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ワーナー・ブラザースが来月12月7日(火)に発売する「インセプション」の DVD/Blu-ray のプロモーションで、ついにクリス・ノーラン監督自身が議論の的となった同映画の問題の結末をはじめ、劇中の様々な疑問に答えるインタビューに応じました!!、なので、その興味深い発言の要点をかいつまんで、お伝えしたいと思いますが、以下の記事の文章が、「インセプション」の結末のオチをバラしているネタバレ満載なのは言うまでもありません!!


「インセプション」を DVD/Blu-ray で初めて観るのを楽しみしてるという方や、自分には自分の解釈があって、それを気に入ってるから、例え映画の作者とは言え、この期におよんで、それを変えられたくない…!!という人は、“続きを読む”の後を絶対に開かないでください…!!


おとつい(11月24日)に、大ヒットSFアクション映画「ディストリクト9」(2009年)のニール・ブロムカンプ監督がリリースした不気味な謎の動画をご覧いただきましたが、その気持ち悪いものを初公開してくれた Wired マガジンの同じ号が、クリス・ノーラン監督に「インセプション」の謎を直撃し、映画の意味を作者本人に対して解説を求めたインタビューを行いました。

以下の文は、その Wired の記事を、映画サイトの COLLIDERTHE PLAYLIST などが取り上げてまとめたものを、ぼくが日本語的に読みやすく、アレとかソレの意味をくんで補って改め、再構成した“超訳”です。よって、以下の文章は Wired マガジンの記事の直訳ではありませんことをご了承ください。ただし、クリス・ノーラン監督の発言については、ほぼ手を加えていません。


まず、「インセプション」は、映画の物語の舞台そのものが全部、夢だったのではないか…?!という疑問に関する質問です。レオナルド・ディカプリオの演じた主人公のコブが、最初の夢強盗のミッションに失敗したあと、自分が未だ夢の中にいるのではないか?!と疑心暗鬼になり、それを確認するため、トーテムのコマを回してみたところ、コマが回り続けることなく倒れたのは、この映画自体がすべてコブの夢である…という観客の解釈を打ち消すための効果を狙った場面だったのではないですか…?!

あのシーンによって、物語の土台がコブの現実に基づいていることがわかる。
しかし、コブはそう信用のおける語り手ではないよ。


ケン・ワタナベの演じたサイトー、もしくはセイトーが(※)、レオナルド・ディカプリオのコブに対して、自分の依頼を引きうけ、その仕事を成功させたあかつきには、コブの犯罪者としての経歴を抹消し、晴れてキレイさっぱりとした身で、子どもらの待つ自宅に堂々と戻れるようにしてやる…と持ちかけます。


しかしながら、ケン・ワタナベは、どうして、そのような超法規的なことが自分には可能なのか?!、その現実的な根拠を示していません。なのにもかかわらず、サイトー、もしくはセイトーは、自分をただ信じろ…と、コブを説得してしまいます。その後の展開でも、ケン・ワタナベは、この“自分を信じろ”というセリフをくり返して述べ、つまり、実体の見えないものを盲信しろ…と言うわけですが、その“盲信”するという行為そのものが、映画の出来事がコブの潜在意識により作り出されたことを示すキーワードになっているのではないですか…?!

その質問については、何かを語れるとは思えないな…。

※ケン・ワタナベの役名が、サイトー、もしくは、セイトーと微妙に異なって劇中で発音される点も、それが夢と現実との境い目を見極めるキーワードになっている…と考えてみる人が…特に英語のネイティヴにはいたりするので、ひとまず、そのように示しましたが、以下の文章ではサイトーに統一しておきます。


レオナルド・ディカプリオのコブが、ケン・ワタナベからひき受けた依頼を果たすために、エレン・ペイジのアリアドネをはじめとする、スペシャリストたちを集めて、“夢の強盗”チームを結成していくことになりますが、この展開はつまり…、物語の内容と目的にそった出演者とスタッフを集め、撮影にとりかかるという一連の映画製作の過程と似ている感じがします。なので、「インセプション」はもしかして、あなたの映画作りについてのポリシーを、それとなく暗示した作品なのではないですか…?!

ぼくは映画作りに関する映画を作ろうなどと意図したことはないよ。ただし、自分が知っているモノ作りの手順のプロセスは当然、その流れの中に引用されているはずだ。


ラストシーンの手前で、砂浜に打ち上げられたコブは…つまり、サイトーが作り出した虚夢のリンボーの世界にたどり着いたわけですが、サイトーのもとを訪れたコブは、自分の名誉回復の約束を果たしてもらうために、一緒に元の現実に戻ろうと誘いかけます…。


そして、サイトーは機内で意識を取り戻しますが、そこから結末にいたる展開は、コブの迎えに同意したサイトーが虚夢を脱して、現実に復帰したのではなく、ふたりが協力して、果たすべき約束が果たされた理想の現実とそっくり同じように、あらためて、ふたりで虚夢の世界を作り変えていったのではないですか?!

あぁ…、なるほど、でも、それはぼくが映画から読み取った解釈とは違うな…。

結末はつまり夢ですか?!と聞かれたのに対して、違う…と言ってしまったように思うのですが…!!

さて、問題のラストシーンですが、ついに自宅に帰り着いたコブは、子どもたちと感動の再会を果たします。


しかし、その時、子どもたちの服装は、コブがそれ以前に夢の中で見た時の光景と同じ洋服を着ていますし、コブが逃亡生活を送っていた年月ぶんの年齢を子どもたちも一緒に重ねて、成長したようにも見えません。よって、結末は現実ではなく、コブの夢であると解釈できますが…。

子どもたちは同じ服を着ていないし、それに、ちゃんと年齢も重ねているよ!!
ぼくたちが一緒に仕事したのは、ペアの二組の子どもたちなんだ…!!

…とのことで、このラストシーンで、子どもたちの着ている洋服がそれ以前とは違う…というのは、すでに今夏、衣装デザイナーのジェフリー・カーランドのインタビューでの発言を引用して、お伝えしましたが、それがあらためて、クリス・ノーラン監督本人の口から確認されたばかりか、実は演じている子役まで違っていたことがわかりました。


そのように子役を使い分けることで、クリス・ノーラン監督は映画の中の時間の経過にそって、子どもらがキチンと成長していっている…と、よくよく観れば、わかるように演出したわけですが、その子どもの変化の事実までを含めて、夢の中の想像だと解釈するのか、コブは成長した子どもらの姿を知らないのだから、ラストシーンは現実だったんだ…と受け止めるのかは、CIAリーダーのみなさんの個々の解釈にお任せします。

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コブの自宅は、大変、手のこんだ職人仕事が随所に窺える作りとなっていますが、この建築へのこだわり方は、つまり、この場面が、そもそも建築の勉強をしているエレン・ペイジのアリアドネが、途中の展開で示したように、コブの境遇に同情して、作り上げてやった夢の世界であることを暗示しているのではないですか…?!

この映画は“建築”についての映画だよ、建築していく物語なんだ。


ラストシーンで…、果たして、いま自分に起きていることが現実か、どうか?!、それを確かめるために、コブは再び、コマを取り出して、回してみますが、その回転の結果を見届けることなく、子どもたちのもとへと行ってしまいます。これはどうしてなんでしょうか…?!

重要なことは、そこで、コブがコマを見つめ続けなかった…ということなんだ。
そのコマが示す結果はもう、彼にとっては、どうでもいいことなんだよ。



観客は、サイトーがコブに述べたように、すべての展開をただ“盲信”することを求められ、様々な点が曖昧に満ちていることから、映画は観客に対して、明確な答えを何ひとつ示していない…とも言えそうなのですが…。

そんなことはないよ、ぼくはちゃんとこの映画から答えを得ている…。

さて、CIAリーダーのみなさんも、クリス・ノーラン監督と同じように、「インセプション」から自分なりの答えを引き出すことができたでしょうか…?!、ぜひとも、DVD/Blu-ray でくり返し、「インセプション」をお楽しみください!!





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