エンタープライズ号がワープでダッシュ!!
シリーズ史上最高の成績で航宙に船出!!
*数字は、週末の興行成績-(公開館数)-トータル成績 の順です。
第1位 第2位 第3位 第4位 第5位
第1位「スター・トレック」(5月29日公開)
$72,500,000-(3,849館)-$76,500,000
第2位「X-MEN/ウルヴァリン」
$27,000,000-(4,102館)-$129,624,000
第3位「ゴースツ・オブ・ガールフレンズ・パスト」
$10,450,000-(3,175館)-$30,246,000
第4位「オブセスド」
$6,600,000-(2,602館)-$56,247,000
第5位「セブンティーン・アゲイン」(5月16日公開)
$4,405,000-(2,903館)-$54,167,000
第6位 第7位 第8位 第9位 第10位
第6位「ネクスト・デイ・エアー」
$4,000,000-(1,138館)-$4,000,000
第7位「路上のソリスト」(5月30日公開)
$3,605,000-(2,090館)-$23,501,000
第8位「モンスターVSエイリアン」(7月11日公開)
$3,379,000-(2,185館)-$186,892,000
第9位「アース」(日本公開済み)
$2,488,000-(1,794館)-$26,086,000
第10位「ハンナ・モンタナ/ザ・ムービー」
$2,414,000-(2,301館)-$74,083,000
★各映画の解説はこちらです。→
★母の日の日曜日を含んだサマームービー・ウォーズ第2ラウンドの5月第2週の映画興行は、前年同時期と比べ、全体で約20%の売り上げアップを達成し、映画界は相変わらず、好景気のようですが、前回の先週(1日~3日)から比べると、約6%の売り上げマイナスとなってしまいました。それだけサマーシーズン開幕映画の「X-MEN/ウルヴァリン」の成績がよかった…!!ということですが、「X-MEN/ウルヴァリン」は過去のシリーズの成績を超えられなかったのに対し、この映画は過去の長いシリーズの歴史をすべて書き変えてしまいそうです…ッ!!
そんな、今夏の最大ヒット作になり得る可能性のある今週の初登場第1位は…、
★まるで先が読めないドラマ・シリーズ「ロスト」で、現在のテレビドラマ界を代表するクリエイターの地位に立ったメディアの寵児J・J・エイブラムスが、大先輩ジーン・ロッデンベリーが1966年にスタートしたSFドラマの古典「宇宙大作戦」を徹底的にリニューアルした新生「スター・トレック」でした!!
3,849館が7,400スクリーンで封切った新生「スター・トレック」は、すでに先週末の土曜日にお伝えしたように、木曜夜7時からスタートした先行上映で、金曜日朝までに約700万ドルを稼ぎ、その後、2,400万ドルを追加して、初日の金曜日だけで計3,100万ドルを売り上げました。
この3,100万ドルという数字は、これまでシリーズの初日売り上げ記録歴代第1位の座を保持していたシリーズ第8弾「スタートレック/ファーストコンタクト」(1996年11月22日公開/2,812館/国内興行9,202万ドル/世界トータル1億4,602万ドル)の初日売り上げ約1,300万ドルを倍以上も上回り、「スター・トレック」シリーズとしては、かつてない大ヒットの新記録となっています。
(ただし、インフレ率の適用次第では、そう変わらない成績とも判断される)
先週、初公開の「X-MEN/ウルヴァリン」がセットした今夏のサマームービーのオープニング興行の基準値8,500万ドルには及ばなかった新生「スター・トレック」ですが、本作は約7,250万ドルの立派なオープニング成績だけで、これまでに計10本が作られた「スター・トレック」の映画シリーズの興行ランキングで、歴代第5位の座に着いてしまいました!!
シリーズの興行成績歴代首位の座を1986年から守ってきた「スタートレックIV/故郷への長い道」の記録1億971万ドルを、この新生「スター・トレック」が追い抜くのは、まず間違いなく、J・J・エイブラムスの「スター・トレック」がシリーズの長い歴史の中で、最も支持された№1作品ということになってしまいそうです。
「スター・トレック」シリーズは、2001年の放送開始から4シーズン続いたものの、盛り上がりに欠け、不評のまま2005年に終わったテレビ・シリーズ「エンタープライズ」の失敗や、製作費に6,000万ドルを費やしながら、国内興行で4,325万ドルしか稼げなかった映画シリーズ第10弾「ネメシス/S.T.X」(2002年12月13日公開/2711館/世界トータル6,731万ドル)の惨敗を受け、終了してしまっていたものです。それをクリストファー・ノーラン監督の新「バットマン」シリーズや、ダニエル・クレイグを主役の007に起用し、シリーズの息を見事に吹き返したジェームズ・ボンド・シリーズにならい、映画リフォームに挑んだのが、この新生「スター・トレック」ですが、「スター・トレック」シリーズが死んでしまった理由として指摘されてきた、作品の世界がディープになりすぎ、マニアにしかわからないものになってしまった問題点を解消するのに、特に「スター・トレック」ファンでもないJ・J・エイブラムスを、あえてクリエイターとして採用した、パラマウント映画の読みはズバリと当たったようで、この新生「スター・トレック」のエンタープライズ号は、過去のどのエンタープライズ号よりも遠くまで飛んでいける可能性が見えてきました。
その可能性のひとつとしては、今、映画リフォームの例としてあげた「バットマン」シリーズの復活作「バットマン・ビギンズ」(3,858館公開)は、2005年6月15日水曜日の先行上映から週末までの5日間のオープニング興行で、奇しくも約7,289万ドルという、新生「スター・トレック」のオープニング成績7,250万ドルとほぼ同額の数字を売り上げ、最終的に国内興行で2億534万ドルの特大ヒットを達成していますから、似たようなスタートを切った新生「スター・トレック」も充分に2億ドル超えを狙えることになります。
また、別の発展の可能性として、この新生「スター・トレック」は、内容の質が極めて高く評価されています。映画の格付けサイト RottenTomatoes では、驚異的と言うか、あり得ないだろう?!と思えるような96%の高い支持率を誇っています。
この96%の支持率というのは、今年2009年の第81回アカデミー賞で8部門を制覇した傑作「スラムドッグ$ミリオネア」の支持率94%に匹敵どころか、上回っており、さらに前年2007年のアカデミー賞作品賞受賞作「ノーカントリー」も、同じ94%であることから、新生「スター・トレック」は、おいおい、アカデミー賞作品賞が獲れるんじゃないか?!といった勢いになっています。
まぁ、サマームービーがオスカーで作品賞?!といったことはないでしょうが、昨2008年のサマームービー「バットマン/ダークナイト」のように、年末からの賞レースに、この新生「スター・トレック」が様々に絡んでいくことは充分にあり得そうです。
そんな傑作を作り出した監督のJ・J・エイブラムスとしては、宗教法人トム・クルーズの陰で、今ひとつ、本来の才能を発揮できなかった前作の「ミッション:インポッシブル3」(2006年3月5日公開/4,059館/製作費1億5,000万ドル/オープニング成績4,774万ドル/国内興行1億3,402万ドル/世界トータル3億9,785万ドル)の消化不良を解消した、この映画監督作2作めの新生「スター・トレック」が当面、自己ベストの最大ヒット作となるであろうことは言うまでもありません。
1995年から2001年まで放送された、初の女性艦長登場が話題となった「スタートレック:ヴォイジャー」にゲスト出演し、惑星アクリティリのリリア大使を演じたベテランのテレビ俳優ロバート・パインは、まさか無名俳優の自分の息子が突然、カーク船長になるとは思わなかったでしょうね。
ロバート・パインは、70年代の終わりから80年代の始めにかけて大人気を博したテレビ・シリーズ「白バイ野郎ジョン&パンチ」で、主人公たちの上司のジョセフ・ジョー・ギトレア分署長を演じていたことで知られる人です。
新生「スター・トレック」の出演者や、予告編などの情報は、右のサイドバーのカテゴリーから「スタートレック」をお選びください。
★週末に祝日などがかぶさったホリデイ興行での公開を除く、通常の週末公開映画としては、20世紀FOX史上最大のオープニング・ヒットとなった約8,505万ドルを先週の初登場でマークしたサマーシーズン開幕映画の「X-MEN/ウルヴァリン」は、約68%の大きな売り下げで、首位をスターフリートたちに譲りましたが、そもそも最初の数字が大きいので、この週末も並のオープニング興行の成績に匹敵する約2,700万ドルを稼いでいます。
製作費が約1億5,000万ドルと伝えられている本作は、ご覧のようにわずか2週めにして、全米での興行成績が1億3,000万ドルに達しそうなところに、海外での売り上げを乗せた全世界でのトータル興行成績は早くも2億ドルを突破してしまいました!!
まさに猛烈な大ヒットの「X-MEN/ウルヴァリン」な訳ですが、本作はココなどで伝えたように、3月末から4月冒頭にかけ、映画全編のワークプリントがネットに流出させられ、大量にダウンロードされてしまうという海賊版事件が発生していたのを覚えておられると思います。
その事件について、20世紀FOXの親会社であるニューズ・コーポレーションが、ウォール街の経済ジャーナリストらに発表したところによれば、「X-MEN/ウルヴァリン」の違法ダウンロードの回数は、当初、試算されていた約100万回をはるかに超え、およそ400万回以上にも昇っていたことがわかったそうです。
同社は、その400万回に、単純にアメリカの平均的な映画館の入場料金7.18ドルを掛け算し、「X-MEN/ウルヴァリン」の流出海賊版事件による損害額を約2,870万ドルと見なし、本来ならば「X-MEN/ウルヴァリン」も、シリーズ前作の「X-MEN/ファイナル・ディシジョン」(2006年)が記録した全米オープニング興行成績1億275万ドル相当の数字を上げられていたはずだ…との見解を示しました。
しかし、このニューズ・コーポレーション/20世紀FOXの見方に対しては、映画ジャーナリストや、興行アナリストらの立場からは否定的な意見が述べられています。
その意見とは、まず、違法ダウンロードの温床となっているトレント・サイトなどにおけるダウンロード・ランキングで、「X-MEN/ウルヴァリン」はトップに立ったことはなく、よって、ダウンロード回数が400万回超というのは大げさで、そこまでの数字には至らないだろう…というニューズ・コーポレーション/20世紀FOXの数字のサバ読みが指摘されています。
加えて、「X-MEN/ウルヴァリン」の8,500万ドル超というオープニング成績は、同映画にとっては順当なものであり、その結果から判断すれば、「X-MEN/ウルヴァリン」のワークプリントをネットからダウンロードしたのは主に、俗に“ダウンローダー”と呼ばれる、ハナから映画館には行かない人種のクソバカの映画ドロボーたちであると推測されるので、ニューズ・コーポレーション/20世紀FOXが言うような、2900万ドルにも及ぶ巨額の取りこぼしは初めから存在しない…と反論されてしまいました。
ニューズ・コーポレーション/20世紀FOXは、ウォール街の出資者らに対して、企業として不祥事をカバーする意味合いにおいて、そうした本来の業績好調をアピールする発表を行ったのかもしれませんが、いずれにしろ、反論側も含め、すべてが仮定の話なので、何が真実か?!は誰にも結論づけられない議論です。
しかし、「X-MEN/ウルヴァリン」が8,500万ドル超のオープニング成績を叩き出したという実績だけは、過去の他のブロックバスター映画の大作と比較して、遜色ない訳ですから、まっとうな映画ファンは流出の海賊版を無視して、ちゃんと映画館でお金を払って観てくれたッ!!といった解釈をよろこんでおくのが、一番いいように思います。
ニューズ・コーポレーション/20世紀FOXは、自分たちの映画を支持し、お金を払ってくれた正直な映画ファンへの感謝のメッセージも強く伝えるべきでしたね…。
★日曜日が母の日だったことが影響してか?!、第3位と第4位に女性向けの映画が並んでいます。
第3位の、文豪ディケンズの名作「クリスマス・キャロル」をラブコメに置き変え、マシュー・マコノヒーのプレイボーイが、3人のゴーストから真実の愛に目覚めよ!!と戒められる「ゴースツ・オブ・ガールフレンズ・パスト」は先週の初登場第2位からのワンランク・ダウンですが、大したことないオープニング成績だった本作は売り上げのマイナス率も、まぁ、順当な約32%と平凡な展開です。
第4位の不倫サスペンスのドロドロ・ストーカー映画「オブセスド」は、公開3週めですが、88館が追加上映を始め、映画館の数を増やしています。しかし、売り上げは約45%のマイナスです。
★第5位の、ザック・エフロン主演の青春ファンタジー「セブンティーン・アゲイン」は、公開4週めで352館が打ち切り、売り上げは約30%の縮小となっています。
本作は、1館あたりの売り上げが1,517ドルなので、第8位の「モンスターVSエイリアン」=1,546ドルよりも空席が多いことになり、先週に引き続き、上映館数の多さで優位に立っているだけです。
★1,138館が公開し、たった400万ドルのオープニング成績で第6位に初登場したサミット・エンタテインメント配給の「ネクスト・デイ・エアー」(翌日配達便)は、万人向けの大作サマームービーの隙間を狙い、黒人の観客層にターゲットを絞った、黒人キャストによるアクション・コメディです。
物語は、母ちゃんの経営する運送会社で荷物の配達人をしている不真面目な道楽息子のレオと、いい加減な相棒のエリックが、大量のコカインが詰まったヤバい荷物を誤まった部屋に配達したことから、騒動が巻き起こる…といったもので、内容に特に目新しい点はありません。
テキトーなレオを演じているのは、アメリカでは2001年から、すでに8年間も続いている人気のコメディ・ドラマ・シリーズ「スクラブス」で有名なドナルド・フェイソンですが、日本では「タイタンズを忘れない」(2000年)に出ていたことを覚えてる人がいる程度では?!、相棒のエリックは、ジャック・ブラックとコンビを組んだ「僕らのミライへ逆回転」(2008年)など、近年は俳優としての活動が目立っているラッパーのモス・デフです。
まんまと偶然にコカインを手に入れ、それを売りさばこうとするのは、「バイオハザード」シリーズで知られるコメディアンのマイク・エップスと、やっぱり、「タイタンズを忘れない」に出ていたウッド・ハリスですが、ウッド・ハリスは人気テレビ・シリーズ「THE WIRE/ザ・ワイヤー」で、麻薬組織のボス、エイヴォンを演じていたので、ちょっとダジャレみたいなキャスティングになっていますね。
監督は、50セントや、ネリーといったラッパーのヒップホップ系ミュージック・ビデオで評価されたベニー・ブームという、38歳の黒人の人で、本作が映画監督デビュー作となります。脚本を執筆したのも新人のブレア・コッブスという人です。
全体としては低調な興行成績の本作ですが、1館あたりでは約3,515ドルを売り上げており、第3位の「ゴースツ・オブ・ガールフレンズ・パスト」=1館3,291ドルはしのぎ、新作らしい面目は保っています。公開館数が多ければ、もっと上位に浮上できた可能性もあるでしょうが、先に記したように市場を限定した作品なので、闇雲に公開規模を拡大する訳にもいかず、そうした点を踏まえれば、これでまぁ、ボチボチ…といったスタートなのかもしれません。
★第7位の実話の感動映画「路上のソリスト」はパラマウント/ドリームワークスの製作で、第8位のアニメ「モンスターVSエイリアン」はパラマウント/ドリームワークス・アニメの作品。2つに分裂してしまったドリームワークスがそれぞれパラマウント映画と組んだ作品が仲良く上下に並んでいます。
また、第9位のネイチャー・ドキュメンタリー「アース」と、第10位のマイリー・ハンナ・モンタナ・サイラスの映画は共にディズニー作品なので、こちらも同じ映画会社同士…という、下位の4作品は見方によっては変なランキングとなっています。
第6位の「路上のソリスト」は、第4位の「オブセスド」と同じく公開3週めにして、上映館数を57館も増やしており、売り上げのマイナスは下位4作品の中では一番小さく、約36%です。第7位から第10位までは、それぞれマイナス約42%です。
「モンスターVSエイリアン」は、公開7週めで441館におさらばされてしまったので、もうこれ以上、数字を大きく伸ばしていくことはあり得ないでしょうが、本作は現在のところ、ドリームワークス・アニメ史上第6位の興行成績となっており、ひとつ上の第5位の「マダガスカル」(2005年)=1億9,359万ドルとは、約670万ドルの差なので、今の調子を後2、3週ほど維持し、ランキングを上げたいところです。
第10位のハンナ・サイラス・マイリー・モンタナは公開5週めで518館が撤退したにも関わらず、今週もBEST10に踏みとどまっていますが、1館あたりで約1,050ドルしか稼げていないので、第14位のコメディ映画「アイ・ラブ・ユー、マン」のアベレージ売り上げ1,310ドルにも劣っており、本来ならば第15位以降に下っていてもおかしくはありません。第5位の「セブンティーン・アゲイン」同様、映画館の数の多さでランキングに踏みとどまった格好で、実のところ客足はもう引いてるようですから、打ち切りは加速しそうです。
サマーシーズン開幕で、大作が公開されるものの、新作の封切りの数自体は少ないので、下位はランキングを埋めるだけの存在になってしまってる感じですね。
★さて、この週末のサマームービー・ウォーズ第3ラウンドは、トム・ハンクスの野暮なヘアースタイルが話題となり大ヒットになった?!宗教ミステリーのサスペンス「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年)のプリクエール「天使と悪魔」が全世界同時公開で参戦!!、トム・ハンクスのラングドン教授が秘密結社イルミナティと対決します!!、で、その超拡大公開の大作「天使と悪魔」に対して、限定公開ながら、多くの映画ジャーナリストが絶対にこっちを観た方がいいと絶賛しているライアン・ジョンソン監督の「ブラザース・ブルーム」が登場!!、エイドリアン・ブロディとマーク・ラファロ、レイチェル・ワイズに菊地凛子ちゃんといった名優がこぞって、おかしな詐欺団を結成します!!、さらに、ブラピの元嫁さんで、シットコム「フレンズ」で有名なジェニファー・アニストンが演じるビジネス・ウーマンが出張先で、スティーヴ・ザーンのモーテルにたまたま泊まったことから、スティーヴ・ザーンに惚れられ、つきまとわれることになるラブコメ「マネージメント」も限定公開!!
首位は当然「天使と悪魔」でしょうが、小規模公開の作品にもガンバッてほしいですね。では、来週もお楽しみにッ!!
【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!
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