************************************************* このCIA★こちら映画中央情報局ですは、2017年4月1日に、コチラの CIA Movie News に移転しました!! *************************************************



現地ロサンゼルスのドルビー・シアターで、この週末の日曜日(2月26日)に、いよいよ開催される第89回アカデミー賞の授賞式では史上最多タイの計14部門にノミネートされたダミアン・チャゼル監督のエマ主演作「ラ・ラ・ランド」が席巻し、最優秀作品賞の栄冠に輝くものと多くの映画ファンが予想していますが、しかし、オスカーの歴史を振り返ると、必ずしも映画ファンに愛されて、鉄板候補と言われた人気作ではなく、思いもかけない伏兵のような作品が賞をかっさらい、裏切られた…!!と感じてしまったことがあるのでは…?!、いったい、どうして、オスカーの最優秀作品賞は大方の予想とは食い違う結果になってしまうのか…?!、その理由のひとつである複雑な投票の仕組みを解説してくれたビデオです…!!


単にニュースの出来事を伝えるのではなくて、どうして、そうなってしまうのか?!、裏側の事情まで含めて解説するジャーナリズム・サイト Vox のトッド・ヴァンダーウルフが、映画芸術科学アカデミーが2009年から採用しているオスカーの最優秀作品賞の投票の仕組みを解説した記事を要約したビデオです…!!



このビデオのもとの記事を参考にして、アカデミー賞の最優秀作品賞はどのようにして選ばれるのか…?!をまとめると…、

①まず始めに最優秀作品賞にノミネートされる候補作の選び方です。

例えば、VFXの特殊視覚効果賞や、録音賞、撮影賞といった専門分野の賞は、その職に就いているプロだけが投票するのに対して、最優秀作品賞は映画芸術科学アカデミーのすべての会員の全員が投票することになります。

今回の第89回アカデミー賞の対象となる映画は、昨2016年中に映画の都のロサンゼルス郡において、少なくとも1週間は映画館で上映する興業が行われた作品となります。なので、エルたんが助演女優賞の候補にあげられるのでは…?!と言われた「20世紀の女たち」と「リブ・バイ・ナイト」のような作品は、とりあえず、年末ギリギリの12月25日を初日とする限定公開で封切ったりすることで、候補作になる権利を得ようとするわけですね…!!


その1年間に封切られた映画のうち、オスカー会員たちがそれぞれ、自分の好きな映画を少なくとも1本から、多くて10本までの本数の範囲で順位をつけて選出し投票します。単純に言えば、あなたのお気に入り映画の年間BEST10のランキングを教えてね!!、別に10本じゃなくてもいいけど…!!ということです。

その投票が締め切りを迎えると、実際に投票された総数にもとづいて、しきい値と言われる数字を割り出します。トッド・ヴァンダーウルフによれば、オスカーの会員は、6,291名ですから、理屈では投票の総数は6,291票なのですが当然、棄権をする人も中にはいるので、必ずしも現実には6,291票とはなりません。

ノミネート作品に値するか、どうか?!の境い目となるしきい値は、最高で10本までの映画を候補に推すことができるので、それに1本を足した “ 11 ” によって、総数を割り算します。

仮りに全員が投票したなら、6,291÷11=571.9なので、572に切り上げて、その数を判断の目安のしきい値とします。


そして、投票で順位づけされた映画のうち、“ 第1位にあげられている作品だけ ” を対象にして、しきい値=例では572票に達しているか、どうか?!をチェックし、572票を獲得していれば、晴れてオスカーの最優秀作品賞の候補作!!ということになります。なので、572票を獲得していていも、この時点では “ 第2位や第3位に推されている映画は残念でした!! ” ということのようですね…。




しかしながら、そのようにして、しきい値の投票数を獲得した “ 第1位の映画 ” がいきなり、10本出揃えばよいのですが、もしかすると、1本か、2本だけ…かもしれないですよね?!

そうすると候補作の数が最低必要本数の5本に満たないため、追加の作品を選ぶための2回めの集計作業を行います。この2回めの集計はまず、しきい値に10%を足した数の票を獲得した人気の映画はどれか?!をチェックします。しきい値+10%を獲得していることで、現実に人気や支持を集めているだろう…と信頼のおける作品ということが言えるのかもしれません。

となると、例では572票をしきい値としていますから、それに57を足した629票を獲得した映画を選んで、その人気の映画に投票した会員たちは、どうやら目利きとして信頼がおけそうですから、その人たちの票を有効として再集計を行う…と、つまり、票の総数を減らして、集計をし直すので、しきい値のハードルを下げることになります。さらにそこに合わせて、1%未満の人しか第1位に推していない極めて少数派のマイナーな映画をなぜか?!、あえて選んで、第1位とした何か裏の魂胆がありそうな人の票から、その第1位を削除して無効とし、その代わりに、その怪しい少数派の人たちが第2位に推している映画を第1位にくり上げて、加えるそうです。

…と、以上のような集計の手続きによって、少なくとも5本の映画が、その都度のしきい値を超えることができれば、それでオスカーの最優秀作品賞の候補作の選び出しは完了となります。




②次にドルビー・シアターの授賞式で、実際に最優秀作品の栄冠に輝くオスカー受賞作を選ぶ投票の集計の仕方です。

オスカーの最優秀作品賞は、例えば、コミックヒーロー映画や、SFカルト作といった特定のマニア層から強い支持を集めている作品ではなく(どうして、ダメなの?!)、できるだけ幅広い層の大勢の人から全般的に支持を集めている最大公約数的な映画を選ぶ…という方針にもとづいて、政治家を選ぶ選挙でよく用いられている “ 優先順位付投票制 ” を採用しています。


具体的に言うと…、今回の第89回アカデミー賞の最優秀作品賞では、ほぼ受賞が間違いないと言われている有力候補の「ラ・ラ・ランド」を筆頭にして、「アライヴァル」、「フェンセズ」、「ハクソー・リッジ」、「ヒドゥン・フィギュアズ」、「ライオン」、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、「ムーンライト」、「ヘル・オア・ハイ・ウォーター」の計9本が、前述の①のような集計作業で、しきい値を超えて、選ばれています。

優先順位付投票制ですから、オスカーの会員は、その9本の候補作を対象にして、つまり、わたしのBEST9!!のランキングづけを行い、第1位から第9位までの順位をつけて、決戦投票を投じます。

今回のオスカーで言えば、まず間違いなく人気の「ラ・ラ・ランド」を第1位に選んで投票した会員の数は、かなり多いだろう…と容易に憶測できます。しかしながら、エマとライアン・ゴズリングが最優秀作品賞を獲得するためには、過半数を超える数の票において、第1位でなければなりません…!!




記事の例で言うと、6,291をオスカー会員の総数としていますから、「ラ・ラ・ランド」がいきなり、3,146票の第1位を獲得できれば、文句なく最優秀作品賞なのですが、仮りに第1位として最も多くの票数を得た人気作であったとしても、それが過半数を超えていなければ、ダメダメ!!ということで再集計が行われることになります。

その再集計では、これはあくまでも仮りの想定ですが、今回の候補作のうちで最もマイナーな作品と見なせそうな「ヘル・オア・ハイ・ウォーター」が最初の集計において最下位の第9位だったとします。すると、ビリッケツのクリス・パイン主演作はもう落選だ…と見捨ててしまい、その「ヘル・オア・ハイ・ウォーター」を第1位に選んだ人たちの票から同映画を削除…ということは、つまり、その人たちが第2位に選んでいた映画を第1位にくりあげて、再集計を行います。


そのように最下位の映画を消しては、別の映画をくり上げる…という手順によって、候補作のうちのどれか1本が過半数を超える票の獲得に達するまで集計をくり返すことから、実際のところは「ラ・ラ・ランド」が最も多くの人気を集めて、支持をされ、圧倒的に第1位の票を得てるのは間違いない!!と一般の映画ファンがシンプルに思ったとしても、上 ↑ のビデオで例にあげられているように、映画の出来栄えが高評価をされている「ムーンライト」のような作品が票の全体において、上位の位置に置かれる傾向にあったとすると、熱烈な支持の人気作「ラ・ラ・ランド」ではなく、広く次点の支持をされた映画のほうが集計のくり返しによって、それが積み重なって有利となり、逆転勝利をする…!!という、まるで昨2016年秋の大統領選で、トランプ氏よりも多くの票を得たとされるクリントン女史のほうが敗退??、どうして?!というような矛盾を感じたのと似たような結果になってしまうことになります。


と以上のように最優秀作品賞の投票の仕組みを説明されると、エレン・デジェネレスが司会をつとめた2014年開催の第86回において、最多の計7部門で受賞したアルフォンソ・キュアロン監督の人気作「グラビティ」はなぜ?!、最後の最後でいきなり「12イヤーズ・ア・スレイブ」に敗れて、頂点の賞は獲れなかったのか?!、その翌2015年の第87回ではどうして?!、映画ファンに愛されたリチャード・リンクレイター監督の「ボーイフッド」ではなく、「バードマン」だったのか?!、さらに昨2016年の第88回では最多の計12部門にノミネートされたレオの「ザ・ レブナント」ではなく、そんなに期待も支持もされていなかった「スポットライト」なのか…?!という予想と結果が食い違ったチグハグ?!について、映画ファンのみなさんが首をかしげてしまった事情が理解できたかと思います。




そのように近年のオスカーの受賞結果が、けして、映画ファンの期待や嗜好を反映したものではなかったことから、もはやアカデミー賞なんてアテにならない…、もう興味がない…と世間の関心が薄れゆく傾向となり、THR が行った調査によれば、今回の第89回アカデミー賞の最優秀作品賞の候補にあげられている映画のタイトルを1本、あげてください…!!という質問について、800名の映画の観客のうち、約6割が答えることができなかったそうです。なので、もはや、オスカーにノミネートされた候補作を知っている…!!というのは世間全体においては少数派のマニアックな興味なのか?!とまで映画ファンが蔑みたくなるほど、人々の心が離れてしまったことを踏まえると、単純に第1位の人気映画ではなく、好き嫌いの不公平?!を抜きにして、質の高い作品を選び出すべく、できるだけ多くの人から幅広い支持を集めていると思われる作品を選ぶ…という方針にもとづく “ 優先順位付投票制 ” は、公平さよりも人気が問われる映画のショービズの世界において、本当に有効なのか…?!、はなはだ疑問を感じずにはいられませんし、多くの人の支持と言っても、その対象の投票者は映画芸術科学アカデミーの会員の範囲に限られています。


よって、オスカーにしても、もう今年で第89回の歴史を重ねるだけに、同アカデミーの会員には高齢者が占める割合が高いばかりか、その高齢者の方たちが実際のところ、もはや第一線を退いて、それほど映画の仕事をしてはいない…といった事情から、かつて現役時代の昔を懐かしんで投票することにより、近年のオスカーでは過去の時代を舞台にして、映画作りを題材にした “ 映画に関する映画 ” といった作品が選ばれる傾向にあることや、多くの映画ファンや、世間の人が駄作と感じてしまった「クラッシュ」(2004年)のような凡庸なドラマチックを売りにした作品が受賞してしまう…といったことを、トッド・ヴァンダーウルフは指摘してくれています…。


今回のオスカーは本当に盛り上がりを欠いてしまって、世間の映画好きの関心はエマはエマでも、エマ・ストーンの「ラ・ラ・ランド」ではなく、これから封切られるエマ・ワトソンの「美女と野獣」のほうにもう移ってしまっている…といった状況について、どっちのエマも大好き!!という方は特に複雑な心境を感じずにはいられないかもしれませんが、アカデミー賞はそろそろ抜本的な見直しをして、映画ファンの生の声が反映される仕組みを検討したほうがよいのかもしれません…?!、ネットを通じて、世界中から投票を受け付けることすらできる時代なのですから、何か別のやり方があるような気がしないでもありませんが、CIAリーダーの映画ファンのみなさんは、圧倒的人気の最有力候補作のはずの「ラ・ラ・ランド」は充分に受賞しないという敗北予想も言われるオスカーの複雑な投票の仕組みについて、どのようなご意見をお持ちになられたでしょう…?!

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