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ラブリー・ボーン-シアーシャ・ローナン-4

ジェームズ・キャメロン監督のSF超大作「アバター」の全米封切りを、いよいよ、この週末の18日(金)に控え、ディズニーのお姫さまアニメの最新作「プリンセスと魔法のキス」の拡大公開とかぶった、にっちもさっちもいかない週末の新作映画3本は、いわゆる賞レース狙いのオスカー・コンテンダーのはずですが、いずれもちょっと栄冠に辿りつくには厳しそうな感じです…ッ!! → 





インヴィクタス」(ワーナー・ブラザース)



スケジュールの都合で、悪役のトゥーフェイスをアーロン・エックハートに譲ったことを、MTVの取材で明らかにしたマット・デイモンが、その歴史的大ヒット作「バットマン/ダークナイト」(2008年)では実現できなかったモーガン・フリーマンとの共演を果たした、クリント・イーストウッド監督最新作が全米の2,125館で公開されました!!
タイトルの「インヴィクタス」(Invictus)とは、“不屈”、“支配されざるもの”と訳されるラテン語で、そのため来年2010年2月25日に日本で封切られる本作の邦題は「インビクタス/負けざる者たち」となっていますが、この映画における“インヴィクタス”の本当の意味は…、骨が結核菌で侵されるカリエスで足を切断するなど病気と闘いながら創作を続けた、ヴィクトリア時代の英国の詩人ウイリアム・アーネスト・ヘンリーが、自らを鼓舞するため病床で、不屈の精神を讃えて綴った詩のタイトルであり、モーガン・フリーマン扮する元南アフリカ大統領ネルソン・マンデラ氏が、かつて政治犯として、名もなき看守と過ごした、およそ27年間にも及ぶ長い獄中生活を精神的に支えた詩として知られているものです。
アンジェリーナ・ジョリーの「チェンジリング」、そして、自らが主演した「グラン・トリノ」に続けて、79歳のクリント・イーストウッドが異例のハイスピードで発表した本作は、本来は政治とスポーツのジャーナリストながら、映画にも関わり、「ダイ・ハード4.0」(2007年)のシナリオに参加したことで映画ファンには知られるイギリス生まれのジョン・カーリンが、昨2008年8月に出版したノンフィクション「プレイング・ジ・エネミー」(Playing the Enemy: Nelson Mandela and the Game That Made a Nation)を映画化したのもので、晴れて大統領に就任し、人種差別のアパルトヘイトを撤廃したネルソン・マンデラ大統領が、折りしも1995年に同国で開催されることになったラグビー・ワールドカップを“民族融和の祭典”とするべく、マット・デイモンが演じる代表チーム“スプリングボクス”の白人キャプテン、フランソワ・ピナールに協力を呼びかけた…ッ!!という、ヒューマニズムにあふれた実話の物語を、スパイク・リー監督から“映画に黒人を出さない黒人差別主義者”と罵られた非人道的な?!イーストウッド監督が描いています。



で、モーガン・フリーマンのネルソン・マンデラ大統領は映画の中で、マット・デイモンのフランソワ・ピナールに“インヴィクタス”の詩を授け…、これは歴史の事実なのでネタバレではないと思いますが、南アフリカは国全体がひとつになって見事に同大会で優勝を果たすわけですが、現実にはマンデラ大統領がフランソワ・ピナールに与えた勇気の言葉は、ルーズベルト大統領の演説の一節で、“インヴィクタス”ではなかったそうなので、ここらあたりは“インヴィクタス”の詩にテーマを集約して、感動を盛り上げるためのイーストウッドの演出だったようですね。

マンデラ大統領が、自分を支えた詩をマット・デイモンに語る場面



そうした現実とは少し違う映画のストーリーを書き上げたのは、ロバート・ダウニー・Jrが名探偵の最新作「シャーロック・ホームズ」が、やはり、今月25日のクリスマスに全米公開になるアンソニー・ペッカム。共演者として、「父親たちの星条旗」(2006年)でデビューしたイーストウッドの息子のスコット・イーストウッドが出演しているほか、音楽を、やっぱり息子のカイル・イーストウッドが担当しているなど、何だか「インヴィクタス」はイーストウッド家の家族映画のような感じです…ッ!!
さて、そもそもは「ヒューマン・ファクター」というタイトルだった本作の評価は、そう悪くはないものの、期待にはおよばず、前述のようにイーストウッド監督は映画を作るペースが早すぎることから、少し粗製濫造の感は否めないようです。よって、オスカーに絡むのは、ちょっと難しいかもしれませんね…。
「インヴィクタス」の初日金曜日の売り上げは約292万ドル。オープニング成績の予想としては、せいぜい1,000万ドルにも届かないかもしれませんが、ま、ワーナー・ブラザースは、ラグビーではなくアメフト映画の「ザ・ブラインド・サイド」で大儲けしてるだけに、ひとまず、「インヴィクタス」は、この出足でもOKなのかもしれません。(PG-13/2時間14分)

マット・デイモンがマンデラ大統領が収容されていた監房を訪れ、感銘を
  受ける場面



優勝に向け、チームメイトに檄を飛ばすマット・デイモン…ッ!!






ラブリーボーン」(パラマウント/ドリームワークス)



ジョー・ライト監督が類まれなる才能を発揮した「つぐない」(2007年)で、キーラ・ナイトレイの罪深い妹を演じ、13歳でアカデミー賞最優秀助演女優賞にノミネートされた、「エンバー/失われた光の物語」(2008年)の天才少女シアーシャ・ローナンちゃんを主演に迎え、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督が、アリス・シーボルトの同名ベストセラーを映画化した感動ファンタジー「ラブリーボーン」が、再来週25日(金)のクリスマス全米公開に先がけ、ニューヨークとロサンゼルスの3館で限定公開で封切られました…!!
超かわいいシアーシャ・ローナンちゃんの少女スージーが、スタンリー・トゥッチの変態ロリコン野郎のジョージにレイプされ、無惨にブチ殺されたことから、そのショックで壊れていく家族を、当のスージーが大霊界から見守ることになる…という、スピリチュアルな本作は、プロデューサーとして、今夏もSFモッキュメンタリーのアクション映画「ディストリクト9」を大成功させたヒットメイカーのピーター・ジャクソン監督の作品だけに、大きな期待をかけられていましたが、ココで取り上げたスピルバーグ監督の悲願のリンカーン大統領の伝記映画の企画をめぐるトラブルで、パラマウント映画がスピルバーグ監督のドリームワークスに対して、“リンカーンの映画を作りたかったら、「ラブリーボーン」を買い取って、責任とれや…ッ!!”というキナ臭い話が持ち上がっていただけに、案の定の結果として評価のほどは芳しくなく、映画の格付けサイト RottenTomatoes では、40%の支持しか得られていません…。



ニュージーランド出身のピーター・ジャクソン監督(↑写真)としては、ハリウッド進出を果たした初期の失敗作である「さまよう魂たち」(1996年)と同様に、幽霊のさまよう魂を描いて、またヘマをやらかした格好ですが、その「さまよう魂たち」でも RottenTomatoes の支持率は71%ですから、この「ラブリーボーン」がキャリア中のワースト作品になってしまいそうです…。しかし、根っからのピーター・ジャクソン監督ファンの方としては、出世作の「乙女の祈り」(1994年)以来、同監督が少女の繊細な感性を、ホラー的ファンタジーで描いた初めての作品として、本作はまさに必見の注目に値する映画であるのは間違いないでしょう。
どうやら、ピーター・ジャクソン監督の中には、前述の「ロード・オブ・ザ・リング」や、「キング・コング」(2005年)といったヴィジュアル至上のSFXアクション大作映画の監督ピーター・ジャクソンと、宮崎駿監督のように少女を主人公にする、もうひとりのピーター・ジャクソン監督という、相反するふたりのピーター・ジャクソン監督がいるようで、今回の後者のピーター・ジャクソン監督はあまり歓迎されなかったようですが、もしかして、デブのピーター・ジャクソン監督と、ダイエットに成功して激ヤセでスマートになったピーター・ジャクソン監督も別人だったのかも…?!





シアーシャ・ローナンちゃんのお父さんを演じてるマーク・ウォールバーグ(↑写真)は、笑えないコメディ映画「ハプニング」(2008年)のマーク・ウォールバーグではなく、傑作「ディパーテッド」(2006年)でアカデミー賞最優秀助演男優賞にノミネートされた、もうひとりの名優の方のマーク・ウォールバーグ。お母さんは、本作と同じようにスピリチュアルなテーマを取り上げ、興行的に大失敗したものの、一見の価値のある超カルト映画として、映画マニアの間では変に人気の「ファウンテン/永遠につづく愛」(2006年)のレイチェル・ワイズ(↑写真)。おばあちゃんは「ぼくの美しい人だから」(1990年)のスーザン・サランドン、そして、前述のように変態は、プリンセス・エイミー・アダムスの「ジュリーとジュリア」(2009年)が日本公開中の名優スタンリー・トゥッチですから、ともあれ、映画好きの方は、ちょっと観届けておきたいキャスティングですね。この「ラブリーボーン」は、日本では来月2010年1月29日から公開。初日の売り上げは約3万5,000ドルでした。(2時間15分/PG-13)

スージーが憧れのエキゾチックなレイ君から初デートに誘われる場面



ソプラノ・ファミリーマイケル・インペリオリが演じるレン刑事が容疑者
  で、変態のジョージを訪れる場面 (↓ すぐ下の動画に続く)。



オッサンのくせにドールハウスとか造ってる変態のジョージの部屋を物色するレン刑事から、変態のジョージが証拠品のスージーのブレスレットを隠す場面




ゴーオンイエローのローズ・マクアイヴァーが演じてるスージーの妹リンジーが変態のジョージと遭遇する場面



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ア・シングル・マン」(ワインスタイン・カンパニー)



グッチのクリエティヴ・ディレクターとして、同ブランドを壊滅の危機から立て直した有名ファッション・デザイナーのトム・フォードが映画監督デビューを飾った文芸映画の権利を、約200万ドルで手に入れたワインスタイン・カンパニーが、ニューヨークとロサンゼルスの9館だけで封切り、初日金曜日に約6万5,000ドルを売り上げています。
同性愛者のトム・フォードが、初メガホンの題材として選んだのは、1904年にイングランドで生まれ、アメリカに移住して、1986年に亡くなった同性愛者の作家クリストファー・イシャーウッドが、「ガタカ」(1997年)に出演していたことで映画ファンには知られる両刀使いの作家ゴア・ヴィダルに敬意を捧げ、1964年に発表したゲイ文学の同名金字塔の映画化です。
この「ア・シングル・マン」の物語の舞台は1962年のロサンゼルス。ゲイの美青年映画「アナザー・カントリー」(1984年)でデビューして注目を集め、大ヒット・ミュージカル映画「マンマ・ミーア!」(2008年)でもゲイに目覚めていたけれど、本人はフツーに妻子がいるので男色家ではないらしいコリン・ファースが演じる大学教授のジョージ・ファルコナーは、15年間も同性愛を育んできたパートナーのジムが交通事故で8ヶ月前に先立たって以来、人生に生きる希望を見いだせず苦悩し、ついに自殺の決意を固めることに…。といった内容の本作を、トム・フォード監督は、ウディ・アレンの傑作サスペンス「マッチポイント」(2005年)で、フィアンセのスカージョをジョナサン・リース=マイヤーズに寝取られていたマシュー・グッドが演じる亡くなった恋人ジムとの思い出の回想シーンを交え、大学教授ジョージの“最期の日”をスタイリッシュに描いていきます。
共演者として、ジョージの旧友の中年女性チャーリーを演じているのは、「ブラインドネス」(2008年)のジュリアン・ムーア。死の誓いを胸に秘めた教授の講義に感銘を受け、ジョージの後をストーキングするゲイの学生ケニーは、「アバウト・ア・ボーイ」(2002年)でヒュー・グラントに育てられていた子役から成長したニコラス・ホルトです。また、カレを忘れられない男たちの映画なのに、「そんな彼なら捨てちゃえば」(2009年)のジニファー・グッドウィンも出演しています。
主演のコリン・ファースが今年2009年9月の第66回ヴェネチア国際映画祭で男優賞を獲得した本作は、映画の格付けサイト RottenTomatoes で85%の高い支持率を得ているように、多くの映画ジャーナリストや、評論家がAクラスの評価を与えており、そのため、ワインスタイン・カンパニーは、この「ア・シングル・マン」が次回の第82回アカデミー賞に絡むのは必至…ッ!!と考えているようですが…、今年2009年の第81回では、「ミルク」で同性愛者を演じたショーン・ペンが最優秀主演男優賞を獲得し、監督のガス・ヴァン・サントも最優秀監督賞にノミネートされていただけに、果たして、2年連続で同性愛映画が賞レースの候補となるか?!、少し微妙なところですね…。が、まぁ、トム・フォードが映画監督への転進を成功させたことは間違いないようで、「イーグル・アイ」(2008年)では“スーパーコンピューター”のジュリアン・ムーアによれば、新人トム・フォード監督は実に丹念に演出プランの準備をしていた…とのことで、映画は素人のファッション・デザイナーでも、一緒に映画を作るのに抵抗はなかったそうです。
トム・フォード初監督作品のファッショナブルな「ア・シングル・マン」は、日本では今秋10月に行われた第22回東京国際映画祭で上映済みですが、あらためて映画館で公開されるんでしょうか…?!(1時間39分/R指定)

恋人のジムが交通事故で死んだ…と、電話で知らされるジョージ…




それでは明朝の月曜アサ恒例の全米映画ボックスオフィスBEST10のランキングをお楽しみに…ッ!!

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