2010年11月最終週の興行レポート-ドウェイン・ジョンソンが笑わない殺人マシーンを演じた 復讐映画「ファスター」が初登場第7位のどん臭いスタートでも、ささやかな復讐に成功?!
by
Billy
2010年11月29日月曜日
映画事業に本格進出した今年2010年で、すでにハリソン・フォードとブレンダン・フレイザーの2大スターが共演した、ベタなお涙ちょうだいの2時間ドラマ?!「エクストラオーディナリー・メジャーズ」(邦題「小さな命が呼ぶとき」)と、ジェイローが主演したベタなラブコメの2時間ドラマ?!「バックアップ・プラン」を映画館で公開して失敗しているテレビ局のCBSが、ドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンを主演に起用した最新作「ファスター」を全米2,454館の約2,700スクリーンで封切ったオープニング成績は、先にアップしたBEST10ランキングでご覧のように、たったの約870万ドルで、感謝祭興行の5日間のトータルの売り上げを足しても、約1,220万ドルしか稼ぐことができませんでした…!!
しかし、その5日間のトータルの売り上げ=約1,220万ドルを基準に本作の展望を考えると、通常の映画ではオープニング成績の3~4倍が、その映画の最終的な興行成績になるのがセオリーですから、「ファスター」の国内での売り上げは、CBSが封切った2時間ドラマ?!の前作「バックアップ・プラン」=オープニング成績/1,220万ドルの最終的な興行成績=約3,749万ドルと、ほぼ同等になると見込むのが妥当だと思われます。
製作費が約3,500万ドルだった「バックアップ・プラン」は、主演のジェニファー・ロペスの知名度を活かして、海外で約3,997万ドルを売り上げ、国内外あわせたトータルの数字を約7,747万ドルとしていますから、前述の製作費のほぼ2倍を稼いだことで、映画館の取り分を差し引いた残りで、CBSはひとまず元手は回収できたかもしれない節が窺えます。
ドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンも、ジェイローと同様に、そこそこ諸外国でも知られていますし、「ファスター」は大衆にわかりやすいアクション映画ですから、先のような見込みをもとに本作が「バックアップ・プラン」に匹敵する成果を今後あげられた場合、本作の製作費は、これまでのCBSの2時間ドラマ?!の中で、最も安上がりの約2,400万ドルなので、もしかすると同テレビ局は、題名に反して、素早いスタートダッシュを切れなかった、ドンくさい「ファスター」で、映画事業進出以来初となる興行での黒字をあげられるのかもしれません。
いずれにしろ、パッとしない数字の話なのですが、CBSがジャンルの型にはまった2時間ドラマ?!をベタに作って、映画館で封切っているのは、そういうローリスク・ローリターンの映画ビジネスだということですね。
「ファスター」 予告編
ガキ映画のタフなお兄さん…ではなくて、おじさん?!ばかりを演じてるドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンが久しぶりにワイルドな役柄に復帰した「ファスター」の内容は、兄弟でひと山乗った銀行強盗で仲間にハメられ、弟は殺されて、自分も瀕死の重傷を負い、10年間も刑務所に入れられていたドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンが、裏切り者を処刑していく…!!という、ひたすら復讐に燃えるだけのお話です。
「ノトーリアス」(2009年)のジョージ・ティルマン・Jr監督がメガホンをとった本作の映画の格付けサイト RottenTomatoes での評価は43%で、Metacritic では41ポイントです。
特に期待もしなければ、天才ダーレン・アロノフスキー監督の作品で知られるクリント・マンセルが音楽を担当していることもあり、本作はそれなりに雰囲気を持った、見た目よりもマシなアクション映画として楽しめなくもないと評されています。
ただし、主人公の復讐鬼ドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンは、物語の中盤から、ほぼ強面を貫き、笑わずに殺人マシーンに徹して、世間が自分に求めていたアクションスターへの復帰を果たしてやったのにもかかわらず、そのことでむしろ、ドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンらしさが感じられない…と、今さら逆に評されてしまっています。
つまり、プロレス出身で一見、肉体派のタフガイに見えるドウェイン“ザ・ロック”ジョンソンですが、その人物の魅力はさわやかな笑顔にこそあった…!!とのことで、その持ち味を最大限に発揮できるジャンルは、やはり、これまで批難されてきたガキ映画のコメディや、ファミリー映画であり、「ファスター」のように少し重いトーンのグラインドハウス系のアクション映画は不向きだったかもしれない…という指摘を受けたとまとめることができます。
ドウェイン“ザ・ロック”ジョンソン本人からすれば、本当に世間は無責任な、あぁ言えばこう言うといったような状態で、どうしていいか?!わからなくなってしまいますね…!!
それでは、ビリー・ボブ・ソーントンが演じる、ベタなアクション映画ではおなじみの?!“定年を間近に控えた刑事”とザ・ロックの銃撃戦の場面をご覧下さい。学生映画並…と言えば、学生が怒るほど、ヘタな演出です!!
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