2010年9月第3週の興行レポート-ベン・アフレックに初のオスカー獲りの可能性まで見えた強盗映画「ザ・タウン」が、ライバルの新作映画をおさえて初登場第1位!!
by
Billy
2010年9月20日月曜日
誘拐を題材にしたミステリーの犯罪映画の傑作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(2007年)で映画監督デビューを飾った、新進気鋭のベン・アフレック監督が、大根役者との評価もある二枚目俳優のベン・アフレックを主演に起用するという、リスキーな賭けに打って出た…!!といった見方もできる最新作が、R指定というレイティングの不利をはねのけ、期待を上回るヒットで、この週末のチャンピンになりました…!!
前述のように、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」で映画監督として並外れた才能を発揮し、世間を大いに驚かせたベン・アフレックが、共演者の相棒に「ハート・ロッカー」(2009年)のジェレミー・レナー(↑)を起用して、自らカメラの前にも立った、3年ぶりの第2回監督作品「ザ・タウン」を、製作・配給のワーナー・ブラザースが2,861館の約3,500スクリーンで封切ったオープニング成績は約2,380万ドルで、当初、首位に予想されていたエマ・ストーンの青春映画の名作「イージーA」を軽々と抜いて、初登場第1位の強奪計画を成功させました…!!
ベン・アフレックが前作に続けて、地元ボストンを舞台にした「ザ・タウン」は、「新スーパーマン」の監督を辞退したことを明かしたギレルモ・デル・トロ監督と、ヴァンパイア小説の3部作を共同で執筆しているチャック・ホーガンの原作「強盗こそ、われらが宿命」を映画化したもので、上下巻の邦訳本を出版するヴィレッジブックスの紹介によれば…、
【上巻】全米一、銀行強盗発生率の高い街であるボストン郊外のチャールズタウン。ここでは強盗は誇り高き家業だ。そんな街で生まれ育ったダグは、幼なじみを率いて、現金強奪をすることに何の疑問も抱いていなかった。だが、ある銀行襲撃をきっかけに、何かが変わった――銀行の女性支店長クレアに恋をしてしまったらしい。
深入りできない苦しい恋に悩みながら、次の襲撃の準備を進めるダグ。一方、FBIは着々とダグたち一味に捜査の手を伸ばしていた。
【下巻】朝出勤してきたら、天井から降ってきた強盗が金を奪い、副支店長が眼前で半殺しにされ、自分も人質にされる――そんな苛酷な経験をしたクレアは、なかなか心の傷が癒えない。彼女の苦痛を目の当たりにしたダグは、次の仕事を機に強盗稼業からは足を洗おうと決心する。…とのことで、“加害者と被害者、追う者と追われる者が、クレアを軸にして出会ったとき…。巧みな人物描写とプロットで読ませる、傑作ミステリー!”…だそうです。
しかし、他の仲間たちはこんな実入りのいい商売をやめる気はさらさらない。青春時代を共にした悪党どものために、ダグは最後の大博打を打つことにした。
クレアに淡い恋心を抱くFBI捜査官フローリーはそれを察知、ダグへの嫉妬心からある奸計を思いつくのだが……。
すべてが終わって微笑むのは誰か。運命の時は来た!
「ザ・タウン」 テレビスポット
この「ザ・タウン」のオープニング成績=約2,380万ドルというのは…、義兄弟のホアキン・フェニックスが主演の「アイム・スティル・ヒア」で、やはり、監督デビューを果たした弟のケイシー・アフレックを主人公に起用し、ミシェル・モナハン、モーガン・フリーマン、エド・ハリスらが脇を固めた前作の「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(2007年10月公開/製作費1,900万ドル)のオープニング成績=約550万ドル(1,713館)と比べものにならないばかりか、実のところ、同映画の最終的な国内興行成績の約2,030万ドルをすでに上回っています…!!
よって、ベン・アフレックは映画監督として、商業的に作品を仕上げて成功させる術も持ち合わせていたと評価できるわけですが、映画の格付けサイト RottenTomatoes で、驚異的と言うしかない94%の極めて高い支持を得ている本作は、上 ↑ のテレビスポットで、ワーナー・ブラザースが、アカデミー賞最優秀作品賞を含め計4冠を果たした、同じくボストンが舞台のマーティン・スコセッシ監督の犯罪映画の傑作「ディパーテッド」(2006年10月公開)と、イメージを重ね合わせようと引用していることからも、あわよくば、オスカーを目指す映画賞レースに名乗りをあげる候補作としたいようです。
果たして、レビューで否定的なCランクの評価もなくもない「ザ・タウン」に、そこまでの価値があるか?!は、今のところ、少し疑問も示されていますが、今後、「ディパーテッド」のようにヒットを続けて、興行成績を上積みすることができれば、その大衆の支持を根拠に、オスカーにノミネートの可能性は高まっていくはずです。
その目安となる前例作の「ディパーテッド」のオープニング成績は、約2,688万ドル(3,017館)だったので、「ザ・タウン」は公開館数の違いもあり、少し劣っているわけですが、1館あたりのアベレージで比較すると、「ディパーテッド」が約8,911ドルを稼いでいたのに対し、ベン・アフレックがマーティン・スコセッシ監督に挑戦している?!「ザ・タウン」は約8,319ドルですから、そう引けをとってはいないことになります。
「ディパーテッド」は最終的に国内で約1億3,238万ドルを売り上げ、全世界では約2億8,984万ドルを集めた、れっきとしたヒット作でしたから、「ザ・タウン」が今後、それらの数字にどこまで迫っていけるのか?!が注目の焦点となりそうですね。
ただし、ベン・アフレックの相棒の親友マット・デイモンと、レオナルド・ディカプリオが共演し、ジャック・ニコルソンや、マーク・ウォールバーグらが脇役をつとめた豪華なキャスティングだった「ディパーテッド」の製作費が約9,000万ドルと高かったのに比べ、「マッドメン」のジョン・ハム、「ゴシップガール」のブレイク・ライヴリーと、テレビドラマの人気スターを起用した「ザ・タウン」は、無難な約3,700万ドルで作られたため、その資金を折半したワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズは、仮りに映画賞レースから脱落したとしても、キッチリと利益を上げられるメドは、すでについてしまったかもしれません。
その他の共演者として、ベン・アフレックと親密な間柄になる銀行員のヒロイン、クレアを演じているのは、「それでも恋するバルセロナ」(2008年)のレベッカ・ホール(↑)。ベン・アフレックの父は、「アメリカを売った男」(2007年)が必見の名優クリス・クーパー。また、今夏の大ヒット作で、すでに10週も興行ランキングのBEST10に位置している「インセプション」で、重要な役を演じていたピート・ポスルスウェイトも出演しています。
ブレイク・ライヴリーのクリスタが、私はあんたの行くところなら、どこだって一緒について行く…!!と訴えるが、ベン・アフレックが、俺には他の人がいるんだ…と告げる場面
その他の人のレベッカ・ホールのクレアが、自分の勤める銀行に強盗が入り、人質にとられた経験を、当の強盗のベン・アフレックのダグに物語り、ダグはさり気なく、捜査の状況を知ろうとする…。
FBI捜査官のジョン・ハムが、ブレイク・ライヴリーから、ベン・アフレックのダグに関する情報を聴き出そうとしている場面。
ベン・アフレックが服役中の父のクリス・クーパーに、レベッカ・ホールのため、強盗稼業から足を洗おうと考えていることを告げる場面。
FBIに追いつめられたベン・アフレックとジェレミー・レナーが脱出を試みるアクション・シーン!!
ワーナー・ブラザースの出口調査によれば、「ザ・タウン」の観客の約55%は男性で、全体の4分の3が25歳以上のアダルト層だった…とのことで、いずれの数値も若干、「ディパーテッド」より高かった…とのことです。
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