シリーズ最高傑作「X-MEN/ファーストクラス」(2011年)をご覧になった方は、よくおわかりのように、キューバは1959年の革命以来、反米の立場をとり、両国の間には緊張関係が勃発したわけですが、そうした半世紀の長きにわたる反米思想にもとづいて、都合の悪いことはナンでもカンでも、アメリカの陰謀?!として片づけてしまう政府の体質を、本作はゾンビ感染のパンデミックに託して、チクリと批判しています…!! Warning: 以下に掲載の予告編や、写真には、刺激の強い表現が観られるため、その手の映画はダメよ~!!という方は閲覧を控えてください。
キューバ映画史上…と言うか、少なくともキューバ革命以後は作られていなかったホラー・ジャンルの映画が、ついにキューバで誕生し、その記念すべきキューバ映画界初のゾンビ映画「ホアン・オブ・ザ・デッド」の予告編を、主にラテン系アメリカ人を対象とした映画サイトの Latino Review が独占初公開してくれました…!!
キューバのフィルムスクールで映画を学び、脚本家としてキューバ映画界で、過去の約10年間にわたり活躍してきた、1976年生まれのアレハンドロ・ブルージュ(Alejandro Bruges)が、母国のキューバのほか、スペイン、メキシコといったラテン系の国々から、約130万ユーロ=約1億5,000万円の資金を集め、監督デビューを果たした本作は、島国として逃げ場のないキューバでゾンビ感染が拡散したなら…?!という恐怖を、おもしろおかしく描いた作品です。
物語としては、ある日突然、ゾンビが出現し、人々を襲いはじめるものの、ゾンビはアメリカに買収された反体制分子だと報じるだけで、手をこまねく政府に代わり、40代になってもロクデナシの主人公のホアンと、その仲間たちがゾンビ退治の商売を始めることに…!!といった内容です。恋人や友人、家族の近親者といった身近な人がゾンビに変わり果てたとしても、自分の手で、その生ける屍を完全に抹殺することはためらわれる人々から、お金をもらい、代わりにゾンビを殺しまくるホアンたちだったが、やがて、人々の多くは国外に亡命をはかり、ゾンビ感染がパンデミック化したことで、ついには自分たちの命を賭けたサバイバルとして、ゾンビと戦い続けることになる…!!
ゾンビを題材にしたコメディとしては、エドガー・ライト監督の傑作「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004年)との関連が、すぐに連想されるわけですが、ゾンビ感染を通して、政府や社会のありさまを、本作が暗に批判しているあたりは、ゾンビの発明者とも言える、ゾンビ・マスターのジョージ・A・ロメロ監督の作品に一脈通じるものがあり、このキューバ映画史上初のホラー映画にして、初のゾンビ映画の「ホアン・オブ・ザ・デッド」は、ロメロ監督の異端のDNAをキチンと受け継いだ、ゾンビ映画の正統史に属する作品と考えてもよいのではないでしょうか…?!
キューバ映画史上初のゾンビ・ホラー映画「ホアン・オブ・ザ・デッド」の公開は、今年2011年中というだけで、詳細はよくわからないのですが、いずれ機会があれば、目を通してみたい作品として、メモしておきましょう…!!、なお、どういう関係なのか?!、スペイン語がわからないので、不明ですが、本作の撮影現場のセットフォトに、「ブルースブラザース」(1980年)や、「狼男アメリカン」(1981年)で知られるコメディ映画の伝説的な名監督ジョン・ランディスの姿を発見しました。新人のアレハンドロ・ブルージュ監督に、何かアドバイスを与えてくれたのかもしれませんね…!!
Please Become A Fan of CIA on Facebook ! !
【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。特に某映画サイトのライターは文章を丸々コピーしないこと!!