日本では企業情報に詳しいはずの経済新聞でさえ、“スピルバーグ監督のドリームワークス・アニメーション” などと未だに誤まって伝えられていることから、カン違いしている人もまだいるのかもしれませんが、スピルバーグ監督のドリームワークスと、ジェフリー・カッツェンバーグが率いるドリームワークス・アニメーションとは何の関係もない、お互いに別々の会社です。また、スピルバーグ監督のドリームワークスにしても、同名の新旧のふたつのドリームワークスを区別して理解しなければならないことから、CIAでは便宜的に、旧の方をパラマウント・ドリームワークス、現在の新しい会社をディズニー・ドリームワークスと書き分けたりしてるのを、常連のCIAリーダーの方は承知されていると思います。映画ビジネスは、その日に仕入れたネタを、その日に売り切ることを目指すお寿司屋さんなどと違い、企画から完成までに数年を要するのが稀ではありませんから、その間に製作会社の経営基盤が変化してしまうため、厳密に述べていくと、話がややこしいことになります。しかし、ひとまず、この記事の内容はあくまでも、ジェフリー・カッツェンバーグがスピルバーグ監督らと、かつて共同経営していた昔のドリームワークスから独立分社化して、立ち上げた別会社のドリームワークス・アニメーションの話なので、パラマウント映画とは犬猿の仲のスピルバーグ監督とは無関係の話題であることは理解しておいてください。
…と、前置きが長くなってしまいましたが、パラマウント映画が下記に添付したプレスリリースを発行し、自社にアニメ映画部門を新設して、2014年からは、現在業務提携しているドリームワークス・アニメに頼ることなく、自社製作の作品を公開していくことを発表しました。
このパラマウント映画がアニメ映画を自社製作する方針は、「パイオレーツ・オブ・ザ・カリビアン」シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督を起用し、ILM(インダストリアル・ライト・アンド・マジック)の技術を導入して、ジョニー・デップの演技をモーションキャプチャして製作したオリジナルのアニメ映画「ランゴ」が今春の全米公開で大ヒットし、成功したのを受けたものであるのに加え、来年2012年末でドリームワークス・アニメとの配給契約の業務提携が終了するのを見越して、発表されたものです。
しかしながら、前述のように、パラマウント映画の新アニメ部門=パラマウント・アニメーションが実際に作品をリリースし、表立って稼動し始めるのは、2014年ですから、ドリームワークス・アニメとはもう1年だけ、契約を延長し、2013年まで同社の製作するアニメ映画をパラマウント映画は自社の作品として封切っていくことになるようです。
よって、言わば、パラマウント映画からお払い箱を言い渡されたも同然のドリームワークス・アニメは、2014年以後から自分たちの作品を製作し、配給するより所を無くしてしまうことになるため、スピルバーグ監督が徹底して嫌い、ついには袂を分かって、ディズニーランドに引越しすることになったパラマウント映画の搾取体質に甘んじて、自分たちの作品を安売りするか、新たにメジャー映画スタジオの業務提携先を探さなければならないことになります。
しかし、大手の映画スタジオのうち、アニメ映画が売りのディズニーがすでに抱えるピクサー以外に、さらに外部のアニメ製作スタジオを必要とするわけもなく、20世紀FOXはブルースカイ、ソニー・ピクチャーズは自社のソニー・ピクチャーズ・アニメーションを有しているばかりか、アニメ映画の分野で出遅れていたユニバーサル映画も、20世紀FOXのアニメ部門の元代表で、ブルースカイのアニメを製作してきたクリス・メレダンドリ氏が独立して立ち上げた新興のアニメ・スタジオ、イリューミネイション・エンタテインメントと業務提携し、「怪盗グルーの月泥棒」(2010年)を成功させるなどしていますから、ドリームワークス・アニメとしては、今のところ、長編の劇場用アニメ映画にあまり力が入れられていないワーナー・ブラザースとの業務提携を目指すしか、これまでのように大々的に作品を公開していく術がないことになります。
「シュレック」シリーズや、「カンフー・パンダ」シリーズなどの大ヒット・アニメ映画を生み出してきたドリームワークス・アニメの去就への将来の不安と、新設のパラマウント・アニメーションが船出する期待とが相半ばするニュースですが、どうやら、アニメ映画が新しい時代を迎えようとしていることについて、CIAリーダーのみなさんはどのように思われたでしょう…?!
(Los Angeles, CA – July 6, 2011) -- Paramount Pictures, a unit of Viacom Inc. (NYSE:VIA and VIA.B), will launch an in-house animation division, with its first title slated for release in 2014. In making the announcement, Paramount Chairman & CEO Brad Grey said the initiative was part of the studio’s long-term strategy for growth and that the new division, Paramount Animation, will focus on high quality animation with budgets per picture of up to $100 million.
Paramount Animation’s mandate will be the development of the broadest range of family CGI animated films, with a key piece being titles under the label of Viacom’s Nickelodeon, the number one entertainment brand for kids worldwide. Paramount will also look to build on Viacom’s already thriving global consumer products business by seeking to capitalize on merchandising opportunities tied to all Paramount Animation releases.
The division will be part of the Paramount Motion Picture Group, reporting to the group’s president, Adam Goodman, and will initially target one release per year. Vice Chair Rob Moore, COO Frederick Huntsberry and Goodman are now conducting a search for the leader of the division.
“We’ve come a long way over the last six years," said Grey. "Our team has worked hard to build best in class production, marketing and distribution divisions which have proven they consistently execute at the highest level across all genres and price points. Establishing an in-house animation division was the logical next step for us.”
“The marketplace has never offered as many opportunities to create wonderfully imaginative pictures at very appealing budget levels, so we feel this is a perfect moment to launch this effort. We are now eager to expand in animation with appropriate and prudent overhead and production budgets in a way that will allow us to be nimble, creative and innovative,” added Grey. “Paramount also has the distinct advantage of being part of the Viacom family, giving us the ability to leverage its portfolio of powerful and youthful brands to create and market great films and consumer products.”
While Paramount has released an array of successful animated films in its history, the company’s first fully owned CGI animated property was Rango, released to great acclaim in March 2011. The Western, directed by Gore Verbinski and featuring the voice of Johnny Depp in the title role, has grossed over $240 million worldwide and is the best reviewed animated movie so far this year.
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