹敵する好水準です。
「ファインディング・ニモ」のオープニング成績は約7,025万ドルでしたから、それに近い数字を上げている「カールじいさんの空飛ぶ家」が、今後も似たような興行トラックのレコードを歩んだ場合、「ファインディング・ニモ」の莫大な国内興行成績約3億3,971万ドルに近い数字を上げる可能性が期待されることになります。
ただし、6年前と現在とでは興行の競争状況が激化していますから、そこから低く見積もったとしても、この「カールじいさんの空飛ぶ家」は3D上映の割増料金を徴収できる強みもあるので、今週第5位の「スター・トレック」に続いて、今年2009年で2番めに興行成績2億ドルを突破する作品になることは確実…と断言してもよさそうです。
そんな大成功の「カールじいさんの空飛ぶ家」ですが、じいさんが主人公であることから、これまでのディズニー・ピクサーのアニメとは違い、キャラクター・グッズの展開が不利…と言われていますが、下 ↓ の写真のレゴで作ったカールじいさんはけっこう愛嬌があり、老人キャラのフィギュアもそう売れなくはないのでは…?!と、少し期待を持たせてくれています。で、このレゴのカールじいさんを作ってくれたのは、前述の「WALL-E/ウォーリー」の公開時に冒頭につけられていた短編アニメ「BURN-E/バーニー」(ココでご覧いただけます)の監督をつとめたアンガス・マクレーンさんです。ふだんはピクサーのアニメーターであるアンガスさんは、プライベートではレゴ・ビルダーとしても知られている人で、ココで彼の他のレゴ作品を観ることができます。興味のある方は一度、お訪ねください。

カールじいさんの空飛ぶ家-レゴ


ザ・ハングオーバー-1第2位に初登場したコメデイ・ミステリー「ザ・ハングオーバー」は、製作費が約3,500万ドルしか使われておらず、製作のリジェンダリー・ピクチャーズと配給のワーナー・ブラザースでは、オープニング成績として、せいぜい2,000万ドルも稼いでくれれば、御の字と軽い期待しか寄せていなかった作品ですが、3,269館が4,500スクリーンで封切った結果は、希望の倍以上の約4,327万ドルを叩き出してしまいました!!
ワーナー・ブラザースとしては、今夏の勝負を賭けていた今週第6位の沈没映画「ターミネーター4/サルベーション」のガッカリのオープニング成績=約4,255万ドルよりも、この安上がりな二日酔いコメディ映画の方が稼いでしまった、うれしい大誤算です!!
もはや絶対に黒字確実のスマッシュ・ヒットになった本作は、封切りの初日5日(金曜日)には約1,653万ドルを稼いで、興行ランキングの首位に立ち、そのまま週末を独走するかと思われましたが、家族連れがくり出す土・日で、ディズニー・ピクサーの「カールじいさんの空飛ぶ家」に抜かれてしまい、初登場第1位は奪えませんでした…!!、しかしながら、「カールじいさんの空飛ぶ家」のレイティングはPGで、視聴制限がないに等しいのに対して、本作はR指定(17歳以下要保護者同伴)で大人の観客しか対象にしていませんから、それぞれの映画の市場が異なることを踏まえると、この第2位は実質的に首位に匹敵する成果と見なされて構わないでしょう。また、単館のアベレージ売上げでも、「ザ・ハングオーバー」は1館で約1万3,238ドルを売上げており、「カールじいさんの空飛ぶ家」の平均値=1万1,588ドルを抜いていますから、第2位に下ったのは公開館数のスクリーンの数の差が理由だった…ということになりそうです。
そんな今夏の映画興行にとって光明となった「ザ・ハングオーバー」は、二日酔いで記憶を失った夜の間に何があったのか?!を、タイムリミットの中で解き明かすコメディ・ミステリーです。
物語の主人公となるのは、結婚を間近に控えたダグと、その悪友のフィルとスチュー、それにダグが結婚後は義理の兄弟になるアランの野郎4人連れです。
彼らがダグの独身最後の日を華々しく祝おうとラスベガスまで独身パーティーを行いにくり出しますが、チェック・インした有名なカジノホテルのシーザーズ・パレスの屋上で日焼けを楽しんでいたはずなのに…、気づけば突然、翌朝で、一同は泥酔してホテルの部屋でぶっ倒れていた…ッ!!、そして、なぜか?!、部屋の中には猛獣のトラと生後半年の赤ん坊がいるのに?!、ダグの姿は見当たらないッ!!、いったい、記憶を失った夜の間に何があったのか?!、フィルとスチュー、アランの3人は、それぞれの切れ切れの記憶をつなぎ合わせ、どうにか結婚式が始まるまでにダグを見つけ出そうと捜索を開始します…。

ハングオーバー予告編



行方不明になる新郎のダグを演じているのは、ニコラス・ケイジの大ヒット作「ナショナル・トレジャー」シリーズのジャスティン・バーサ、悪友のフィルは、恋愛群像劇のラブコメ「そんな彼なら捨てちゃえば?」が8月1日(土)から日本公開になるブラッドレイ・クーパー(↓写真右)、スチューは、スティーヴ・カレル主演のシットコム「The Office」のレギュラー・キャスト、エド・ヘルムス(↓写真中)。映画ではウィル・フィレルの「俺たちダンクシューター」(2008年)に出演していたほか、今週第4位の「ナイトミュージアム2」にもチョイ役で登場しています。そして、ダグの義理の兄弟アランを演じているのは、「イン・トゥ・ザ・ワイルド」(2007年)に出演していたザック・ガリフィアナキス(↓写真左)です。また、「ブギーナイツ」(1997年)で裸を観せてくれたヘザー・グレアムがストリッパー役で出演しているのに加え、マイク・タイソンも登場ですね!!

ザ・ハングオーバー-トップ

この注目が集まっている「ザ・ハングオーバー」の監督トッド・フィリップスは、題名そのまんまに青春ロード・コメディの「ロード・トリップ」(2000年)や、ウィル・フェレルとヴィンス・ヴォーン、それにルーク・ウィルソンの3人のダメ中年が、楽しかった青春時代に戻ろうと、いい歳こいて学生たちとつるんで遊び始める「アダルト♂スクール」(2003年)などで才能を認められ、ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンが共演したアクション・コメディ「スタスキー&ハッチ」(2004年)の監督に抜擢されましたが、同映画でつまずいてしまい、その後、ビリー・ボブ・ソーントンが主演した「スクール・フォー・スカウンダレルス(School for Scoundrels)」(ろくでなしのスクール)も失敗に終わらせて、キャリアを挫折させてしまいました。それが再び、ハレンチなコメディで第1線への返り咲きに成功した訳ですが、自分にどういう映画が向いているか?!、これで本人もよくわかったのではないでしょうか…?!
本作の脚本を担当したのは、先週までBEST10に入っていたのに、今週は第12位までランクダウンしてしまった、プレイボーイのマシュー・マコノヒーが3人の女性のゴーストから女遊びを戒められるコメディ「ゴースツ・オブ・ガールフレンズ・パスト」を執筆したジョン・ルーカスとスコット・ムーアです。
この脚本家コンビとしては、サマーシーズンの開幕映画として、先月5月1日に封切った「ゴースツ・オブ・ガールフレンズ・パスト」が、ようやくBEST10から消えると同時に、この「ザ・ハングオーバー」が好成績の第2位で入れ替わりに登場ですから、まさに今夏のサマームービーのコメディ映画のヒット作を担っている脚本家コンビだと言えそうです。昨2008年末から今年にかけて大ヒットしたリース・ウィザースプーンとヴィンス・ヴォーンが主演したホリデイ・コメディ「フォー・クリスマスズ」も、このコンビの作品でしたね。

ザ・ハングオーバー-2


ランド・オブ・ザ・ロスト-1第3位に初登場した、ウィル・フェレル主演のファンタジー・コメディ「ランド・オブ・ザ・ロスト」は、3,521館が約4,800スクリーンでオープニング興行を行なった結果が、1,952万ドルという、ファミリー映画なのに2,000万ドルさえ割り込む大コケ…。
本作に1億ドル以上の巨額を費やして製作・配給したユニバーサル映画の配給部門代表ニッキ・ロッコ氏は、同社が定めた最低ノルマの3,000万ドルを大きく下回る数字しか出せなかったことに対し、「ランド・オブ・ザ・ロスト」は大失敗…と、サッサとサジを投げてしまった見解を発表しています。
今夏のサマームービーとしては、第6位の「ターミネーター4/サルベーション」に続く沈没映画となってしまった「ランド・オブ・ザ・ロスト」は、太古から時間が止まったような“失われた島”で、絶滅したはずの恐竜やモンスターと遭遇する家族のサバイバルを描いて人気を博した、70年代の同名テレビ・シリーズをアダプテーションした現代版リメイク映画です。
ウィル・フェレルが演じる、マッド・サイエンティストと言うよりは、タダのアホみたいな古生物学者のマーシャル博士が発明したタイムマシンでパラレルワールドに迷い込んでしまった、ウィル・フェレル博士とアシスタント2人のトリオのマヌケな冒険がくり広げられることになります。
本作でウィル・フェレルのお笑いの相方をつとめているダニー・R・マクブライドは、昨2008年夏の大ヒット・コメディ「パイナップル・エクスプレス」や、「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008年)で、広く一般に知られるようになったコメディアンですが、彼が注目されるキッカケとなった、変なテコンドーの達人のコメディ映画「ザ・フット・フィスト・ウェイ」は2006年に製作されながら、公開のメドが立たなかったのを、ウィル・フェレルが配給権を買い上げ、2008年5月にやっと封切られ、彼の人生を変えたので、ダニー・R・マクブライドとしては恩のあるウィル・フェレルとの共演を果たした本作を、大ヒットに導きたかったことでしょうが、結果は最悪となり、上り調子の自分のキャリアにまで傷をつけてしまいました…。
もうひとりの女性アシスタント、ホリーを演じ、ウィル・フェレルの恋のお相手をつとめたのは、サッカー映画「GOAL!ゴール!」シリーズのアンナ・フリエル。
東映の「北京原人 Who are you?」(1997年)もドンびきしそうなアホくさいキャラクターの原始人チャカを演じているのは、長寿コメディ番組「サタデーナイト・ライヴ」のレギュラー・コメディアン、ヨーマ・タッコンです。
本作を断って正解だったロバート・ロドリゲス監督に代わり、メガホンを受け取ってしまったのは、「ベルリン/天使の詩」(1987年)のリメイク映画「シティ・オブ・エンジェル」(1998年)はそれなりに成功させていたブラッド・シルバーリング監督です。
本作の予告編に引き続き、オリジナルのテレビ・シリーズのオープニングをご覧になり、観比べてみてください…!!

ランド・オブ・ザ・ロスト予告編




テレビ・シリーズランド・オブ・ザ・ロストオープニング



ランド・オブ・ザ・ロスト-2


第4位の「ナイトミュージアム2/バトル・オブ・ザ・スミソニアン」は、先週第2位だったところへ、新作2本に上乗りされての2ランクダウンです。公開3週めにして294館が打ち切り、売上げが約4割のマイナスに転じた本作は、現時点までの国内での興行成績トータルが約1億2,734万ドルですから、製作費の1億5,000万ドルに対しては少し心もとないながらも、それなりに順調な推移を見せています。
しかし、前作の国内興行記録=約2億5,086万ドルには、とても届きそうには思えず、続編の成績は大幅ダウンとなってしまいそうです。それでも出足で、余裕で1億ドルを超える集客力を見せましたから、シリーズにもう1本ぐらい、続きが作られても不思議はないですね。

今年2009年公開映画で興行収入2億ドル突破の1番乗りを果たした、現時点で全米№1ヒット作となっている「スター・トレック」は、先週と変わらず第5位をキープです!!、公開5週めで、さすがに305館が上映をストップし、売上げが約33%失速したエンタープライズ号は、週末の興行成績のトータルが100万ドル台というノロノロ運転の低空飛行に入ってしまい、後は持久力が試されるステージに入ってしまいました。2万622個の風船をつけただけなのに、猛スピードで追いかけて来るカールじいさんの家を振り切れるか?!、これからが本当の勝負です!!
ところで、新生「スター・トレック」と言えば、特徴的なのはその映像にキラキラとした光が差し込むレンズフレアのエフェクトですが、下 ↓ は、同じようにレンズフレアを重ねてみれば、古い昔の「スター・トレック」も新しい「スター・トレック」に見えない?!というジョークの実験動画?!です。ただ妙にまぶしいだけのような感じもしますが、このレンズフレアの演出テクニックは、今後、いろんなところで真似されそうですね。




第6位の「ターミネーター4/サルベーション」と、第7位のサム・ライミ監督のホラー映画「ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル」は、先週の前回のランキングで後者を第3位、「T4」を第4位とお伝えしましたが、その後、実際の現金が数えられた結果、順位が入れ替わり、先週のランキングは「ターミネーター4/サルベーション」が第3位、「ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル」が第4位…というのが正しい順番と変更されました。
しかしながら、その差額はわずかに60万7,885ドルでしたから、まぁ、別にどっちがどっちでも…といったドングリの背比べで…、製作費2億ドルの超大作「T4」と、具体的な金額は非公開なものの低予算映画(推定では3,000万ドル前後)であるのは間違いない「ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル」が競り合っている…?!という時点で、かなりレベルの低い話となってしまっています。
「ターミネーター」シリーズは先月5月初めにココで、続編の次回作「T5」の時代設定は、映画を公開する予定の2011年にあわせ、現代の物語になる予定だとお伝えしましたが、どうやら、その舞台はアメリカではなく、イギリスのロンドンになりそうだ…といったウワサがココを起点にネット上で広まっています。しかし、公開3週めでようやく何とか1億ドルを乗り越えられた不甲斐ない「T4」に、果たして、そんな続きがあるのか…?!、まずはそちらを議論すべきだ…といった意見が、そのウワサを紹介する記事には添えられていたりするので、シリーズの継続にはかなり疑問の厳しい目が向けられています…。
298館が撤退し、売上げがまた半減した結果、100万ドル台の売上げになってしまった「ターミネーター4/サルベーション」は、サルベーション=救済の術を今後の海外マーケットに求めるしかなさそうです…。

ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル-1

一方、映画の格付けサイト、 RottenTomatoes で、今だに93%の驚くべき高い評価の支持率を維持している名作映画?!の「ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル」(↑写真)は、2週めで約54%もの売上げをダウンさせ、やはり、100万ドル台の数字に早々と落ちてしまいました。ビジネス的には、その映画の出来栄えほどの輝かしい成功は達成できなさそうですが、2週めにはガクンと客足が引くホラー映画の落ち込みのセオリーとしてはフツーの展開なので、いかに内容を評価されたところで、ジャンルがジャンルだけに仕方がない…といった感じでしょうか…?!

ドラッグ・ミー・トゥ・ヘルテレビスポットCM




第8位の「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年)の第2弾「天使と悪魔」は第1位の栄冠に輝きました!!…などと書くと、第8位で第1位?!と日本語が矛盾してしまいますが、本作は全世界の興行収入のトータルが約4億900万ドルに達し、世界興行ランキングでは今年2009年の暫定№1ヒット作の首位に踊り出ています!!
その約4億900万ドルの内訳は、ご覧のようにアメリカ国内での売上げが約1億1,612万ドルで、海外からの収入が約2億9,290万ドル。前作「ダ・ヴィンチ・コード」は最終興行成績=約7億5,823万ドルのうち、約5億4,070万ドルが海外売上げで、全体の約7割を占めていましたから、それと同じように「天使と悪魔」もアメリカ以外での方が注目度が高く、人気を集めているようです。しかしながら、世界興行ランキングの第2位「モンスターVSエイリアン」、第3位「ワイルドスピード4」、第4位「X-MEN/ウルヴァリン」と、いずれも日本ではまだ封切られていないように、未公開の市場を残している作品ですし、今年最大ヒット作になる可能性が高い「トランスフォーマー2」の公開も近日に控えていることなどを踏まえると、「天使と悪魔」の第1位はあくまでも暫定として、今後、順位を下げるのは必至の模様です。
アメリカ国内では公開4週めの「天使と悪魔」は、539館が上映を打ち切り、先週からの収入のマイナスは約43%です。
下 ↓ の動画は、本作の映像のうち、どの部分がCGで描かれ、SFXの処理が施されているか?!、レイヤーを分解して観せてくれているメイキング・ビデオです。




マイ・ライフ・イン・ルーインズ-1第9位に低調な初登場を果たしたドラメディ「マイ・ライフ・イン・ルーインズ」は…、
ひとつ上 ↑ の「天使と悪魔」のトム・ハンクスと、妻の女優リタ・ウィルソンの夫婦がプロデューサーをつとめたことで話題になったヒット作「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」(2002年)の第2弾のような作品です。
元は演劇だった「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」の戯曲と映画脚本を共に執筆し、自らのバックグラウンドであるギリシャ系家族の古いしきたりや、ギリシャ系の人たちに共通のユニークなキャラクターをおもしろおかしく世間に紹介して、主演もつとめた才女ニア・ヴァルダロスと、トム・ハンクス&リタ・ウィルソンの夫婦が再び…、ではなくて、「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」のテレビ版シリーズ「マイ・ビッグ・ファット・ライフ!」を含めて、3度めのチームを組みました。
「ザ・シンプソンズ MOVIE」(2007年)の脚本チームに参加していたマイク・リースが自分の旅行体験をベースにしたオリジナル脚本を採用し、それにニア・ヴァルダロスが手を加えてリライトした本作で、彼女が演じているのは、元歴史教師のギリシャ系アメリカ人のジョージア。自分のルーツを求めて、ギリシャにやって来た彼女は、一時しのぎのツアーガイドのアルバイトで生活を送っています。
そんな彼女が、ドアホなアメリカ人や、理解不可能な言動のオーストラリア人、また、家庭不和なのに家族旅行に来てるイギリス人一家に、すぐ万引きをする老女といった、訳のわからない観光客らに加え、つきあいにくいギリシャ人運転手と共に、ギリシャの遺跡をめぐる5日間のツアーに出かけることになりますが、その道中が波乱に満ちたドタバタになってしまうのはご想像の通り…。そんな他人にイライラさせられてばかりいるジョージアですが、ツアー客のひとりである人生経験豊かなアメリカ人の熟年男性アーヴィンのやさしいアドバイスにより、彼女は自分のイライラの原因が、実は他人ではなく、上手くいかない自分の人生へのイラだちだったことに目覚めます…。そうして人を見る目が変わったジョージアは、自分のすぐそばに人生のハンドルを共に切ってくれそうな男性がいることに気づいて…。

マイ・ライフ・イン・ルーインズ-2

…という訳で、基本的には男性向けのアクション映画が多いサマームービーの中では貴重な女性映画の本作ですが、公開館数が1,164館で少ないとは言え、オープニング成績はご覧のように、たった322万ドルと厳しいものとなってしまいました。低予算で作られた本作の製作費は推定でおよそ1,700万ドルですが、それでも、このスタートではまず間違いなく、収支は赤字となってしまいそうです…。
前述の、言わば前作とも言えそうな「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」は観ていて、確かに気分のよい作品ではありましたが、物語自体は葛藤にほとんど欠け、物足りない内容となっていました。それと同じように本作も、予定調和的な善意の物語が起伏なく展開するだけで、特に見どころのない作品…と評されています。
ギリシャ系の人たちの知られざる内情…という目新しさが飽きられ、冷静になった観客が、ニア・ヴァルダロスのギリシャ映画?!を選ばなかったのは、そうした作品の実質の低さを考慮すると、やむを得ないかもしれません…。
ニア・ヴァルダロスは、脚本・主演だけでなく、メガホンまでとった監督デビュー作となるロマンチック・コメディ「アイ・ヘイト・ヴァレンタインズ・デー」(I HATE VALENTINE'S DAY)が、来月7月3日に限定公開を控えていて、2ヵ月連続の新作リリースとなりますが、このぶんでは来月も観客からソッポを向かれそうです…。
“My Life in Ruins”=“遺跡で廃墟になってく私の人生”というダジャレになっている題名の失敗作で、自分のキャリアを廃墟にした監督は、ラブコメの大ヒット作「10日間で男を上手にフル方法」(2003年)のドナルド・ペトリ。
ニア・ヴァルダロスのメンターとして、人生の助言を与えるアーヴィンは、チェイニー副大統領を演じた「ブッシュ」(2008年)が日本公開中のリチャード・ドレイファスです。その他の共演者は、長寿コメディ番組「サタデーナイト・ライブ」の元レギュラーのコメディエンヌで、「チャックとラリー/おかしな偽装結婚!?」(2007年)に出演していたレイチェル・ドラッチ。「マダガスカル2」(2008年)や、「ルイスと未来泥棒」(2007年)など、近年は声優として活躍することが多いハーランド・ウィリアムズ。そして、ギリシャの人気俳優アレクシス・ゲオゴーリス??(Alexis Georgoulis ← ギリシャの名前は難しくて読めません)が、ニア・ヴァルダロスの意中の人となるバスの運転手を演じて、国際デビューを飾っています。
来週は圏外に消えて、BEST10に顔を出すのは、今回だけになりそうですね。

マイ・ライフ・イン・ルーインズ予告編




いわゆる「計画」シリーズ等で知られるウェイアンズ・ファミリーのパロディ映画「ダンス・フリック」は公開3週めで、752館が打ち切り、約58%の売上げダウンで、先週の第7位から、最下位の第10位に転落。来週は間違いなくBEST10から消えるであろう本作の製作費は約2,500万ドルなので、最終的な興行成績はその元手と同じぐらいか、少し超える程度の…つまりは赤字興行で終わりそうです。
まぁ、足りないぶんはDVDなどで穴埋めされて、たぶん、また新たなバカ映画が作られてしまうんでしょうね…。

最後はいつものように次回の予告です。今週末の全米公開映画のまず1本めは…、地下鉄の車両を乗っ取り、人質を盾に身代金を要求する犯人のロバート・ショウと、地下鉄公安局の捜査官に扮したウォルター・マッソーとの対決をジョセフ・サージェント監督が描いたサスペンス映画の名作「サブウェイ・パニック」(1974年)を、ソニー・ピクチャーズがデンゼル・ワシントンとジョン・トラボルタで再現したリメイク映画「サブウェイ123」が登場!!、監督は、デンゼル・ワシントンと「クリムゾン・タイド」(1995年)などでも名コンビを組んできたトニー・スコットです。
そして、もう1本は…、注目を集めようと?!映画俳優引退を口にしたら、世間から諸手をあげて賛同されてしまった、もはや誰からも期待されていない落ち目のエディ・マーフィが、仕事と育児に板ばさみのシングルファーザーを演じるファミリー映画のファンタジー・コメディ「イマジン・ザット」が公開されます。
金融の仕事にかまけてばかりで幼い娘をほったらかしのエディ・マーフィーは、娘が頭の中で作り出す空想上のお友だちに予知の不思議な能力があり、彼の仕事に有益なヒントを与えてくれることから、それを利用しようと打算的な下心で娘と遊ぶ時間を増やすことにしますが…。子ども向けケーブルテレビのニコロデオンとパラマウント映画が製作した「イマジン・ザット」の監督は、ドリームワークス・アニメの「森のリトル・ギャング」(2006年)を担当したキャリー・カークパトリックです。
ちょっと、どちらも今ひとつ冴えない新作なので、今週末の映画館はあまり賑わいそうにないですね。それでも、ひとまず次回のランキングもお楽しみに…ッ!!




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