illustration by ARA |
元々は南米コロンビアのドラマ「ベティ~愛と裏切りの秘書室」で、本作はそのアメリカ版リメイクです。出版業界を夢見て就職するも、場違いなファッション誌編集部に配属され、しかも「美人でない」という理由だけで、女にだらしない編集長の秘書を任せられてしまった"世の基準からすれば相当不細工な"女の子のサクセス?ストーリー。
けっして「プラダを着た悪魔」のパロディ版じゃございません。
コメディらしく、時にやりすぎなエピソードや演出が最大の売りではあるんだけど、実はもっと大事なテーマも見え隠れします。それは「家族」と「成長」。ドラマはそれとなく二つの家族を追っています。
ひとつは主人公ベティ、もうひとつは編集長ダニエルの家族です。
ベティの父はメキシコからの移民で、実のところ不法入国者。故に就ける仕事も限られて、一家はそれなりに貧乏。しかし、陽気な姉や甥っ子にも囲まれた明るい一家です。
かたや編集長は父が出版社社主という恵まれた一家。二つの家族は対照的で、ベティの一家は貧しくも明るく楽しげなのに対し、編集長一家は裕福なのに冷めた空気が漂っています。一家の父は編集長の兄しか認めておらず、母はアル中という問題一家。その家族にとって唯一の希望であった編集長の兄も今は…。
歯科矯正も眩しい!?ベティはその容姿から、職場では屈辱的ないじめにあいます。でも、持ち前の明るさと人柄がだんだん周りを変えていく。そして、登場人物たちが成長していくんです。
女性にだらしないだけの編集長は何が大切かを徐々に学んでいくし、編集長の座を狙う悪女ウィルミナは悪女ゆえの孤独から人間味が見え隠れしてくる始末。
特筆すべきは編集長の母で、アル中のトラブルメーカーから危ないコメディ・リリーフを経て、頼れる存在へと進化し、今ではベティに母のように助言をし、会社責任者の1人になるまで成長・進化してしまいました。
職場でベティを「子豚」扱いしてきた受付嬢と悪女ウィルミナの秘書の二人は、ベティと接することで徐々に友情が芽生え始める始末。ベティと接する人々は、その多くが一緒に成長していく。その過程は観ていて、非常に楽しい。
ベティ自身は不細工で不器用、明るさだけが取柄。純粋すぎるけれど人並みの欲望だってあるし恋もする。でも、その純粋さと小さな欲が時にトラブルを招く原因にもなる。視聴者として、そんな彼女から目が離せない。彼女だけが~世渡りが多少、上手にはなったけど~いい意味でそんなに大きく成長してるようには見えない。彼女がもし大きく成長してしまったら、きっとここまで共感は得られないだろう。恋の方も相変わらず不器用…でもなくなってきた?
シリーズは現在、本国アメリカで4thシーズン、日本では3rdシーズンが放送中。地上波では2ndシーズンがまだ観れたかな?、しかし、残念ながら、4thシーズンで幕を下ろすらしい。人気がピークを過ぎたら、そこで終えるのが視聴者にとっては一番幸せなのかもしれない。なるほど確かに、視聴率が下がってから、酷いてこ入れをしてダメになったドラマを沢山見ている。「ベティ」も2ndシーズン途中でやりすぎたり、困った時の"病気ネタ"を時々見かける。ダメになる前に打ち切って正解なのかもしれない。
ちょっとでも気になった方、まずはDVD第一巻をご覧になってみてほしい。
お手ごろ価格で3話収録、しかも、第1話だけでも下手な映画の1本分より密度高いですし、エンディングの「Suddenly I See」がきっとすがすがしく聞こえるはず。
「ああ、そんなに不細工でもないじゃんっ」
…て思いはじめたら、あなたはもうベティの虜ですよ! by ARA
Billy's comment : そんなに不細工ではない「旅するジーンズと19歳の旅立ち」(2008年)も観てあげてほしいアグリー・ベティことアメリカ・フェレーラは、アラさんも指摘してくれた“2つの家族のカルチャーの違い”というテーマを、結婚を軸に描いた最新主演作のコメディ映画「アワー・ファミリー・ウェディング(Our Family Wedding)」を、FOXサーチライトが今月3月12日から全米公開!!、また後日、紹介します…!!
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