************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************


引退した元バレリーナの母親が寄せる過剰な期待に応えるべく、ひたすら、バレエ一筋に精進してきた、いたいけな自分に、ようやく、プリマのチャンスが訪れようとした矢先、突如、出現した、自分とは正反対に違うタイプの新人に、栄光のセンターステージを奪われてしまうかもしれない嫉妬の焦りが、やがて、そのライバルへの愛憎半ばした執着の感情へと発展することになりますが…、

画面の奥から手前に向かって歩いてくるのは、ナタリー・ポートマン…。
しかし、その自分にはないものを持ったライバルは、現実に存在しているんでしょうか…?!もしかして、自分に足りないものを求めすぎるがゆえ、自分で創りだしてしまった、もうひとりの別の自分のまぼろしの姿なのでは…?!
それとも自分とは違うライバルのようになりたいと思うがあまり、他人に同化しはじめているんでしょうか…?!

でも、カメラが切り替わると、黒い服の女性は別人…?!
なぜなら、ふたりの女性はすれ違いざまに入れ替わってしまったように見えます…!!、これはどうやら、観た目どおりには解釈してはいけない映画のようです…!!







ミッキー・ロークAKAウィップラッシュが奇跡の復活を遂げた、プロレス馬鹿の過激センチメンタル映画「ザ・レスラー」(2008年)で、第65回ヴェネチア国際映画祭グランプリの金獅子賞に輝いた天才ダーレン・アロノフスキー監督の同賞受賞後の第1作めとなる「ブラック・スワン」の予告編を、20世紀FOX傘下のFOXサーチライトが初公開しました!!

物語の内容は、冒頭の前フリで何となく、わかったかもしれませんが、主演のナタリー・ポートマンが演じるバレリーナの二ナは努力の甲斐あり、その技術の高さを買われて、バレエ「スワン・レイク」の主役のプリマに抜擢されますが、その役どころは、優雅でイノセントな白鳥と、狡猾で官能的な黒鳥という、善悪のキャラクターをひとりで踊り、演じなければならないという、極めて難しいものだった。
果たして、生来、生真面目なニナに白鳥役はピッタリだったが、言わば、悪女のような黒鳥にはなりきれず、演出家のトーマスは、次第にニナに不満を抱きはじめる…。
と、そんな矢先、ニナとは正反対に、黒鳥を見事に踊ることができる魅惑的なダンサーのリリーが現われ、トーマスの関心はリリーへと移り注がれて、ニナは主役の座を奪われ、母の期待を裏切るかもしれないプレッシャーに苦悩し、リリーへのライバル心を募らせるが、同時にリリーに惹かれるニナは、裏腹な思いでリリーとの親交を深めていく…。


…とのことで、この「ブラック・スワン」の概観をまとめると、古くは「イヴの総て」(1950年)の昔から、くり返し描かれてきたような、華やかな舞台裏でくり広げられる女性のパフォーマー同士の醜いジェラシーのぶつかり合いをテーマの軸に据え、そこにエゴの虚栄心がアダとなって、呪われた靴で死ぬまで踊り続けることになる少女の末路を描いたアンデルセンの童話「赤い靴」の恐ろしいスーパーナチュラルのテイストを足したような感じですね。
しかし、「レクイエム・フォー・ドリーム」(2000年)や、「ファウンテン/永遠につづく愛」(2006年)といった超カルト映画を作ってきた天才ダーレン・アロノフスキー監督の作品がひと筋縄ですむはずはなく、冒頭で指摘した奇怪なカットをはじめ、上 ↑ の予告編だけでも、数々の異様な描写が観受けられるサイコ・スリラー映画の本作について、主演のナタリー・ポートマンは、最も似ている映画として、ロマン・ポランスキー監督の傑作モダン・ホラー「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)を例にあげていますから、さらにひとひねりの展開とオチが待ち受けているようです…。


そんな「ブラック・スワン」の物語を考えたのは、長寿コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のスタッフなどを経て、過去に長編のドラマ映画を1本だけ、監督したことのあるアンドレス・ハインツで、前述の「ファウンテン」で、ダーレン・アロノフスキー監督の助手をつとめ、「ザ・レスラー」(2008年)では、プロデューサーの役割を果たしたマーク・ヘイマンが協力して、ふたりで映画のシナリオに完成させました。




ニナのライバル、リリーを演じるミラ・クニス(↑)はご存知、恋愛映画の傑作「サラ・マーシャルを忘れたくて」(2008年)で、男にとって理想の最高の女性を演じた、いい女の代表ですが、ついに同性のナタリー・ポートマンまで虜にしてしまったようですね…。魅惑的な黒鳥のミラ・クニスは、「マックス・ペイン」(2008年)や、「ブック・オブ・イーライ」(2010年)で、彼女の人気だけをアテに、ただ映画に華をそえるだけの残念な役割で使われてしまっていましたから、彼女にとっては、この斬新な「ブラック・スワン」が新たな代表作になる可能性が高そうです…!!


芸術家肌の演出家トーマスとして、ふたりの女性を天秤にかけるのは、「イースタン・プロミス」(2007年)のヴァンサン・カッセル…!!


バレリーナだった自分の夢を託し、一流の踊り手に育てあげた娘のニナに手厚く接することで、プレッシャーを与えてしまう母親を演じているのは、マーティン・スコセッシ監督の「明日に処刑を…」(1972年)や、「シャンヌのパリ、そしてアメリカ」(1998年)など、多数の名作映画に出演してきたベテランの大女優バーバラ・ハーシーです。


それにしても、ニナの心が乱れていくに従い、鳥肌が肩の背中からひろがって、ついには体から羽をつまみ出すことに…といった描写は、かなり生理的に気持ち悪いのですが、もしかして、ナタリー・ポートマンは予告編の中でチラと一瞬、かいま観られたカラスのようなクリーチャーにでも変身してしまうんでしょうか…?!、そういうオチだと、モンスター映画のトンデモ作品になってしまうんですが…(笑)。


サイコ・スリラー映画の異色作として注目の「ブラック・スワン」は、共に来月9月に開催される、カナダ・トロント国際映画祭と、ダーレン・アロノフスキー監督にとっては凱旋となるヴェネチア国際映画祭の両方でプレミア上映された後、12月1日からアメリカで限定公開の予定です。年末に封切るのは、オスカー狙いの含みですね…!!





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