************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************


本来は同じ立場の人々を“看守”と“囚人”に分け、監獄実験を行うことで、いかに個人が自分の倫理や道徳といったモラルではなく、“権威”や“役割”に、その行動を左右され、非常識なことも平気で行ってしまうのか…といった人間の暗黒面を描いた「es[エス]」(2002年)というドイツ映画がありましたが、それと同じ発想の実験をフランスのTVドキュメンタリー番組が行い、“殺人”を放送したことが、世界中で大きな物議をかもしています…。




上 ↑ は、フランスでは昨日となる3月17日(水)の夜に放送されたドキュメンタリー番組「死のゲーム」(Le Jeu Du Mort)のいきすぎたショッキングな内容について伝えたニュースの動画です。
この「死のゲーム」は、ウソのクイズ番組「ゾーン・エクストリーム」をデッチあげ、一般から募った参加者に、クイズに誤って答えた不正解の解答者に、その罰として電気ショックの拷問を与える役割を負わせることにしました。
クイズの解答者が不正解すると、美しい女性の司会者と、スタジオに詰めかけた観客とが一斉に“罰を与えろ!!”とはやしたて、拷問を与える処刑人に、電気ショックの体罰を与えることを促します。そして、解答者が1問まちがえるごとに、その電圧が上げられていくのですが…、そうした演出に乗せられた処刑人役の80人の参加者のうち、16名を除く、64人が、護身用スタンガンの最高電圧=110ボルトの4倍以上に相当し、感電死の危険性もある480ボルトの最強の電撃を躊躇せず、ふだんは飛行機のパイロットとして働いている男性に与え、クイズに不正解だったという理由だけで殺してしまいました…。
もちろん、その感電する男性はパイロットではなく、あらかじめ仕込まれたヤラセの俳優で、実際に体に電気を流されることはなく、電撃に苦悶する様はすべて演技です。また、処刑人に、クイズにまちがえたのだから、バカは殺してしまえ…ッ!!と追い込むスタジオの観覧者らが、番組の製作者から、そう指示された、ヤラセのグルだったことも言うまでもありません。



この人間性への信頼を揺るがす衝撃を世界に与えたドキュメンタリー番組「死のゲーム」も、先に冒頭で例にあげたドイツ映画「es[エス]」の“監獄実験”も、イェール大学に在籍した有名な心理学者のスタンレー・ミルグラム博士が、ナチスによる大量虐殺のホロコーストはなぜ起きてしまったのか?!、異常心理の謎を解こうとして、1963年に行った、いわゆる“権威への服従実験”に基づき、端を発しています。
ひとは自分の考えではなく、その場の状況や、権威といった見えない力に流され、容易に他人を傷つけたり、ついには殺してしまうことすら辞さないという、普通のひとの恐ろしい側面を暴き出したミルグラム実験から、およそ半世紀が過ぎたにもかかわらず、私たちは何も変わっていない…、相変わらず、蝿の王である…ということが、この「死のゲーム」で証明されたわけですが、こうした番組を製作し、放送することに意味はあったのか?!、果たして、残酷な死のゲームは社会に警鐘を響かせたのか?!、それとも単に人騒がせなだけなのか?!、賛否がわかれています…。
みなさんはいかが思われるでしょう?、あなたもやはり、その場に置かれたら、ためらわずに480ボルトの電撃で人を殺すでしょうか…?!



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