************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************


UPDATE : COLLIDER の映画ジャーナリスト、スティーヴ・フロスティーによれば、ジェームズ・キャメロン監督製作総指揮/ギレルモ・デル・トロ監督の「狂気の山脈にて」の製作は、すでに先週末の金曜日(3月4日)に、ユニバーサル映画の社内で、その製作が中止と決定された。よって、同映画はもう作られず、ギレルモ・デル・トロ監督の次回作は、ワーナー / レジェンダリー製作のモンスター映画「パシフィック・リム」になる。

SFマニアのサイト io9 は、いかがわしいサイトではありませんし、SFや、ホラーのジャンル系映画の分野に限っては、貴重なニュース・ソースとなっています。なので、同サイトの記事を信じて、先ほど、ギレルモ・デル・トロ監督の暗黒神話「狂気の山脈にて」に、トム・クルーズの主演が正式決定し、クランクインが6月に定まった…!!とお伝えしましたが、元のニュースを執筆したライターのチャーリー・ジェーン・アンダースは、故意か、故意にあらずかはさておき、製作者のドン・マーフィの言葉の一部のみを取り上げて、事実とは異なる書き方をしてしまったようです…!!



先ほどの記事の結末で、トム・クルーズが、アダム・シャンクマン監督の「ロック・オブ・エイジス」を5月に撮影するのに、6月からギレルモ・デル・トロ監督の超大作「狂気の山脈にて」の現場にに飛び入り?!するのは、ちょっとおかしいのでは…と、ほのめかさせてもらいましたが、同じように思ったのはぼくだけでなかったようで、映画ジャーナリストのドリュー・マクウィーニーが、「狂気の山脈にて」の撮影開始が決定した!!と、 io9 のチャーリー・ジェーン・アンダースに語ったとされるプロデューサーのドン・マーフィと、ギレルモ・デル・トロ監督にメールを送り、記事の真偽の確認を求めたところ、ドン・マーフィから公式見解の返答があり、それをまじめに翻訳すると…、
“私たちは、トムやジムと、その他の者たちと一緒に一生懸命、登山に取り組み、山頂を目指している最中であり、撮影開始の日程はこれまでに金輪際、一切、決まっていません”
…とのことで、ドリュー・マクウィーニーが反論の記事を執筆した HitFix のみならず、他の映画サイトや、ブログからも、発言者の言葉を歪曲して伝えた可能性の指摘の突き上げを食らったチャーリー・ジェーン・アンダースは、自分の記事の根拠であるドン・マーフィから受け取ったメールの原文を明らかにしましたが、ドン・マーフィはあくまでも可能性の話として、トム・クルーズ主演で6月のクランクインをにらんでいる…と書いていますから、その可能性を“確認”に書き変えてしまい、映画の製作が決定したと世間に思わせたのは、チャーリー・ジェーン・アンダースの大きなミスと言って、差し支えがないように思えます。

こうした映画ニュースの誤報は日常茶飯事…と言ってはいけませんが、実際、それに近い状況になっているので、そうしたテキトーな映画ニュースの多くは放置されていますが、このチャーリー・ジェーン・アンダースの「狂気の山脈にて」の撮影が始まる…!!という誤報が、ことさら大事になってしまったのは、先の記事でも、ギレルモ・デル・トロ監督が長年、暖めてきた…と書いたように、ジェームズ・キャメロン監督製作総指揮/ギレルモ・デル・トロ監督のトム・クルーズが主演を希望している「狂気の山脈にて」は、エイリアンの登場する映画の内容がSFアクションではなく、ホラー映画に近いものになるにもかかわらず、物語のスケールが大きいことから、多額の製作費を要し、ビジネス的に成立し辛い難産の企画として、その進展が注目されていたからに他なりません。
つまり、映画の製作費を出資する映画スタジオの側から言えば、「狂気の山脈にて」は倫理規定による年齢にもとづいた視聴制限の対象となり得る、観客の幅が限定されかねないホラー映画なのに、「ロード・オブ・ザ・リング」のような超大作?!、そんなアホな…!!ということですね。
なので、ジェームズ・キャメロン監督がバックアップの製作総指揮に乗り出したものの、本当に映画の製作が実現するのか?!は半信半疑の人が多く、もし、ユニバーサル映画が正真正銘、「狂気の山脈にて」の撮影にGOサインを下せば、それは社運を賭けた大バクチとして見なされ、同社の株価にも影響を与えるはずなので、単に1本のジャンル映画の話では済まなくなり、経済ニュースの範疇にも踏み込むことになります。チャーリー・ジェーン・アンダースは、その点をよく理解せず、オタクに人気のサイトの記事として軽く書いてしまったのかもしれません。


そして、このチャーリー・ジェーン・アンダースがいい加減に伝えてしまったことで、映画界に波紋を呼んだ誤報に呼応するようにして、正真正銘のショービジネス業界の筆頭メディアである Deadline のマイク・フレミングが発信した独占ニュースによれば、ギレルモ・デル・トロ監督の「狂気の山脈にて」の製作費の見積もりは約1億5,000万ドル超で、その投資金額を回収するには、同映画が少なくとも全世界で5億ドル以上の興行収入をあげなければならないことから、ユニバーサル映画は実際のところ、尻ごみをしてしまっている…とのことです。

その5億ドルの世界収入を獲得するために、マイクは、「狂気の山脈にて」が少なくとも「インセプション」級の大ヒットにならなければならない…と記していて、それは恐らく、「インセプション」のように北米だけで3億ドル近い売り上げを得なければならない…という意味だと思いますが、5億ドルの世界収入で、SFホラーということになれば、過去には「アイ・アム・レジェンド」(2007年公開/世界興行収入5億8,534万ドル)や、当のトム・クルーズが主演した、スピルバーグ監督の「宇宙戦争」(2005年/世界興行収入5億9,174万ドル)が、その数字を達成できていることになります。
しかしながら、「アイ・アム・レジェンド」や、「宇宙戦争」がホラーと呼ぶに値する内容だったか?!というと、それはCIAリーダーのみなさんも疑問に思われるはずですが、それらの映画のレイティングは PG-13 で、実質的に視聴制限を持たない、親子でも観られる作品として仕上げられていました。
なので、R指定になることはまちがいないギレルモ・デル・トロ監督のSFホラー「狂気の山脈にて」が、「アイ・アム・レジェンド」や、「宇宙戦争」並みの大ヒットを実現できる見込みが薄いのは、容易に理解することができます。

また、落ち目と言われるトム・クルーズの最近作のアクション映画「ナイト・アンド・デイ」(2010年)の全世界トータルの売り上げは約2億6,193万ドルで、「ミッション・インポッシブル3」(2006年)でも4億ドルに届いていませんから、そのトム・クルーズの実績を踏まえても、ユニバーサル映画はもし、「狂気の山脈にて」をトム・クルーズ主演で作る場合、安全策を講じるには、ギレルモ・デル・トロ監督ではなく、スピルバーグ監督にメガホンをとってもらわなければならないですね。


そうした試算から、現実にはユニバーサル映画が「狂気の山脈にて」の製作を見送る可能性が高く、企画が頓挫する気配が窺えるため、マイク・フレミングによれば、この機に乗じて、ワーナー/レジェンダリーがギレルモ・デル・トロ監督を引き抜き、「狂気の山脈にて」を断念させて、自社のモンスター映画「パシフィック・リム」のメガホンをとらせるべく、積極的な働きかけを行っているそうです。

「クラッシュ・オブ・ザ・タイタンズ」(2010年)の脚本家トラヴィス・ビーチャムがシナリオを執筆した「パシフィック・リム」は、ひと言で言えば、未来を舞台にしたゴジラ映画といった、巨大モンスターと人類との戦いを描く作品で、超オタクのギレルモ・デル・トロ監督にはうってつけであることから、昨2010年秋にもレジェンダリー・ピクチャーズが、かねてから企画していたゴジラのリメイクと「パシフィック・リム」とを、1本の映画にして、ギレルモ・デル・トロ監督にメガホンを託すのでは…?!といった憶測が伝えられましたが、その際にも、ギレルモ・デル・トロ監督は、友人である、先の HitFix のドリュー・マクウィーニーに対し、自分は「ゴジラ」には一切、関与していないと返答しています。
しかし、ご存じのようにリメイク版「ゴジラ」は、自主映画の「モンスターズ」(2010年)で才能を発揮したギャレス・エドワーズ監督が作ることになりましたから、ワーナー/レジェンダリーは、SF版「ゴジラ」の「パシフィック・リム」の方を、どうしても、ギレルモ・デル・トロ監督に撮らせるつもりのようです。

一気に走り書きした以上の内容をカンタンにまとめておくと、ジェームズ・キャメロン監督製作総指揮/ギレルモ・デル・トロ監督のトム・クルーズが主演する、H・P・ラヴクラフトの暗黒神話の映画化「狂気の山脈にて」は、現時点では製作が決定しておらず、今後も実際に作られる可能性は低いこと、そして、それに代わる作品として、ワーナー/レジェンダリーがギレルモ・デル・トロ監督にSF版「ゴジラ」の「パシフィック・リム」を撮らせようとしているのが現状…ということになります。よって、ギレルモ・デル・トロ監督の次回作の見込みとしては、すでにワーナー/レジェンダリーが製作を決定している「パシフィック・リム」の方が現実味を帯びています。

「ホビット」を断念したのに続けて、「狂気の山脈にて」も諦めなければならないかもしれないギレルモ・デル・トロ監督の心中は、まことに気の毒でなりませんが、こうしたギレルモ・デル・トロ監督をめぐる混乱について、CIAリーダーのみなさんは、どのように思われるでしょう?!、誰もがギレルモ・デル・トロ監督の実力を認め、その才能を欲して、招聘するのに、実際は映画を作らせてやることができないだなんて、バカげてるとしか思えません!!


UPDATE : トム・クルーズの代理人も、「狂気の山脈にて」に主演の決定は下されていないことを、The Playlistに伝えました。 io9 は、こんなに各方面からクレームがあがるとは思っていなかったでしょうね…。





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