************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************

ビヨンセが女同士のキャットファイトを闘う、

サイコな不倫サスペンスが初登場第1位!!


オブセスド-トップ

*数字は、週末の興行成績-(公開館数)-トータル成績 の順です。


第1位オブセスド    第2位セブンティーン・アゲイン     第3位ファイティング    第4位路上のソリスト     第5位
アース

第1位オブセスド
   $28,500,000-(2,514館)-$28,500,000
第2位セブンティーン・アゲイン」(5月16日公開)
   $11,665,000-(3,255館)-$39,970,000
第3位ファイティング
   $11,441,000-(2,309館)-$11,441,000
第4位路上のソリスト」(5月30日公開)
   $9,715,000-(2,024館)-$9,715,000
第5位アース」(日本公開済み)
   $8,554,000-(1,804館)-$14,201,000


第6位モンスターVSエイリアン     第7位ステート・オブ・プレイ-消されたヘッドライン     第8位ハンナ・モンタナ・ザ・ムービー     第9位ワイルドスピード4     第10位
アドレナリン2

第6位モンスターVSエイリアン」(7月11日公開)
   $8,524,000-(3,358館)-$174,817,000
第7位ステート・オブ・プレイ(消されたヘッドライン)」(5月22日公開)
   $6,891,000-(2,807館)-$25,124,000
第8位ハンナ・モンタナ/ザ・ムービー
   $6,372,000-(3,231館)-$65,590,000
第9位ワイルドスピード4
   $6,062,000-(3,566館)-$145,224,000
第10位アドレナリン2/ハイボルテージ
   $2,400,000-(2,223館)-$11,518,000


各映画の解説はこちらです。→ 




3月の第1金曜日から5月の第1木曜日までの約2ヶ月間を“スプリングシーズン”と銘打ち区切っている全米映画興行の春の終わりとなる4月最終週に封切られる新作映画は、翌週から大作のブロックバスター映画が次々と目白押しに公開されるサマーシーズンが始まってしまうため、そうした大作・話題作に即座に観客を奪われ、アッと言う間に呑み込まれ消えていくしかないことから、4月最終週は1年間の中で最も最悪の封切り日と言われる映画興行の仏滅?!となるブラックホールのようなタイミングです。
よって、そんな最低の仏滅興行?!にあたっては、各映画会社は捨て駒にしてもいいスクラップ映画を穴埋め的に封切ろうとする訳ですが、そうした見捨てられた新作映画があにはからんや健闘を見せ、この週末の興行は先週の前回(17日~19日)から、全体で約3.6%の売り上げ増を達成し、ずっと右肩下がりだった4月の折れ線グラフをやっと上向かせることができました!!、どころか、前年同時期と比べても約25%近い業績アップを示したほか、スプリング・シーズン最終週の興行としてはトータルで過去最高額の売り上げを叩き出しました!!
そうした仏滅に大成功?!の結果、今年2009年のスプリング・シーズンは、昨年度よりも、およそ20%もの業績アップが達成され、相変わらず映画界は不況知らずといった、映画会社の重役たちには笑いがとまらない状況となっています。
しかし、その笑いを導いたのは、まるで笑っていられない、ゾッとするようなサイコの女ストーカーが登場する…

オブセスドビヨンセ主演の不倫サスペンスのサイコ・ストーカー映画「オブセスド」でした!!
2,514館が約3,000スクリーンで封切った、ソニー・ピクチャーズ傘下のジャンル映画レーベル、スクリーン・ジェムズが製作した「オブセスド」がはじき出したオープニング興行の数字、2,850万ドルは、先ごろ、事実上の映画女優廃業を突きつけられたリンジー・ローハン(最新主演作「レイバー・ペインズ」を全米の映画館が上映拒否)が主演したガーリー・コメディ「ミーン・ガールズ」(2004年4月30日公開/3,054館/製作費1,700万ドル/国内興行8,605万ドル/世界トータル1億2,904万ドル)が保持していた4月最終週の歴代オープニング興行の第1位記録、2,443万ドルをしのいで、ビヨンセがリーローから仏滅女王のティアラを奪ってしまいました!!
ビヨンセ自身としては、「オースティン・パワーズ/ゴールドメンバー」(2002年7月26日公開/3,613館/製作費6,300万ドル/国内興行2億1,330万ドル/世界トータル2億9,665万ドル)のオープニング成績7,307万ドルに次ぐヒットを、この「オブセスド」でマークできたことになり、やはり、ソニー・ピクチャーズが製作し、本業の歌手としての力量を発揮した前作の音楽映画「キャデラック・レコーズ」(2008年12月5日公開/701館/製作費1,200万ドル/国内興行819万ドル/世界トータル828万ドル)の失敗を、下世話な不倫映画で女同士のケンカ=キャットファイトを披露し、なりふり構わず挽回することに成功しました。なお、ビヨンセと言えば、代表作であり、大ヒットした「ドリームガールズ」は2006年12月15日の封切り時点においては、たった3館だけの限定公開で、オープニング成績は約37万8千ドルたったため、比較の対象にはなりません。
この「オブセスド」は単純にひと言で言えば、マイケル・ダグラスグレン・クローズが主演した、エイドリアン・ライン監督の22年前の大ヒット作「危険な情事」(1987年)のリメイクのようなものです。
イドリス・エルバが演じる投資銀行に勤めるエリートのデレクは、ビヨンセの妻ベスがいながら、アリ・ラーターのセクシーな派遣社員のリサと関係を持ってしまい、リサが異常な執着=オブセスドの持ち主だったため、家庭崩壊の修羅場を迎えることに…ッ!!、という単純で俗っぽい内容の本作に対して、公開前に酷評がメディアに出るのを嫌ったソニー・ピクチャーズは、この映画のジャーナリスト向けの試写を行いませんでした。つまりは、ほとんどDVDスルーでもいいような映画を、サマーシーズン直前の最悪の封切り日のブラックホールにダメ元で投入したような感じな訳ですが、この背景には、これから公開されるサマームービーのほとんどが男性や、ティーンエイジャー向けのアクション映画であることを逆手の弱点と見てとり、そうしたマーケットから外れている25歳以上の女性の観客をターゲットにしたゴシップ的で下世話な不倫映画の本作を封切ったソニー・ピクチャーズの公開戦略を読み取ることが可能です。その狙いがまずはまんまと当たり、興行ランキングの初登場第1位を獲ることができたようで、ソニー・ピクチャーズは、本作の観客の約58%が女性で、約51%の観客が25歳以上だったという統計を発表しています。
本作の製作費は約2,000万ドルなので、オープニング成績だけで、すでに製作費の金額を超えており、この後、売り上げを下落させる一方だとしても、国内興行だけで本作の収支の釣り合いは見込めそうです。ソニー・ピクチャーズは、こうした興行の隙間を突くマーケティングには本当に長けています。

オブセスド-2

とりあえず正直に「危険な情事」のリメイクと言えよ!!とツッコまれている本作のシナリオを書いたのは、前作のやはり、スクリーン・ジェムズ作品「レイクビュー・テラス」(2008年)では、サミュエル・L・ジャクソン演じる警察官がストーカーという、あまり変わりばえしない物語を執筆していたデイヴィッド・ローリー。
監督は、新生「ナイトライダー」のパイロット版などを手がけてきたテレビドラマ監督のスティーヴ・シルですが、映画第1作めで、いきなり興行ランキング第1位という華々しいデビューを飾ることができました。
スケベなダンナのデレクを演じているのは、ケーブルTV大手のHBOで2002年から昨2008年まで計5シーズンが放送された人気ドラマ「THE WIRE/ザ・ワイヤー」にレギュラー出演していたイドリス・エルバです。スクリーンでは、ゾンビ映画「28週後…」(2007年)や、「THE WIRE/ザ・ワイヤー」と同じく麻薬がらみの「アメリカン・ギャングスター」(2007年)などで活躍していましたが、脇役ばかりなので、主演作品が全米興行ランキング第1位というのは、これが初めてのはずです。
それにしてもアリ・ラーター演じるストーカー女のリサは、アリ・ラーターの当たり役である「HEROES/ヒーローズ」の二重人格者ニキ/ジェシカを、そのまんま連れて来たような感じですね。俳優の名前は覚えてなくても、テレビドラマの役柄としてはよく知られている俳優を主に起用したあたりも、この「オブセスド」はいかにも大衆ウケを狙った作りと言えそうです。本作のフルの予告編はコチラです。

オブセスドTVスポット





フレンズ」のマシュー・ペリーが演じる負け組み中年オヤジが、17歳の頃に戻って、「ハイスクール・ミュージカル」のザック・エフロンになって人生をやり直そうとする青春ファンタジー映画「セブンティーン・アゲイン」は、ザック・エフロンの人気に加え、新作映画に大したライバルも見当たらなかったことから、もしかして2週連続で首位をキープするかも?!と期待させていましたが、母ちゃんたちの世代が不倫サスペンス映画の方を選んでしまったため、惜しくも先週の初登場第1位から1歩後退し、第2位に下がってしまいました。
そのトップの「オブセスド」を除き、他の新作映画は下位に従えたザック・エフロンですが、売り上げのマイナス率は意外に大きく、先週のオープニング成績2,372万ドルのほぼ半分にまで数字を落とし、持久力の無さが露わとなっています…。
内容的に目新しいところのない、アイドル人気頼みの映画なので、仕方がないと言えば、仕方がないのかもしれませんが、ザック・エフロン的には、第8位のハンナ・マイリー・モンタナ・サイラスよりは上の数字を狙いたいでしょうね。
しかし、今週末のサマーシーズン開幕で、春公開の映画は一気に蹴散らされていくでしょうから、タイミング的に、ディズニー・チャンネルのライバルをしのげるのか?!は微妙なところです…。


ファイティング公開館数が946館も違うハンディのおかげで、ザック・エフロンをテイクダウンできず、第3位での初登場となったチャニング・テイタムの格闘映画「ファイティング」ですが、2,309館が2,400スクリーンで封切った本作は1館あたりでは4,955ドルを稼いで、第2位「セブンティーン・アゲイン」のアベレージ売り上げ3,584ドルを大きく突き放し、事実上の判定勝ちは収めています。
ダンス映画「ステップ・アップ」(2006年)でブレイクし、主役級で出演したサマームービーのアクション大作「G.I.ジョー/ライズ・オブ・コブラ」の8月7日全米公開も控えている若手人気スターのチャニング・テイタムが演じる、「ファイティング」の主人公の青年ショーンは大望を抱き、田舎から大都会のニューヨークに出てきたものの、金なしコネなし学歴なしの彼にできるのは、路上で「X-MEN/ウルヴァリン」の海賊版DVDを売るような仕事しかなかった。ところが、ある日、商品を盗まれそうになったショーンがコソ泥をぶちのめすと、それを見ていた怪しい黒人のハーベイから、いい稼ぎになる格闘賭博のファイターにならないか?!と誘われる…。半信半疑でスカウトに応じたショーンは生まれついての格闘センスを発揮し、プロのアルティメット・ファイターをも倒して、ついに夢見た大都会での成功をつかんだ気でいたが…。
といった内容の本作は、青春映画+格闘技という要素の組み合わせが似ている「ネバーバック・ダウン」(2008年3月14日公開/2,729館/製作費2,000万ドル/国内興行2,485万ドル)のオープニング成績860万ドルを超え、チャニング・テイタムの主演スターとしての可能性をほのめかしています。
本作を製作したローグ・ピクチャーズの親会社である配給のユニバーサル映画の出口調査によれば、この週末の観客の約58%が男性で、約66%が25歳以下、そして、約39%がヒスパニック系の人種だったそうで、ザック・エフロン21歳と同じくアイドル的な人気のあるチャニング・テイタム29歳ですが、男っぽさを売りにしている年長の彼は、同世代の男性からの支持も厚いようですね。
チャニング・テイタムを利用して、荒稼ぎしようとする黒人ハーベイを演じているのは、「アイアンマン」シリーズを勝手に首にされてしまったテレンス・ハワードです。
監督は、ロバート・ダウニー・Jr、シャイア・ラブーフ、ロザリオ・ドーソン、そして、本作のチャニング・テイタムも出演という豪華な顔ぶれで、2006年のサンダンス映画祭で監督賞を与えられた傑作「A Guide to Recognizing Your Saints」(あなたの聖人に気づくためのガイド)のディト・モンティエル。ディト・モンティエル監督はハードコア・パンクのバンドのボーカルから小説家を経て映画監督になった、変わった経歴の人です。ココに本作の予告編があります。

ルーフ・パーティーでの対決!!



コリアン・ファイターとの対決!!





路上のソリスト2,024館が2,200スクリーンで封切ったパラマウント/ドリームワークス製作の感動実話の映画化「路上のソリスト」は、初登場第4位で、オープニング成績が1,000万ドルに届かないという、何とも微妙な位置からのスタートとなりました。
ロサンゼルス・タイムズのコラムニスト、スティーヴ・ロペスが2005年に、統合失調症を患ったホームレスの男性、ナサニエル・エアーズと出会い、彼が元は名門ジュリアード音楽院に在籍していた天才的な音楽家であった過去を知ったことから、ナサニエルの存在を新聞のコラムで世間に報せ、人生を立ち直らせようとした実話の経緯を綴った著書「路上のソリスト/失われた夢、壊れた心、天才路上音楽家と私との日々」(祥伝社発行)を映画化した本作で、コラムニストに扮しているのは「アイアンマン」(2008年)のロバート・ダウニー・Jr、天才路上音楽家のナサニエルは「キングダム/見えざる敵」(2007年)などの名優としても知られる毒舌コメディアンのジェイミー・フォックスです。
心の障害者と、それを支える人というテーマにおいては似たような作品であるアダム・サンドラーの「再会の街で」(2007年3月23日公開/1,747館/製作費2,000万ドル/国内興行1,966万ドル/世界トータル2,222万ドル)のオープニング成績746万ドルよりは、何とか本作は上をいくことができたものの、ラッセル・クロウが心の病いを抱えた天才数学者であった「ビューティフル・マインド」(2001年12月21日公開/製作費5,800万ドル/国内興行1億7,074万ドル/世界トータル3億1,354万ドル)の拡大公開時(2002年1月4日/1,853館)のオープニング成績1,656万ドルには遠くおよばず、本作の製作費が推定で約6,000万ドルであることを考慮すると、低予算映画の「再会の街で」に勝ってもよろこんではおられず、「ビューティフル・マインド」の水準の数字が求められていたことがわかります…。
また、ジェイミー・フォックスとしては、心ではなく失明という障害を持った実在の音楽家レイ・チャールズを演じ、アカデミー賞主演男優賞を獲得した、テイラー・ハックフォード監督による伝記映画「Ray/レイ」(2004年10月29日/2,474館/製作費4,000万ドル/国内興行7,533万ドル/世界トータル1億2,473万ドル)のオープニング成績2,003万ドルとでは、本作の成績は比べものにはならず、過去の実績を活かし、柳の下の2匹めを狙った「路上のソリスト」は残念ながら、失敗だった…と言われてしまいそうです。

路上のソリスト-2

しかし、そんな本作には、当初は昨2008年12月に公開し、ロバート・ダウニー・Jrをアカデミー賞主演男優賞候補に推して(ジェイミー・フォックスは似た役で受賞してるので二番煎じとなり無理)、賞レースに参戦する意気込みだったのが、突如、公開を先送りされ、冒頭で説明したような、この最悪の封切り日のタイミングにまわされてしまった…という経緯の裏事情があります。
映画の格付けサイト、Rottentomatoes がまとめた本作への支持率は61%なので、賞レースに出馬するには確かに少し低い数字ではありますが、評論家を除いた一般の支持だけに目を転じると、数字は84%にまで上がるので、観客は感動映画として、それなりに本作を楽しんでいることがわかります。
よって、本作が冷遇され公開日を変更されたのは、必ずしも作品がダメだから…という訳ではなく、パラマウント映画の興行的戦略だということになります。
パラマウント映画が、本作を賞レースの候補から外したのには、同社が他に、ブラッド・ピットの「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」(2008年)と、レオナルド・ディカプリオケイト・ウィンスレットの「家族の終わりに」(2008年)という、オスカーの有力候補を抱えていたことから、自社作品による票の奪い合いを避けたかった訳ですが、そこでこの「路上のソリスト」が外されたのには、本作がドリームワークス製作だったから…というのが関係しているようです。
スピルバーグ監督の映画製作会社ドリームワークスは、ご存知のように、昨秋、傘下に属していたパラマウント映画と袂を別ち、インド人と手を組んで、ディズニーランドに引越してしまいましたから、パラマウント映画としては、自分たちを見限ったドリームワークスの映画を賞レースに推す義理もなく、仏滅のブラックホール公開日の穴埋めに突っ込んでしまえッ!!ということですね…。
とは言え、本作は、昨年、大ヒットを記録した「アイアンマン」のロバート・ダウニー・Jrが主演し、ジェイミー・フォックスと共演という2大スター揃い踏みの映画ですから、サマームービーへのカウンターパンチとなる作品として、パラマウント映画はフライング気味に本作を夏興行開幕直前に封切る作戦に出たのかもしれませんが、そのアテとしては少しハズレてしまったようです…。
また、第1位の「オブセスド」と同じく、サマーシーズンの目玉映画が概ね、男性およびティーンエイジャー向けのアクション映画が中心であることに対して、25歳以上の女性を主なターゲットとする作品で、来週以降公開のサマームービーのブロックバスター映画が取りこぼしていく女性の観客層をすくい上げようという狙いも、パラマウント映画は「路上のソリスト」に秘めていたに違いありません。
しかし、「オブセスド」と本作では、同じ女性狙いでも、それぞれが異なった嗜好を突いており、クラシック音楽が奏でられる上品な本作より、下世話でゴシップ的な不倫映画の方が人気を集めたというのは、やはり、女性はゴシップ好き?!という結論に至ってしまいそうです。
本作の脚本を執筆したのは、「エリン・ブロコビッチ」(2000年)でも実話の映画化を手がけ、アカデミー賞脚本賞にノミネートされたスザンナ・グラントです。
サンドラ・ブロック演じるアル中の新聞コラムニストが、リハビリ施設で周囲の助けを得て立ち直るという、本作を微妙に裏返したような「28DAYS」(2000年)も彼女の脚本でした。
監督は、キーラ・ナイトレイ主演の「つぐない」(2007年)で天才的な才能を発揮したジョー・ライトなので、ま、何はともあれ、この「路上のソリスト」は、映画ファンの方としては鑑賞予定に入れておいて、一度は観てみた方がよさそうです。

路上のソリスト予告編




チェロとの再会
  新聞のコラムを読んで感激した読者が楽器を贈ってくれました…。





アース日本では昨2008年1月に公開され、とっくにレンタルビデオ店の棚にDVDが並んでいる、BBC製作のネイチャー・ドキュメンタリー「アース」(2007年)が、ディズニー傘下の新レーベル、ディズニー・ネイチャーの第1回作品として、他の新作よりも、ひと足早い22日(水)のアースデイに封切られ、初登場で第5位にランキングしました。1,804館が1,900スクリーンという、こうしたネイチャー・ドキュメンタリー映画としては、いきなりの拡大公開で封切られた本作は、ディズニー的には、自分たちでは作っていない作品を、アースデイにかこつけ宣伝・公開し、4月最終週の穴を埋めるには持ってこいのお手軽といった感じですね。
本作の推定製作費は約1,500万ドルですが、すでに全世界で7,991万ドルを稼いでおり、このアメリカでのオープニング成績を上乗せすると、9,412万ドルにもなって、1億ドルを超えるヒット作になる可能性が見えてきました。スターのわがままと、動物の気まぐれのどちらにつき合う方が気楽か?!と考えても、下手な劇映画より、よほど効率のいい作品だと言えそうです。
なお、ディズニー・ネイチャーは、来年2010年のアースデイ=4月22日に公開する新作「オーシャンズ」の予告編を、すでにリリースしているので、そちらをご覧ください。と言っても、前半は、新レーベルのディズニー・ネイチャーが、1940年代の終わりから60年代にかけ、ディズニーが発表していたネイチャー・ドキュメンタリー映画のシリーズ、トゥルーライフ・アドベンチャーズの伝統を引き継ぐものですよという説明に終始しているだけですが…。

オーシャンズ予告編 



で、ちなみに、こちら ↓ は「アース」から、海の生きものたちを撮らえた様子です。癒しの動画?として眺めてもらえればいいかな?!と思います。




パラマウント/ドリームワークス・アニメの3-D/CGアニメ「モンスターVSエイリアン」は、公開5週めにして、高額の製作費1億7,500万ドルにほぼ並んだトータルの興行成績1億7,481万ドルにまでたどり着きました!!、さすがに304館が打ち切ってしまった本作ですが、売り上げは約36%しかマイナスになっておらず、どうやら上映をやめた映画館は主に2-Dシアターで、引き続き、3-D割り増し料金の上乗せを稼いでいるのかもしれません。しかし、この分では最終的な興行成績は2億ドルにまでは届かず、ドリームワークス・アニメとしては、「マダガスカル」シリーズ(第1作=1億9,359万ドル、第2作=1億8,000万ドル)と並ぶ水準の作品として、この「モンスターVSアニメ」を同社の中で位置づけることになりそうです。

ラッセル・クロウとベン・アフレックが共演を果たした社会派のポリティカル・サスペンス「ステート・オブ・プレイ」は、先週の初公開で観た観客にあまり満足感を与えられなかったらしく、2週めにして約51%も大きく売り上げを落とすという、評判が拡がらなかったことが如実にわかる展開を見せています。
この調子では製作費の6,000万ドルの数字にまで興行のトータル成績が及ばず、失敗作の烙印を押されることになりそうです…。

第8位のどうでもいい映画は、公開3週めにして113館が追加上映を始めたのにも関わらず、売り上げが約53%もダウンしてしまい、先週の第3位から大きく転落してきました。まぁ、マイリー・ハンナ・モンタナ・サイラスの名前だけで6,559万ドルも稼いでいるのですから立派なものですが、アイドルひとりの人気頼みでは、ここら辺りがボチボチ限界といったところなんでしょうね。本作の製作費は推定で約3,500万ドルなので、今後の海外興行や、関連商品のマーチャンダイジング、2次・3次利用で、ディズニーは充分におつりを手にすることが出来そうです。

「ワイルドスピード4」は4周めのラップで、先週の第5位から約49%の減速を見せ、順位を第9位にまで落としてしまいました。今だ、3,566館の超拡大公開を維持している本作ですが、108館がリタイアしており、来週のサマーシーズン突入後は、打ち切りに歯止めがかからなくなるはずなので、もしかすると来週はもう周回遅れで、ランキングにはいないかもしれません。わずか1万ドル弱の差ですが、ついにオリジナルの第1作「ワイルドスピード」=国内興行1億4,453万ドルを抜いて、この最新作がシリーズ最大ヒット作の第1位のお立ち台に昇っています。

先週初公開で第6位だった「アドレナリン2/ハイボルテージ」は、ジェイソン・ステイサムの興奮絶頂ぶりを、単に空元気だとあざ笑うかのように、早くもご臨終間際の第10位に転落…。先週から売り上げをズドンと約66%もボルテージダウンしているので、どうやら、このシリーズも終わりを迎え、アドレナリンの分泌は底は突いたことになりそうです。「トランスポーター3」も不発だったジェイソン・ステイサムは、これで手持ちのシリーズが無くなりそうなので、ココで伝えたチャールズ・ブロンソンの1972年の傑作をリメイクする「メカニック」を是が非でも成功させなければならなくなったようです…。

今週のランキング圏外の注目作は、それほど魅力的な限定公開作品も見当たらず、ちょっと体調もよくないのでパスします。
で、この週末はこれまで述べてきたように、いよいよ映画興行のピークとなるサマーシーズンが開幕!!、その第1弾として登場するのは、映画全編のワーク・プリントが流出させられ、膨大な数のコピーが世界中でダウンロードされた挙げ句、海賊版のDVDが路上で売られている「X-MEN/ウルヴァリン」です!!
同映画を製作した20世紀FOXは、映画館で上映される完成版には、流出したワーク・プリントでは観られない約10分間の追加シーンがあると発表していましたが、ワーク・プリントと完成版の上映時間(約1時間40分)は実はほぼ変わらず、両者の内容は概ね同じであるらしいことから、20世紀FOXの発表は、海賊版を観た映画ドロボウたちも映画館に足を運ばさせようとするウソだった…と、現在では考えられています。大事な映画を盗まれ、同情を買っていた20世紀FOXですが、ウソつきはドロボウの始まりなので、映画ファンは少しシラケてしまいました…。
が、それでも今夏のサマームービーで1番人気の作品が「X-MEN/ウルヴァリン」であることは変わらないので、流出事件で被ったダメージが、どのような影響として数字の結果に表れるのか?!、大注目ですね!!
そして、色男のマシュー・マコノヒーが演じるプレイボーイのカメラマンの前に、過去にフッた3人の女性のゴーストたちが現れ、女性を軽くあつかった行いを反省し、真実の愛に目覚めることを促される…、早い話がまたディケンズの「クリスマス・キャロル」を下敷きにしたラブコメ「ゴースツ・オブ・ガールフレンズ・パスト」が登場!!、加えて、地球壊滅後、宇宙を放浪する人類が新たな定住の星を求め、平和主義のエイリアンが暮らす惑星に侵略戦争を仕掛け、乗っ取ろうとする3-D/CGアニメの「バトル・フォー・テラ」も封切られます!!、それでは次週、ついに火蓋が切って落とされるサマームービー・ウォーズの開戦を見届けてください!!

お客さんがちゃんと映画を観に来てくれるのか?!
  悪夢にうなされるウルヴァリン?!






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