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第5回 「イングロリアス・バスターズ8月全米公開決定!!女の復讐なくして成立しないタランティーノの世界は戦争映画でも女がトドメ!!
     映画秘宝2009年4月号掲載(2009年2月21日発行)




イングロリアス・バスターズ-メラニー・ロラン

「イングロリアス・バスターズ」の全米公開日が8月21日に決定しました!!
「イングロリアス・バスターズ」は5月のカンヌ映画祭に何とか間に合わせ、世界初披露の予定ですから、海外ではその勢いのままスピード公開です。
夏休み終わりかけの半端なタイミングですが、タランティーノ作品が夏休み映画の娯楽作として封切られるのは初めてで、タランティーノ映画の転換点となるヒット作になりそうです!!
さて、その「イングロリアス・バスターズ」は、第二次大戦を舞台に荒くれ者のアメリカ兵たちがヒトラー暗殺に挑む戦争映画とだけ紹介してきましたが、実はその裏側で若い女性の復讐の物語が同時進行します。
男臭いイメージを持たれがちのタランティーノ映画ですが、「ジャッキー・ブラウン」、「キル・ビル」、「デスプルーフ」と、いずれも男に一泡ふかす女が主人公でした。なので、「イングロリアス・バスターズ」に女主人公が登場するのはタランティーノらしく、むしろ、こちらが本筋との見方もあります。そんな訳で、今回は「イングロリアス・バスターズ」の女たちにスポットをあて、キャストを紹介します。
まずは、ブラッド・ピットのレイン中尉と並び、女主人公となるのがユダヤ人の娘ショーザンナ(↑ ポスター)。ナチスのユダヤ狩りで家族が惨殺される光景を目の当たりにした彼女は命からがらパリに逃げ、映画館を経営する中国人マダム・ミミューに救われ、映画館で働きながら、ナチスへの復讐を誓います…。
ショーザンナを演じるのは「心配しないで」でセザール賞とリュミエール賞の新人賞をダブル受賞したフランスの美人女優メラニー・ロラン(26歳)です。
メラニー・ロランはサイコ・サスペンス「スマイル・コレクター」で猟奇事件に挑む警察官に扮し、迫真の演技の切れを魅せていたので、復讐の天使ショーザンナには申し分なく、「イングロリアス・バスターズ」で国際女優に羽ばたきそうです。
そのショーザンナを匿うマダム・ミミューは「HERO」の香港人女優マギー・チャン。彼女は前夫が仏人の映画監督で、フランス映画にもよく出演してるので、パリにいてもおかしくない人ですが、それにしても大戦下のパリの映画館主が中国人というのはタランティーノらしい奇抜な発想です。でも、これはフランス映画界の大女優カトリーヌ・ドヌーヴが断ったため、マギー・チャンに役がまわった結果、誕生したユニークな設定です(※)。
そして、「イングロリアス・バスターズ」のクライマックスでショーザンナは、彼女の映画館で上映されるナチスのプロパガンダ映画を観に来るヒトラーを、ブラピたち兵隊やくざと手を組み、殺そうとします。その暗殺計画をサポートするのは、「ナショナル・トレジャー」のダイアン・クルーガー(↓)演じるドイツ人女優ブリギットです。彼女は女を武器にナチス将校に近づき、スパイとして情報を盗み出します。

イングロリアス・バスターズ-ダイアン・クルーガー

以上のように、「イングロリアス・バスターズ」は映画館が舞台として重要なモチーフになっているので、タランティーノ版「ニュー・シネマ・パラダイス」?といった側面も期待されていますが、配役を眺めると、ミセス・ヒメルスタインというユダヤ人女性役でクロリス・リーチマンが出演しています。
クロリス・リーチマンは、田舎の映画館の閉館に青春時代の終わりをシンボライズさせた1971年の名作「ラスト・ショー」で、アカデミー賞助演女優賞を得た人。
「イングロリアス・バスターズ」の映画館には「ラスト・ショー」へのオマージュが密かに捧げられていそうです。タランティーノが映画中のスクリーンにどんな名画を映し出すのか?、楽しみですね。あ、それと「キル・ビル」ファンにはうれしいことに、ジュリー・ドレフュスも端役で出ます!!

イングロリアス・バスターズ-14

最後に前回のクイズの答え。ティル・シュヴァイガーが演じるドイツ兵ヒューゴ・スティグリッツの役名は、メキシコのゾンビ映画の怪作「ナイトメア・シティ」の主演俳優の名前の引用でした!!、タランティーノはまたマニアックな映画を引っ張りだしてます!!

(※マギー・チャンの出番はカットされ、カンヌ映画祭で上映されたヴァージョンでは登場していないそうです。いずれDVDの特典映像で観られるのかも?)




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