************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************

ニコラス・ケイジの大予言が的中?!

SFスリラー「ノウイング」が初登場第1位!!


ノウイング-トップ

*数字は、週末の興行成績-(公開館数)-トータル成績 の順です。

第1位ノウイング    第2位アイ・ラブ・ユー、マン     第3位デュプリシティ    第4位レース・トゥ・ウィッチマウンテン-星の国から来た仲間     第5位
ウォッチメン

第1位ノウイング
   $24,814,000-(3,332館)-$24,814,000
第2位アイ・ラブ・ユー、マン
   $18,005,000-(2,711館)-$18,005,000
第3位デュプリシティ/スパイは、スパイに嘘をつく」(5月1日公開)
   $14,402,000-(2,574館)-$14,402,000
第4位レース・トゥ・ウィッチマウンテン」(7月公開)
   $13,004,000-(3,187館)-$44,715,000
第5位ウォッチメン」(今週末28日公開)
   $6,725,000-(3,510館)-$98,065,000


第6位ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト-鮮血の美学     第7位テイクン     第8位スラムドッグ・ミリオネア     第9位タイラー・ペリー-マディア・ゴース・トゥ・ジェイル     第10位
コラライン-ダコタ・ファニング

第6位ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト/鮮血の美学
   $5,921,000-(2,402館)-$24,047,000
第7位テイクン
   $4,100,000-(2,661館)-$133,139,000
第8位スラムドッグ$ミリオネア」(4月18日公開)
   $2,700,000-(2,067館)-$137,202,000
第9位タイラー・ペリーのマディア・ゴース・トゥ・ジェイル
   $2,510,000-(1,835館)-$87,208,000
第10位コラライン
   $2,143,000-(1,431館)-$72,803,000

各映画の解説はこちらです。→ 




この週末は久しぶりに粒のそろった全米拡大公開の話題の新作が3本も同時に封切られ、映画興行は先週(13日~15日)から全体で約1割の売り上げがアップし、若干、息を吹き返しましたが、トップ・ランキングの映画12本の収入総額が約9,746万ドルと、今だ1億ドルを割り込んだ厳しい局面は続いています。
さて、そろってBEST3を奪った話題の新作3本の中で、この映画が一番、おもしろいだろうと観客が“予言”して観に行ったのは…、

ノウイングニコラス・ケイジ主演のスーパーナチュラルな大予言スリラー「ノウイング」が強力なライバルの2作品をおさえ、初登場第1位を飾り、ニック・ケイジがスターの面目を保ちました!!、ウィル・スミス主演の「アイ,ロボット」(2004年)以来、約5年ぶりとなるアレックス・プロヤス監督最新作の本作は、ニック・ケイジ演じる妻を亡くしたMIT(マサチューセッツ工科大学)の教授ジョン・ケストラーの息子キャレブの通う小学校で、50年前の開校時に埋められたタイムカプセルが掘り起こされ、当時の生徒たちが未来に向けて書いた手紙が取り出されるところから始まります。その50年前の手紙に、現在の生徒たちが返事を書くことになり、ジョンの息子キャレブにも昔の手紙が割り当てられますが、その手紙には暗号のように、ただ数字だけが羅列して記入されていました…。息子が持ち帰った不思議な手紙を興味深く調べたジョンは、一見、不規則に見える数字の中に「911」という2001年9月11日の同時多発テロを示す日付けと同じ並びの箇所を発見し、そのヒントから、実は手紙が過去の50年間に起きた大災害の日付けと死者の数をピタリと当てた驚異の予言であることに気づきます!!、そして、さらに恐ろしいことに、そこには直近の未来の日付けと膨大な死者の数が、まだ3件も残されていた…ッ!!、という訳で当然、大災害を未然に防ごうとするジョンですが、そんなM・ナイト・シャマラン監督の映画のような予言を誰も信じてくれる訳がなく、孤軍奮闘する彼の前に、ある秘密の集団が現れ…ッ!!、といった内容です。
本作はこうした突飛なストーリーに加え、ビックリするようなオチが待ち受けていることから内容についていけず、“ディザスター・ムービー”のトンデモ映画だッ!!との否定的な意見や、アカデミー賞主演男優賞受賞の大根役者ニック・ケイジが真剣になればなるほどバカらしくなる…といった冷めた反応がある一方、そうではなくてスリラー映画の大傑作だッ!!とする両極端に、現在のところ、評価がわかれています。映画の格付けサイト RottenTomatoes でも、評論家の支持率は15%と極めて低いながら、一般の観客の支持率は62%とそんなに悪くもなく、総合的には傑作ではないでしょうが、娯楽映画としては、それなりに楽しめる水準の作品だと思っておいてよさそうです。
本作を封切った3,332館のうち、およそ3分の1のシネコンが複数スクリーンで上映しており、計4,300スクリーンで迎えた「ノウイング」のオープニング成績2,481万ドルは、本作の製作費が推定で約5,000万ドルであることからしても、まぁ、順当な数字と言えそうで、アタリハズレの激しいニコラス・ケイジとしては平均点をとったような感じです。
ニコラス・ケイジのアタリハズレの激しさは、昨2008年9月5日に封切られた「バンコク・デンジャラス」(2,654館/製作費4,500万ドル、※日本5月9日公開)がタイミングの時の運に助けられた奇跡で興行ランキング初登場第1位にはなりましたが、オープニング成績はたったの778万ドルという、呆れてしまって話にならない、ひどすぎる数字で、最終的な興行成績もたったの1,529万ドル(全世界トータル4,073万ドル)でしたから、実態的には観客から映画の存在をほとんど無視されたも同然だった一方、「ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記」(2007年12月21日公開/3,832館/製作費1億3千万ドル)といったホリデイ映画のブロックバスターともなれば、国内で2億1,996万ドル、それを含めた全世界では4億5,736万ドルという大ヒットを成し遂げています。
“未来を知る”というテーマに関して本作と少しだけ似たニュアンスがある予知能力者を演じた「ネクスト」(2007年4月27日公開/2,733館/製作費非公開)も、オープニング成績は最悪の713万ドルで、全世界トータル7,606万ドルと全く振るっていませんから、ホリデイ映画ではなく、メジャー・スタジオの作品でもない「ノウイング」がそこそこ普通なオープニング興行の数字をあげられたのは、ソニー・ピクチャーズがお手上げで投げ出した企画を拾って完成させた中堅スタジオのサミット・エンタテインメントとしては、ホッと胸をなで下ろしているのではないでしょうか?!、なお、この大予言のトンデモ映画?!の「ノウイング」の企画をあきらめたソニー・ピクチャーズは、本作の代わり?!とも言える、かなり似た話の「2012」を今年11月に公開します。同映画の監督はトンデモ映画の奇才ローランド・エメリッヒですが、「ノウイング」の監督がカリスマSF映画「ダークシティ」(1998年)や、「クロウ/飛翔伝説」(1994年)の鬼才アレックス・プロヤスであるのと比べると、映画の出来として「2012」よりは「ノウイング」の方が遥かにうんとマシであるような感じがしますね。「ノウイング」がそれなりの数字を上げ、まずは成功できた理由としては、ニコラス・ケイジではなく、アレックス・プロヤス監督の人気が高いから…とも言えそうです。また、本作はレイティングをPG-13におさえられたことで、中学生男子といったローティーンの観客を多く集められたこともよかったようですが、この週末の観客全体の6割以上は25歳以上の成人です。
共演者としては、ニコラス・ケイジの息子キャレブを演じているのは、「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」(2008年)で、年老いたブラッド・ピットの役を演じて評価されたチャンドラー・カンターベリー。ヒロインのダイアンを演じているローズ・バーンは、「サンシャイン2057」(2006年)や、 「28週後…」(2007年)など、ダニー・ボイル監督(「スラムドッグ$ミリオネア」4月18日公開)がお墨付きのの女優です。
本作の予告編はコチラ地下鉄脱線大事故の動画はコチラ写真はコチラです。下の動画 ↓ は製作風景のメイキングなので、お時間のある方は合わせて、お楽しみください。

ノウイング」 メイキング動画




アイ・ラブ・ユー、マン-12,711館が3,400スクリーンで上映し、第2位に初登場したのは、大手のパラマウント/ドリームワークスが恥も外聞もなく、コメディ映画のヒット・メイカー、ジャド・アパトーのスタイルをパクッて作ったと言われている「アイ・ラブ・ユー、マン」です。観客の多くは本作をジャド・アパトー映画だとカン違いして観ているのでは?!と、少し小バカにされている作品ですが、評価は大変、高く、映画の格付けサイト、RottenTomatoes で、82%の支持を得ています。
このジャド・アパトー映画もどきの「アイ・ラブ・ユー、マン」に主演しているのは、昨2008年12月に「男たちの恋愛強化月間!?」と題して日本公開された、要するにジャド・アパトー映画の2本立て「ノックトアップ(無ケーカクの命中男)」(2007年)と 「フォーゲティング・サラ・マーシャル(寝取られ男のラブ・バカンス)」(2008年)の両方に出ていたポール・ラッドジェイソン・シーゲルです。
内容はジャド・アパトー映画よろしく、男が主人公の恋愛系コメディ映画となっており、ポール・ラッド演じるピーターが、ガールフレンドのキュートなゾーイと、ついに婚約を果たしますが、結婚式を迎えるにあたり、ひとつだけ問題があることに気づきます。それは自分には結婚式で付添い人(ベストマン)をしてくれる男の親友がいないことだッ!!、という訳で、ピーターの親友探しが始まる…ッ!!という物語です。
ピーターは親友候補となる男性と次々に出会い?!を重ねますが、なかなか自分にシックリくるパートナー?!に巡り会えず、男とのデートに疲れてしまったところ、不動産販売の仕事で手がけていた、テレビの「超人ハルク」でハルクを演じたルー・フェリグノが以前、住んでいた家を買いたいという、ジェイソン・シーゲルのシドニーと出会います。シドニーとの商談のつき合いを通じ、彼の開放的で楽天的な性格に魅力を感じたピーターは、シドニーこそ自分が探し求めていた親友だと確信し、彼との絆を深めていきますが、その一方で、置いてけぼりのようになった婚約者のゾーイとの関係には亀裂が生じてしまい…。
と、いった次第で、いったん、大人になってしまうと、なかなか親友と呼べる間柄の友人はできにくい男性の事情や、男友だちとのつきあいと、恋人や妻といった女性たちとの間で板ばさみになるジレンマなど、ジャド・アパトー映画でよく取り扱われる題材と似通ったテーマが本作でも描かれていくことになります。
ポール・ラッドの婚約者ゾーイを演じているのは、スティーヴ・カレルの人気テレビ・シリーズ「The Office」にレギュラー出演して有名になったラシダ・ジョーンズナタリー・ポートマンお笑いのユニットを組んでいる愛嬌たっぷりのかわいい女優ですね。また、ポール・ラッドのお父さん役として、「スパイダーマン」シリーズや、「JUNO/ジュノ」(2007年)などで知られる名優のJ・K・シモンズが出演しているのに加え、副業の映画監督で「アイアンマン」(2008年)の大ヒットをかっ飛ばしたものの、本職のお笑いでは今だロクに評価されていないコメディアンのジョン・ファヴローも出てきます。
監督は1998年に、サム・ロックウェルや、ポール・ジアマッティ、マーク・ラファロといった実力派の曲者俳優を集めたクライム・コメディの映画「セーフ・メン」でデビューした後、主にテレビの仕事をしながら、ベン・スティラー主演作の「ミート・ザ・ペアレンツ」(2000年)とその続編(2004年)、「ズーランダー」(2001年)の脚本を手がけ、そのベン・スティラー主演の「ポリーmy love」(2004年)を監督したジョン・ハンバーグです。「ポリーmy love」(2004年1月16日公開/3,052館/製作費4,200万ドル)は国内で8,809万ドルを売り上げ、それを含めた全世界で1億7,196万ドルという、そこそこのヒットとなっており、この「アイ・ラブ・ユー、マン」も続けて成功の気配が濃厚なので、ジョン・ハンバーグ監督は今後はコメディ映画の第1線級監督として、さらに活躍が期待されそうです。なお、ジョン・ハンバーグ監督は、マット・デイモンの「ボーン・アイデンティティ」(2002年)の監督で、シリーズ全体をプロデュースしているダグ・リーマンのいとこです。
ポール・ラッドとジェイソン・シーゲルが共演していた前作「フォーゲティング・サラ・マーシャル」(2008年4月18日公開/2,872館/製作費3,000万ドル)はオープニング成績が1,772万ドルで、国内興行の結果が6,317万ドル。ポール・ラッドが、「アメリカン・パイ」シリーズのショーン・ウィリアム・スコットとのコンビで主演したコメディ映画「ロール・モデルズ」(2008年11月7日公開/2,798館/製作費2,800万ドル)は、オープニング成績が1,916万ドルで、最終的な国内での興行収入が6,729万ドルでした。よって、それらの前例にならえば、ちょうど中間のオープニング成績1,800万ドルを売り上げた本作「アイ・ラブ・ユー、マン」の最終的な数字は6,500万ドルあたりといったところでしょうか?!、この「アイ・ラブ・ユー、マン」の製作費は非公開となっていますが、まぁ、例にあげた2作品と変わらない3,000万ドル前後でしょうが、贅沢にお金を使うドリームワークス作品なので、少し高い目かもしれません。

アイ・ラブ・ユー、マン」 予告編



アイ・ラブ・ユー、マン-2


デュプリシティ-1クローサー」(2004年)ではドロドロの恋愛のぬかるみにハマッていたジュリア・ロバーツクライヴ・オーウェンが、共に元スパイの詐欺師を演じた軽妙なコン・ムービーの「デュプリシティ」(二枚舌という意味)は、2,900スクリーン(2,574館)で上映され、第3位での初登場となっています。
本作は、マット・デイモンのスパイ映画「ボーン」シリーズ全作のシナリオを担当し、2007年の監督デビュー作「フィクサー」で、オスカーの作品賞・監督賞・脚本賞などにノミネートされた本格派の新鋭トニー・ギルロイ監督の第2作めです。
お話は、ジュリア・ロバーツ演じる元CIAのクレア・ステンウィックと、クライヴ・オーウェン演じる元英国MI6諜報部員レイ・コヴァルが手を組んでライバル同士の製薬会社にそれぞれ潜り込み、お互いの企業秘密を利用して大金をかすめ盗ろうとしますが、クレアとレイのつかず離れずの微妙な男女関係や、お互いに2重スパイであることから、次第に本当は一体、誰が誰を騙しているのか?!、わからなくなっていき、最後はドンデン返しの結末が…。
と、いったような内容で、邦題には“スパイは、スパイに嘘をつく”という、冷静に読めば、そんなん当たり前やん!!といった陳腐な副題がつけられ、映画の内容も陳腐なのでは?!と観客に容易に思わせていることで、商品価値を落としめていますが、本作は前述のようなトニー・ギルロイ監督の作品として、実際のところは概ね、高い評価を受けています。
本作は近年、脇役やゲスト出演的な作品が多かったジュリア・ロバーツにとって、久しぶりの本格的な主演作として、彼女の現在の集客力がどの程度のものか?!が注目されていましたが、「エリン・ブロコヴィッチ」(2000年3月17日公開/3,070館/製作費5,200万ドル)=オープニング成績2,813万ドルや、ブラッド・ピットと共演した「ザ・メキシカン」(2001年3月2日公開/3,162館/製作費5,700万ドル)=オープニング成績2,010万ドルといった過去の同時期公開作品と、本作「デュプリシティ」のオープニング成績1,440万ドルを比較すると、ジュリア・ロバーツのスターとしてのパワーはかなり勢いを落としているようで、「プリティ・ブライド」(1999年7月30日公開/3,240館/製作費7,000万ドル)がオープニング成績で3,505万ドルを稼ぎ出したのは遠い過去となってしまったかのようです。しかしながら、この「デュプリシティ」の観客の約6割は女性で、そのうち8割程度が30歳以上です。そうした本作のメイン・ターゲットの市場である25歳以上の女性は、必ずしも、映画の初日に駆けつけるといった観客層ではないので、本作は今後、じわりとヒットしていく可能性が期待されており、ジュリア・ロバーツは落ち目になった訳ではなく、大人のスターに進化したと言った方が正確かもしれません。
一方、先月2月13日に主演作の「ザ・バンク/堕ちた巨像」(4月4日公開)が、2,364館で公開されたばかりのクライヴ・オーウェンは、ナオミ・ワッツと組んだ同映画のオープニング成績がたったの933万ドルと思いっきりコケていたことからすると、ジュリア・ロバーツというビッグ・ネームと組んだことで数字はハッキリと上向いたことになります。
また、トニー・ギルロイ監督としても、大変、評価の高かった前作の「フィクサー」(2007年10月5日公開/2,585館/製作費2,500万ドル)ですが、大人向けの地味な作品だったことで、拡大公開時のオープニング成績は1,037万ドルと振るっていませんでしたから、第2作めの課題であった興行面での成功に向けて、ジュリア・ロバーツの起用はよかったと言えそうです。
ちなみに冒頭に記した「クローサー」(2004年12月3日公開/製作費2,700万ドル)は限定公開(最大でも1,098館)の作品であったため、国内の興行成績は3,398万ドルと控えめなものでしたが、全世界トータルでは1億1,550万ドルを稼いでおり、ジュード・ロウや、ナタリー・ポートマンも出ていたとは言え、ジュリア・ロバーツの世界中に通じるスター・バリューを証明しています。
「デュプリシティ」で、ジュリア・ロバーツとクライヴ・オーウェンに振り回される?!共演者は、「フィクサー」に引き続いてトニー・ギルロイ作品に呼ばれたトム・ウィルキンソンと、「シューテム・アップ」(2007年)でクライヴ・オーウェンと共演していたポール・ジアマッティです。
ところで、この「デュプリシティ/スパイは、スパイに嘘をつく」の前売り券を買うと、メガネ・ケースを改造したとしか思えない、下↓のような特典がもらえるようです。欲しい方は例によって、お早めにッ!!

デュプリシティ-前売り券特典

デュプリシティ」 TV Spot



デュプリシティ-2


ひとつ上の「デュプリシティ」のジュリア・ロバーツに才能を認められ、ジュリア・ロバーツがプロデューサーとしてライフワークにしている「アメリカン・ガール」シリーズの第1作「アメリカン・ガール/サマンサの休日」(2004年)で、初めての主役サマンサを勝ち取り注目された、「テラビシアにかける橋」(2007年)、「ジャンパー」(2008年)などのかわいいアナソフィア・ロブちゃんと、「ザ・シーカー/光の六つのしるし」(2007年)のアレクサンダー・ルドウィグが演じるエイリアンの兄妹を、人気プロレスラーのザ・ロックこと、ドウェイン・ジョンソンが助けて、宇宙に返してあげる「星の国から来た仲間」のリメイク版「レース・トゥ・ウィッチマウンテン」は、先週の初登場第1位だったのが、新作3本にキッチリと上乗りされ、第4位に後退し、売り上げのダウン率は約46%と少し高めです。ドウェイン・ジョンソンと、本作の監督アンディ・フィックマンがコンビを組んだ前作のやはりガキ映画「ゲーム・プラン」(2007年9月28日公開/3,342館)の2週めのダウン率は約28%でしたから、この新作ガキ映画「レース・トゥ・ウィッチマウンテン」は「ゲーム・プラン」ほどの支持はされていないようですね。「ゲーム・プラン」ではひとりだった子どもを、「レース・トゥ・ウィッチマウンテン」ではふたりに増やしましたが、その効果は上がらなかったようです?!

先週(13日~15日)の公開2週めで、約67%と大きく売り上げを落とした「ウォッチメン」は、今週も下げ止まらず、さらに約62%の数字を落として、第5位となり、ひとつの上の「レース・トゥ・ウィッチマウンテン」のおよそ半分となる672万ドルしか稼げていません。最大で7,100も保有していたスクリーン数も、先週末は4,700スクリーンと激減し、この週末はピーク時の約半分となる3,510スクリーンにまで減ってしまいました。もはや、大台の1億ドルに乗り上げるのもやっと…といった感じの製作費1億5千万ドルの「ウォッチメン」が興行的に大失敗の作品であることは誰の目にも明らかとなっています。
この恐ろしい赤字の結果を受け、メジャー・スタジオはもうR指定(17歳未満要保護者同伴)のコミック・ヒーロー映画は絶対に作らないだろう…とか、また、ジャンルそのものに対しても、今後、および腰になる可能性がある…などといった声をあげる映画ジャーナリストらもおり、今や、「ウォッチメン」は一部には、コミック・ヒーロー映画ブームを終わらせる最悪の映画という意味においての“最終兵器”だった…として忌み嫌われてしまっています。しかしながら、映画の格付けサイト RottenTomatoes における、本作への一般の支持率は76%と高く、IMDB(インターネット・ムービー・データ・ベース)でも、10段階中の8ポイントという、ほぼ同等の評価を受けています。そうしたことから、映画通や、コミック通の目の肥えたマニアの間では、「ウォッチメン」はすでにクラシック化が進んでおり、それらの「ウォッチメン」支持者の多くは、クオリティの高い「ウォッチメン」のDVD/Bluerayの購入を希望するでしょうから、本作は映画館ではなく、将来の二次市場や三次市場で見直され、火が点いていく可能性もありそうです。
しかし、このように興行がコケてしまったことで、検討されていた3時間10分のディレクターズ・カット版の7月からの封切りは、まず無くなりそうな感じですね。
尚、秋に発売予定の「ウォッチメン」のDVD/Bluerayは3時間25分のバージョンとなり、2時間36分の劇場版より、およそ1時間も長くなる予定です。
製作のワーナー・ブラザースとしては、映画化権をめぐる裁判の結果、映画館での興行の歩合は20世紀FOXに献上しなければなりませんが、DVDの売り上げからは何も払わなくていいので、もしDVD/Bluerayがヒットすれば、映画館でコケたのは、むしろ好都合かもしれません?!

13日の金曜日」のショーン・S・カニンガム監督と、「エルム街の悪夢」シリーズや、「スクリーム」シリーズで知られるウェス・クレイヴン監督がコンビを組み、1972年に発表したカルト的なスリラー映画の古典作品「鮮血の美学」を、今や“マスター・オブ・ホラー”の2人が再び協力して現代に復刻したリメイク版「ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト/鮮血の美学」が先週の初登場第3位から、新作3本公開のおかげで、3+3の第6位にまで転落しました。売り上げのダウン率は約58%で、ホラー系の映画にありがちな高い数字を示しています。しかし、ホラー映画の2週めの急降下のジンクスとしては下手すると7割以上ぐらい落ちても仕方がないので、その見方からすると、「ウォッチメン」と比較しても、少し抑制された数字の落ち方となっています。その理由としては、前回も記したように、本作は意外に評価が高く、RottenTomatoes では、評論家からは42%、一般からは70%の支持を集めています。とは言え、この落ち方すると、本作のオリジナルからヒントを得たらしい「ストレンジャーズ/戦慄の訪問者」(4月4日公開)の興行記録5,259万ドルには、まず届きそうな感じではありませんね。本家が出遅れてしまいました。

ナターシャ・リチャードソン第7位は、リーアム・ニーソンにとって、本来ならば興行記録の自己ベストを更新したうれしい作品として思い出に残したいはずが、その題名が不吉な予言のようになってしまった「テイクン」(誘拐の他に、命を奪われるの意味)です。
リーアム・ニーソンは新作映画「クロエ」の撮影のため、夫婦で訪れたカナダで、奥さんの女優ナターシャ・リチャードソンさんが、先週の16日(月)に参加したスキー教室で転倒し、頭を打ったことが原因で、18日(水)に亡くなってしまいました…。
ナターシャさんは、表面の雪が溶けてぬかるみ、滑りやすい状態のゲレンデでレッスンを受け、転倒し、頭を打ちましたが、その時、本人には大ケガをした自覚症状がなく、即座に駆けつけた救急隊を、大丈夫だから…と、彼女が帰らせてしまいました。しかし、ホテルに戻った1時間後、頭痛がひどくなり、気分が悪くなったことから、あらためて救急車を呼んだのですが、そのまま意識不明の重体となり、回復の見込みがないことから、リーアム・ニーソンら親族の同意のもと、18日(水)午後1時30分に生命維持装置が取り外され、息を引き取り、帰らぬ人となりました…。享年はまだ45歳でした…。
事故当時のゲレンデについて、その場に居合わせたベテランのスキーヤーは、大変、滑りやすく、自分も立っているのがやっとだったので、滑るのを止めて、ホテルに帰った…と述べており、そうした状況で、ナターシャさんの参加した初心者向けのスキー教室を開いたことの責任を主催者は問われそうですが、ナターシャさんが最初の救急車に乗っていてくれれば…と、心から残念でなりません。
ナターシャさんは、イギリスの偉大な女優ヴァネッサ・レッドグレイヴ(「ジュリア」1977年)と、「長距離ランナーの孤独」(1962年)などで知られるトニー・リチャードソン監督との間で、1963年5月11日に生まれ、ケン・ラッセル監督の「ゴシック」(1986年)や、「シャンプー台のむこうに」(2000年)、また最近では「いつか眠りにつく前に」(2007年)といった多数の映画に出演しました。しかし、彼女のキャリアのハイライトとなるのは映画ではなく、1998年に出演したミュージカルの舞台「キャバレー」で、トニー賞の主演女優賞を獲得したことです。
リーアム・ニーソンとは、ジョディ・フォスター製作・主演の「ネル」(1994年)で共演し、その後、結婚したので、彼女の映画の代表作は「ネル」ですよと言ってあげたいですね。遺作は、今週第2位の「デュプリシティ」に主演のジュリア・ロバーツの姪エマ・ロバーツと共演した学園青春コメディ「ワイルド・チャイルド」(2008年)でした。なお、リーアム・ニーソンはカナダで撮影していた新作映画「クロエ」からは降板しています。リーアム・ニーソンは事故で重体の意識不明になる役でした…。
ナターシャ・リチャードソンさんのご冥福をお祈りします。

リーアム・ニーソン-ナターシャ・リチャードソン


第8位のアカデミー賞8冠「スラムドッグ$ミリオネア」は先週の第6位から2ランクダウンです。公開19週め(!)の本作は、さすがに511館がこの週末を前に打ち切ってしまい、売り上げは約46%ダウンしてしまいました。単館売り上げのアベレージでは1,306ドルまで落ちており、第10位の「コラライン」の1館あたりの売り上げ1,498ドル(3D映画の割り増し料金があるのでチケットが少し高い)よりも下に着けているので、公開館数の多さで優位を得たものの、本来はBEST10から脱落していてもおかしくない状況です。
第9位の自己陶酔の変なオッサンの映画は368館が上映を止めてくれて、売り上げは半減しました。
第10位の“キャロライン”という名前をアナグラムした「コラライン」は公開7週めで337館が終了しましたが、人気の本作はこれまで通り、大きく客足が落ちることはなく、それだけ映画館が減っても、売り上げのダウンは2割でとどまっています。「コラライン」を終了した映画館の近くで、引き続き上映している映画館の一部は売り上げが微増しているということですよね。

シン・ノンブレ-ポスターさて、今週の圏外の注目作は、お父さんは日本人で、お母さんはスウェーデン人というケーリー・ジョージ・フクナガ監督の長編映画デビュー作にして、今年2009年のサンダンス映画で、監督賞と撮影賞をダブル受賞した社会派の青春サスペンス・ドラマ「シン・ノンブレ」(Sin Nombre)です。
日本語にすると“無名”、“名も無き者”といった意味になるスペイン語の題名がつけられた本作は、6館で公開され、1館あたり1万2,900ドルを稼ぎ、初登場第29位に着けています。
この「シン・ノンブレ」は、メキシコからアメリカに密入国する不法移民の命がけの旅をテーマに、フクナガ監督が2004年に発表し、オスカーの学生版として映画芸術科学アカデミーが主催しているスチューデント・アカデミー賞をはじめとする多数の賞を受賞した13分間の短編映画「Victoria para chino」をベースとしたもので、やはり、内容は不法移民のロード・ムービーとなっていますが、描き方はかなり過激にブロウ・アップされているようです。
物語の主人公は、中米ホンジュラスに暮らす10代の少女セイラ。彼女は明るい未来を手に入れるため、現在は離婚して別に家庭を抱えている疎遠な父親と、まずはメキシコに向かい、そこからアメリカに移住するつもりだった。そして、もう1人の主人公は、メキシコで凶悪なストリート・ギャングのグループに加わっている少年ウィリー。彼にはギャング仲間たちには内緒で交際していた恋人のマーサがいたが、マーサが街でウィリーの仲間たちに襲われ、命を奪われてしまう…。
セイラたちはメキシコにたどり着き、何とかアメリカ行きの列車の屋根に飛び乗って、移住の夢を叶えられそうだったが、全財産を抱え移動するセイラたちのような移住者らを襲撃しようと、同じ列車にウィリーたちのストリート・ギャング団が乗り込んできた…ッ!!、しかし、恋人マーサの死で苦悩するウィリーはボスの命令に背き…。といった展開で、孤独なふたつの魂であるセイラとウィリーが出会い、ふたりはストリート・ギャングから追われながら、約束の地アメリカを目指すことになる…ッ!!、といったお話となっています。
インディーズ映画らしく、出演してるのは無名に近い中南米の俳優たちばかりですが、予告編をご覧になれば、みなぎるパワーが感じられ、映像は迫力に満ちています。フクナガ監督は、前述のようにサンダンス映画祭で撮影賞を受賞した本作を、自分で撮影しており、実際のところ、他のインディーズ映画では撮影監督をつとめ、カメラマンとしてのキャリアの方が充実しています。
カリフォルニア大学卒業後、ニューヨーク大学で映画を学んだフクナガ監督は、これまでにフランス、日本、メキシコに移り住んだことがあるそうで、そうした人生経験のすべてが、この長編映画の処女作には詰め込まれているようですね。
同じ南米のブラジルのストリート・ギャングを描いた、フェルナンド・メイレレス監督の傑作「シティ・オブ・ゴッド」(2002)や、南アフリカが舞台だったギャヴィン・フッド監督の「ツォツィ」(2005年)、また若干ながら、アカデミー賞8冠の今週第位の「スラムドッグ$ミリオネア」などと似通った要素のある作品として、この「シン・ノンブレ」も必見の価値ある作品として、この週末公開の新作映画の中では最も高い評価を得ています。

シン・ノンブレ」 予告編



シン・ノンブレ


さて、今週末はWWEの人気プロレスラー、ジョン・シナが、プロレスは普通せいぜい3本勝負なのに、なんと12本もの対決に挑む「12ラウンド」が公開!!、恋人を誘拐されたジョン・シナ演じる警察官が、犯人の要求する12の課題をクリアしないと恋人を解放してもらえない…ッ!!というアクション・サスペンスです。監督は、「ダイ・ハード2」(1990年)や、「クリフハンガー」(1993年)などでハリウッドの頂点に立ちながら、カミさんのジーナ・デイヴィスを主演にした超大作「カットスロート・アイランド」(1995年)、「ロング・キス・グッドナイト」(1996年)で連続して大赤字を出し、B級監督に格下げされたフィンランド人のレニー・ハーリンです。今週、第4位に着けた同じプロレスラーのザ・ロックの「レース・トゥ・ウィッチマウンテン」より上位ランキングのマウント・ポジションをとることができるのか?!、場外乱闘の行方にご期待ください!!、また、ドリームワークスの3-DのCGアニメ「モンスターvsエイリアン」(7月11日公開)や、ホラー映画の「ホーンティング・イン・コネチカット」などが登場する予定です。では、来週もお楽しみにッ!!





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