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この週末に向けて、アメリカで公開された新作映画は、今朝、初日(18日)の興行成績をレポートした、ジェームズ・キャメロン監督のSF超大作「アバター」(今週23日公開)と、ソニー・ピクチャーズがヒュー・グラントとサラ・ジェシカ・パーカーを主演のカップルに起用した、観ても観なくても、どうでもいいラブコメ「噂のモーガン夫妻」(2010年3月公開)の2本が拡大公開されたほか、ワインスタイン・カンパニー製作・配給のロブ・マーシャル監督のミュージカル映画「ナイン」(2010年3月19日公開)が4館、エミリー・ブラント主演のアパリション作品「ヴィクトリア女王 世紀の愛」(今週末26日公開)が44館の限定公開で登場しています。いつものように、それらの映画をまとめて全部紹介したいところですが、今回はそうした新作に先がけ、先週の水曜日(16日)に4館の限定公開で封切られた「クレージーハート」の1本だけで、ひとまず、カンベンしてください…ッ!! → 







トーマス・コッブが1989年に出版した同名小説を、マイナーな俳優のスコット・クーパー(←)が初監督作品として、自ら脚本を執筆して映画化した、この「クレージーハート」は予告編を一見した感じからして、「ザ・レスラー」(2008年)のプロレスのリングをカントリー・ミュージックの世界におきかえ、主演を「アイアンマン2」(2010年5月全米公開)で、アイアンマンと闘うミッキー・ロークから、「アイアンマン」(2008年)で、アイアンマンと闘ったジェフ・ブリッジスに変更し、マリサ・トメイの代役をマギー・ジレンホールがつとめているような作品…。

カントリーシンガーの伝説的ミュージシャンながら、長年の落ち着かない巡業ツアーの生活と、結婚と離婚をくり返した人生に疲れ、酒びたりで落ちぶれた結果、生活苦に陥ったジェフ・ブリッジス演じる主人公のバッド・ブレイクが、彼の実像に興味を持った“バットマンの恋人”マギー・ジレンホールのジャーナリスト、ジェーンとの出会いを通して、本来の自分を取り戻し、かつての自分のようなコリン・ファレル(「Dr.パルナサスの鏡」来月2010年1月23日公開)のカントリー・シンガー、トミーのメンターとなって、人生を再生させていくことになります…。で、下 ↓ は、そのコリン・ファレルとジェフ・ブリッジスがライヴで一緒に歌うシーンの撮影風景です。



この「クレージーハート」の全世界配給権を、今年2009年7月に入手した20世紀FOX傘下のアートハウス、FOXサーチライトは、この映画を当初、来年2010年春ごろの公開をめどに考えていました。しかし、同社の共同代表ナンシー・アトリー女史が…、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の珠玉の名作「ラストショー」(1971年)で助演男優賞候補、マイケル・チミノ監督の佳作「サンダーボルト」(1974年/主演はクリント・イーストウッド)でも助演男優賞候補、ジョン・カーペンター監督のコアなファンはあまり好きではないSFファンタジー「スターマン」(1984年)でついに主演男優賞候補、そして、「ザ・コンテンダー」(2000年)でまた助演男優賞候補と…、これまでに計4回もオスカーにノミネートされながら、一度も受賞していない無冠の名優ジェフ・ブリッジスにとって、この「クレージーハート」こそが生涯最高の演技!!と確信し、賞レースに影響力のある映画ジャーナリストのクリストファー・タプリーや、ジェフ・ウェルズらに観せたところ、熱烈な支持を得られたため、緊急に賞レース出馬を決め、先月11月上旬からプロモーションを開始した作品です。なので、本作公開の前日(!)となる先週の現地火曜日(15日)に発表された第67回ゴールデングローブ賞のノミネートで、ジェフ・ブリッジスが見事に最優秀主演男優賞の候補に滑り込んできたのは、実はちょっとしたサプライズで、本作はまさにクレージーな強引さで、いきなり賞レースに割り込んできたわけですね。



しかし、先ほど、ミッキー・ロークの奇跡のカムバック作「ザ・レスラー」を引き合いにだし、あたかも柳の下のふたりめの80年代スターのカムバック作?!のように書きましたが、プロデューサーとして本作を製作する一方で、出演もしているロバート・デュヴァル(↓)は、「ドライビング Miss デイジー」(1989年)のブルース・ベレスフォード監督が1983年に発表した名作「テンダー・マーシー」で、“結婚に失敗して人生に疲れ、酒びたりとなってしまった、落ち目のカントリー・シンガー”を演じ、ついに念願のアカデミー賞最優秀主演男優賞のオスカー像を手にしています。
ですから、実は「ザ・レスラー」ではなく、映画に詳しい方には、この「クレージーハート」は、ロバート・デュヴァルが自らの代表作「テンダー・マーシー」に通じる想いを込め、かつて自分が演じた役を、ジェフ・ブリッジスに譲り渡して、映画の伝説の夢の歴史をくり返そう…としてるようにも観えるかもしれません。



次回アカデミー賞の最優秀作品賞が現在のところ、100万%ぐらい決定的なジェイソン・ライトマン監督の大傑作「アップ・イン・ジ・エアー」(邦題「マイレージ、マイライフ」/2010年3月20日公開)のジョージ・クルーニーや、ネルソン・マンデラ大統領本人よりもネルソン・マンデラっぽい「インヴィクタス」(2010年2月25日公開)のモーガン・フリーマン、すでに今年9月の第66回ヴェネチア国際映画祭で男優賞を獲得済みの「ア・シングル・マン」のコリン・ファース、そして、多くの映画評論家がこぞって、今年2009年のBEST①ムービーに選んだ「ザ・ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーといった、強力な面子をおさえて、ジェフ・ブリッジスがオスカーを横取りしてしまうのかッ?!、今後の賞レースの行方が楽しみですね…ッ!!
それにしても、ジェフ・ブリッジスはとっくに、「タッカー」(1988年)や、「ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(1989年)、「フィッシャー・キング」(1991年)などでオスカーの最優秀主演男優賞をもらっていてもおかしくないですよね…ッ?!



なお、この「クレージーハート」を企画したプロダクションは、CMTフィルムです。
“CMT”とはもちろん、Country Music Television の略なので、本当なら同社の親会社であるバイアコム傘下のパラマウント映画が配給しなければならなかったはずの作品のような気もするのですが…ッ!!、ま、この手の小品のプロモーションはFOXサーチライトのお家芸ですから、むしろ、いい配給会社に買ってもらえた…ッ!!と言い切りたいところですが、ヒラリー・スワンクの「アメリア」は、サッサと今年の賞レースから墜落してしまっています…!!
この「クレージーハート」でジェフ・ブリッジスと並ぶ主役?!の音楽を担当したのは、カントリー・ロックのミュージシャンで、「ウォーク・ザ・ライン」(2005年)のサウンドトラックも手がけた、ベテラン音楽プロデューサーのT-ボーン・バーネット
下 ↓ の動画は、2006年にデビューして、これまでに2枚のアルバムをリリースしているライアン・ビンガム28歳が歌う本作の主題歌「Weary Kind」です。
「ザ・レスラー」だけでなく、「ONCE ダブリンの街角で」(2006年)もふりかけられてるような気がしてきたかも……?!




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