2007年にイスラエルで公開された傑作スリラー映画を、チーム「キック・アス」がリメイクしました!!
オリジナルのイスラエル映画「HaHov」のタイトルを、そのまんま英語に直訳した「ザ・デット(The Debt)」(借金として知られるように、負債や、借りという意味)の予告編を、ディズニー/ミラマックスが初公開したので、ご覧下さい…!!
物語の始まりは1965年。ナチスのトレブリンカ強制収容所で残酷な人体実験を行いながら、まんまと裁きを免れた悪名高い戦犯のヴォーゲルを追う任務を任されたイスラエルの諜報組織モサドのエージェント、デヴィッド、ステファン、そして、女性のレイチェルの3名は、その憎きユダヤの敵を捕らえることに成功するが、スキを突かれ、悪魔をとり逃がしてしまう…。しかし、あってはならない作戦のミスに、国家から失態を問われる責任の追求を恐れた3人は、自分たちしか真実を知らないのをいいことに、身柄を確保したヴォーゲルが自殺をはかり、その命を絶ってしまった…というウソの手柄話をデッチあげることに…。
そして、35年の月日が流れ、死んだはずのヴォーゲルが潜伏先のウクライナで素性を現し、過去の罪を悔いて、人道的な裁きを受ける覚悟であるとのニュースが伝えられる。今さら、ヴォーゲルに名乗り出られては、自分が突き通してきた大きなウソがバレ、困った立場に追い込まれる3人は密談を交わし、作戦失敗の原因となるミスを侵したレイチェルに、ヴォーゲルのトドメを刺すよう、35年ぶりの決着となる暗殺を委託する。
今や、女流作家として名を成していたレイチェルだったが、国家と自分に背いた35年間の良心の重荷を取り払うため、彼女はその手を血に染める殺しの旅へと向かう…!!
…というのが、この「ザ・デット」のザッとしたあらすじで、リメイク映画の仕掛け人となるプロデューサーは、コミックヒーロー映画のカルト作「キック・アス」(2010年)では、本作とは正反対に、少女の殺し屋、ヒットガールを登場させたマシュー・ヴォーン監督!!、その「キック・アス」の脚本を、マシュー・ヴォーン監督と共同で執筆し、同監督の最新作「X-MEN/ファーストクラス」(2011年6月全米公開)のシナリオも任されている人気の女流ライター、ジェーン・ゴールドマンが、やはり、この「ザ・デット」でも、マシュー・ヴォーン監督と一緒に脚本を書き改めました…!!
ただし、実際にリメイク映画のメガホンをとったのは、「恋におちたシェイクスピア」(1998年)や、「コレリ大尉のマンドリン」(2001年)、また、「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」(2005年)といった恋愛系映画を得意とし、新境地として挑んだダイアン・レイン主演のスリラー映画の失敗作「キルショット」(2006年)がオクラ入りとなり、共演者であるミッキー・ロークの「ザ・レスラー」(2008年)での復活劇に便乗し、ようやく封切られた…という体たらくのジョン・マッデン監督なので、スピルバーグ監督の「ミュンヘン」(2005年)を思い出さずにはいられないテイストの「ザ・デット」ですが、同映画のように優れたスリラー映画となっているか、どうか?!は、今ひとつ保証しかねます。
しかし、その不安を補って余りあるのが、本作の素晴らしいキャストの演技陣で、主人公となる老女の殺し屋レイチェルは、「クイーン」(2006年)でエリザベス女王を演じ、アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いたほか、今年2010年の第82回オスカーでも、文豪トルストイの妻を演じた「ラスト・ステーション」(2009年)で、最優秀主演女優賞にノミネートされたヘレン・ミレン!!、ヘレン・ミレンはブルース・ウィリスらと共演した別の新作「レッド」(10月全米公開)でも、おばちゃんだてらにマシンガンをぶっ放し、クールなのですが、それはまた後日、紹介します。
で、そのヘレン・ミレンと秘密を共有する男性ふたりを、前述の「ミュンヘン」でも暗殺チームに加わっていたキーラン・ハインズと、トム・クルーズの「ヴァルキュリー」(2008年)ではナチスの高官だったトム・ウィルキンソンが演じていますが、キーラン・ハインズの若い頃として、「アバター」(2009年)や、フェイク3D映画「クラッシュ・オブ・タイタンズ」(2010年)で、生身のアクション・フィギュア?!として活躍したサム・ワーシントン(↓)が出演しているのが、この「ザ・デット」が注目を集められるセールスポイントですね…!!
トム・ウィルキンソンの青年時代は、「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)に出ていたマートン・チョーカシュ。
若いヘレン・ミレンは、テレビ女優として下積みをし、才能が認められて、ブラッド・ピットが主演するテレンス・マリック監督の新作「ザ・ツリー・オブ・ライフ」に起用された新進女優のジェシカ・チャスティン(↓)。
恐ろしいナチス戦犯の残酷医師を演じているのは、「007/カジノ・ロワイヤル」(2006年)のミスター・ホワイトこと、イェスパー・クリステンセンです。
ディズニー/ミラマックスは、この「ザ・デット」の全米公開を、年末も押し迫った12月29日に予定しており、新年にふさわしいとは思えない本作を、そのタイミングで封切るのは、まぁ、ヒット狙いと言うよりかは、とりあえず今年中に封切っておいて、次回アカデミー賞の候補に選出される資格を得ておこうか…といった、あわよくば映画賞レースにからみたいということですね。ヘレン・ミレンは2年連続でアカデミー賞最優秀主演女優賞の候補に名乗りをあげられるでしょうか…?!、CIAリーダーのみなさんも、アカデミー会員のつもりで、予告編をご覧になってください…!!
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