5回目となる今回は、少し視点を変えて、音楽という括りでレビューを書いてみました…！！




マイケル・ベイ監督が「映画の半分は音楽で決まる」と語っていたことがありましたが、私も全くその通りだと思います。シーンの雰囲気を強調するだけでなく、カットのテンポを整えたり、さまざまな役割を果たしていますからね。
その映画音楽に多大な影響を与えているのが、ハンス・ジマーです。今や彼なしでは映画音楽は語れません。
というわけで、いつもはシリーズ作品のレビューを書かせていただいていますが、今回は作品のタイトルを超え、「ハンス・ジマーのスコアが存分に発揮されたシリーズ」を書かせていただきます。
彼のスコアは様々なジャンルに及びますが、今回はその中でも胸が熱くなるアクション・スコアに焦点を当てた3本を紹介します。まずはマイケル・ベイ監督作品の「ザ・ロック」(1996年)です（この作品では他のコンポーザーも多く制作に携わっています）。


何と言っても、終始鳴り響くシンセサイザーのビートが熱く盛り上げてくれます。ベイ監督作品ということもあり、とにかくアクション、爆発と目が離せませんが、それに劣らず耳でも聞かせてくれます。特にベイ監督のスローモーション映像とジマーのスコアの相性は完璧で、クライマックスでのそれは鳥肌ものの完成度の高さです。
基本的にはシンセサイザーの音が強いのですが、カーチェイスのシーンではストリングスをメインで演奏するなど、随所で新鮮さのある音を聞かせてくれます。テレビ番組でも頻繁にBGMとして使われているので、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

次に、コーラスが効果的に使われ、一層壮大さが引き立てられているのが「クリムゾン・タイド」(1995年)です。



この作品でのスコアは、「ザ・ロック」のようなアップテンポではありませんが、重低音のきいたスコアが徐々に雰囲気を盛り上げていってくれます。特にメインテーマの旋律の美しさはジマー作品の中でも群を抜いています。また一つ一つのメロディも力強く、心に強く響きます。
そして、ジマーのアクション・スコアの集大成というべき作品が「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 」(2007年)です。



巧みな転調で組み合わされた、激しく美しい旋律は圧倒的ですし、何よりクライマックスで使われたスコアが素晴らしいです。シリーズを通して作曲された、様々な旋律をうまくアレンジし、ひとつにまとめあげています。
また、シーンに応じて、ひとつの旋律を編曲していくだけでなく、それぞれに新たな旋律が加えられています。
さらに、それら一つ一つがメインテーマにとって代わるほどの出来という贅沢さには驚かされました。
「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」という映画は、半分どころか、そのほとんどが彼のスコアによって支えられ、成り立っているように思います。
3作品に共通して感じることは、彼の盛り上げ方の上手さです。仲間を激励するシーンや、視覚的な見せ場となるシーン、ここぞという時に待ってましたと言わんばかりに熱いスコアが鳴り響きます。また、多彩なアレンジ力も彼の素晴らしさのひとつでしょう。アクション映画に彼の名前がクレジットされていたら、必“聴”です。 by Mairead




Billy's comment :「ザ・ロック」の“他のコンポーザー”はニック・グレイニー・スミスで、この映画の音楽はニック・グレイニー・スミスとの共作ということで、クレジットづけられています。また、「クリムゾン・タイド」の音楽をオーケストラを指揮し、録音したのもニック・グレイニー・スミスで、「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」に曲を追加して、実際に録音したのも、やっぱり、ニック・グレイニー・スミスでした。よって、ファンの方は、ニックの名前もあげておいて…ッ！！と言うかもしれないので、補足しておきます。で、下 ↓ の動画は、マレードさんも“様々なジャンルに及びます”と指摘してくれたように、ハンス・ジマーがブロックバスター映画のアクション大作ばかりでなく、「テルマ＆ルイーズ」(1991年)や、「恋愛小説家」(1997年)といったドラマ映画でも活躍してたのか…などと、あらためて感心してしまうハンス・ジマー音楽の集大成です…！！、ハンス・ジマーが音楽を手がけた最新作「シャーロック・ホームズ」は現在日本公開中！！、また、天才クリス・ノーラン監督の謎のSFアクション超大作「インセプション」(今夏7月日米公開)も、その完成に向けて、ハンス・ジマーが一生懸命、音楽をつけてくれています…！！





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