シリーズ完結編の「Saw Ⅶ」が3D効果で売り上げを水増しするも、動員の回復は果たせず、残酷ポルノの時代が終わりを迎えた10月最終週/ハロウィンの興行レポート!!
by
Billy
2010年11月1日月曜日
この週末の全米映画興行は、シリーズ・クライマックスの「Saw Ⅶ 3D」が、ひとまず初登場第1位は飾ったものの、パッとしない成績だったおかげで、この「Saw」シリーズに代わり、新たにホラー映画の№1人気タイトルになった「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの第2弾が、ホラー映画史上最高のオープニング大ヒットを記録した先週の前回(22日~24日)から、全体で約3割も売り上げを落としてしまいましたが、マイケル・ジャクソンの「This Is It」が第1位だった前年同時期との比較では、ほんのわずかながら、ジグソウが実績を上向かせ、最後の一花を咲かせています!!
配給のライオンズゲートが全米2,808館の約3,500スクリーンで封切ったシリーズ最新作にして、完結編の「Saw Ⅶ 3D」がオープニングのハロウィン興行で売り上げた成績は、先のランキング表のように、木曜日(10月28日)の前夜祭の売り上げ=約170万ドルを含めたトータルの成績が約2,420万ドルで、「パラノーマル・アクティビティ」(2007年)の第1作めに阻まれ、初登場第2位に甘んじた前作「Saw 6」から、数字的にはかなり挽回を果たすことができました。
●「Saw」シリーズのオープニング成績
「Saw」 (2004年10月公開/製作費120万ドル) …… 1,827万ドル(2,315館/第3位)
「Saw 2」 (2005年10月公開/製作費400万ドル)…… 3,172万ドル(2,949館/第1位)
「Saw 3」 (2006年10月公開/製作費1,000万ドル)… 3,361万ドル(3,167館/第1位)
「Saw 4」 (2007年10月公開/製作費1,000万ドル)… 3,175万ドル(3,183館/第1位)
「Saw 5」 (2008年10月公開/製作費1,080万ドル)… 3,005万ドル(3,060館/第2位)
「Saw 6」 (2009年10月公開/製作費1,100万ドル)… 1,411万ドル(3,036館/第2位)
ただし、先週末の土曜日(30日)にお伝えした初日速報のレポートでも指摘したように、「Saw Ⅶ 3D」が題名どおりの3D映画として、公開館数全体の約9割で割増しの鑑賞料金を徴収している事実を踏まえ、週末3日間の興行成績=約2,250万ドルから約3割程度、数字を縮小して考えると、シリーズ完結編の実際の動員は、前作と大して向上していないことが容易に読み取れます。
また、そのように売り上げを水増し?!するために、3D映画にしたことにより、最新作は製作費が高騰し、シリーズ史上最も高額の約1,700万ドルがかかってしまいましたから、その高まったリスクを考慮の範疇に加えると、明らかに前作と同等か、それよりも若干、下に評価されるかもしれない結果しか、今のところ、「Saw Ⅶ 3D」は示せていないことになります。
と、ここで、世界記録を網羅したギネスブックに“最も成功したホラー映画シリーズ”として掲載されている「Saw」シリーズの輝かしい過去の興行成績の全体を振り返ってみると…、
「Saw」…… 国内5,518万ドル+海外4,791万ドル=1億309万ドル
「Saw 2」… 国内8,703万ドル+海外6,070万ドル=1億4,773万ドル
「Saw 3」… 国内8,023万ドル+海外8,463万ドル=1億6,487万ドル
「Saw 4」… 国内6,330万ドル+海外7,605万ドル=1億3,935万ドル
「Saw 5」… 国内5,674万ドル+海外5,711万ドル=1億1,386万ドル
「Saw 6」… 国内2,769万ドル+海外3,966万ドル=6,736万ドル
オープニング成績と同じく、「Saw 2」から「Saw 3」にかけてがピークで、前作「Saw 6」では、やはり、トータルの売り上げも、直前の「Saw 5」から、ほぼ半減の結果となってしまっています。
1館あたりの売り上げのアベレージで見ても同じで、「Saw 2」から「Saw 5」までは概ね、9,000~1万ドルの値となっていますが、前作の「Saw 6」では、それが半減し、約4,650ドルにまで平均値が落ち込んでいます。
最新作では、映画館の数を少し減らしたことにより、集客の密度が高まったのと、前述のように、3D割増し料金の恩恵によって、平均の売り上げが約8,013ドルと、大幅に数字をアップしていますが、それでは、より少ないスクリーンの数で、しかも、3Dではなかった第1作めの平均値=約7,894ドルと大して変わらないことになります…。
よって、結論としては、売り上げアップを目指して、3D映画にし、人気に火がついたシリーズ第1作のゲームのプレイヤー、ドクター・ゴードン(ケイリー・エルウィス)を再登場させ、シリーズ全体を結びつける物語として興味を誘い、これで終わりですよ!!、シリーズ完結のクライマックスですよ…!!と、声高に宣伝はしてみたものの、「Saw」シリーズの人気はもはや、手の施しようがないほど、完全に死に体で、これ以上、シリーズを続ける価値の見い出せないことが、ハッキリと万人に理解できることになりました。
なので、「Saw」シリーズはたぶん、本当にもう、この「Saw Ⅶ 3D」で終わりとなりそうですね。
と言っても、数年後にライオンズゲートがまたぞろ、ニューキャストで、少し異なる視点の変わったタッチで描く新生「Saw」を始めないとは、誰にも保証はできませんが…ッ!!
なお、「Saw Ⅶ 3D」の映画の格付けサイト RottenTomatoes での評価の支持率は、M・ナイト・シャマラン監督の「ラスト・エアベンダー」の他を追随を許さない 6% には、どうにか勝ることができた、たったの8%です…。
カルト・アクション映画「ボンドック・セインツ(「処刑人」)」シリーズで人気のショーン・パトリック・フラナリーの
演じる嘘つきのボビーが、愛妻を死なせたくなかったら、ゲームをクリアするよう要求される場面!!
ちなみに、CIAリーダーのみなさんに、新作映画の感想の書き込みを求める Sound Off は、まぁ、そもそも書き込んでくれる人は、はじめから少ないわけですが、この「Saw Ⅶ 3D」で初めて、誰も書き込まない…、つまり、誰も観ていない?!という悲惨なことになりました。
CIAリーダーのまっとうな映画ファンのみなさんは、「Saw」の新作なんてもう、いずれDVDレンタルで観ればいいや…といった、冷静なお考えなんでしょうか?!、次回の Sound Off では、書き込みをお願いします…!!
【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!
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