エマ・ストーン本人は、両親を相手に自分の才能を示す説得のプレゼンを行い、その結果、サッサと高校を辞めて、本格的に女優を目指すことになったので、この映画のような学園生活の経験はありませんが、見事に彼女にとって、「スーパーバッド」(2007年)に続く、2本めの青春映画の名作をモノにしてしまいました…!!
カナダ・トロント国際映画祭で絶賛された、映画の内容のクオリティの高さから、当然、初登場第1位になるものと思われていた、エマ・ストーン主演の古典文学「緋文字」のリ・イマジネーション映画「イージーA」を、製作・配給のソニー・ピクチャーズが、安直な青春映画のセックス・コメディとして、自社の映画の価値を過小評価した宣伝に終始しすぎたマヌケのせいで、ワーナー・ブラザースが自社のオスカー映画「ディパーテッド」(2006年)を引用して、なぞらえるプロモーションで価値を底上げしたベン・アフレック監督・主演作「ザ・タウン」に敗れてしまい、AではなくBの残念すぎる第2位からのスタートとなってしまいました…!!
しかしながら、ソニー・ピクチャーズ傘下のスクリーン・ジェムズが全米2,856館の約3,500スクリーンで封切ったオープニング成績=約1,820万ドルは、本作と同じソニー・ピクチャーズ作品で、アンナ・フェリスが主人公をつとめ、エマ・ストーンは準主役だった、やはり、学園モノのイケてない女の子たちの逆転劇を描いたコメディ映画の傑作「ハウス・バニー」(2008年8月公開)のオープニング成績=約1,453万ドル(2,714館)をしのいでおり、1館あたりのアベレージで比較しても、エマ・ストーンが脇役だった「ハウス・バニー」の5,355ドルを、エマ・ストーンが主役に昇格した本作は、6,373ドルを売り上げることで勝っています。
あらためて、「スーパーバッド」(2007年8月公開/製作費2,000万ドル)の俺たちのマドンナ、エマ・ストーンがどれだけ支持されているか、数字が示したような格好ですが、その近代アメリカ映画の最高傑作の1本のオープニング成績は約3,300万ドル(2,948館)で、国内だけで約1億2,146万ドルを売り上げ、最終的に全世界で約1億6,987万ドルを稼ぎ出す大ヒットだったのに比べると、この「イージーA」も、「ハウス・バニー」並の国内成績=約4,823万ドル 全世界トータル=約7,044万ドルといった辺りが関の山なのかもしれません。
「イージーA」 テレビスポット
それでも、「ハウス・バニー」の製作費が約2,500万ドルだったのに対し、「イージーA」は格安の約800万ドルで作られましたから、実はソニーは封切りの週末だけで、もう製作費を全額回収できている計算になります…!!
また、セックス・コメディのバカ映画ではなく、ティーンエイジャーの女の子が、周囲の目や、ボーイフレンドになど惑わされず、本当の自分を見つけることの価値を訴えた物語である本作は、映画の格付けサイト RottenTomatoes では85%の高支持で“新鮮映画”に認定されているほか、metacritic でも72ポイントの高評価で、レビューでは題名どおりの“A”、または“B”にランクづけされ、青春映画の名作として、この先、世代を超えて、くり返し、くり返し、観られるであろうことから、最終的にソニー・ピクチャーズは、「スーパーバッド」のように、この「イージーA」で大儲けすることになるだろう…と結論づけられています。
姦通の罪をテーマに、女性の立場を描いたナサニエル・ホーソンの文学を、現代のハイスクールに置きかえたシナリオを執筆したのは、元キャスティング・ディレクターの新人脚本家バート・V・ロイヤル。
監督のウィル・グラックは、前作のデビュー作「ファイアード・アップ(俺たちチアリーダー!)」(2009年)で得たバカ映画を作る人のレッテルを、本作で帳消しにしてしまいました。
ゲイの男子の面目のため、エッチしたフリをしてあげたことから、ヤリマンの軽い女の汚名を着せられるエマ・ストーンの両親を演じているのは、「プラダを着た悪魔」(2006年)の名優スタンリー・トゥッチ(↑)に、「エレジー」(2008年)のパトリシア・クラークソン(↑)という映画通向けのキャスティング。エマ・ストーンのライバルの女子高生は、「ヘアスプレー」(2007年)のアマンダ・バインズ。そして、「ゴシップガール」のペン・バッジリー(↓)が、恋の相手をつとめています。
みんながヤリマンと言うので、だったら、尻軽女らしく変身してやる…ッ!!と、エマ・ストーンが奮起する場面…!!
ソニー・ピクチャーズの調べによれば、この「イージーA」の観客の約67%が女性で、全体のほぼ半数が18歳以下の少年層だったそうです。つまり、エマ・ストーンの主人公オリーヴと同世代の女子高生が、この映画を支持しているということですね…!!
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