私生活で恋人だったレオス・カラックス監督とのコンビで注目を集めた「汚れた血」(1986年)や、「ポンヌフの恋人」(1991年)といった代表作が、もう二十数年以上も前の作品であることを踏まえると、まさに主人公の女優マリア・エンダースと同じく、演技のキャリアこそベテランの領域に達したものの、その円熟とは裏腹に、ともすれば、女優業にとって最も求められる資質かもしれない若さを伴った美しさは消え失せようとしている…といったジレンマを現実に感じているのかもしれない主演のジュリエット・ビノシュと、そのフランス映画界を代表する大御所に、あなたの時代はもう終わり!!といったプレッシャーを与えるハリウッドの若い新進女優のジョアンに扮したスター街道ばく進中のヒットガールは、それぞれが自分の分身のような役を演じたことで、どうやら、今ひとつ、役になり切ることが出来ずに、印象が散漫になってしまったのに対して、ベテラン女優の付き人のアシスタントのヴァルという、「トワイライト」の大ヒットの成功とは無縁の自分と異なる人物を、のびのびと演じたクリステン・スチュワートこそが存在感を発揮している…。
…といった風に評されている、カンヌ国際映画祭でのプレミア上映での結果からして、クロエ・モレッツちゃんVS.ジュリエット・ビノシュの女優対決の勝者はクリステン・スチュワートというオチ?!だったらしい「クラウズ・オブ・シルス・マリア」が初公開した予告編です…!!、この映画のメガホンをとったオリヴィエ・アサヤス監督(「夏時間の庭」2008年)は、後に私生活で結婚するマギー・チャンに、マギー・チャン自身を演じさせた異色作「イルマ・ヴェップ」(1996年)を過去に発表していますが、女優に女優を演じさせる試みは、どうやら、あまり好評ではなかったようですね…。
年上の女のヘレナを自殺に追いつめる魅力的な若い女性のジークリット役を舞台で演じて、名声を集め、女優としての地位を確立したジュリエット・ビノシュ扮する主人公のマリアが、それから20年の時を経て、再び同じ劇の舞台に立つことになるのですが、自分に割り振られた役は自殺するヘレナの方で、かつて自分が演じたジークリットは、ハリウッドからやって来た野心的な若い女優のクロエ・モレッツちゃんが演じることに…!!といったプロットの「クラウズ・オブ・シルス・マリア」は、フランスで今夏8月封切りの予定です!!、なお、タイトルの “ シルス・マリア ” に馴染みのない方も多いかもしれませんが、映画の物語の舞台となるスイス東南部の地名で、シルス湖畔のマローヤのことです。
At the peak of her international career, Maria Enders (Juliette Binoche) is asked to perform in a revival of the play that made her famous twenty years ago. But back then she played the role of Sigrid, an alluring young girl who disarms and eventually drives her boss Helena to suicide. Now she is being asked to step into the other role, that of the older Helena.
She departs with her assistant (Kristen Stewart) to rehearse in Sils Maria; a remote region of the Alps. A young Hollywood starlet with a penchant for scandal (Chloë Grace Moretz) is to take on the role of Sigrid, and Maria finds herself on the other side of the mirror, face to face with an ambiguously charming woman who is, in essence, an unsettling reflection of herself.
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