Box Office : アダム・サンドラーとジェニファー・アニストン共演のリメイク版「サボテンの花」のロマンチック・コメディ映画「ジャスト・ゴー・ウィズ・イット」が、今後は“ジャスト・ゴー!!”とは言えないような成績で初登場第1位!!
by
Billy
2011年2月14日月曜日
ゴールデングローブ賞の結果を同時速報しなければならなかったり、「マトリックス」の続編ができる?!だとか、ワーナー・ブラザースが現地では日曜日なのに「スーパーマン」の主演俳優を発表してくれたり(ハリウッドが日曜日で、映画のニュースが基本的にないため、長々とした興行記事が書けています)といった、時ならぬ大きなニュースのほか、先週は、スーパーボウルでオンエアされた話題の映画の必見テレビスポットを追いかけるのが精一杯で、結局、ナンダカンダと新年から、ほとんど継続できていない興行レポートですが、今日は恐らく、先にお伝えしたマリオン・コティヤールがバットマン・シリーズ完結編「ザ・ダークナイト・ライズス」に出演決定!!以上の大きなニュースはないと思うので、ボチボチとりかかりたいと思います。このお金を基準に映画を評価する興行記事を楽しみにしてくれてる人がいるのか、どうか?!、よくわかりませんが、もし、いらっしゃったら、これまで、どうも、すみません。
…と言いつつも、今年2011年になってからの全米映画興行は、そもそも映画の墓場シーズンとして、ロクな映画が封切られていないのに追い討ちをかけるように、猛寒波にも再三、見舞われた結果、先月1月は過去29年間において、最も惨憺たる動員の記録しか残せておらず、ハッキリ言って記事にして語る価値もありませんでした。しかし、この週末は、それぞれの人気に反して、大勢の人が、うざいオカマのクソガキと思っているジャスティン・ビーバーと、やっぱり、大勢の人が、うざいカン違い女と思っている憎まれ者のジェニファー・アニストンという、多数のアンチ・ファンを抱えた女同士?!の興行バトルに火がつき、先週(4日~6日)との比較では、なんと全体で約85%もの実績アップを達成し、映画館は今年になって初めてビジネスが成立したような格好となっています。が、それでも前年の同時期と比べれば、約4分の3の売り上げでしかありません…。よって、映画スタジオが前述のような天候のほか、決められた上映時間のスケジュールに、座席の数といった物理的に制約の多い映画館を見限って、映画を各家庭に配信する形での封切りに、いずれ切り替えよう…と計画を練るのも、最近の数字を見れば、致し方ないのかもしれませんね…。
そのように今ひとつ盛り上がりに欠けたバレンタインデーの2月14日を含む週末興行で、先にアップしたBEST10ランキングのとおり、ソニー・ピクチャーズが3,548館の約4,900スクリーンで封切った、アダム・サンドラーとジェニファー・アニストンのリメイク映画のラブコメ「ジャスト・ゴー・ウィズ・イット」が約3,100万ドルのオープニング成績を売り上げて、初登場第1位となり、第2位の「ジャスティン・ビーバー:ネバー・セイ・ネバー」の同成績=約3,026万ドルとの間に僅差の74万ドルをつけて、勝利を飾ったわけですが、現時点のランキングは実際の現金が数えられたわけではありませんから、追って、第1位と第2位とが入れ替わる可能性がなくもありません。
しかし、単館のアベレージの売り上げを比較した場合、「ジャスト・ゴー・ウィズ・イット」が約8,737ドルで、「ジャスティン・ビーバー:プリーズ・セイ・ネバー」が約9,746ドルですから、単純に数字の比較ではビーバーのダムの方がたくさん貯水できた感じですが、同映画は3D映画として割高の入場料金を徴収しているので、その顧客単価の差を踏まえると、実質的には、やはり、アダム・サンドラーとジェニファー・アニストンの2大スターに、ニコール・キッドマンまで加わったリメイク版「サボテンの花」の方が、より多くの観客を集めていたらしいことは明らかです。
ただし、アダム・サンドラーとジェニファー・アニストンの中年カップルは、おととし2009年のバレンタイン映画の目玉作品として封切られたワーナー・ブラザースの恋愛群像劇「そんな彼なら捨てちゃえば?」のオープニング成績=約2,778万ドル(3,175館)には勝っているものの、同映画の好評を受けて作られた、言わば第2弾で題名もズバリ「バレンタインデー」のオープニング成績=約5,626万ドル(3,665館)には、まるで歯が立っていません…。
また、ワーナー・ブラザースは、オールスターを集めた「そんな彼なら捨てちゃえば?」を約4,000万ドル、「バレンタインデー」を約5,200万ドルで作っているのに対して、相変わらず、いろんな映画で製作費をボッタくられているソニーは、「ジャスト・ゴー・ウィズ・イット」に約8,000万ドルもつぎ込んでいますから、恐らく黒字になる見通しとは言え、ワーナー・ブラザースのやり方に対して、効率がよいとは言えません。
さらに、アダム・サンドラーがバレンタイン興行を牽引した前作となる、やはり、ソニー・ピクチャーズが2004年2月13日に封切ったラブコメ映画の異色の傑作「50回目のファースト・キス」の成績は以下のようなものでしたから、通貨のインフレ率まで考慮すると、アダム・サンドラーをバレンタインデーの主役に持ってくるのも、そろそろ潮時の限界かな…?!といった声があがっても不思議ではないですね。
「50回目のファースト・キス」(2004年2月公開/製作費7,500万ドル)
オープニング成績=3,985万ドル(3,591館) 国内1億2,090万ドル+海外7,557万ドル=1億9,648万ドル
一方、前述の「そんな彼なら捨てちゃえば?」に出演していたジェニファー・アニストンとしては、同映画の実績をしのげただけでなく、「ラブ・ハプンズ」(2009年9月公開)=オープニング成績805万ドル(1,898館)、「ザ・バウンティ・ハンター」(2010年3月公開)=オープニング成績2,068万ドル(3,074館)、「ザ・スウィッチ」(2010年8月公開)=オープニング成績843万ドル(2,012館)と、3本連続して、パッとしなかった恋愛映画ジャンルの主演作で、久しぶりにヒットが出たことになりますが、ヴィンス・ヴォーンと共演したユニバーサル作品「ザ・ブレイク・アップ」には、公開時期の違いがあるとは言え、及んでいないことになります。
「ザ・ブレイク・アップ」(2006年6月公開/製作費5,200万ドル)
オープニング成績=3,917万ドル(3,040館) 国内1億1,870万ドル+海外8,629万ドル=2億499万ドル
以上のような過去の映画との比較から言えるのは、アダム・サンドラーはコメディ映画の№1スターとして、自分の指定席とも言える興行ランキングでの初登場第1位を、人気絶好調の最盛期にある子ども相手にキッチリとモノにして、ランキングの順位としては、製作・配給のソニー・ピクチャーズの期待に応じたものの、共演者にスターのジェニファー・アニストンを迎えながら、これまでの主演作のオープニング成績の平均的な数字の約3,500万ドルに届かなかったばかりか、そのふたりが組めば当然、達成されてもおかしくない4,000万ドル台には遠く及ばなかったことで、「ジャスト・ゴー・ウィズ・イット」を立派なヒット作とまでは言い切れず、アダム・サンドラーとソニーは今後に課題を残してしまった…と結論づけることができそうです
「ジャスト・ゴー・ウィズ・イット」 予告編
ウォルター・マッソー、イングリッド・バーグマン、そして、ケイト・ハドソンの素敵なお母さんのゴールディ・ホーンのトリオを起用して、コロムビア・ピクチャーズが1969年に封切った「サボテンの花」を…、つまり、ソニー・ピクチャーズがセルフ・リメイクしたことになる「ジャスト・ゴー・ウィズ・イット」の内容は…、アダム・サンドラーが演じる主人公の美容整形科医のダニーは過去に、自分の医師としての収入と生活の安定だけを目当てにした女性と愛のない結婚をしそうになった苦い経験から、それを逆手にとって、不幸な結婚に悩まされている夫を演じては、女性たちの同情をひき、ベッドに誘い込む…という、ちょっとどころか、かなり、ずるい独身男のプレイボーイ。そんなダニーが、とあるパーティーで、歳下の若く美しい数学教師のパーマーと出会い、彼女となら結婚してもいい…とまで思うものの、パーマーにナンパ用のウソの結婚指輪を見つけられたダニーは困って、またいつものウソをくり返してしまう…。
いったい、その失敗をとり返して、どうすれば、パーマーからの信頼と愛情を勝ち得られるのか?!、悩んだダニーが、自分の病院で働いている子持ちの離婚女キャサリンに相談を持ちかけたところ、妻とは間もなく離婚する予定だ…とウソを重ねればよいとアドバイスされる。そして、それを名案と思ったダニーは、そのままパーマーに告げるが、だったら、その別れる妻に会わせろと言われてしまったため、ダニーはウソの発案者のキャサリンに、自分の妻のふりをしてくれと頼み、キャサリンの子どもたちまで巻き込んで、家族を装うハメに…。
といったお話で、ジェニファー・アニストンが妻としての偽名に持ち出した、学生時代の大嫌いな女デブリンの当人が現れてしまったり…!!といった波乱などを含めて、コメディ映画として状況は混乱を増すものの、最終的には、あなたのお金ではなく、あなたの人柄を愛してくれる人は、気づかないだけで、すぐそばにいますよ…といった終わり方をしないわけがありませんね…!!
本作の監督は、傑作「チャックとラリー」(2007年)や、昨年夏のサマームービーだった「グロウナップス」など、アダム・サンドラー映画の監督として知られる相棒のデニス・デューガン。ジェニファー・アニストンが学生時代に嫌っていたイヤな女がニコール・キッドマン。アダム・サンドラーが惚れ込んで、結婚を望む美女は、モデルのブルックリン・デッカー。ジュブナイル映画の「テラビシアにかける橋」(2007年)や、「ブラザーズ」(2009年)で名演技を披露した天才的な子役のベイリー・マディソンちゃんが、ジェニファー・アニストンの娘マギーとして、将来は女優になりたい女の子を演じ、その演技でアダム・サンドラーを困らせています。
アダム・サンドラーに子どものふりを演じる出演料をよこせ ! ! と交渉するベイリー・マディソンちゃん ! !
ソニー・ピクチャーズの調べによれば、この「ジャスト・ゴー・ウィズ・イット」の観客の約58%が女性で、全体のやはり約6割にあたる人たちが25歳以上のアダルト層だったそうですから、そこいらのマクドナルドにいるガキと何も変わらないジャスティン・ビーバーになんか興味のない大人の観客が本作を支持をした…ということができそうです。
評価としては、映画の格付けサイト RottenTomatoes では、19%の低い支持で、レビューでも“D”クラスに位置づけられていますが、今さら、アダム・サンドラーのこの手のコメディ映画に評価も何もあったものではない気がしないでもなく、ブルックリン・デッカーの水着姿を含めて、とりあえず、観ている間はそこそこ楽しめれば…といった、暇つぶしの映画を探してる人だけ、ご覧になればよいのではないでしょうか。
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