安上がりなSFモッキュメンタリーが初登場
首位で荒稼ぎ!!、宮崎アニメも健闘!!
*数字は、週末の興行成績-(公開館数)-トータル興行成績 の順です。
第1位(初) 第2位 第3位(初) 第4位 第5位
第1位「ディストリクト9」
$37,000,000-(3,049館)-$37,000,000
第2位「G.I.ジョー/ライズ・オブ・コブラ」(公開中)
$22,500,000-(4,007館)-$98,753,000
第3位「タイムトラベラーズ・ワイフ」(10月公開)
$19,205,000-(2,988館)-$19,205,000
第4位「ジュリーとジュリア」
$12,400,000-(2,354館)-$43,684,000
第5位「G-フォース」
$6,908,000-(3,065館)-$99,049,000
第6位(初) 第7位 第8位 第9位(初) 第10位
第6位「ザ・グッズ:リヴ・ハード、セール・ハード」
$5,350,000-(1,838館)-$5,350,000
第7位「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(公開中)
$5,155,000-(2,771館)-$283,893,000
第8位「男と女の不都合な真実」(9月18日公開)
$4,500,000-(2,733館)-$77,502,000
第9位「ポニョ」(公開済)
$3,506,000-(927館)-$3,506,000
第10位「(500)日のサマー」(2010年1月公開)
$3,025,000-(1,048館)-$17,955,000
★体調不良で寝てました、今からボチボチ更新します…
★先週は多忙につき、結局、前回の「ジュリーとジュリア」の解説を書かないままに、週をまたいでしまいました…。同映画についてはまた後日、個別に記事をあげるつもりでいます。で、さて、この週末ですが、計5本の新作(ヴァネッサ・ハジェンズの青春音楽映画「バンドスラム」は圏外の第13位…、この映画についても後日また…)が映画館をにぎわせたものの、それぞれの作品が小粒だったため、サマーシーズン最後のブロックバスター映画「G.I.ジョー/ライズ・オブ・コブラ」がド派手に登場した先週からは全体で約5%の売り上げマイナスとなっています。
しかし、「トロピック・サンダー」が初登場第1位だった前年2008年同時期と比べると、約12%のプラス実績となり、この週末にランキングに出揃った作品は、去年の夏の終りよりも充実したラインナップのように見受けられます。そうした中で、見事に初登場第1位を獲得したのは、その去年の夏から口コミの宣伝をスタートしていた謎のSF映画でした…!!
★昨2008年夏のサンディエゴ・コミック・コンで、施設のアチコチに“人間以外使用禁止”といった奇妙な標識を取り付け、いったい、コレは何なんだ…?!と話題をさらった謎のSF映画「ディストリクト9」の配給権を、約2,500万ドルで買い取ったソニー・ピクチャーズが、同映画を3,049館の約4,000スクリーンで封切った結果、オープニング成績=約3,700万ドルで、見事に初登場第1位をもぎ取り、人間以外はダメッ!!と毛嫌いされていたはずのエイリアンたちが実は人類に大歓迎されていたことが明らかになりました…?!
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督が仕掛け人としてプロデューサーをつとめた本作は、CMディレクターのニール・ブロムカンプと組んで、人気ゲームの「HALO(ヘイロー)」を映画化するはずが、高額な製作費を集めきるメドが立たず、同プロジェクトを断念する代わりに、ニール・ブロムカンプ監督が2005年に発表したSF短編映画「アライヴ・イン・ヨハネスブルグ」を長編映画化することにした結果、完成された作品です。
で、話が少し横道にそれますが、断念された「HALO(ヘイロー)」の映画化は、ピーター・ジャクソン監督と共同でハイブリッド映画の「タンタン」シリーズを製作しているスピルバーグ監督が引き継ぐことになった…といったスクープが、先ごろ、映画サイトなどで伝えられましたが、マイクロソフトはそのニュースを公式に否定し、「HALO(ヘイロー)」の映画化は中止で、あくまでもゲームの開発に専念する方針であることを発表しています。
さて、南アフリカ出身のニール・ブロムカンプ監督が、地元のヨハネスブルグに巨大なUFOの母船が不時着し、スラムにエイリアン居住区の“ディストリクト9”(第9地区)が作られ、それを多国籍組織のMNUが監視している…といったアパルトヘイトならぬ、“エイリアン隔離政策”の世界観に基づいて作った本作は、俗に“モッキュメンタリー”と言われる、やらせのドキュメンタリー・タッチのスタイルや、前述のような口コミを誘う謎めいたヴァイラル・マーケティングなどから、“第2の「クローバーフィールド」”として語られていましたが、その「クローバーフィールド」(2008年1月18日公開)のオープニング成績は約4,005万ドルという大ヒットだったので、それに比べると、「ディストクリト9」のオープニング成績は約3,700万ドルと、平凡な3,000万ドル台にとどまったぶん、若干、見劣りしてしまいます。
しかし、詳細を吟味すると、「クローバーフィールド」は3,411館の公開で単館のアベレージ売り上げが約1万1,744ドルだったのに対して、「ディストリクト9」は3,049館の封切りで1館あたり約1万2,135ドルを稼いでいますから、もしスクリーンの数が同じであった場合、「ディストリクト9」も4,000万ドルのラインを超えられていた可能性が高いでしょう。
ただし、「クローバーフィールド」の最終的な国内での興行成績は約8,004万ドルで…、それ自体は立派な数字なのですが、要するに謎のモンスターは、その正体を明かしたオープニングの週末だけで、売り上げ全体の半分を荒稼ぎしていたことになります。となれば、謎のエイリアンもまた、その正体と目的が明らかになってしまった後は、求心力を失い、数字は伸びずに、最終的な興行成績はオープニング売り上げの倍の7,000万ドル~8,000万ドルの間といったことになってしまうのかもしれません。が、仮りにまぁ、そうであっても、「クローバーフィールド」の製作費が約2,500万ドルと格安だったように、「ディストリクト9」も約3,000万ドルで作られていますから、国内興行だけで投資は回収され、海外市場と2次・3次利用では確実に黒字を見込めていけることになりそうです。
などと書けば、それぞれの映画が、謎のモンスターに、謎のUFOとエイリアン出現!!といった好奇心をかき立てるギミックなヴァイラル・マーケティングの宣伝で、成功をおさめたようにもカン違いされかねませんが、実際のところは商品の映画そのものがおもしろかったから、宣伝が功を奏し、ヒットにつながったということはあらためて認識しておかなければなりません。ヴァイラル・マーケティングの元祖「ブレアウィッチ・プロジェクト」、そして、「クローバー・フィールド」の後を追い、似たような謎の宣伝展開を行なっても注目を集められず、謎のまま消えていった?!作品はゴマンとありますから…。
この「ディストリクト9」の、映画の格付けサイト RottenTomatoes での支持率は88%で、一般の映画ファンの評価だけに限れば、91%にまで跳ね上がります。
今年2009年の優秀映画のうちの1本と評価されている本作は、SFというジャンルに限れば、年間のベスト・ムービーなのかもしれません。
思いがけずエイリアンと人間のハイブリッドになってしまったことで、エイリアンにしか扱えない兵器を操作できることになり、エイリアンの武器を自分たちのものにしたい人類の思惑と、エイリアンとの間で板ばさみの窮地に追い込まれるMNUの職員ヴィッカスを演じているのは、ニール・ブロムカンプ監督の友人の無名俳優で、インディーズ映画の監督シャルトロ・コプリーです。
ニール・ブロムカンプ監督はこれで一躍、次回作が注目される売れっ子監督の仲間入りを果たしましたが、それでお金が集まっても、今後「HALO(ヘイロー)」を作る気はもうないそうです。
★この間はまたボチボチと…
★さて、今週末の全米公開映画は奇しくも、クエンティン・タランティーノ監督の新作と、ロバート・ロドリゲス監督の新作が同時公開で激突!!というグラインドハウス対決が実現!!、タランティーノ監督の新作は言うまでもなく、ブラッド・ピット主演の戦争映画「イングロリアス・バスターズ」で、ロバート・ロドリゲス監督の新作はガキ映画の「ショーツ」ですね!!、どちらも公開規模は3,000館程度なので、両雄の勝敗の行方に注目ですが…、どちらもあまり期待されていないので微妙なところです…。そこに加えて、「旅するジーンズ」シリーズで知られる、「ギルモア・ガールズ」のローリーことアレクシス・ブレデルの女子大生が就活に失敗し、進路を失ったことから、ダサい実家で家族と暮らすハメになり、人生の様々な現実に直面する青春コメディ「ポスト・グラッド」が登場!!、アレクシス・ブレデルはお医者さんになれたとばかり思っていたのですが、そうではなかったんですね…ッ!!、という訳で、人気ドラマ「ER」の最終回から、アレクシス・ブレデルのドクター・ジュリアの活躍をご覧ください。見事に新しい命を取り上げます…!!
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