************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************


アメリカでは明日となる21日は、2月の第3月曜日ということで、建国の父と言われた初代大統領のジョージ・ワシントンや、奴隷解放の父と言われた第16代大統領エイブラハム・リンカーンらが、共に2月生まれであることにちなみ、歴代の大統領の功績を讃える祝日の“大統領の日”にあたるため、この週末はお休みが1日多いロング・ウィークエンドとなっています。なので、映画館としては、連休であるだけに、ふだんの週末よりも多い観客動員を望みたいところですが、その客足の牽引役になる話題の映画として、当初に期待されていたディズニー・ドリームワークスの第1回作品「アイ・アム・ナンバー4」が、宣伝を重ねるにつれ、どうやら、ヴァンパイアを宇宙人に置きかえただけの単にSF版「トワイライト」らしい…との不評の口コミを募ってしまい、人気の精彩を欠いたことで、先にアップしたBEST10ランキングのように、ほとんど注目されていなかったリーアム・ニーソンの「テイクン2」??みたいなサスペンス・アクション映画「アンノウン」が初登場第1位を奪取してしまいました!!
リーアム・ニーソンとしては、スピルバーグ監督が先のリンカーン大統領が暗殺される晩年を描く伝記映画の企画が、パラマウント映画でくり返し暗礁に乗り上げ、降板するハメになった後、ディズニー・ドリームワークスが、自分の後がまにダニエル・デイ=ルイスを主演にすえ、正式に製作に着手することになったドンデン返し?!の経緯があるため、同社の出鼻の第1回作品を、俺こそがリンカーンじゃないか!!、だから、大統領の日は俺が主役だ!!とでも言わんばかりに蹴落としてやったのは、もしかすると、ちょっと気分のいいものかもしれませんが、全米の映画館としては、前年同時期のホリディ・ウィークエンドと比較して、売り上げが約3割も落ち込んでいるので、とても気分がよいとは言えません…。



おととし2009年1月に全米公開された、リュック・ベッソン製作のアクション・フリック「テイクン」(20世紀FOX)が、誰も予想しなかった驚きの大ヒットとなり、演技派の名優であるばかりか、アクションスターとしても支持を集められることを証明したリーアム・ニーソンを主演を迎えた、その「テイクン2」??のような2番煎じのアクション・サスペンス映画「アンノウン」を、配給のワーナー・ブラザースが、全米3,043館で封切ったオープニング成績は約2,177万ドルとなり、以下 ↓ のような第1弾?!の同成績には残念ながら、およぶことができませんでした。

「テイクン」(2009年1月公開/製作費2,500万ドル)
オープニング成績=2,417万ドル(3,183館) 国内1億4,500万ドル+海外8,182万ドル=2億2,683万ドル

しかしながら、1館あたりでの売り上げを比較すると、「テイクン」は約7,765ドルで、「アンノウン」は約7,154ドルですから、恥も外聞もなくリュック・ベッソンに追随したプロデューサーのジョエル・シルバーとしては、ワーナー・ブラザースの期待に、それなりに応じた成果となっています。
また、ワーナー・ブラザースとしては、ほぼ前年同時期にあたる昨2010年1月に全米公開した、メル・ギブソンの主演俳優復帰作「エッジ・オブ・ダークネス」(製作費8,000万ドル)のオープニング成績が約1,721万ドルと、2,000万ドル台を割り込んでいたのを踏まえると、同映画の製作費の半分以下にあたる約3,000万ドルで完成した「アンノウン」が、大ヒット作「テイクン」に匹敵する封切りを迎えられた…!!というのは、前年の企画の失敗を取り戻した格好となり、「アンノウン」はひとまず成功作と言って、差し支えないかもしれません。

ただし、映画の格付けサイト RottenTomatoes では約56%と、中間的な支持率を集めている「アンノウン」ですが、プロの映画ジャーナリストらのレビューを見ていくと、その評価は“C”や、“D”といった底辺に近いもので、映画館になど足を運ばず、いずれヒマな日にでも、DVDをレンタルすれば…?!といった次第に薦め、本作の内容展開のレベルがDVDスルー映画並みであることをアッケラカンとほのめかしています。


冒頭で示されるミステリーのオチとなる展開が実につまらない…と評される「アンノウン」のプロットは、前作?!の「テイクン」では愛娘を奪われ=“テイクン”されていたリーアム・ニーソンが、今度は自分の存在の証明となる“身元”を奪われ=“テイクン”されてしまった…!!といった設定で、リーアム・ニーソン演じる主人公のマーティン・ハリス博士は、バイオテクノロジー分野の会合に出席するため、妻のリズと訪れたドイツのベルリンに到着するや、乗ったタクシーが交通事故に遭い、4日間の意識不明の末、妻のもとへと戻るものの、妻はマーティン・ハリス博士を称する別の男性を夫として伴い、リーアム・ニーソンのマーティン・ハリス博士はニセモノで、見ず知らずの赤の他人…と言い張るのだった…!!、果たして、自分の身辺に何が起こったのか?!、皆目見当のつかないリーアム・ニーソンは、事故を起こしたタクシーの女性運転手ジーナを探し出して、協力を求め、事の真相を暴こうとするが、それを詮索されては困る者たちから、命を狙われることに…。


アンノウン予告編



…といった、自分が誰だか、よくわからない、あるいは、その正体が判然としない身元不明のような主人公というのは、つまり、マット・デイモンの「ボーン」シリーズで成功し、アンジェリーナ・ジョリーの「ソルト」(2010年)や、アンジェリーナ・ジョリーの「ザ・ツーリスト」(2010年)へと引き継がれた、近年人気の設定のパターンを踏襲したものとなるわけですが、本作は映画のオープニングをいきなり、病院のシーンから始め、先に紹介したような物語の発端を後回しに描くことで、リーアム・ニーソンは本当にマーティン・ハリス博士ではなくて、事故でアタマがおかしくなり、妄想を言っているだけにしか過ぎず、妻のリズをはじめとする周囲の人たちが正しいのではないか?!といった憶測の可能性を、観客が考慮にいれて観られるように構成して、作られています。


ところが、そのワクワクと期待させるミステリーの要素を、本作は物語の主題として最後まで引っ張るのではなく、フランク・ランジェラ演じる同僚の登場により、謎はアッサリとカタがつき、リーアム・ニーソンは本来、自分がベルリンに訪れた理由である目的の達成を、自分が食い止める…!!というアクションへと、映画が転換することになります。

そうしたミステリー・サスペンスのように始まったのが、リーアム・ニーソンの正体も大して謎ではなく、最後は単にアクション映画として終わる…といった映画の成り立ちを、盛りだくさんでおもしろいと思う観客にとっては、本作は楽しめる作品と言えるはずですが、前述のように、プロの映画の目利きの人たちは、ストーリーを形作る各要素が結局は、その場かぎりの娯楽でしかなく、映画の首尾が一貫していない…ということで、辛い点数をつけています。



追跡されて突発の事故に遭遇したにもかかわらず、リーアム・ニーソンが冷静にギアチェンジして、クルマをコントロールするシーン!!、世間の50代のバイオテクノロジーの科学者はみな、運転の達人?!、そんなこと…ないですよね?!




なので、こうした本作を、エンタテインメントなんだから、それでいいんじゃないの?!という人は、映画館の大きなスクリーンで観る価値があるのでしょうし、そういう凡庸なアクション映画のオチなら、今さら映画館にまで足を運ぶ時間とお金を割く必要はないな…と思う人は、後にDVDを借りてきて、自宅でスナックでもつまみながら気楽に観ればいい…ということになります。
そのいずれのどちらを、大衆がこれから選んでいくのか?!が、ひとまずは前作?!の「テイクン」のように、まずまずのスタートを切った本作が今後、同映画と同じように大ヒットを果たせるのか?!、それとも、即座に話題がしぼんで、そこそこの凡ヒットで終わるのか?!という、「アンノウン」のアンノウンな分かれ道となりそうですね。


この「アンノウン」の監督は、レオナルド・ディカプリオ製作のチャイルド・ホラー「エスター」(2009年)が好評価された、スペイン出身のジャウム・コレット=セラ(↑)。脚本は、ショーン・ヤングのコメディ「ジキル博士はミス・ハイド」(1995年)でも、ジャンルは違えど、別人格をテーマにしていたオリヴァー・ブッチャーと、「フィラデルフィア・エクスペリメント2」(1993年)を監督したスティーヴン・コーンウェルです。


共演者として、リーアム・ニーソンの妻リズという役を演じているのは、シリーズ最新作「X-MEN/ファースト・クラス」が6月3日から全米公開になるジャニュアリー・ジョーンズ(↓)。


リーアム・ニーソンは運ちゃんが女性で、しかも飛び切りの美女であることに、どうして、はぁはぁ…しないのか?!と観客が、これこそ本作の最大の謎に違いないと疑問に思い、それがアタマにこびりついて離れなくなるほど、無理のあるキャスティング…と評されている、タクシー・ドライバーのジーナは、ドイツを代表する女優のブリジット・フォン・ハマーシュマルクですが、タランティーノ映画のファン以外には、ダイアン・クルーガー(↓)と呼ばれている人ですね!!



Dr. Martin Harris (Liam Neeson) awakens after a car accident in Berlin to discover that his wife (January Jones) suddenly doesn’t recognize him and another man (Aidan Quinn) has assumed his identity. Ignored by disbelieving authorities and hunted by mysterious assassins, he finds himself alone, tired, and on the run. Aided by an unlikely ally (Diane Kruger), Martin plunges headlong into a deadly mystery that will force him to question his sanity, his identity, and just how far he’s willing to go to uncover the truth.






【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!


Search in CIA