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「ミート・ザ・ペアレンツ」(2000年)のロバート・デ・ニーロを例にあげるまでもなく、世のお父さんにとって、かわいい娘を横取りするボーイフレンドほど、いまいましい存在はないものです。ましてや、その相手が鹿とあっては…?!









デニス・ボワイエさんをはじめとする計6名の仲のいいクリエイターが集ったユニット TeamCerf が発表された、手描きイラストの味わいを伝えるタッチのCGアニメによるショートフィルム「ミート・バック」(Meet Buck)です!!
先ほど冒頭で引き合いに出した「ミート・ザ・ペアレンツ」と題名が似ている本作は、物語のコンセプトもほぼ同じで、男性が恋人の自宅を訪れ、もしかすると将来、自分もお義父さんと呼ぶことになるかもしれない、カノジョの父親に初めて出会う状況が描かれています。
そうした、ともすると男同士が気まずく顔をあわせ、父親としては、娘の選んだ男性がどれほど立派な人物であれ、とりあえずは気に入らない偏見に満ちた感情を、本作では思い切って、ボーイフレンドを鹿という、人間以外の動物のキャラクターにしてしまい、お父さんをハンターに設定することで極端にカリカチュアし、ユーモラスに描いて、短い時間の中にテーマを凝縮することに成功しています。


しかし、本作が短編映画として、本当に優れているのは、娘のボーイフレンドを追いかけるお父さんが結末で、踏み込んではいけないエリアにたどり着き、ふたり…と言うか、ひとりと1匹ともども痛い目に遭って終わる…という、皮肉なオチをつけたことで、それにより、この物語が実際は、もっと幅広い意味で偏見をテーマにしていたことを、作者たちはさり気なく、観る者に窺わせ、伝えています。
よって、ボーイフレンドが鹿であることには、単純に動物愛護の訴えのみならず、様々なマイノリティのイメージが重ね合わせられている…と理解してよいかもしれません。
主人公の名前のバックは、日本語に訳すと、オス鹿で、“いきがった野郎”といった俗な意味あいでの解釈も可能です。そのバックが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のTシャツを着てる…!!というのも、本作の愉快な点ですね。




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