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過去の戦争体験を克服することができないでいるコリン・ファースの主人公の苦渋と、その主人公の若い頃を演じて、問題の恐ろしい戦争体験を目の当たりにさせてくれるジェレミー・アーヴァイン(「ウォー・ホース」2011年)の迫真の演技、そして、PTSDの夫を立ち直らせたいと願うニコール・キッドマンの夫婦愛と、自分も従うしかない日本軍と捕虜との間で板挟みになった真田広之の葛藤…といったドラマの各要素が絡みあって、ひとつになり、戦争に運命を翻弄された人々の物語として、映画がまとまれば、傑作になったものを、ジョナサン・テプリツキー監督は、それらをバラバラにしか描けず、せっかくの感動的な題材を台なしにてしまった…と、開催中のトロント国際映画祭のプレミア上映で不評を買った戦争実話の映画化の失敗作?!「ザ・レイルウェイ・マン」の予告編を、配給のライオンズゲートがイギリスでリリースしたので、早速ご覧ください…!!









「ザ・キングズ・スピーチ」(2010年)で、演説の苦手な王さまを演じ、第83回アカデミー賞の最優秀主演男優賞に選ばれたコリン・ファースが扮する鉄道オタクのエリック・ローマックスと出会って、恋に落ちたニコール・キッドマンのパトリシアは結婚式の当日、自分の夫になる男性が実は重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っていることを知って驚き、その心の痛みの原因が、どうやら、第二次大戦中にエリックが捕らわれていた日本軍の捕虜収容所での経験にあることを察する。しかし、その辛い過去について、エリックが何も話してくれないことから、どうにかして、夫を癒やしたいと願うニコール・キッドマンは、エリックの戦友で、一緒に捕虜収容所で過ごした間柄のフィンレー(ステラン・スカルスガルド)に、いったい、何があったのか…?!、事の真相を尋ねることに…、


…といった物語の発端から、当時の収容所で通訳として、鬼畜の日本兵と捕虜たちとの間に立ち、捕虜らが受ける待遇に大きな影響を与えていた永瀬隆(2011年没)が生きていることを知ったニコール・キッドマンは、かつての敵と面と向かうことで、過去の苦渋を乗り越えてほしいと考え、コリン・ファースに真田広之に会いに行くことを勧める…。


…とまぁ、ニコール・キッドマンは、屈指の名作「ラビット・ホール」(2010年)で、本来なら憎んでも憎み切れない相手と、よく知りあうことで、自分の怒りや悲しみの喪失感ばかりか、相手が抱える罪悪感も癒され、お互いの複雑に砕けた心が救われていく…といった体験をしているので…というのは、もちろん、別の映画のお話なので、この「ザ・レイルウェイ・マン」と直接に関係あるわけではありませんが、ニコール・キッドマンとしては、自分の役どころの立場を変えて、似たようなテーマを含んだ作品に出演した感じですね…!!


後に「アバター」(2009年)のウルトラ大ヒットで世界的に有名になるサム・ワーシントンが主演したクライム・コメディ「ゲッティン・スクエア」(2003年)などのジョナサン・テプリツキー監督が、故エリック・ローマックス(2012年没)の同名自伝(1995年出版)を映画化した「ザ・レイルウェイ・マン」は、オーストラリアで今年末12月に公開が予定されているほか、イギリスでも来年2014年早々には封切りの予定ですが、北米での上映は今のところ未定です…。
なお、真田広之が演じている故永瀬隆さんは、岩波ブックレットから「「戦場にかける橋」のウソと真実」を、1986年に出版し、やはり、当時の出来事を回顧しています。また、原作の自伝「ザ・レイルウェイ・マン」は、本が出版されたばかりの1995年に、名優ジョン・ハート主演で、「プリズナーズ・イン・タイム」のタイトルでテレビドラマ化されているほか、エリック・ローマックスと永瀬隆さんの再会は、ドキュメンタリー映画「エネミー、マイ・フレンド?」(1995年)として記録されてもいます。


ジョン・ハートとコリン・ファースは、スパイ映画の大傑作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(2011年)で共演していますから、鉄道オタクの複雑な男を演じるにあたって、コリン・ファースは、ジョン・ハートから何かアドバイスを受けるなどしたんでしょうか…?!


Based on his best-selling memoir, The Railway Man tells the extraordinary and epic true story of Eric Lomax, a British Army officer who is tormented as a prisoner of war at a Japanese labour camp during World War II. Decades later, Lomax discovers that the Japanese interpreter he holds responsible for much of his treatment is still alive and sets out to confront him, and his haunting past. Directed by Jonathan Teplitzky, and starring Academy Award-winner Colin Firth, Jeremy Irvine, and Academy Award-winner Nicole Kidman, the film is a powerful tale of survival, love and redemption.





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