************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************


この週末の全米映画興行は、先週の前回(7月30日~8月1日)から、全体で約1割の売り上げダウンで、4週連続でマイナス動員を記録してしまったばかりか、解任騒動の持ち上がったスティーヴン・ソマーズ監督が続編も引き続き、メガホンをとることが決定したらしい「G.I.ジョー/ライズ・オブ・コブラ」が初登場第1位を飾った前年同時期との比較でも、同じく約10%の収入ダウンとなり、ステップ・アップに完全につまずいてしまいました…。




これまでに、「アンカーマン/ザ・レジェンド・オブ・ロン・バーガンディ」(2004年)、「タラデガ・ナイツ/ザ・バラッド・オブ・リッキー・ボビー」(2006年)、「ステップ・ブラザーズ」(2008年)と、2年おきにコンビを組んでいるウィル・フェレルとアダム・マッケイ監督が、相棒の共演者として、本格的なお笑いには、これが初挑戦となるマーク・ウォールバーグを招いた、バディ・ムービーの刑事アクション・コメディ「ジ・アザーガイズ」を、製作・配給のソニー・ピクチャーズが全米3,651館の4,900スクリーンで公開したオープニング成績は約3,560万ドルとなり、ウィル・フェレルにとっては、「俺たちフィギュアスケーター」(2007年/製作費6,100万ドル)のオープニング成績=約3,301万ドル(3,372館)をしのぎ、前述の「タラデガ・ナイツ」(成績の数字は下記)に次ぐ、自らのキャリアで2番めの好成績となる数字をマークしました…!!

映画の冒頭は、サミュエル・L・ジャクソン扮するハイスミス刑事と、ドゥエイン・ザ・ロック・ジョンソンのダンソン刑事という、とても「バッドボーイズ」で、連携のとれたスーパーコップたちの活躍を描き、あたかも彼らを主人公のように見せかけながら、でも、題名が「The Other Guys」=“別の連中”ということは…といった具合に、ウィル・フェレルとマーク・ウォールバーグが演じる真の主人公らは、けして、ヒーローではないと、観客にわからせる構成の本作のプロットは…、捜査中に誤って、ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター選手を狙撃してしまった失態を理由に、第一線から干されてしまい、危険に遭遇するかもしれない現場に出向くよりも、署内で書類仕事をしてる方がいいと考える、刑事らしからぬ、パッとしないオッサンのアレン=ウィル・フェレルとコンビを組まされてしまったことで、いつも、イライラしている、血気盛んなマーク・ウォールバーグのテリー刑事という、ミス・マッチなふたりが、思いがけず、大事件を解決する糸口をつかんだことから…というもので、脚本を手がけたのは、アダム・マッケイ監督自身と、ウィル・フェレルの昨2009年の大沈没映画「ランド・オブ・ザ・ロスト」を執筆したクリス・ヘンチーです。


ジ・アザーガイズ予告編




その「ランド・オブ・ザ・ロスト」の製作費に約1億ドルを費やしながら、オープニング成績はわずかに約1,883万ドル(3,521館)で、国内の最終的な売り上げは約4,943万ドルにとどまり、全世界のトータルでも約6,877万ドルしか稼げずに、目もくらむ大赤字を出してしまったウィル・フェレルのみならず、国内では約6,450万ドルの成績と不調だったながら、全世界のトータルでは、何とか約1億6,340万ドルを売り上げたことで、ひとまず、赤字は免れたと思われる、M・ナイト・シャマラン監督の「ハプニング」(2008年/製作費4,800万ドル)が、期待していたホラー映画ではなく、トンデモ大爆笑のバカ・ムービーだったハプニングで大恥をかかされ、あろうことか、ピーター・ジャクソン監督の「ラブリーボーン」(2009年)まで不発で赤字の悪評に見舞われてしまったことで、やはり、キャリアの危機に立たされていたマーク・ウォールバーグの両者にとって、この「ジ・アザーガイ」のヒットと、とにかく笑える!!という内容への好評価は、まさに映画の主人公たちと同じく、さながら起死回生の逆転劇となったようで、本作は映画の格付けサイト RottenTomatoes では支持率79%で、新鮮映画に認定され、レビューでは概ね、B ランクに置かれて、エドガー・ライト監督のコップ・ムービーのアクション・コメディ「ホット・ファズ」(2007年)に対する、ハリウッドからのアンサームービーとして、同映画に並ぶほどの傑作と、光栄すぎる賛辞を送られています。
あえて、ダメダメ同士のスターがコンビを組み、ダメダメ刑事のバディ映画を作るという、現実の状況を映画に反映させた、ウィル・フェレルとアダム・マッケイ監督の読みの狙いはピタリとハマッたようですね…!!


なお、マーク・ウォールバーグにとっては、本作のオープニング成績=約3,560万ドルというのは、「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001年/製作費1億ドル)=約6,853万ドル(3500館)、「パーフェクトストーム」(2000年/製作費1億4,000万ドル)=約4,132万ドル(3,407館)に続く、第3位の好成績であり、同じく刑事の役柄をシリアスに演じて、オスカーの最優秀助演男優賞にノミネートされた名作「ディパーテッド」(2006年/製作費9,000万ドル)のオープニング成績=約2,688万ドルを超えてしまいました…!!
ウィル・フェレルとアダム・マッケイ監督の過去の実績は、以下の通りです。

「ステップ・ブラザーズ」(08年7月公開/製作費6,500万ドル) 国内1億ドル+海外2,763万ドル=1億2,810万ドル
「タラデガ・ナイツ」(06年8月公開/製作費7,250万ドル) 国内1億4,821万ドル+海外1,475万ドル=1億6,296万ドル
「アンカーマン」(04年7月公開/製作費2,600万ドル) 国内8,528万ドル+海外528万ドル=9,057万ドル

…と、一見して、おわかりのように、ウィル・フェレルとアダム・マッケイ監督のコンビ作は海外市場で収益性が低いのが顕著なわけですが、アクション・スターとして、国内外で均等な数字を売り上げてきた実績のある、海外でも認知度の高いマーク・ウォールバーグを相棒に起用したことで、仮りにその欠点が補われるとするならば、この「ジ・アザーガイズ」が製作費の約8500万ドルを回収して、利益をあげられるのは、確実と言えそうです。


共演者として、ウィル・フェレルの野暮な刑事には不釣合いにセクシーすぎる妻を演じているのは、全米1のヤリマンを自認する?!、「NOセックス、NOライフ!」(2005年)のエヴァ・メンデス(↑)、主人公たちの上司のマウフ警部は、ティム・バートン監督のバットマン=マイケル・キートン(↓)、「ナイトミュージアム」シリーズのスティーヴ・クーガン(↓)が、事件の鍵となる、いかがわしい投資銀行家を演じているほか、マーク・ウォールバーグに撃たれるジーターの役を当然、デレク・ジーター選手本人が演じ、カメオ出演しています。
また、本作と似たタイプの最近の映画として、興行成績を比較せずにはいられない刑事モノのアクション・コメディ「コップ・アウト」AKA「チンコ2本」(2010年2月公開/製作費3,000万ドル/オープニング成績1,821万ドル/国内成績4,487万ドル/世界計5,543万ドル)で、ブルース・ウィリスとバディだったコメディアンのトレーシー・モーガンも、チラッと登場しています。



配給のソニーの調べによれば、この「ジ・アザーガイズ」のオープニング興行の観客の構成は、約56%が男性で、全体の約55%が25歳以下の若年層だったそうです。若い世代にウケているというのは、いい傾向ですね。


俺は、お前がキライなんだ!!、お前は刑事のニセモノだ!!、俺さまが百獣の王のライオンだとしたら、お前なんか、太ったまぐろだ!!、大海原のど真ん中で、お前に泳ぎ勝ち、食らいついてやる!!と、感情的に罵るマーク・ウォールバーグに対して、ウィル・フェレルが冷静に、ライオンには水を怖がる習性があり、泳ぐはずがないから、君の言葉は矛盾している…と、まともに理屈を言い返す場面。



で、言い負けたマーク・ウォールバーグは…、子どもみたいな行動をとってしまうわけですね!!
この他にも、“俺は飛びたいのに、飛ぶことを許されない孔雀だ!!”とか、孔雀はめったに飛ぶことがない鳥なのに、トンチンカンチンな動物の例えを、マーク・ウォールバーグが言って、それにツッコまれるというのが、この映画のひとつのギャグのパターンとなっています。ファンの方には失礼かもしれませんが、マーク・ウォールバーグが単細胞という設定は、本当に様になっていて、そういうところがむしろ、彼の憎めない魅力で、マーク・ウォールバーグの持ち味が発揮されていると言えそうです。ただし、コメディは、もうこれだけにしておいた方が無難だと思いますが…。





チャニング・テイタムが飛躍のステップを果たした「ステップ・アップ」(2006年8月公開/製作費1,200万ドル)のオープニング成績は約2,065万ドル(2,467館)。シリーズ化された第2弾の「ステップ・アップ2/ザ・ストリート」(2008年/製作費非公開)のオープニング成績は約1,890万ドル。
そして、3D映画として、それら前2作よりも高い鑑賞料金を徴収しているのだから、数字が上がってもおかしくはないはずの新作「ステップ・アップ 3D」を、ディズニーが1,826館の3Dシアターを含む、計2,435館の約3,000スクリーンで封切った結果のオープニング成績は約1,550万ドルで、なんと、シリーズ最低と、製作費の約4,000万ドルを折半したディズニー傘下のタッチストーンと、サミットワイライト・エンタテインメントの思惑は少し期待がハズレてしまいました…。

新人脚本家のエイミー・アンデルソンと、エミリー・メイヤーが執筆した本作に、物語はあって無きがごとしなのですが、一応、プロットとしては、両親が遺してくれた倉庫をダンス・スタジオに改造し、“ハウス・オブ・パイレーツ”と名づけて、ホームレスのダンサーたちのたまり場として解放している主人公のルークが経済的に行き詰まり、倉庫を明け渡さねばならない状況に陥ったことから、優秀なダンサーを集め、ダンス・バトルの大会で賞金を稼ぐことに…!!といった展開を軸に、それぞれの登場人物の事情などが枝葉として語られることになりますが、基本的にはシリーズの売りである、ひたすら、ダンスを観せる作品となっています。
よって、あまりレビューの評価は気にする必要もありませんが、映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は51%で、前作が26%で、第1作めが19%なことからすると、進かなり進歩している…と言えるのかもしれません。


Step Up 3Dのサントラに焦点をあてた編集の予告編!!



出演者として、主人公のルークを演じているのは、「サロゲート」(2009年)に出てたリック・マランブリ27歳、ヒロインのナタリーは、オーストラリア出身のテレビ女優シャーニ・ヴィンソン27歳(↓)、そして、前作から引き続き登場のアダム・G・セヴァーニ18歳と、第1作めでチャニング・テイタムの妹だったアリソン・ストーナー16歳という、若手の俳優たちがダンスの特技を披露してくれています。


監督は前作に引き続き、ジョン・チュウ。本作のオープニング興行の観客層の約6割は女性で、全体の70%を25歳以下の若者が占めていたそうです。
なお、シリーズの第1作めは、全世界での興行成績のトータルが約1億1,419万ドル(そのうち国内で約6,532万ドル)で、第2作めは約1億4,855万ドル(国内で約5,801万ドル)でしたから、まぁ、順当に1億ドルそこそこを売り上げられれば、ディズニーも、サミットワイライトもひとまず、資金をゆうゆうと回収できることになりそうです。


水しぶきを上げて踊るアダム・G・セヴァーニのダンス!!







【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!


Search in CIA