Cannes : 第64回カンヌ国際映画祭のパルムドールが、ブラッド・ピット主演の「ザ・ツリー・オブ・ライフ」に決定!!、そのほかの受賞結果とあわせて、リストをご覧ください!!
by
Billy
2011年5月23日月曜日
第64回カンヌ国際映画祭が、現地フランスでも昨日となる5月22日(日)に閉幕し、大賞のパルムドールをはじめ各賞を発表したので、カンタンにまとめて、お伝えしておきます。同映画祭は、昨2010年の第63回で審査委員長をつとめたティム・バートン監督が、タイ映画の風変わりなゴースト・ストーリー「ブンミおじさんの森」という、商業価値に欠ける話題性の乏しい地味な作品を大賞に選んだことで、コンペの結果があまり話題にされず、盛り下がってしまいました。今年はそうしたカンヌへの注目度の低下を挽回すべく、トライベッカ映画祭を立ち上げて成功させた実績のある映画祭のゴッドファーザー?!のロバート・デ・ニーロがボスに招かれ、いったい、どういった傾向の受賞結果になるのか?!が期待されていたのですが、ひと言で言えば、大賞をはじめ主要な部門に、北米で近々リリースされる作品が多く選ばれたことで、あらためて、カンヌはハリウッド映画を宣伝するためのお祭りイベント?!と窺えなくもない格好となっています。(動画の数が多いため、一度でページを読み込めない場合があると思います。その時はページを再読み込みしてください)
パルムドール:「ザ・ツリー・オブ・ライフ」(テレンス・マリック監督)
いつの間にか、“第2のスタンリー・キューブリック”のようになってしまったテレンス・マリック監督の新作です。
1950年代に、ちょっと過激な父のブラッド・ピットと、やさしい母のジェシカ・チャステインの夫婦の間に生まれた少年が成長して、現代のショーン・ペンになり、魂の喪失や人生の意味について考えることになります。そうした家族の物語に、宇宙誕生や地球創生を暗示したような、惑星や恐竜のイメージが場違いに重ねられていく実験的な映画の作り方から、深遠にして瞑想的な映画…といった風に評され、絶賛する人がいる一方で、意味わからん…、観てて疲れる…、惑星とか恐竜が退屈…などと否定する人も少なくありません。なので、パルムドールを獲るためカンヌに参加した有力候補ながら、実際に受賞するのは無理では?!と目されていたので、予定通りに?!、本作がパルムドールを獲ったことについて、首をかしげてしまった人もいた次第です。でも、キューブリック監督の映画も発表の時点では、賛否両論が常だったので、どちらか一方にかたよる作品よりは、議論の余地が残る映画に賞を与えておく方が、ある意味では無難で、うまい選択なのかもしれませんね。
本作は北米では今週末の27日(金)から封切られるので、配給の20世紀FOX傘下のFOXサーチライトとしては、微妙な内容で売りにくい映画を、カンヌでパルムドール即公開!!という、あらかじめ思い描いた宣伝のシナリオどおりに、すべての現実が完璧に事が運んだことになります。なお、本作に賭けていたブラッド・ピットは、カンヌで内容が否定され、広く一般に映画が理解されそうにない見通しに落胆し、現地でかなり荒れていたことが、遠慮のないゴシップ・メディアなどでは報じられています。アカデミー賞の作品賞の候補枠が現在は無駄に10本にまで広げられているので、本作がノミネートする可能性は極めて高いですが、難解な映画なので、実際にオスカーを獲れるか?!となると、現時点では何とも言えない…といった、あやふやな予想しかされていません…。今週末の北米での一般公開で、どういった反応が寄せられることになるのか?!が、むしろ注目です。
グランプリは2作品が同時受賞!!
「ザ・キッド・ウィズ・ア・バイク」(ダルデンヌ兄弟監督)
「ロゼッタ」(1999年)と「ある子供」(2005年)で、2度にわたり、パルムドールを受賞している、カンヌの常連のジャン=ピエールとリュックのダルデンヌ兄弟の作品。実の父を探している、養護施設暮らしの11歳の少年と、美容師の女性との交流が描かれる。という風に、あらすじでは説明されています。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アナトリア」(ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督)
トルコのアナトリア半島を舞台とした、医師が主人公のドラマ。「うつろいの季節」(2006年)で知られるヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の作品です。
監督賞: ニコラス・ウィンディング・レフン(「ドライブ」)
スタント・ドライバーのライアン・ゴズリングが、夜はそのドライビング・テクニックを活かして、強盗一味のために逃走車を運転するドライバーをつとめているという、キャリー・マリガン共演の犯罪サスペンス映画です。
デンマーク出身のニコラス・ウィンディング・レフン監督は、同郷の先輩ラース・フォン・トリアー監督が映画祭で発した問題発言に眉をしかめたことで、トリアー監督から“あいつはガキの頃から知ってるんだ、くたばれ、クソッタレ!!”と毒づかれていたので、同監督をさしおいて受賞したことで、その言葉をそのまんまお返しした格好となっています。
ただし、ニコラス・レフン監督のお父さんは、トリアー監督の右腕として助監督をつとめているアンダース・レフン監督であって、トリアー監督の映画祭出品作「メランコリア」も(↓)、アンダース・レフン監督の協力により完成されていますから、もしかすると身内の間柄として、クソッタレ!!は文字どおりの意味ではなく、親愛の情を含んだジョークなのかもしれませんが…、もし本気だったなら、これまで一緒に映画を作ってきた大切なパートナーを失うことに発展してしまうかもしれません。いずれにしろ、そのように、ニコラス・ウィンディング・レフン監督は、父ちゃんとラース・フォン・トリアー監督の強力コンビをくだして、受賞したので、お父さんのアンダース・レフン監督は内心では、息子が受賞できてよかった…と思っているかもしれませんね。今後はトリアー監督とではなく、息子とのチームで、親子で映画を作った方がよいのかも…?!、本作は9月16日全米公開!!
女優賞: キルスティン・ダンスト(「メランコリア」)
「奇跡の海」(1996年)や、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000年)などで知られるデンマーク映画界の世界的名匠ラース・フォン・トリアー監督なりの終末映画。バカみたいな発言で、映画祭から追放されてしまった同監督ですが、その発言もさることながら、それを謝罪するにあたり、最終的に矛先を、まったく無関係なメル・ギブソンに向けて、責任転嫁するような子供じみた態度をとったことも疑問視されています。これまでラース・フォン・トリアー監督の芸術性に心酔してきたファンの方には、ガッカリですが、「スパイダーマン」シリーズの大成功と大失敗のいずれの面でもバッシングを受け、心を病んできたキルスティン・ダンストが賞を獲れたのは本当によかった…!!
男優賞: ジャン・デュジャルダン(「ジ・アーティスト」)
ご覧のように、1920年代のハリウッド映画界を舞台にした、白黒無声映画のコメディです!!、ワインスタイン・カンパニーの配給により、北米では今年中に封切られる予定。
脚本賞: ヨセフ・シダー (「フットノート」)
エルサレムの国立ヘブライ大学で、ともにユダヤ教を研究する父と息子の対立と葛藤を描いた作品。
審査員賞: “Polisse” (ウィンウィン監督)
リュック・ベッソンの元恋人で、「フィフス・エレメント」(1996年)でエイリアンのディーバを演じていた女優ウィンウィンの監督作品。題名の意味は幼児語の“おまわりさん”だそうで、児童保護をテーマにした内容だそうです。
❉その他に、以下のような作品が、それぞれに賞を贈られています。
Best First Film:“Las Acacias” Director: Pablo Giorgelli
Short Film Palme d’Or:“Cross-Country” Director: Maryna Vroda
ある視点部門
“Stopped on Track” Director: Andreas Dresen
「アリラン」(キム・ギドク監督)
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