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話題の超実戦型SF市街戦ムービー「バトル・ロサンゼルス」を、製作・配給のソニー・ピクチャーズが3,417館の約4,700スクリーンで封切ったオープニング成績は約3,600万ドルで、全米の映画館の侵略に成功し、初登場第1位を死守しました!!、製作費が7,000万ドル超の映画にとって、この実績はひとまず申し分のないもので、その健闘は大いに称えられて然るべきです!!、しかしながら…、





「ブラックホーク・ダウン」ミーツ「クローバーフィールド」、もしくは「ディストリクト9」を、映画のイメージを示すキーワードとして、常に用いられる本作は、2001年に公開された、純粋に戦争映画だった「ブラックホーク・ダウン」の拡大公開時のオープニング成績=約2,861万ドル(3,101館)には勝っているものの、最近のジャンル映画の両作には、オープニング成績で劣ってしまいました…。

   「ディストリクト9」(2009年8月公開/製作費3,000万ドル)
     オープニング成績=3,735万ドル(3,049館)  国内1億1,564万ドル+海外9,517万ドル=約2億1,081万ドル

   「クローバーフィールド」(2008年1月公開/製作費2,500万ドル)
     オープニング成績=4,005万ドル(3,411館)  国内8,004万ドル+海外9,071万ドル=約1億7,076万ドル

冒頭で記したように、製作費が7,000万ドル超の「バトル・ロサンゼルス」のオープニング成績が、約3,600万ドルだったことに大きな支障があるとは思えませんが、しかし、比較にあげられていた映画のコストが実は半分以下だったことを振まえると、それらの数字をしのげなかったのは、ちょっと残念な感じがしないでもありません。
なお、昨2010年11月に公開され、実際の内容は似ても似つかぬながら、本作との類似点が多いことで話題になったSFインベージョン映画の失敗作「スカイライン」は、製作費が約1,000万ドルの小品で、国内での最終的な興行成績も約2,139万ドルどまりですから、もはや、「バトル・ロサンゼルス」と並べて語るには値しません。


ソニー・ピクチャーズとしては、そのように多少およばなかったとは言え、自社のヒット作「ディストリクト9」に相当する…と言えなくもないオープニング成績を残した「バトル・ロサンゼルス」を今後、同映画のように1億ドル超の大ヒットにまで持っていきたいところですが…、ニール・ブロムカンプ監督の「ディストリクト9」は、一部に社会的なテーマを含む複雑な側面のある設定と、これまでのSF映画の殻を破った展開やビジュアルなど、口コミの広がる要素があったのに対して、「テキサス・チェーンソー ビギニング」(2006年)などのホラー映画で活躍してきたジョナサン・リーベスマン監督の「バトル・ロサンゼルス」は、高名な映画評論家のリチャード・ローパーの“およそ2時間近くもの間、他人が遊んでるゲームの画面を観させられてるような気になった…”と斬り捨てた意見に代表されるように、中身のない映画と低く評価した意見も多数聞かれるので、SFなどのジャンル映画のファン層を超えて、一般に注目を集めた「ディストリクト9」のような尾を引くヒット作になるか…?!は疑問で、興行価値の寿命はそう長くないかもしれません。


ちなみに、映画の格付けサイト RottenTomatoes での評価の支持率を比べてみると、アカデミー賞最優秀作品賞の候補にも選ばれていた「ディストリクト9」は91%で、「バトル・ロサンゼルス」は33%、そして、「クローバーフィールド」は76%でしたから、おのずと「バトル・ロサンゼルス」の位置づけは見えてくると思います。



バトル・ロサンゼルステレビスポット①




そのように「バトル・ロサンゼルス」を低く評価した意見の多くは、登場人物のキャラクターがステレオタイプで、それぞれの人物像が掘り下げられていない…といった点に集中しているのですが、確かにアーロン・エックハートの演じる主人公のナンツ軍曹が、過去のアフガンでの戦闘で仲間は死んでしまったのに、自分は生き残ったことで自責の念にとらわれている…といった設定は、これまで数多作られた戦争映画から拝借してきたようだ…と言われても、申し開きができない感じはあります。
しかし、この映画の物語は、そのナンツ軍曹が複雑な胸中から、20年間の軍隊生活に別れを告げようとした矢先、エイリアンの侵略戦争に地球がさらされ、戦列に戻ることを選び、戦火の中、警察署の建物に取り残された人々を連れ出す救出作戦に臨む…!!といった、およそ5~6時間程度の出来事に焦点をあてたものなので、例えば、現実の日常生活の中で、そうした短い時間で、あなたは他人を理解することができますか?!と言われれば、たぶん返答に困るように、キャラクターが存分に描けていない…というのは、そもそものストーリーの構造上から無理のある点を突かれた…と弁護してあげることも可能でなくはありません。
が、それでも、ナンツ軍曹が新たに参加した部隊に、かつて戦場で散った仲間の兄弟が偶然にいたり、そのアーロン・エックハートの主人公は、市街戦を戦う短い作戦時間の中で、エイリアンが人間を追跡する手段を見破ったり、敵の肉体の弱点を知る…といった、半ばご都合主義的な展開が、この映画には多い…とのことで、「将軍の娘」(1999年)の脚本家クリストファー・バートリニーのシナリオは、総じて安直という評価には落ち着いてしまいそうです。


よって、この「バトル・ロサンゼルス」はやはり、エイリアンの攻撃にさらされたエリアを完全爆破して、街もろとも敵を殲滅する…!!という捨て身の作戦が決行される前の残された猶予のわずか3時間のうちに、その爆破で吹っ飛ぶ地域に取り残された市民を、海兵隊は脱出させることができるのか…?!といったスリリングな展開の市街戦アクションを、ただ堪能するのが真骨頂となりますが、その映画の醍醐味の部分においては、そもそもホラー映画が得意のジョナサン・リーベスマン監督を起用したことで、戦争アクションの描写にホラータッチが加わり、恐怖感が増したため、監督選びは適切だった…と好評価されています。ジョナサン・リーベスマン監督は、この準大作映画の成功で、今後はホラー映画以外に活躍の幅を広げていきそうですね…!!



バトル・ロサンゼルステレビスポット②




配給のソニー・ピクチャーズの調べによれば、この「バトル・ロサンゼルス」のオープニング興行の観客の約7割は男性で、全体の半分強の約55%が25歳以上のアダルト層だったそうです。戦う相手がエイリアンという、その部分だけがSFで、残りは実質的に戦争映画として作られているので、年輩の男性の方にも興味を持ってもらえる作品として、薦められるかもしれません。
「バットマン/ダークナイト」(2008年)のアーロン・エックハート以外の出演者は、「マチェーテ」(2010年)のミシェル・ロドリゲス、シリーズ最新作「X-MEN/ファースト・クラス」のルーカス・ティル、ミュージシャンのNe-Yo、「アイ,ロボット」(2004年)のブリジット・モイナハン、そして、アーロン・エックハートと並んで、写真(↓)におさまっている、「ビーザスといたずらラモーナ」(2010年)のいたずらジョーイ・キングちゃんです!!






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