2010年10月第2週の興行レポート -伝説の三冠馬を映画化した感動作「セクレタリアト」が、 映画興行レースではつまずいて、想定外の初登場第3着という平凡な成績!!
by
Billy
2010年10月11日月曜日
この映画はひと言で言うと、ディズニーが黒人のアメフト選手の代わりに、馬を走らせてみたわけですよ…!!
来年2011年の夏には、スピルバーグ監督が第1次大戦下のヨーロッパを舞台に、青年と愛馬との絆を描く感動的な戦争映画「ウォーホース」の公開を予定しているディズニーが、それに先がけ、専業主婦だった女性と名馬との絆の実話を描いた「セクレタリアト」を、アメリカでは明日となる週明け月曜日(10月11日)にコロンブス・デーの祝日をひかえたロング・ウイークエンドのファミリー向けスポーツ感動作として、全米3,072館の約3,600スクリーンで封切ったところ、お目当ての家族層の観客は、たったの約27%しかやって来ず、全体の約7割をカップルが占め、およそ58%が35歳以上の中高年という、いささか想定外の結果により、オープニング成績が約1,260万ドルにとどまって、当初、期待されていた初登場第1位どころではない順位でゴールインと相成ってしまいました…!!
今や、ゴシップ・メディアのお騒がせな人でしかないメル・ギブソンが主演し、アカデミー賞最優秀作品賞ならびに最優秀監督賞をはじめ計5冠を制覇した「ブレイブハート」(1995年)の脚本家として知られるランドール・ウォレス監督が、やはり、メル・ギブソンが主演した「ワンス・アンド・フォーエバー」(2002年)以来、約8年ぶりにメガホンをとった本作は、1973年にケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークスの3大レースを制覇して、三冠馬となったセクレタリアトと、その伝説的名馬のオーナーである女性ペニー・チェネリーの実話を映画化した作品です。
ダイアン・レインや、ランドール・ウォレス監督の解説を交えた予告編!!
現在は88歳で、ニューヨークで暮らしているペニー・チェネリーは、4人の子どもを育てる専業主婦だった1960年代末に、父が病いに倒れ、家業の厩舎の経営が困窮したことから、事業を整理して手放そうと勧める身内を押し切り、自らが父の代わりとして、男性上位だった当時の競馬界に乗り込んでいった意志の強い女性です。
そのペニー・チェネリーを、ジュブナイル映画の名作「リトル・ロマンス」(1979年)で、美少女スターとしてデビューしたのが、もう約30年も前のことになってしまったダイアン・レイン45歳が演じているわけですが、これはつまり、ディズニーの企画の狙いとしては、今年2010年の第82回アカデミー賞で、サンドラ・ブロックが最優秀主演女優賞を獲得し、そんなアホな…ッ!!と言われた大ヒット作「ブラインド・サイド」(2010年)の焼き直しとして、柳の下の2本めの女性が主人公のスポーツ感動実話の映画化を目論んでみた…!!ということです。
なので、冒頭のように、黒人のアメフト選手の代わりに馬を走らせてみた…!!という例えになるわけですが、試しにワーナー・ブラザースが封切った、その「ブラインド・サイド」のオープニング成績を調べてみると…、
「ブラインド・サイド」(2009年11月公開/製作費2,900万ドル)
オープニング成績/3,411万ドル(3,110館)、国内2億5,595万ドル+海外5,324万ドル=3億920万ドル
…といった結果だったので、三冠馬がNFLのマイケル・オアー選手に迫れたのは、映画館の数だけだったことになります。
そのように本来の目的だった第2の「ブラインド・サイド」には、到底なり得そうにない「セクレタリアト」を、やはり、競馬の実話映画の感動作であり、身軽なスパイダーマンが騎手をつとめた「シービスケット」と比較してみると…、
「シービスケット」(2003年7月公開/製作費8,700万ドル)
オープニング成績/2,085万ドル(1989館)、国内1億2,027万ドル+海外2,805万ドル=1億4,833万ドル
…と、通貨のインフレ率を考慮するまでもなく、「シービスケット」の方が断然、注目を集め、ヒットしていたことがわかります。
また、ディズニーのスポーツ感動実話映画という括りで、「セクレタリアト」をとらえ、同社がそのジャンルに挑んだ前作となるマーク・ウォールバーグ主演の「インヴィンシブル」 と比べてみるなら…、
「インヴィンシブル」(2003年7月公開/製作費4,000万ドル)
オープニング成績/1,703万ドル(2917館)、国内5,780万ドル+海外67万ドル=5,848万ドル
よって、スポーツ感動実話の映画化で栄光へのタッチ・ダウンを目指すなら、ネタの題材はアメリカン・フットボールに求めたそうがよさほうだ…!!と、冗談で言われそうです。
映画の格付けサイト RottenTomatoes で65%とまずまずの支持を集め、映画レビューのとりまとめサイト metacritic でも、やっぱり61点と、一定の評価を得ている「セクレタリアト」に、有名な映画評論家のロジャー・エバートは★4つを与え、“偉大さについて語った偉大な映画”と絶賛していますが、同じく映画の格付けサイト RottenTomatoes で66%と、わずか1%の評価の支持の違いしかない「ブラインド・サイド」で、サンドラ・ブロックがオスカーを受賞できたのは、演技そのものよりも、女性が主人公の映画を大ヒットさせた…!!という功績が大きかったわけですから、「セクレタリアト」はまだオープニングで、興行の第1コーナーを回った時点に過ぎないとは言え、今後、ヒットにつながる要素が見えない以上、ダイアン・レインがオスカー女優になる機会は次に持ち越し…と、ひとまず理解してもいいのではないでしょうか。
なお、この「セクレタリアト」の製作費は約3,200万ドルで、そう高い予算が費やされたわけではありませんが、ディズニーは宣伝マーケティングの費用に、その製作費とほぼ同額をつぎ込んでいるので、トータルの投資金額としては、7,000万ドル近いことになります。
「ベイブ」(1995年)のジェームズ・クロムウェルが演じる富豪が、セクレタリアトを大金で買おうと持ちかけたのに、それを断られたため、三冠の偉業などを達成できると信じているアンタは頑固な愚か者だと言ったところ、ダイアン・レインから、わたしは正しいことをしている…!!と信念の強さを見せつけられる場面。
ランドール・ウォレス監督が、どのように競馬シーンを演出しているのか?!のサンプルの動画…!!
この「セクレタリアト」の共演者として、伝説の名馬の偏屈な調教師ルシアン・ローリンを演じているのは、「トランスフォーマー3/ザ・ダーク・オブ・ザ・ムーン」(2011年7月1日全米公開)の…と紹介するのが何だか似合わない名優ジョン・マルコヴィッチ。
ダイアン・レインの父は、「最後の初恋」(2008年)でも共演していたスコット・グレン。夫は、その正体の素顔が殺人鬼なので、早く別れたほうがいい、「ステップファーザー」(2009年)のディラン・ウォルシュです。
娘役に、J・J・エイブラムス監督が、懐かしのスピルバーグ映画を復刻する「スーパー8」(2011年夏全米公開予定)に出演するらしい歌手兼タレントのアマンダ・ミシェルカ19歳が登場しています。
それでは最後に、そのアマンダ・ミシェルカが歌う「セクレタリアト」の主題歌「It's Who You Are」をお楽しみください。
【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!
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