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元日が土曜日だったことから、新年2011年になって、2度めの週末が明けたことになりますが、先週の年をまたいだ前回(2010年12月31~2011年1月2日)は、全米公開映画の新作の封切りがなかったため、この興行レポートもお休みさせていただきました。なので、これが今年最初の興行記事となります。
まずはこの週末の全米映画興行の全体のビジネスの結果ですが、前年同時期はジェームズ・キャメロン監督の「アバター」が大ヒットしていたんですよ…!!と言えば、去年との比較で、数字が落ち込んでいることは、おのずと察することができると思います。具体的には約3割のマイナス実績で、前述の先週の前回との比較でも、だいたい3割ぐらいの数字が落ち込んでいます。しかし、これはまぁ、年末から年始にかけてのホリディ明け…というタイミングを踏まえれば、集客ビジネスとしては当然とも言えるギャップなので、仕方がありませんね。
ただし、この週末の不入りを開幕として、アカデミー賞授賞式(2月27日)が終わる3月までは、1年で最も映画興行が閑散の時期となるため、映画スタジオ各社が諦め半分に、どうしようもない映画ばかりを封切って処分する、いわゆる“映画の墓場シーズン”に突入ですから、映画ファンは当分、主にスクラップ映画にばかり、つきあわされることになるので、本当は仕方がない…など言ってはいられません!!












で、その映画の墓場シーズンの不名誉な開幕映画をつとめてくれたのは、おなじみ大根役者の怪優ニック・ケイジの主演作かよ…!!というのは、もはや、笑うしかない感じなのですが、とりあえず、この中世を舞台にしたファンタジー・アドベンチャー映画の「シーズン・オブ・ザ・ウィッチ」がどれだけダメな映画か?!、上 ↑ のふやけた戦闘シーンをいきなり、ご覧下さい…!!

この明らかに DVDスルー映画並みのクォリティと言うしかないサイテーのVFXによる戦闘シーンを演出した本作の監督は、ケイト・ベッキンセールが主演した前作のサスペンス映画「ホワイトアウト」(2009年)も、ひどい出来栄えのクソ映画だったドミニク・セナ監督で、もはや、ブラッド・ピットが主演したサイコ・スリラー映画のカルト作「カリフォルニア」(1993年)や、やはり、ニック・ケイジとコンビを組み、アンジェリーナ・ジョリーが主演女優をつとめた「60セカンズ」(2000年)など、それなりに人気映画を作ってきた人と同一人物とは思えません…。

そんなドミニク・セナ監督とニック・ケイジのコンビが復活でも、新年早々から、あまりおめでたくはない「シーズン・オブ・ザ・ウィッチ」を製作・配給したのはレラティビティ・メディアで、全米2,816館の約3,000スクリーンで封切った結果のオープニング成績は、先にアップしたランキングのとおり、かろうじて100万ドル台をクリアできた、たったの約1,072万ドルのパッとしない売り上げでした。
しかしながら、そもそもの映画製作プロダクションから、配給事業にも乗り出したレラティビティ・メディアにとっては、昨2010年12月に公開した第1回配給作品のチャン・ドンゴンが主演したアクション映画「ザ・ウォーリアーズ・ウェイ」(製作費4,200万ドル)のオープニング成績が、本当に最悪の約304万ドルだったことからすると、同社にとっては、格段に大きな進歩を遂げられたことになります。


また、ニック・ケイジにとっても、「ネクスト」(2007年)や、「バンコク・デンジャラス」(2008年)といった過去の失敗作よりは、まだ「シーズン・オブ・ザ・ウィッチ」の方がマシだった…という結果になっていますし、昨2010年の夏にディズニーが全米公開した「ソーサラーズ・アプレンティス/魔法使いの弟子」のオープニング成績が、メジャー・スタジオのサマームービーであるのにもかかわらず、シケシケの約1,761万ドルだったのと比較しても、ろくすっぽプロモーションしていない、製作費=約4,000万ドルの「シーズン・オブ・ザ・ウィッチ」が、前述のような成績だったのは、まるで悪くない印象となり、レラティビティ・メディアは、同社の想定どおりの結果だった…といった見解をリリースしています。

「ソーサラーズ・アプレンティス/魔法使いの弟子」(2010年7月公開/製作費1億5,000万ドル)
オープニング成績/1,761万ドル(3,504館) 国内/6,315万ドル+海外/1億5,213万ドル=2億1,528万ドル

「ネクスト」(2007年4月公開/製作費7,000万ドル)
オープニング成績/713万ドル(2,725館) 国内/1,821万ドル+海外/5,785万ドル=7,606万ドル

「バンコク・デンジャラス」(2008年9月公開/製作費4,500万ドル)
オープニング成績/778万ドル(2,650館) 国内/1,529万ドル+海外/2,718万ドル=4,248万ドル


冒頭でご覧いただいた動画のように、ギレルモ・デル・トロ監督の「ヘルボーイ」シリーズで、タイトルロールの全身真っ赤な悪魔のヒーローを演じているロン・パールマンが共演者として、ニック・ケイジの相棒つとめている「シーズン・オブ・ザ・ウィッチ」は、14世紀の中世を舞台にした映画です。
十字軍の勇敢な戦士であるニック・ケイジの主人公は、無関係な者まで巻き添えにして、罪のない人の命も奪うことになる戦争の現実に幻滅し、相棒のロン・パールマンと共に戦場を離れて、地元のイングランドに舞い戻りますが、折りしも疫病のペストのまん延と出くわしてしまう…。
そして、自らもペストに侵され、伝染病の原因を魔女の呪いだと考える名優クリストファー・リーの枢機卿は(←)、名うての戦士のふたりの帰還を知ると、魔女とおぼしき娘アンナを清めて、呪いをとく儀式のため、人里離れた修道院まで、アンナを連行する危険な任務を、ニック・ケイジとロン・パールマンのふたりに託すことに…。


シーズン・オブ・ザ・ウィッチ予告編




といった内容で、MGM からソニー・ピクチャーズへとたらい回しされ、結局、レラティビティ・メディアが製作した本作の物語の肝となるべきポイントは、果たして、アンナは本当に魔女なのか…?!というミステリーなわけですが、どうせ、こんな映画をお金を払って観ないと思うので、オチまで示すと、魔女ではなくて、「エクソシスト」ですね!!といった、ありきたりな展開で、まったくお話になっていないため、映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は4%、レビューのとりまとめサイト Metacritic では、20件のレビューのうち、半分が最悪映画と見なし、残りの半分がまぁまぁ…、そして、ホメている批評は1件も存在しないことから、こんな映画を観てはいけないレッドゾーンの29ポイントとなってしまっています。



イギリスのTV女優クレア・フォイが演じるアンナが、普通の女性ではない…とわかってしまう場面!!



↑ こういう場面を途中で観せてしまう…というのは微妙ですね…!!

なので、まぁ、昨2010年11月に紹介した、ニコラス・ケイジの天才と狂人は紙一重?!的な演技のファンの方だけ、「シーズン・オブ・ザ・ウィッチ」をご覧下さい…!!とでもいった結論になるのでしょうか…?!
ちなみに、ニック・ケイジは、その言わば、自分がおちょくられた動画がインターネットで大流行したことについて、“酷評もレビューのうちであり、いずれにしろ、自分の仕事が評価の対象として注目されることはありがたく思わなければならない…”といった風に述べて、けなされることも大歓迎と言っているので、きっとイチイチ、大根役者などと、ぼくが書くことも、ユーモアをこめた特別扱いとして、ちゃんと理解してくれるはずでしょう…?!




レラティビティ・メディアの調べによれば、この「シーズン・オブ・ザ・ウィッチ」のオープニング興行の観客の約6割が25歳以上のアダルト層で、全体の約半数強が男性だったそうです。こうした中世など過去を舞台にした“時代劇”は、あまり若い観客にはウケませんから、ま、特に疑問はない観客層が観に来ていたことになります。





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